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ACT-17

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残り数分で、迷宮が崩壊する中、冒険者たちは必死に足掻いていた。


「ご主人様、このままでは間に合いません!」

「大丈夫だ、必ず間に合わせてみせる!」


 健太郎は、無詠唱・省詠唱の両方を使い、最小限の時間短縮を実現させ、集団転送陣の魔法を構築する。


「よし、できた。皆んな、俺の合図で一斉に転送陣の中に飛び込んでくれ」

「わ、わかった」

「本当に間に合っちゃった! たった一人で術式を考えて、この人数を一人の魔力で送ろうだなんて、いったい、彼は何者なの!」

「彼が何者かはわからないが、一つだけ言えることがある」

「何?」

「彼は正真正銘の魔神だってことさ」

「魔神…、魔法の神様」

「そうだな、オレたちには魔神様が付いているんだ、こんなところでは死ぬ筈がない! 全員で帰るぞ!」

「おぉぉ!!!」 一同

  (さすがはご主人様、不安定な状況にも関わらず、皆んなの心を一つにしてしまうなんて)


 後ろが盛り上がる中、健太郎は着々と準備を進めていた。


  (この方法なら、俺たち五人も無事に転送陣で脱出することができる)

「魔神様、下層が転落したそうです! お急ぎを」

「魔神!? まぁいいや、準備はできたな! それじゃ、一斉に飛び込め!」


 健太郎の合図で、冒険者たちが転送陣の中に飛び込んだ。


「今だ! 出てこい、アイテムボックス!」

「うわぁ!!!!」 一同

「何やってるんですか、ご主人様! 皆さん、どこかに行っちゃいましたよ」

「どこって、アイテムボックスの中に入ってもらっただけだよ」

「アイテムボックスの中に入って、冒険者の皆さんは大丈夫なんですか」

「大丈夫だよ、酸素は入っている筈だから」

「断定ではないんですね」

「だって、アイテムボックスの中に入れって言っても、皆んな入りたがらないだろう」

「そうですけど…」

「どうするつもりなんだ。オレたち五人で、この迷宮を脱出することは可能なのか?」

「もちろん可能さ、空間転移魔法を使えば、十人まで送り届けることができるからね」

「その手がありましたか! 確かに、転送陣で冒険者全員を転送することは不可能ですが、一旦、アイテムボックスの中に入ってもらい、残った私たち数人で、空間転移すれば、イベエラまで帰れますね」

「これが、俺の思いついた秘策さ」

「さすがはご主人様です! 誰にも考えつかないことを考えつくだななんて!」

  (まぁ、土壇場で思いついた、ただの付け焼き刃なんだけどね)


 健太郎たちは、空間転移魔法で、イベエラへと無事に帰ることができた。
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