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ガチャ結果(後編)
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さて、プレイヤースキルの方はどうだろうか? とステータス画面を切り替えれば、そこにはずらりと沢山のプレイヤースキルが列挙されていた。どう言う事?
「また何かあったのか?」
とゼラン仙者筆頭に皆が呆れている。
「ああ、いえ、今度は大丈夫です」
言って俺はステータス画面に向き直る。大丈夫なのだ。ちらりと見たプレイヤースキルの画面の最初の方に、『お遊戯』とか『童謡』とか『小学国語』とか『小学算数』なんてのが並んでいるのが目に入ったから。成程、あれらもプレイヤースキルに入るのか。
となると、数々あるプレイヤースキルの中でも、下の方だな。と俺は画面をスクロールする。途中で『秘匿』やら『交渉』なんてプレイヤースキルが出現して、こんなの覚えただろうか? と首をひねったが、その後に『共感覚』と『武術操体』があったので、それ以前、桂木関連で覚えたのだと分かった。ちょっとだけ気分が下がった。
んで、画面の一番下、『有頂天』の更に下に、二つのプレイヤースキルが存在した。『ゼイラン流海賊剣術』と『五閘拳・重拳』だ。どっちも知らない。俺はこの二つを鑑定して、更に情報を読み取る。
『ゼイラン流海賊剣術』:アロッパ海で暴れ回った海賊ゼイランの生み出した剣術。
『五閘拳・重拳』:数ある五閘拳の型のうち、重力を扱う型。
ふむ。どちらも武術であるらしい。しかしゼランではなくゼイランねえ。誰?
『我の前の持ち主だ』
とアニンが教えてくれた。ああ! そうか! なんか聞いた事あるなあ。と思ったんだよ!
『本当か?』
あはは。じゃあアロッパ海は最初の内海か。あの頃は『記録』持っていなかったから、記憶がところどころ曖昧なんだよねえ。
なら、この『ゼイラン流海賊剣術』って、アニンを扱う為の剣術って事?
『そうなるな。あやつは元々ベルム島……ヌーサンス島に代々伝わる剣術の使い手だったが、我を手に入れた事で、その技は他を寄せ付けぬものとなったからな』
へえ、強そうだけど、いきなり使いこなせるか分からないなあ。俺は首を傾げる。
となると、この『五閘拳・重拳』って言うのもアニンが関係しているの?
『いや、全く知らん』
ええ? まあ、ガチャだし、全く関係ないプレイヤースキルも手に入るか。
「ハルアキよ」
そこにゼラン仙者が声を掛けてきた。
「自分の能力は把握出来たか?」
半眼で心底呆れているのが見て取れる。他の皆もだ。
「悪いがこちらもやる事があるのだ。『有頂天』を覚える事は出来たが、すぐに使いこなせるものでもない。こやつらもお前の百面相に長々付き合ってもいられないのだ」
あはは。ですよねえ。
「いや、プレイヤースキルに『五閘拳・重拳』って言うのが追加されていたんですけど、重力を扱う武術? って事くらいしか分からなくって」
これは『鑑定(低)』で鑑定の精度が低いからかなあ?
「重拳を覚えたのか。俺使えるぞ」
そう言ってきたのはゴウマオさんだ。俺より背の低い女性拳士のゴウマオさん。彼女が使うと言う事は、剣なんかの得物は使わない武術なんだろう。
「そうなんですね。良ければですけど、手ほどきなんてして貰うのは、虫が良過ぎますかね?」
「何でだよ? 良いよ、手ほどきくらい。いや、ここはトホウ山なんだし、俺よりあの人に……」
と思案するゴウマオさん。どうやらゴウマオさんの他にうってつけの人物がいるらしい。まあ、誰であれ、武術を習えるのはありがたい。俺はここまで武術を習わずに来てしまったからな。我流の体術では限界だと思っていたんだよねえ。
重拳がどのような武術か分からないが、備考欄には重力を扱うと表記されている。何か魔導具が必要になるはずだ。
「必要な魔導具って持っています?」
重力を扱うとなると高価かも知れないが、今の俺なら買えるだろう。そう思ったら、ゴウマオさんに首を左右に振られてしまった。
「必要ない」
「いや、ただで貰うなんて悪いですし、お金払いますよ。それとも何か特殊な材料が必要で、それを持ってくるのが条件とか?」
確かにそれだとすぐには用意出来ないから、借りるのがベターか。でもそれだと後々困るな。俺は三月一日にはバヨネッタさんと合流する事になっている。今は良くても、あと数日で手に入るものだろうか?
「そうじゃない。重拳に魔導具は必要ないと言ったんだ」
「魔導具が必要ない? 重力を扱うのに? スキルじゃなくてプレイヤースキルですよ? 魔法じゃなくて技術や技能の類ですよ?」
「そもそも五閘拳はどの型も魔導具は必要としないのよ」
とサブさんがゴウマオさんに助け舟を出した。まあ、拳法と考えると、魔導具を必要としないのは普通か。
「五閘拳と言うのは、人体の坩堝を開いてその魔力を操り、様々な技を繰り出す拳法なのよ」
成程。魔法を扱うには、ギフト、スキル、魔導具のいずれかが必要だとバヨネッタさんに教わっていたから、まさか第四の方法があるとは思っていなかった。
「でも、そうなると修得は難しそうですね」
「ハルアキは坩堝を開いているんだ。五閘拳を修得する資格は持っている。それに一つの型だけなら、そんなに時間は掛からないだろう」
とはゴウマオさんの言。それは……そうなのか?
『それに既にプレイヤースキルの欄に記載されているのだ。扱えると言う事なんじゃないか?』
アニンの言葉に納得する。
「分かりました。ご教示お願いします」
俺が頭を下げると、ゴウマオさんがちらりとゼラン仙者に視線を向ける。
「全員の面倒を見るのも骨が折れる。お前たちは今日は重拳に充てるが良い」
「分かりました。と言う事だ、ハルアキ。まあ、教えるのは俺じゃなくなるだろうが」
そう言えばそんな話になっていたな。
「諸々話は終わったな? 移動するぞ。ああ、あいつも呼ばねばならんのか」
とゼラン仙者を先頭に、ぞろぞろと皆が部屋を出ていく。俺は遅れを取らないように、ベッドから立ち上がると、皆の後を追った。
え? 他のガチャの結果? 魔石が四つとベナ草が『空間庫』の中に入っていたよ。ガチャの結果としては良かったんじゃないかな?
「また何かあったのか?」
とゼラン仙者筆頭に皆が呆れている。
「ああ、いえ、今度は大丈夫です」
言って俺はステータス画面に向き直る。大丈夫なのだ。ちらりと見たプレイヤースキルの画面の最初の方に、『お遊戯』とか『童謡』とか『小学国語』とか『小学算数』なんてのが並んでいるのが目に入ったから。成程、あれらもプレイヤースキルに入るのか。
となると、数々あるプレイヤースキルの中でも、下の方だな。と俺は画面をスクロールする。途中で『秘匿』やら『交渉』なんてプレイヤースキルが出現して、こんなの覚えただろうか? と首をひねったが、その後に『共感覚』と『武術操体』があったので、それ以前、桂木関連で覚えたのだと分かった。ちょっとだけ気分が下がった。
んで、画面の一番下、『有頂天』の更に下に、二つのプレイヤースキルが存在した。『ゼイラン流海賊剣術』と『五閘拳・重拳』だ。どっちも知らない。俺はこの二つを鑑定して、更に情報を読み取る。
『ゼイラン流海賊剣術』:アロッパ海で暴れ回った海賊ゼイランの生み出した剣術。
『五閘拳・重拳』:数ある五閘拳の型のうち、重力を扱う型。
ふむ。どちらも武術であるらしい。しかしゼランではなくゼイランねえ。誰?
『我の前の持ち主だ』
とアニンが教えてくれた。ああ! そうか! なんか聞いた事あるなあ。と思ったんだよ!
『本当か?』
あはは。じゃあアロッパ海は最初の内海か。あの頃は『記録』持っていなかったから、記憶がところどころ曖昧なんだよねえ。
なら、この『ゼイラン流海賊剣術』って、アニンを扱う為の剣術って事?
『そうなるな。あやつは元々ベルム島……ヌーサンス島に代々伝わる剣術の使い手だったが、我を手に入れた事で、その技は他を寄せ付けぬものとなったからな』
へえ、強そうだけど、いきなり使いこなせるか分からないなあ。俺は首を傾げる。
となると、この『五閘拳・重拳』って言うのもアニンが関係しているの?
『いや、全く知らん』
ええ? まあ、ガチャだし、全く関係ないプレイヤースキルも手に入るか。
「ハルアキよ」
そこにゼラン仙者が声を掛けてきた。
「自分の能力は把握出来たか?」
半眼で心底呆れているのが見て取れる。他の皆もだ。
「悪いがこちらもやる事があるのだ。『有頂天』を覚える事は出来たが、すぐに使いこなせるものでもない。こやつらもお前の百面相に長々付き合ってもいられないのだ」
あはは。ですよねえ。
「いや、プレイヤースキルに『五閘拳・重拳』って言うのが追加されていたんですけど、重力を扱う武術? って事くらいしか分からなくって」
これは『鑑定(低)』で鑑定の精度が低いからかなあ?
「重拳を覚えたのか。俺使えるぞ」
そう言ってきたのはゴウマオさんだ。俺より背の低い女性拳士のゴウマオさん。彼女が使うと言う事は、剣なんかの得物は使わない武術なんだろう。
「そうなんですね。良ければですけど、手ほどきなんてして貰うのは、虫が良過ぎますかね?」
「何でだよ? 良いよ、手ほどきくらい。いや、ここはトホウ山なんだし、俺よりあの人に……」
と思案するゴウマオさん。どうやらゴウマオさんの他にうってつけの人物がいるらしい。まあ、誰であれ、武術を習えるのはありがたい。俺はここまで武術を習わずに来てしまったからな。我流の体術では限界だと思っていたんだよねえ。
重拳がどのような武術か分からないが、備考欄には重力を扱うと表記されている。何か魔導具が必要になるはずだ。
「必要な魔導具って持っています?」
重力を扱うとなると高価かも知れないが、今の俺なら買えるだろう。そう思ったら、ゴウマオさんに首を左右に振られてしまった。
「必要ない」
「いや、ただで貰うなんて悪いですし、お金払いますよ。それとも何か特殊な材料が必要で、それを持ってくるのが条件とか?」
確かにそれだとすぐには用意出来ないから、借りるのがベターか。でもそれだと後々困るな。俺は三月一日にはバヨネッタさんと合流する事になっている。今は良くても、あと数日で手に入るものだろうか?
「そうじゃない。重拳に魔導具は必要ないと言ったんだ」
「魔導具が必要ない? 重力を扱うのに? スキルじゃなくてプレイヤースキルですよ? 魔法じゃなくて技術や技能の類ですよ?」
「そもそも五閘拳はどの型も魔導具は必要としないのよ」
とサブさんがゴウマオさんに助け舟を出した。まあ、拳法と考えると、魔導具を必要としないのは普通か。
「五閘拳と言うのは、人体の坩堝を開いてその魔力を操り、様々な技を繰り出す拳法なのよ」
成程。魔法を扱うには、ギフト、スキル、魔導具のいずれかが必要だとバヨネッタさんに教わっていたから、まさか第四の方法があるとは思っていなかった。
「でも、そうなると修得は難しそうですね」
「ハルアキは坩堝を開いているんだ。五閘拳を修得する資格は持っている。それに一つの型だけなら、そんなに時間は掛からないだろう」
とはゴウマオさんの言。それは……そうなのか?
『それに既にプレイヤースキルの欄に記載されているのだ。扱えると言う事なんじゃないか?』
アニンの言葉に納得する。
「分かりました。ご教示お願いします」
俺が頭を下げると、ゴウマオさんがちらりとゼラン仙者に視線を向ける。
「全員の面倒を見るのも骨が折れる。お前たちは今日は重拳に充てるが良い」
「分かりました。と言う事だ、ハルアキ。まあ、教えるのは俺じゃなくなるだろうが」
そう言えばそんな話になっていたな。
「諸々話は終わったな? 移動するぞ。ああ、あいつも呼ばねばならんのか」
とゼラン仙者を先頭に、ぞろぞろと皆が部屋を出ていく。俺は遅れを取らないように、ベッドから立ち上がると、皆の後を追った。
え? 他のガチャの結果? 魔石が四つとベナ草が『空間庫』の中に入っていたよ。ガチャの結果としては良かったんじゃないかな?
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