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女の対決(前編)
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ドーン!
初撃は相打ちだった。ユニコーンの上からふわっと投げれられたガドガンさんの紙飛行機に対して、カッテナさんが丸太の矢を当て、爆発が起こる。ガドガンさんの爆弾紙飛行機を、カッテナさんの矢が相殺した形だが、
「頑丈な矢ですね」
俺の感想はガドガンさんの爆弾紙飛行機の威力より、カッテナさんが扱う矢の頑丈さに目が向いていた。丸太の矢は、先端が弾けるに留まっていたからだ。いくら丸太とは言え、爆弾相手では木っ端微塵になってもおかしくないのに。
「カッテナさん、と言ったかな? 彼女の出身はどこなんだい?」
と俺の横に来たミカリー卿が尋ねてきた。その手は未だにマチコさんの首根っこを掴んでいる。逃げないだろうに。
「確か、西のパデカと言うところだったはずです」
俺は『記録』を遡り、面接の時の事を思い出す。
「パデカでは、硬くて真っ直ぐ育つパデカ樫と言う木材が採れるはずだ。きっと彼女の矢もソレを使っているのだろう」
成程。頑丈な木を素材に矢を作っているから、上手く加工出来ずに表面がガタガタだったのか。それにしても流石は元教皇。各地の名産品をご存知のようだ。
弓ゆえに手数が少ないカッテナさんに対して、ガドガンさんは手数で応戦する。両手に紙飛行機を持ち、ポンポンとそれを投げていく。あまり狙い定めて投げているように見えないが、紙飛行機は狙い違わずカッテナさんへと向かって行くので、恐らくは風の魔導具を使用しているのだろう。
だが残念なのは速度が遅い事か。風魔法で少しは速くなっているが、それで『反発』を使ってグラウンドを駆け回るカッテナさんを捉えるには至らず、避けまくり躱しまくるカッテナさんから、逆に反撃の矢が返ってくる始末だ。
「ぐぬぬ」
と歯噛みするガドガンさんは戦法を変える事とした。と言っても更に攻撃の手数を増やした訳だが。ガドガンさんはナイフを取り出すと、ユニコーンの汗を染み込ませた紙を小さく切り刻み、それを風魔法でグラウンド中にばら撒いたのだ。これによって地面も空中も地雷原と化したグラウンド。
しかしカッテナさんはこれさえ物ともしなかった。紙を小さく切り刻んだのが悪手だったのか、『反発』で全身を覆うカッテナさんの防御力を、ガドガンさんの紙地雷は貫く事が出来ず、逆に攻撃力が弱まったのを良い事に、カッテナさんは足をしっかり踏ん張って弓を引くように攻撃の仕方を変えていた。これにはたまらずガドガンさんの方が逃げ回る。
「強いですねえ。カッテナさんに攻撃が通るイメージが湧かないんですけど」
勝負を見ながら思わずぼやく俺に、横で腕を組みながら観戦しているバヨネッタさんが溜息を漏らす。
「そうでもないわよ。一見すると隙がないように見えるけれど、私からしたら攻略の余地ありよ」
そうだろうか? 『反発』なんて強ギフト、俺には攻略の糸口が見付からないが。その間もガドガンさんに向かってドンドン矢を射っていくカッテナさん。
「あ。もしかして矢の弾切れですか?」
「『縮小』で相当数の矢を持ってきているでしょうから、そうそう弾切れしないでしょうね」
「ですよねえ」
となると俺には分からないなあ。いや、バヨネッタさん的には隙があるらしい。カッテナさんは全身を『反発』で覆っているはずだ。それなのに隙がある。と言う事は、カッテナさんの『反発』の利用方法に何かしら欠陥があると考えるのが妥当か。………ま、俺には分からないし、ガドガンさんがこの勝負の間に、その隙に気付くかも分からないけど。
そのガドガンさんだが、爆弾紙飛行機も紙の地雷もカッテナさんの『反発』相手では通用しないと分かってしまった。これは分が悪いと感じ取ったのか、ガドガンさんはユニコーンに乗って矢を躱している。
そのユニコーンは意外と素早かった。ユニコーンとは言っても見た目はピンクのサイである。それがあのずんぐりむっくりした体型で、素早く右へ左へ方向転換するのだから不思議な感じだ。軽やかにカッテナさんの矢を躱すユニコーンは、明らかにレベルが高いと分かる動きをしていた。もしかしたらガドガンよりもレベルが高井のかも知れない。何せ代々ガドガン家に使役される薬獣らしいからなあ。少なくともガドガンさんよりは戦闘に慣れていそうだ。
そのユニコーンだが、更に直進となると、ピンクの汗が推進剤となって爆発を起こし、炎に包まれて突進してくるのだ。流石のカッテナさんも思わず寸前で避けている。? 何で避けているんだ? 『反発』で跳ね返せば良いのに。出来ないのか? いや、ユニコーンの攻撃が爆弾紙飛行機よりも強力な攻撃って事か。だって爆弾紙飛行機の素となる汗を推進剤に使っているんだからな。だが違っていた。
「やはりユニコーンの攻撃は、避けざるを得ないようだね」
とこぼすミカリー卿の言葉に武田さんが首肯する。
「どう言う意味ですか?」
思わず尋ねると、
「ユニコーンの角は特殊な薬の素材だ。反魔法で魔法やスキルを無効化出来るんだよ。もちろんギフトも例外じゃない」
と武田さんから返ってきた。
初撃は相打ちだった。ユニコーンの上からふわっと投げれられたガドガンさんの紙飛行機に対して、カッテナさんが丸太の矢を当て、爆発が起こる。ガドガンさんの爆弾紙飛行機を、カッテナさんの矢が相殺した形だが、
「頑丈な矢ですね」
俺の感想はガドガンさんの爆弾紙飛行機の威力より、カッテナさんが扱う矢の頑丈さに目が向いていた。丸太の矢は、先端が弾けるに留まっていたからだ。いくら丸太とは言え、爆弾相手では木っ端微塵になってもおかしくないのに。
「カッテナさん、と言ったかな? 彼女の出身はどこなんだい?」
と俺の横に来たミカリー卿が尋ねてきた。その手は未だにマチコさんの首根っこを掴んでいる。逃げないだろうに。
「確か、西のパデカと言うところだったはずです」
俺は『記録』を遡り、面接の時の事を思い出す。
「パデカでは、硬くて真っ直ぐ育つパデカ樫と言う木材が採れるはずだ。きっと彼女の矢もソレを使っているのだろう」
成程。頑丈な木を素材に矢を作っているから、上手く加工出来ずに表面がガタガタだったのか。それにしても流石は元教皇。各地の名産品をご存知のようだ。
弓ゆえに手数が少ないカッテナさんに対して、ガドガンさんは手数で応戦する。両手に紙飛行機を持ち、ポンポンとそれを投げていく。あまり狙い定めて投げているように見えないが、紙飛行機は狙い違わずカッテナさんへと向かって行くので、恐らくは風の魔導具を使用しているのだろう。
だが残念なのは速度が遅い事か。風魔法で少しは速くなっているが、それで『反発』を使ってグラウンドを駆け回るカッテナさんを捉えるには至らず、避けまくり躱しまくるカッテナさんから、逆に反撃の矢が返ってくる始末だ。
「ぐぬぬ」
と歯噛みするガドガンさんは戦法を変える事とした。と言っても更に攻撃の手数を増やした訳だが。ガドガンさんはナイフを取り出すと、ユニコーンの汗を染み込ませた紙を小さく切り刻み、それを風魔法でグラウンド中にばら撒いたのだ。これによって地面も空中も地雷原と化したグラウンド。
しかしカッテナさんはこれさえ物ともしなかった。紙を小さく切り刻んだのが悪手だったのか、『反発』で全身を覆うカッテナさんの防御力を、ガドガンさんの紙地雷は貫く事が出来ず、逆に攻撃力が弱まったのを良い事に、カッテナさんは足をしっかり踏ん張って弓を引くように攻撃の仕方を変えていた。これにはたまらずガドガンさんの方が逃げ回る。
「強いですねえ。カッテナさんに攻撃が通るイメージが湧かないんですけど」
勝負を見ながら思わずぼやく俺に、横で腕を組みながら観戦しているバヨネッタさんが溜息を漏らす。
「そうでもないわよ。一見すると隙がないように見えるけれど、私からしたら攻略の余地ありよ」
そうだろうか? 『反発』なんて強ギフト、俺には攻略の糸口が見付からないが。その間もガドガンさんに向かってドンドン矢を射っていくカッテナさん。
「あ。もしかして矢の弾切れですか?」
「『縮小』で相当数の矢を持ってきているでしょうから、そうそう弾切れしないでしょうね」
「ですよねえ」
となると俺には分からないなあ。いや、バヨネッタさん的には隙があるらしい。カッテナさんは全身を『反発』で覆っているはずだ。それなのに隙がある。と言う事は、カッテナさんの『反発』の利用方法に何かしら欠陥があると考えるのが妥当か。………ま、俺には分からないし、ガドガンさんがこの勝負の間に、その隙に気付くかも分からないけど。
そのガドガンさんだが、爆弾紙飛行機も紙の地雷もカッテナさんの『反発』相手では通用しないと分かってしまった。これは分が悪いと感じ取ったのか、ガドガンさんはユニコーンに乗って矢を躱している。
そのユニコーンは意外と素早かった。ユニコーンとは言っても見た目はピンクのサイである。それがあのずんぐりむっくりした体型で、素早く右へ左へ方向転換するのだから不思議な感じだ。軽やかにカッテナさんの矢を躱すユニコーンは、明らかにレベルが高いと分かる動きをしていた。もしかしたらガドガンよりもレベルが高井のかも知れない。何せ代々ガドガン家に使役される薬獣らしいからなあ。少なくともガドガンさんよりは戦闘に慣れていそうだ。
そのユニコーンだが、更に直進となると、ピンクの汗が推進剤となって爆発を起こし、炎に包まれて突進してくるのだ。流石のカッテナさんも思わず寸前で避けている。? 何で避けているんだ? 『反発』で跳ね返せば良いのに。出来ないのか? いや、ユニコーンの攻撃が爆弾紙飛行機よりも強力な攻撃って事か。だって爆弾紙飛行機の素となる汗を推進剤に使っているんだからな。だが違っていた。
「やはりユニコーンの攻撃は、避けざるを得ないようだね」
とこぼすミカリー卿の言葉に武田さんが首肯する。
「どう言う意味ですか?」
思わず尋ねると、
「ユニコーンの角は特殊な薬の素材だ。反魔法で魔法やスキルを無効化出来るんだよ。もちろんギフトも例外じゃない」
と武田さんから返ってきた。
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