3 / 4
泊っていきなよ。
3
しおりを挟む「この後、理央と会うの?」
壱夜にしてはやけに低い声だった。
「会うの?」
なにも答えない私に痺れを切らしたかのように、もう一回聞いてくる。
いつも優しい壱夜がちょっとだけ怖く感じた。
「…うん、参考書持って来てくれるみたい」
「ふーん」
自分から聞いたくせに、私が答えると気のないような返事をして。
でも真顔で私の顔を見つめる壱夜。
「なに?」
沈黙に耐えきれずそう聞くと、ギュッと握りしめられていた腕をふわっと持ち上げられて、その勢いで後ろに倒れた。
私の頭が乗ったせいで、後ろの置いてあったふかふかのクッションがぼふっと音を立てる。
天地がひっくり返って一瞬何が起こったか分からなかった。
映っていた天井の景色に壱夜の顔が飛び込んできて、私の顔の横にそっと手をついた。
「ねー」
「な、なに?」
「理央と今でも2人で会ったりしてるの?」
壱夜は真っすぐ私を見つめる。
え…なんか壱夜、怒ってる?
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
10 sweet wedding
国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。
大人な軍人の許嫁に、抱き上げられています
真風月花
恋愛
大正浪漫の恋物語。婚約者に子ども扱いされてしまうわたしは、大人びた格好で彼との逢引きに出かけました。今日こそは、手を繋ぐのだと固い決意を胸に。
婚約破棄されたので、契約不履行により、秘密を明かします
tartan321
恋愛
婚約はある種の口止めだった。
だが、その婚約が破棄されてしまった以上、効力はない。しかも、婚約者は、悪役令嬢のスーザンだったのだ。
「へへへ、全部話しちゃいますか!!!」
悪役令嬢っぷりを発揮します!!!
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
【完結】魔女のおしごと
かまり
恋愛
魔王と王子の間で揺れ動く魔女の恋物語。
——魔界人の中の1つの種である、『魔女』の仕事は魔界人たちの食糧を集めること。
魔界人の食糧とは、人間のマイナス感情から生まれるエネルギー。
つまり、魔界人にとっての家畜である人間の負の感情を育て、集めるのが『魔女のおしごと』。
しかし、大きな失敗をしたある1人の天才魔女は、魔界人に追い詰められて、その仕事を失った…
その魔女を復活させ、魔女としての道に戻し、一緒に歩もうとするツンデレ魔王と愛を育むのかと思われた矢先、
人間界で出会った優しい王子に愛されて気持ちが揺れ動いていく魔女の恋物語。
夫の心がわからない
キムラましゅろう
恋愛
マリー・ルゥにはわからない。
夫の心がわからない。
初夜で意識を失い、当日の記憶も失っている自分を、体調がまだ万全ではないからと別邸に押しとどめる夫の心がわからない。
本邸には昔から側に置く女性と住んでいるらしいのに、マリー・ルゥに愛を告げる夫の心がサッパリわからない。
というかまず、昼夜逆転してしまっている自分の自堕落な(翻訳業のせいだけど)生活リズムを改善したいマリー・ルゥ18歳の春。
※性描写はありませんが、ヒロインが職業柄とポンコツさ故にエチィワードを口にします。
下品が苦手な方はそっ閉じを推奨いたします。
いつもながらのご都合主義、誤字脱字パラダイスでございます。
(許してチョンマゲ←)
小説家になろうさんにも時差投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる