159 / 642
趣味趣向
しおりを挟む
「遊ぶって、何するんだよ?」
トランプでもするのだろうか? それならジョンポチ陛下たちでも出来る。城で遊んだからな。なんて思っていたのだが、部屋まで行ってカナが持ってきたのは、一抱えあるダンボールだった。
「これよ!」
リビングのテーブルにダンボールをドンッと置くカナ。中を覗けば、ギアやらモーターやらバッテリーやら、赤外線センサーに駆動回路盤が、ごっちゃりどっさりだ。
「何でロボットなんだよ?」
カナに理由を尋ねてはいるが、理由は知っている。カナが中学でロボット部に入っているからだ。
「何で? も何も、皆ロボット好きでしょ?」
当然のように言うんじゃない。
「ロボット?」
食い付いたのはジョンポチ陛下やディアンチュー嬢じゃなく、オルさんだった。まあ、研究者としては、未知の代物を見ればテンション上がるよね。
「はい。ここにロボットのパーツがあるので、適当に組み立ててくれれば、動きますよ!」
とカナの言葉を俺が訳す。
「へえ、動くのかい? それは面白そうだねえ」
言ってオルさんは缶ビールを一口飲むと、手に缶ビールを持ったままリビングまでやって来た。完全に酔っているなオルさん。
「ふむ? どうすれば良いのやら、さっぱり分からないなあ」
と缶ビールをテーブルに置いて、オルさんはロボットのパーツを前に腕組みをする。
「あ、私が作ったロボット見ます?」
「手本があるのかい? それは是非見たいねえ」
オルさんに請われたカナは、またもや自室にロボットを取りに行き、すぐに戻ってきた。手に持っていたのは二足歩行ロボットだ。
「ふむ。それがロボット? と言うやつかい?」
「ええ。見ててください」
とカナはロボットのスイッチを入れテーブルに置き、タブレットで指示を出す。するとロボットが前進しだした。それだけで異世界集団から「おおっ」と声が上がる。そしてテーブルの上のロボットは、テーブルの上をぐるりと一周してみせた。
「凄いな。そのタブレットで操作しているのかい?」
と尋ねるオルさんに、
「いえ、最初に動くように指示を出しただけで、あとはこのロボットが勝手に動いて、テーブルを一周したんです。そうプログラミングしてありますから」
「プログラミング?」
尋ねるオルさんにカナが首肯し、タブレットをオルさんに見せる。
「これってピクト?」
タブレットの画面を見て、尋ねたのは俺だ。
「そうだよう」
とカナは首肯する。ピクトと言うのは、元は小中学生向けのプログラミング教育アプリだった。プログラミングと言うと、難しいプログラミング言語を覚える必要があるが、このピクトでは、それが絵文字で表示され、それらを組み合わせる事でプログラムとして、ロボットやらゲームを起動させるのである。
このピクト、元は小中学生向けだったのだが、プログラミングを感覚的に捉える面白さから、大人にもファンを獲得し、ピクトでプログラミングしたゲームやロボットなどの世界大会が開かれる程に盛況だ。
「まあ確かに、ピクトなら絵でどんな指示なのか分かるから、子供でも遊べるか」
「そう言う事」
得意そうに手を腰に当てて答えるカナ。なんかちょっと腹が立つなあ。
だがまあ、ピクトはジョンポチ陛下の心を掴んだらしく、カナの組み立てたロボットを、自分で組んだプログラムで動かそうと頑張っていた。
「ああ、それだと右足一歩しか動かないのよ。だから『左足一歩』と組み合わせて、それを『繰り返す』で囲ってあげるの。そうすれば繰り返し右左と歩くから。お兄ちゃん、ジョンポチくんに説明してあげて」
それは良いけど、素性を知らないとは言え、陛下を『くん』付けで呼ぶ妹に、お兄ちゃん冷や冷やだよ。
俺がジョンポチ陛下に色々説明している間、オルさんは集中してロボットを組み立てていた。そしてたまに「このパーツは何に使うんだい?」と尋ねてくる。
オルさんやジョンポチ陛下とは対照的に、バヨネッタさんとディアンチュー嬢はそれをつまらなそうに見ていた。
「何かテレビ見ますか?」
「そうねえ」
俺が尋ねてテレビリモコンを渡すと、それを受け取ったバヨネッタさんが、カチカチとテレビのチャンネルを変えていく。
「これってどれぐらいのものが観られるの?」
とバヨネッタさんに尋ねられるが、返答に困る。昔は少ない番組数だったようだが、今はテレビはインターネットと繋がっているのが普通で、動画配信サービスのお陰で、昔のテレビ番組から最新の番組まで何でも観られるからだ。
「人間だと、一生かけても観きれないくらいですね」
「そんなに!?」
バヨネッタさんだけでなく、それを聞いていたディアンチュー嬢やソダル翁まで驚いていた。
「何か、これが観たいと言ってくれれば、それを検索して観せられますよ」
俺の言葉に思案した三人は、
「魔法」とバヨネッタさん。
「お化粧」とディアンチュー嬢。
「戦闘」とソダル翁が口にした。
そのキーワードから検索かけて出てきたのが、変身して戦う魔法少女アニメだった事は言うまでもない。「おお!!」と盛り上がったので問題はなさそうだったが。
バヨネッタさんは「成程、こう言う魔法もアリね」と感心し、ディアンチュー嬢は化粧をして変身する魔法少女たちに目を輝かせ、ソダル翁は「この戦闘、相当デキる者の動きだな」と考察していた。言葉が分からなくても、日本のアニメは通用するらしい。
一方のオルさんとジョンポチ陛下の熱中っぷりも相当なもので、七町さんがマイクロバスで迎えにきても、帰りたがらなかった程だ。結果ジョンポチ陛下の為に七町さんがカナからロボットとタブレットを買い取り、オルさんに至っては、ビールを飲みながらロボットをいじっていた事もあって、眠ってしまったので、このままうちに泊まっていく事になったのだった。
トランプでもするのだろうか? それならジョンポチ陛下たちでも出来る。城で遊んだからな。なんて思っていたのだが、部屋まで行ってカナが持ってきたのは、一抱えあるダンボールだった。
「これよ!」
リビングのテーブルにダンボールをドンッと置くカナ。中を覗けば、ギアやらモーターやらバッテリーやら、赤外線センサーに駆動回路盤が、ごっちゃりどっさりだ。
「何でロボットなんだよ?」
カナに理由を尋ねてはいるが、理由は知っている。カナが中学でロボット部に入っているからだ。
「何で? も何も、皆ロボット好きでしょ?」
当然のように言うんじゃない。
「ロボット?」
食い付いたのはジョンポチ陛下やディアンチュー嬢じゃなく、オルさんだった。まあ、研究者としては、未知の代物を見ればテンション上がるよね。
「はい。ここにロボットのパーツがあるので、適当に組み立ててくれれば、動きますよ!」
とカナの言葉を俺が訳す。
「へえ、動くのかい? それは面白そうだねえ」
言ってオルさんは缶ビールを一口飲むと、手に缶ビールを持ったままリビングまでやって来た。完全に酔っているなオルさん。
「ふむ? どうすれば良いのやら、さっぱり分からないなあ」
と缶ビールをテーブルに置いて、オルさんはロボットのパーツを前に腕組みをする。
「あ、私が作ったロボット見ます?」
「手本があるのかい? それは是非見たいねえ」
オルさんに請われたカナは、またもや自室にロボットを取りに行き、すぐに戻ってきた。手に持っていたのは二足歩行ロボットだ。
「ふむ。それがロボット? と言うやつかい?」
「ええ。見ててください」
とカナはロボットのスイッチを入れテーブルに置き、タブレットで指示を出す。するとロボットが前進しだした。それだけで異世界集団から「おおっ」と声が上がる。そしてテーブルの上のロボットは、テーブルの上をぐるりと一周してみせた。
「凄いな。そのタブレットで操作しているのかい?」
と尋ねるオルさんに、
「いえ、最初に動くように指示を出しただけで、あとはこのロボットが勝手に動いて、テーブルを一周したんです。そうプログラミングしてありますから」
「プログラミング?」
尋ねるオルさんにカナが首肯し、タブレットをオルさんに見せる。
「これってピクト?」
タブレットの画面を見て、尋ねたのは俺だ。
「そうだよう」
とカナは首肯する。ピクトと言うのは、元は小中学生向けのプログラミング教育アプリだった。プログラミングと言うと、難しいプログラミング言語を覚える必要があるが、このピクトでは、それが絵文字で表示され、それらを組み合わせる事でプログラムとして、ロボットやらゲームを起動させるのである。
このピクト、元は小中学生向けだったのだが、プログラミングを感覚的に捉える面白さから、大人にもファンを獲得し、ピクトでプログラミングしたゲームやロボットなどの世界大会が開かれる程に盛況だ。
「まあ確かに、ピクトなら絵でどんな指示なのか分かるから、子供でも遊べるか」
「そう言う事」
得意そうに手を腰に当てて答えるカナ。なんかちょっと腹が立つなあ。
だがまあ、ピクトはジョンポチ陛下の心を掴んだらしく、カナの組み立てたロボットを、自分で組んだプログラムで動かそうと頑張っていた。
「ああ、それだと右足一歩しか動かないのよ。だから『左足一歩』と組み合わせて、それを『繰り返す』で囲ってあげるの。そうすれば繰り返し右左と歩くから。お兄ちゃん、ジョンポチくんに説明してあげて」
それは良いけど、素性を知らないとは言え、陛下を『くん』付けで呼ぶ妹に、お兄ちゃん冷や冷やだよ。
俺がジョンポチ陛下に色々説明している間、オルさんは集中してロボットを組み立てていた。そしてたまに「このパーツは何に使うんだい?」と尋ねてくる。
オルさんやジョンポチ陛下とは対照的に、バヨネッタさんとディアンチュー嬢はそれをつまらなそうに見ていた。
「何かテレビ見ますか?」
「そうねえ」
俺が尋ねてテレビリモコンを渡すと、それを受け取ったバヨネッタさんが、カチカチとテレビのチャンネルを変えていく。
「これってどれぐらいのものが観られるの?」
とバヨネッタさんに尋ねられるが、返答に困る。昔は少ない番組数だったようだが、今はテレビはインターネットと繋がっているのが普通で、動画配信サービスのお陰で、昔のテレビ番組から最新の番組まで何でも観られるからだ。
「人間だと、一生かけても観きれないくらいですね」
「そんなに!?」
バヨネッタさんだけでなく、それを聞いていたディアンチュー嬢やソダル翁まで驚いていた。
「何か、これが観たいと言ってくれれば、それを検索して観せられますよ」
俺の言葉に思案した三人は、
「魔法」とバヨネッタさん。
「お化粧」とディアンチュー嬢。
「戦闘」とソダル翁が口にした。
そのキーワードから検索かけて出てきたのが、変身して戦う魔法少女アニメだった事は言うまでもない。「おお!!」と盛り上がったので問題はなさそうだったが。
バヨネッタさんは「成程、こう言う魔法もアリね」と感心し、ディアンチュー嬢は化粧をして変身する魔法少女たちに目を輝かせ、ソダル翁は「この戦闘、相当デキる者の動きだな」と考察していた。言葉が分からなくても、日本のアニメは通用するらしい。
一方のオルさんとジョンポチ陛下の熱中っぷりも相当なもので、七町さんがマイクロバスで迎えにきても、帰りたがらなかった程だ。結果ジョンポチ陛下の為に七町さんがカナからロボットとタブレットを買い取り、オルさんに至っては、ビールを飲みながらロボットをいじっていた事もあって、眠ってしまったので、このままうちに泊まっていく事になったのだった。
1
お気に入りに追加
330
あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

天才ピアニストでヴァイオリニストの二刀流の俺が死んだと思ったら異世界に飛ばされたので,世界最高の音楽を異世界で奏でてみた結果
yuraaaaaaa
ファンタジー
国際ショパンコンクール日本人初優勝。若手ピアニストの頂点に立った斎藤奏。世界中でリサイタルに呼ばれ,ワールドツアーの移動中の飛行機で突如事故に遭い墜落し死亡した。はずだった。目覚めるとそこは知らない場所で知らない土地だった。夢なのか? 現実なのか? 右手には相棒のヴァイオリンケースとヴァイオリンが……
知らない生物に追いかけられ見たこともない人に助けられた。命の恩人達に俺はお礼として音楽を奏でた。この世界では俺が奏でる楽器も音楽も知らないようだった。俺の音楽に引き寄せられ現れたのは伝説の生物黒竜。俺は突然黒竜と契約を交わす事に。黒竜と行動を共にし,街へと到着する。
街のとある酒場の端っこになんと,ピアノを見つける。聞くと伝説の冒険者が残した遺物だという。俺はピアノの存在を知らない世界でピアノを演奏をする。久々に弾いたピアノの音に俺は魂が震えた。異世界✖クラシック音楽という異色の冒険物語が今始まる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この作品は,小説家になろう,カクヨムにも掲載しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる