9 / 78
愛してるってなに?
*9
しおりを挟む
昼ごはんが終わって、次にやるレクを聞いて唖然となった。
愛してるゲーム、とかいうふざけたゲーム。
どこのクラスだ、こんなくだらないゲームを差し込んできたのは。
よく先生も許可出したよな。
愛してるゲームとは、2人組になって順番に愛してるって言い合い、照れたり笑った方が負けっていうゲームらしい。
トーナメント形式で、最後に残った人が優勝。
俺は早めに離脱したかったのに、あんまり照れるというリアクションができないみたいで。
というか相手の女子が照れるのが早すぎて、結構いいところまで勝ち進んでしまった。
俺が「あ…」と言いかけた時点で「もうムリ―!」と照れてしまう女子。
いや、まだ何も言ってない。
はぁ、とため息をつきながら隣を見たら、加ヶ梨先生が男子生徒に「愛してる」って言ってて。
なんか、
見ていられなかった。
なんなんだよ、このゲーム。
くだらない。
てか、なんで先生までやってんだよ。
こんなゲームまで混ざらなくていいよ。
先生と勝負していた男子生徒は「ごちそうさまでーす!」とか言ってて、胸ぐらを掴んでやりたい気持ちになった。
先生は途中で負けていたらしくて、俺は先生と当たることはなかった。
先生は誰と勝負して負けたんだろう。
気になる。
なんか、イライラする。
そんな気持ちとは裏腹に俺は気づけば決勝戦まできてしまっていた。
なんで俺が。
決勝の相手は男子の間でも可愛いと有名な女子。
俺たち2人を囲んで、みんなが見ているから、それがすごいイヤだった。
先生も見てるのかな。
見られてたらイヤだな。
なんて思っていた。
最初に俺が「愛してる」って言う。
相手の女子は表情一つ変えないで、さすが決勝にくるだけあるなって思った。
「里巳くん、愛してる」
名前まで入れてきて。
本気で勝ちに来ているような気がして、俺もちょっとだけ負けるのがイヤだなって思った。
「俺も愛してる」
「もう一回」
「愛してる」
「私も愛してる」
「俺も愛してる」
俺が愛してるって言う度に、周りの歓声がいちいち大きくて。
相手の女子が言うと、今度は野郎の声がこだまして。
両者どっちも引かない戦いが続いた。
俺も全然照れないし、相手も無表情を貫いている。
こんなゲームずっとやっててもしょうがない。
早く終わらせたかった俺は、相手の頬に手をそっと添えて、思いっきり顔を近づけた。
きゃーと歓声が上がる。
静かになるまでずっと目を見て。
「愛してる」
そう言うと相手の女子は堪えきれなかったように顔を両手で塞いだ。
「里巳くんの勝利!」
そう言われた瞬間に、勝ってしまった自分に後悔した。
あーあ、なんで意地になっちゃったんだろう。
あんまり目立つ事はしたくなかったのに。
終わってすぐに顔を上げれば、先生の姿が目に映って。
俺を見てとびっきりの笑顔で拍手をしていた。
なんなんだよ…。
先生は笑ってるのに。
俺のイライラはなぜか募る一方だった。
愛してるゲーム、とかいうふざけたゲーム。
どこのクラスだ、こんなくだらないゲームを差し込んできたのは。
よく先生も許可出したよな。
愛してるゲームとは、2人組になって順番に愛してるって言い合い、照れたり笑った方が負けっていうゲームらしい。
トーナメント形式で、最後に残った人が優勝。
俺は早めに離脱したかったのに、あんまり照れるというリアクションができないみたいで。
というか相手の女子が照れるのが早すぎて、結構いいところまで勝ち進んでしまった。
俺が「あ…」と言いかけた時点で「もうムリ―!」と照れてしまう女子。
いや、まだ何も言ってない。
はぁ、とため息をつきながら隣を見たら、加ヶ梨先生が男子生徒に「愛してる」って言ってて。
なんか、
見ていられなかった。
なんなんだよ、このゲーム。
くだらない。
てか、なんで先生までやってんだよ。
こんなゲームまで混ざらなくていいよ。
先生と勝負していた男子生徒は「ごちそうさまでーす!」とか言ってて、胸ぐらを掴んでやりたい気持ちになった。
先生は途中で負けていたらしくて、俺は先生と当たることはなかった。
先生は誰と勝負して負けたんだろう。
気になる。
なんか、イライラする。
そんな気持ちとは裏腹に俺は気づけば決勝戦まできてしまっていた。
なんで俺が。
決勝の相手は男子の間でも可愛いと有名な女子。
俺たち2人を囲んで、みんなが見ているから、それがすごいイヤだった。
先生も見てるのかな。
見られてたらイヤだな。
なんて思っていた。
最初に俺が「愛してる」って言う。
相手の女子は表情一つ変えないで、さすが決勝にくるだけあるなって思った。
「里巳くん、愛してる」
名前まで入れてきて。
本気で勝ちに来ているような気がして、俺もちょっとだけ負けるのがイヤだなって思った。
「俺も愛してる」
「もう一回」
「愛してる」
「私も愛してる」
「俺も愛してる」
俺が愛してるって言う度に、周りの歓声がいちいち大きくて。
相手の女子が言うと、今度は野郎の声がこだまして。
両者どっちも引かない戦いが続いた。
俺も全然照れないし、相手も無表情を貫いている。
こんなゲームずっとやっててもしょうがない。
早く終わらせたかった俺は、相手の頬に手をそっと添えて、思いっきり顔を近づけた。
きゃーと歓声が上がる。
静かになるまでずっと目を見て。
「愛してる」
そう言うと相手の女子は堪えきれなかったように顔を両手で塞いだ。
「里巳くんの勝利!」
そう言われた瞬間に、勝ってしまった自分に後悔した。
あーあ、なんで意地になっちゃったんだろう。
あんまり目立つ事はしたくなかったのに。
終わってすぐに顔を上げれば、先生の姿が目に映って。
俺を見てとびっきりの笑顔で拍手をしていた。
なんなんだよ…。
先生は笑ってるのに。
俺のイライラはなぜか募る一方だった。
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
2021 宝島社 この文庫がすごい大賞 優秀作品🎊
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる