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早朝に起こされて身支度に四時間もかかって
ホーフブルク宮殿に向かって出発。
馬車の前には貴族の娘さんが花を撒き散らしていたけどSDGs的に怒られないかしら?
そういえば馬車から降りたときに王冠をエリザベートひっかけて落としたんだかよろけたんだかしてゾフィー皇太后に睨まれたはずよ、気をつけなくちゃ。
私は愛想よくみんなに手を振る。
すると至るところから

「エリザベート万歳」

という声が聞こえてくる。
皇帝陛下万歳は聞こえてこないわね。
でも仕方ないわ、もちろん美貌でみんなが喜んでるわけじゃないの。
私と皇帝が結婚するから恩赦や給付金、食事やドレスまでフランツが大盤振る舞いしたからみんな私のおかげと喜んでいるわけ。
まぁ、お金は強いよね。
私も愛よりはお金選んじゃうかもしれない。
そんなこと考えているうちに着いたので気をつけて威厳たっぷりに降りて大成功。
ミサに参加してこれもみんな有難いミサより私を見に来てる感じよ、そしてまたレセプションよ。
飽きないのね、また同じことの繰り返し。
逆にありがたいわ、難しいことはないもの、言われた通りにやれば終わるからね。
午後になって婚礼の準備を急いでスタート。
ウェディングドレスは、重厚な白いシルクの生地に、
金と銀の見事な刺繍が施されていて見てるだけでうっとりしてしまうわ。
そして、花嫁には欠かせない高級な長い手編みのブラッセルレースのベールをこれまた贅沢なダイヤモンドの留め金で留めてもらった。
ギンバイカって言う微妙な花とオレンジの花の冠とゾフィー皇太后からいただいたダイヤモンドのコロネットを載せているの、だからクソ重い。
ハエがたからないといいんだけどな。
首にはこれまた重いダイヤモンドのネックレス。
胸元にはくすぐったくなる白い薔薇とテレサのバイエルンの勲章とオーストリアの星十字勲章をつけてなんだかバランスが悪く見えるけどそれぞれバイエルン王家とハプスブルグ家の貞淑な王妃のみに与えられる名誉ある勲章らしいわ。
ありがたいこととしてつけておきましょう。
結婚式はなんと夕方の7時スタート。
でも日本と違って明るいのよね、まだ6時半だし。
教会の入り口で大司教によって聖なる水(おしっこじゃないわよ)を振りかけられたわ。
アウグスティーン教会ってとこよ、天井高いし、アーチが素敵ね。
私の左にはルドヴィカママがいたけどその後、チェンバレン卿率いる宮廷の女官の後を歩いたのよ。
それから、皇帝と祈祷台の前に跪いた。
両家族と一緒に短い祈りをして高い祭壇に進み、婚姻の誓いをしたのよ。
はい、テキパキとね、だらだらやってたら終わらないもん。
そして、指輪を交換してから、手を握り締めあった。
キスはなしよ。
大司教が儀式の終わりに祝福を宣言すると、小銃による一斉射撃に音や祝砲の雷鳴で、またうるさい騒音。
晴れて私はオーストリア皇后、ハンガリー王妃エリザベートになったって訳よ。


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