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ゾフィー皇太后の独り言
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エリザベートからきた手紙は申し分なく、肖像画の出来も良いものだった。
早速飾らせると宮廷で評判となった。
一緒に送られてきた紅は香りも使い心地もよく、乾いた唇の皮も潤っていている。
とても良いのだが、心は晴れないで何かモヤモヤしたものがある、出来た嫁に嫉妬してるのかと思ったがそれも違う、言いようのない得体の知れないものに抱く怖さを感じているのだ。
ヘレーネはその点、扱いやすそうないい娘だった。
でも今、エリザベートの話を周りから聞く限り、息子は皇后に相応しい娘を選んだと思う。
美しく、賢いけどひけらかしたりはしない。
日焼け止めだって自分の知識で生み出したららしいが、家の薬剤師に考案させたことにして自分の愛用を謳い実家に潤いを与えたと聞いている。
しかも、公爵が商売人とはスキャンダルになるので上手いこと別人を立ててやらせている。
こんなことを考えつく10代の娘なんているだろうか?
ルドヴィカから聞いていた話しではおてんばな娘と聞いていたがまったく違うではないか、字の美しさや内容から滲み出る文学の教養。
ウィーン宮廷でも父親のマイナス面を補うだろう。
やはり得体が知れない。
そして息子フランツからきた手紙もモヤモヤの原因だ。
今までとは違うクリミア戦争に対する施策を送ってきた。
私としては何というべきか分からない。
一体この情報はどこから仕入れてきたのだろうか?
しかし、内容には思い当たる節もあるし、理にかなっている。
もう少し裏付けは必要だが、今まで全員で考えても思いつかなかった見事な解決策はフランツの考えではないだろう。
そうエリザベートの考えではないだろうか?
一度、私自身がエリザベートと対話した方がいいだろう。
そして騙されてみよう、フランツが考えた施策を試して、それでどうなるか見てみようじゃないの。
なんだか良く分からないけど、この賭けには価値があるような気がしている。
「フランス、ナポレオン三世との交渉を秘密裏に始めて、そしてサルディーニャにスパイを送り込んでちょうだい
カミッロ・カヴール周辺にね」
私はそう言うと今一度フランツの手紙を読み返してみる。
解けない謎ほど心を奪うものはない。
部屋に生けられた真っ赤な薔薇のように咲き誇り美しい、でもトゲが潜んでいる。
宮廷で咲き誇るには見た目の美しさだけで充分な魅力なのに、それを超えてくる甘美な香りはジャスミンにもその座を譲ることがない。
私はその香りをしっかり楽しんでまた、考えることにした。
早速飾らせると宮廷で評判となった。
一緒に送られてきた紅は香りも使い心地もよく、乾いた唇の皮も潤っていている。
とても良いのだが、心は晴れないで何かモヤモヤしたものがある、出来た嫁に嫉妬してるのかと思ったがそれも違う、言いようのない得体の知れないものに抱く怖さを感じているのだ。
ヘレーネはその点、扱いやすそうないい娘だった。
でも今、エリザベートの話を周りから聞く限り、息子は皇后に相応しい娘を選んだと思う。
美しく、賢いけどひけらかしたりはしない。
日焼け止めだって自分の知識で生み出したららしいが、家の薬剤師に考案させたことにして自分の愛用を謳い実家に潤いを与えたと聞いている。
しかも、公爵が商売人とはスキャンダルになるので上手いこと別人を立ててやらせている。
こんなことを考えつく10代の娘なんているだろうか?
ルドヴィカから聞いていた話しではおてんばな娘と聞いていたがまったく違うではないか、字の美しさや内容から滲み出る文学の教養。
ウィーン宮廷でも父親のマイナス面を補うだろう。
やはり得体が知れない。
そして息子フランツからきた手紙もモヤモヤの原因だ。
今までとは違うクリミア戦争に対する施策を送ってきた。
私としては何というべきか分からない。
一体この情報はどこから仕入れてきたのだろうか?
しかし、内容には思い当たる節もあるし、理にかなっている。
もう少し裏付けは必要だが、今まで全員で考えても思いつかなかった見事な解決策はフランツの考えではないだろう。
そうエリザベートの考えではないだろうか?
一度、私自身がエリザベートと対話した方がいいだろう。
そして騙されてみよう、フランツが考えた施策を試して、それでどうなるか見てみようじゃないの。
なんだか良く分からないけど、この賭けには価値があるような気がしている。
「フランス、ナポレオン三世との交渉を秘密裏に始めて、そしてサルディーニャにスパイを送り込んでちょうだい
カミッロ・カヴール周辺にね」
私はそう言うと今一度フランツの手紙を読み返してみる。
解けない謎ほど心を奪うものはない。
部屋に生けられた真っ赤な薔薇のように咲き誇り美しい、でもトゲが潜んでいる。
宮廷で咲き誇るには見た目の美しさだけで充分な魅力なのに、それを超えてくる甘美な香りはジャスミンにもその座を譲ることがない。
私はその香りをしっかり楽しんでまた、考えることにした。
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