Re : play ／ リプレイ

ACT-49

「どうして、貴方がここに…」

「お前の攻撃は、確かに強かった…。だが、強いという点に固執し過ぎていて、俺には効かなかった」

「つまり、どういうこと？」

「お前の攻撃は強いだけで、中身がすっからかんだったってことだよ」


　健太郎は、少女を煽った。


「むっ…。貴方みたいな人、嫌い」

「別に、敵に好かれようとしているわけじゃないからな」


　少女は翔から離れ、健太郎の攻撃を警戒する。


(この子、強いし賢いな。目先の標的ばかりに集中するのではなく、より確実に敵を排除しようと行動している。…彼女は本物だ。俺みたいに強さだけを持っている者とは違う、本当の強さを理解している。なら、俺は全力で彼女を越えてみせよう。もう、何も失わないために……。シエラたちを守るために)


　健太郎は技能スキルドラゴニック・オムニバースを発動した。


「何？ この禍々しい魔力は……」

　少女は、健太郎の変身に怯えた。

　今までに感じたことがないほどの膨大な魔力に、何かもを消し去ってしまうような、"無"の殺気に。


(クロムウェル、俺は全てを守り抜くために、お前の持つ全ての力を喰らってやる。もう一段階、俺に力を寄越せ！)


　健太郎が纏っている黒い瘴気は、黒瘴炎に進化した。

　黒瘴炎の炎は、この世に枝分かれする無限の可能性を焼き払う効果を持っていた。

　さらに、黒瘴炎に混じって、新たなる力も発現した。

　白唯識。ドラゴニック・オムニバースが造り出す一つの世界を、クロムウェルと共有したことにより発現した力。

　黒瘴炎の回りを白い星が飾り付けている。

　効果は黒瘴炎とは対をなしており、枝分かれする無限の可能性を、書き直すことができる。


「ドラゴニック・オムニバース《モード コズミック・ワンミリオン》。…もう、俺を越えられる者は、誰一人として存在しない」

　雄々しき黒竜は凍てつく覇気を放ち、少女を睨み付ける。


「強さの限界が見えない…。無限に強くなり続けている…」

　少女は、対象のステータスを覗ける魔道具を使い、彼を分析した。


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　名前:？？ 年齢:？？ 性別:？？

　Level:？？ 職業:？？ ギルドランク:？？

　筋力:？？？

　耐久:？？？

　敏捷:？？？

　魔力:？？？

　魔攻:？？？

　魔防:？？？

　魔法一覧

　？？？

　技能一覧

　？？？

　ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「数が見えない…。こんなの初めて……」

　少女は腰を抜かし、地面に膝を着いた。


「言葉も数字も、俺の前では無意味。一つの世界は概念を超越し、無限の先にたどり着いた。誰かを守るために強くなる…。これが、俺のたどり着いた本当の強さだ！」


　心体共に飛躍的成長を遂げた健太郎。

　彼は戦闘不可能になった少女を、どうするのだろうか。