その天使はハンカチを返さない

ランス伯爵家の次男シャノン・ランスは、産みの父ゆずりの銀髪と愛らしい顔で「見目だけはオメガ」と陰口されているベータ。第二王子のレオナードはそんなシャノンを常に気にかけており、「ベータでも構わない」と告白した。しかしアルファとしての幸せを考えるならオメガを娶るべきだと考えたシャノンは返事に悩んだまま、文官として王宮で働くことに。
勤務初日。シャノンの耳に聞こえてくるのは辛辣な陰口。剣術アカデミーの元同級生たちから王宮騎士になれなかったことを蔑まれ涙してしまうシャノン。そこにハンカチを差し出したのは、レオナードの兄、アルバート王太子だった。
まだ婚約者が居ないアルバートに気遣われたせいで同僚の嫉妬まで買ってしまい、シャノンは踏んだり蹴ったり。開き直ったシャノンが受け取ったハンカチでごしごしと顔を拭いていると、ふとハンカチからいい匂いがすることに気づいた。
匂いの正体はアルファのフェロモン。急な発熱で倒れ、シャノンは自分がオメガだと知った。意識が朦朧とする中、楽にしてあげたいだけだと言うアルバートに身を任せた結果、シャノンの日常はさらに平和から遠のいて……
遅咲きオメガ、シャノンの恋物語。
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