Re : play ／ リプレイ

ACT-4

「ご主人様、一つだけ質問があるのですが…」

「なに？」

「ご主人様は、これから先、どうされるのですか？」

「どうされる？あっ…。全然考えてなかったー！」


　健太郎とシエラは、とりあえず街の中に入り、今後の予定について相談していた。


「これから生活していくにしても、金銭的問題が避けられない…。どうしたものか」

「それでしたら、ギルドに行ってみませんか」

「ギルド？」

「はい。イベエラにはギルドと呼ばれる、強者たちが集まっているコミニュティがあるんですよ」

「ふんふん」

「そこでは、クエストといわれる有料のお仕事が受けれるんです。クエストは内容にもよりますが、基本的には魔獣などのモンスター討伐がメインになります」

「なるほど、確かにそれなら出来そうだな」

「ご主人様なら悪魔や鬼にだって負ける筈がないので、きっと大丈夫だと思います」

　 (そこまで言われると、逆にプレッシャーを感じちゃうんだよね…)


　イベエラの街を少し歩き、目的地であるギルドに到着した。


「こんにちは。イベエラ街のギルドへようこそ、本日はご依頼の申請ですか、それとも新規メンバーの登録ですか」

「えっと…、新規メンバーの登録をしたいんですが、宜しいでしょうか？」

「承知しました。新規メンバー登録の必要書類をご用意致しますので、そちらにかけて、お待ち下さい」


　ギルド内の受付嬢の丁寧な対応により、ことがスムーズに進んだ。


「これで、メンバー登録も無事に出来そうだな」

「よかったですね、ご主人様」


　ほっと一息ついていると、ギルド内に居た、強面の男たちが、複数人こちらへとやって来た。


「おいおい、困るじゃね～か。そんな汚い"物"を神聖なギルドに持ち込むなんてよ～」

「はい？」

「テメェらに話しかけたんだよ、そんなことも分からないのか？」

「これだから田舎者は、獣人共と一緒で、無知で役立たずのお荷物なんだ」


　やけに絡んでくる男たちは、シエラへ罵声を浴びせ始めた。


「まぁ、田舎者よりもひでぇのが側に居るがな」

「確かに、こりゃゴミ虫にも匹敵する気味の悪さだ」

「あ～あ、とっとと帰ってくんね～かな～」


　シエラが申し訳なさそうな顔をし、健太郎の服の袖をぎゅっと握った。


「あんたら、数にものをいわせて楽しいか？」

「ハァン？なんだ急に？」

「寄ってたかって少女を虐めるのが、本当の男がすることなのか？」

「なに訳わかんねーこと言ってんだ」

「訳がわからない？すみません、先輩方。あなたたちの類人猿にも匹敵する脳みそでは、この程度の会話も理解できないようですね」


　シエラの顔を見た健太郎は、居ても立っても居られなくなり、男たちに喧嘩をふっかけてしまった。


「テメェ、いい度胸してるじゃねーか」

「オレたちに喧嘩をふっかけてきた奴らがどうなったのか、お前知らないな」

「そんなこと関係のない話だ！俺は大事な仲間を傷つけたお前らが、ただ許せないだけだ！」

「いいぜ、その喧嘩かってやるよ」


　男たちは受付の前に置いてある、謎の機械を持って来た。


「こいつは魔道具って言うんだ。魔道具は、冒険者の潜在能力を数値化できて、ステータスプレートに書き込むことができる。こいつを使って勝負をしようじゃねーか」

「勝負内容は」

「簡単さ、オレたち三人の中の一人にでも、お前が持つ潜在能力数値が上回っていれば、勝ちってことさ」

「分かった。この勝負で、俺が勝てば、シエラに謝罪をしてもらう」

「なら、オレたち三人が勝ったら、テメェら二人には、一生奴隷として、オレたちのもとでこき使われてもらおうか。まぁ、もしも勝てたならの話だがな」


　健太郎が受付の前に立ち、魔道具の頭の上に手の平を乗せた。


　 (くっくっく、オレたち三人は、ギルドランクが銀で、こいつは今日初めて冒険者になる奴だ。どうあがいても、オレたちのステータスに敵うはずがない)

「うわぁ！？魔道具からなんか出てきた」

　 (さぁて、お手並み拝見しましょうか…って)

「えぇーーー！！！」 一同


　その場に居た全員が驚愕した、なんと健太郎のステータスプレートは、圧倒的であったからだ。


　ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

　名前:鈴木 健太郎 年齢:32 性別:男

　Level: 1 職業:一般職 ギルドランク:なし

　筋力:1000000

　耐久:1000000

　敏捷:1000000

　魔力:1000000

　魔攻:1000000

　魔防:1000000

　魔法一覧

　[火属性魔法]

　技能一覧

　[言語理解]

　ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「す、すごいです、ご主人様！」

「なんだこのステータスは、魔道具の故障か」

「百万だなんて、三人合わせてもおつりが出ちまう」

「こんな化け物じみたステータス、今まで見たことがねーよ」

「じゃあ、この勝負は…」

「ご主人様の勝ちです！」


　男たちは先程までの威勢を発せずに腰を抜かせて、座り込んだまま、黙りふけっていた。


「そんじゃ、シエラに謝ってもらおうか」

「はい…。獣人の誇りを汚したこと、あなた様のご主人様であるスズキ様を汚してしまったことを、心の底から謝罪致します。すみませんでした」 三人同時

「よかったな、シエラ」

「ご主人様…。はい！」


　シエラの笑顔を見ることができ、とてもご満悦な健太郎だった。