天使と悪魔の恋模様

夜乃桜

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天魔の歌声

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どこからなく歌が聞こえる。
『天界』を巡回していた、流れる水のような長い青髪に美しい翠の瞳の力強く凛々しい歌声を持つ〈天音の天使〉は歌が聞こえる方へと向かった。
着いた先は『天界』の奥深くの洞窟。そこには鏡があった。歌はその鏡から聞こえてくる。
〈天音の天使〉目の前の鏡に触れた。そして、〈天音の天使〉は鏡に向かって歌い出した。

どこからなく、歌が聞こえる。
『冥界』の誰も来ない、自分のお気に入りの場所。そこで歌っていた、燃えるような赤髪に妖しい紫の瞳の甘い妖艶な歌声を持つ〈魔音の悪魔〉は歌が聞こえる方へと向かった。
着いた先は『冥界』の奥深くの洞窟。そこには鏡があった。歌はその鏡から聞こえてくる。
〈魔音の悪魔〉は目の前の鏡に触れた。

「(っ?!)」

〈魔音の悪魔〉は驚いた。鏡には流れる水のような長い青髪に翠の瞳の美しい〈天使〉がいた。
〈天音の天使〉は驚いた。鏡には、燃えるような赤髪に紫の瞳の妖しい〈悪魔〉がいた。

「(俺を呼んだのはお前か?)」
「(私を呼んだのはあなた?)」

〈天使〉と〈悪魔〉は問いかける。しかし返事は返ってこない。何も聞こえない。
鏡に映る相手に困惑した〈魔音の悪魔〉は、もしかしたらと、試しに歌ってみた。すると、〈天音の天使〉に〈魔音の悪魔〉の歌声が聞こえた。〈天音の天使〉は〈魔音の悪魔〉に合わせて歌うと、互いに鏡に映る相手の歌が聞こえた。
どうしてかわからないが、歌だけが相手に伝えることができるようだ。それから、〈天音の天使〉と〈魔音の悪魔〉は時間があれば鏡の元に行った。そして、鏡越しに互いに歌を歌った。


ある日。〈魔音の悪魔〉が鏡の元に向かう。
そこには鏡を壊そうとする、理から堕ちた異形のモノ〈化生〉がいた。驚いた〈魔音の悪魔〉は〈化生〉を倒すが、戦いの弾みで、鏡が粉々に砕けてしまった。
鏡が割れてしまった。もう、〈天音の天使〉の歌が聞こえない。 
〈魔音の悪魔〉は声をあげて泣いた。

ある日、〈天音の天使〉が鏡の元に向かうと、そこに無残に砕けた鏡があった。
鏡が割れていた。もう、〈魔音の悪魔〉の歌が聞こえない。 
〈天音の天使〉は声をあげて泣いた。


しばらくして、十年に一度の会議の時が来た。『世界』の狭間である『あわい』で行われる会議に、〈天音の天使〉は代表である〈神〉の従者として選ばれた。
会議の間は、従者たちは好きにしてよいと許可をもらった〈天音の天使〉はせっかくなので『あわい』に創られた『世界』を見て回っていた。
すると、どこからか歌が聞こえてくる。
それは、〈天音の天使〉があの日から求め続ける歌声。まさかと〈天音の天使〉は歌の聞こえる方へと急いだ。
そこには、赤髪に紫の瞳の妖しい〈魔音の悪魔〉がいた。〈魔音の悪魔〉も『橋』での会議の代表である〈神〉の従者として選ばれていた。
二体は笑みを交わす。

「(初めまして。でいいかしら?)」
「(そうだな。初めましてか?)」

二体は互いに手をとった。そして歌う。
〈天音の天使〉と〈魔音の悪魔〉の歌声が混じり合う。聖なる天の歌声と妖しい魔の歌声が『世界』の地に響く。
だれもが二体の歌声に聞き惚れた。
それから、十年の一度の『天界』と『冥界』の会議の日には『あわい』の『世界』に天魔の歌声が響きわたるようになった。
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