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「ねえ! ちょっと待ってえ!」
兵士の後に従って、バヨネッタさんと俺が碧天城の外へと歩いていると、こちらに向かって掛けられる声。振り返ると、サブさんとゴウマオさんだ。二人は走ってこちらを追い掛けてくる。
「どうかしたんですか?」
こちらに追い付いた二人に話し掛けると、呆れた顔をされた。
「どうかしたですって? 本当に二人して我が道を征くわね」
解せぬ。バヨネッタさんはそうかも知れないが、俺は巻き込まれただけだ。
「そこの魔女さんが場を荒らしてくれたものだから、空気が悪いったらないわよ」
悪態を吐くサブさん。それは申し訳ない。が、それはラズゥさんのお兄さんに言うべきではないだろうか?
「言いたい事は分かるわ。デイネンってエリート意識高いから」
どうやらラズゥさんのお兄さんはデイネンと言う名前らしい。
「どうなんです? あの態度。東の大陸では一番の大国だからかも知れませんけど、他国の使節に対する態度とは思えなかったのですが」
「面目次第もない」
二人に頭を下げられてもなあ。
「それで? いたたまれなくなって出てきたんですか?」
「俺はそうだ」
ドワヴのように小さな女性のゴウマオさんが胸を張る。何だか微笑ましい。
「私はお郷里に用が出来たからよ」
「お郷里にですか?」
「そこの魔女さんが、ヤマタノオロチを退治してしまったでしょう? お陰でこちらで用意しているお酒が無駄になってしまうから」
ああ。そうか、サブさんは代々の庄屋の息子だものなあ。今回のヤマタノオロチ退治の為に、酒を用意する役目を負っていたのか。と言うか、米酒なんだ。
「お上は酒を用意しろ。と簡単に言ってくれたけれど、その為にはお酒用の米の作付面積を増やすところから始めないといけないのよ。一年がかりでようやくお酒が用意出来るところに来て、これだもの、ウチだけでなく、パジャンの酒蔵は在庫を大量に抱える事になって大変よ」
うわあ、大変だなあ。こっちの世界には『空間庫』があるとは言え、それでも無限に収納出来る訳じゃないからなあ。商会を経営するようになって分かるが、在庫を抱えると言うのは大変な事なのだ。
それが一年後二年後と価値が上がる代物ならともかく、日々新作や改良品が出てくる世では、価値が下がり、抱えているだけで倉庫を圧迫していく。在庫は出来るだけ早期に売り払ってしまいたい。経営とは、在庫を右から左へと転がす事で利益を得るのだ。在庫を抱えていてはその回転率が下がるだけだ。百害あって一利なし。
「つまり、ヤマタノオロチを退治した私が悪いと?」
半眼を向けるバヨネッタさんに、サブさんは首を左右に振る。
「そうは言わないわよ。勇者のパーティの一員としてみれば、あの階層の攻略に苦労していたのは事実だし。魔王軍の侵攻が本格化してきている今、あそこで足踏みしている場合じゃないもの。早く地下百階を攻略して、国に大々的に勇者として認めて貰わないと」
勇者のパーティとしての顔と、庄屋の息子としての顔。サブさんも板挟みで大変だ。
「それで? 二人はこれからどこに向かうつもりなのかしら?」
とこちらの顔を覗き込んでくるサブさん。
「トホウ山に行くつもりよ」
バヨネッタさんは即答した。目的地があったんだ。
「トホウ山……。ゼラン仙者に会いに行くつもりか」
ゴウマオさんの言葉に首肯するバヨネッタさん。ゼラン仙者? どこかで聞いた名だ。
「ええ。あの外道仙者に会いに行ってみようと思ってね」
ああ! シンヤにキュリエリーヴを渡した外道仙者か。確か東の大陸中の財宝をかき集めているとか。成程、バヨネッタさんなら行ってみたいと思うのも当然か。
「面白いな。俺も行こう」
え? ゴウマオさんも来るつもりなの?
「あそこなら美味い飯も食えるし、俺が案内してやるよ」
俺はバヨネッタさんの方を見遣る。腕を組んでゴウマオさんを上から下へと値踏みしている。
「まあ良いでしょう。案内役にはなるでしょう」
とバヨネッタさんのお許しが出たので、どうやらこの三人でゼラン仙者の住むトホウ山に向かう事になりそうだ。
「じゃあ私一人で里帰りか」
「すまないなサブ」
「良いわよ別に」
どうやらゴウマオさんは先にサブさんと同行する約束をしていたようだ。
「そうだ、サブさん」
「ん?」
俺の声掛けに、小首を傾げて振り向くサブさん。う~ん、大男にそんな事をされても、別にときめかないな。
「お酒、もしかしたからウチの商会が買い付けるかも知れません」
「え!? 本当に!?」
一気に目を輝かせるサブさん。
「ええ。全てとはいかないでしょうけど」
「全部とは言わないわ! ちょっとでも在庫がはければ万々歳だもの!」
嬉しそうだなあ。実際のところ、エルルランドのお酒は庶民には高過ぎるのだ。オルドランドからもいくらか酒類を輸入しているが、全国的に行き渡っていないのが現状だ。そこにきてのパジャンの不良在庫のお酒。しかも日本人が好きな米酒とくれば、味はいまいちだとしても売れる事は間違いないだろう。
「今後、味の向上が望めるなら、定期的な買い付けも視野に入れるつもりです」
「良いわね! 今回はヤマタノオロチ退治の為に、味より量って感じだったから、味の向上には期待してくれて結構よ!」
うむ。酒の味は分からないけど、これならサブさんのところとは、今後も良いお付き合いをしていける気がする。
「話がまとまったのなら行くわよ」
「は~い」
俺たちは、一路トホウ山へと向かう。
兵士の後に従って、バヨネッタさんと俺が碧天城の外へと歩いていると、こちらに向かって掛けられる声。振り返ると、サブさんとゴウマオさんだ。二人は走ってこちらを追い掛けてくる。
「どうかしたんですか?」
こちらに追い付いた二人に話し掛けると、呆れた顔をされた。
「どうかしたですって? 本当に二人して我が道を征くわね」
解せぬ。バヨネッタさんはそうかも知れないが、俺は巻き込まれただけだ。
「そこの魔女さんが場を荒らしてくれたものだから、空気が悪いったらないわよ」
悪態を吐くサブさん。それは申し訳ない。が、それはラズゥさんのお兄さんに言うべきではないだろうか?
「言いたい事は分かるわ。デイネンってエリート意識高いから」
どうやらラズゥさんのお兄さんはデイネンと言う名前らしい。
「どうなんです? あの態度。東の大陸では一番の大国だからかも知れませんけど、他国の使節に対する態度とは思えなかったのですが」
「面目次第もない」
二人に頭を下げられてもなあ。
「それで? いたたまれなくなって出てきたんですか?」
「俺はそうだ」
ドワヴのように小さな女性のゴウマオさんが胸を張る。何だか微笑ましい。
「私はお郷里に用が出来たからよ」
「お郷里にですか?」
「そこの魔女さんが、ヤマタノオロチを退治してしまったでしょう? お陰でこちらで用意しているお酒が無駄になってしまうから」
ああ。そうか、サブさんは代々の庄屋の息子だものなあ。今回のヤマタノオロチ退治の為に、酒を用意する役目を負っていたのか。と言うか、米酒なんだ。
「お上は酒を用意しろ。と簡単に言ってくれたけれど、その為にはお酒用の米の作付面積を増やすところから始めないといけないのよ。一年がかりでようやくお酒が用意出来るところに来て、これだもの、ウチだけでなく、パジャンの酒蔵は在庫を大量に抱える事になって大変よ」
うわあ、大変だなあ。こっちの世界には『空間庫』があるとは言え、それでも無限に収納出来る訳じゃないからなあ。商会を経営するようになって分かるが、在庫を抱えると言うのは大変な事なのだ。
それが一年後二年後と価値が上がる代物ならともかく、日々新作や改良品が出てくる世では、価値が下がり、抱えているだけで倉庫を圧迫していく。在庫は出来るだけ早期に売り払ってしまいたい。経営とは、在庫を右から左へと転がす事で利益を得るのだ。在庫を抱えていてはその回転率が下がるだけだ。百害あって一利なし。
「つまり、ヤマタノオロチを退治した私が悪いと?」
半眼を向けるバヨネッタさんに、サブさんは首を左右に振る。
「そうは言わないわよ。勇者のパーティの一員としてみれば、あの階層の攻略に苦労していたのは事実だし。魔王軍の侵攻が本格化してきている今、あそこで足踏みしている場合じゃないもの。早く地下百階を攻略して、国に大々的に勇者として認めて貰わないと」
勇者のパーティとしての顔と、庄屋の息子としての顔。サブさんも板挟みで大変だ。
「それで? 二人はこれからどこに向かうつもりなのかしら?」
とこちらの顔を覗き込んでくるサブさん。
「トホウ山に行くつもりよ」
バヨネッタさんは即答した。目的地があったんだ。
「トホウ山……。ゼラン仙者に会いに行くつもりか」
ゴウマオさんの言葉に首肯するバヨネッタさん。ゼラン仙者? どこかで聞いた名だ。
「ええ。あの外道仙者に会いに行ってみようと思ってね」
ああ! シンヤにキュリエリーヴを渡した外道仙者か。確か東の大陸中の財宝をかき集めているとか。成程、バヨネッタさんなら行ってみたいと思うのも当然か。
「面白いな。俺も行こう」
え? ゴウマオさんも来るつもりなの?
「あそこなら美味い飯も食えるし、俺が案内してやるよ」
俺はバヨネッタさんの方を見遣る。腕を組んでゴウマオさんを上から下へと値踏みしている。
「まあ良いでしょう。案内役にはなるでしょう」
とバヨネッタさんのお許しが出たので、どうやらこの三人でゼラン仙者の住むトホウ山に向かう事になりそうだ。
「じゃあ私一人で里帰りか」
「すまないなサブ」
「良いわよ別に」
どうやらゴウマオさんは先にサブさんと同行する約束をしていたようだ。
「そうだ、サブさん」
「ん?」
俺の声掛けに、小首を傾げて振り向くサブさん。う~ん、大男にそんな事をされても、別にときめかないな。
「お酒、もしかしたからウチの商会が買い付けるかも知れません」
「え!? 本当に!?」
一気に目を輝かせるサブさん。
「ええ。全てとはいかないでしょうけど」
「全部とは言わないわ! ちょっとでも在庫がはければ万々歳だもの!」
嬉しそうだなあ。実際のところ、エルルランドのお酒は庶民には高過ぎるのだ。オルドランドからもいくらか酒類を輸入しているが、全国的に行き渡っていないのが現状だ。そこにきてのパジャンの不良在庫のお酒。しかも日本人が好きな米酒とくれば、味はいまいちだとしても売れる事は間違いないだろう。
「今後、味の向上が望めるなら、定期的な買い付けも視野に入れるつもりです」
「良いわね! 今回はヤマタノオロチ退治の為に、味より量って感じだったから、味の向上には期待してくれて結構よ!」
うむ。酒の味は分からないけど、これならサブさんのところとは、今後も良いお付き合いをしていける気がする。
「話がまとまったのなら行くわよ」
「は~い」
俺たちは、一路トホウ山へと向かう。
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