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グリュンネ伯爵がお供してくださり、なかなか楽しい遠出になりました。
そして馬車で帰途に着く際には辺りは少し暗くなっていたの。

「あっ、見て!! 」

窓の外からバートイシュルの街を眺めると
蝋燭の灯りでFとEに見えるようにデザインされた光が作られていた。

「皇后としての務めを果たさないといけないわね」

「シシィ、ありがとう」

私達はそのまま教会に行き司祭に会って祝福をしていただいた。
これをもって私達の婚約は瞬く間に公式なものとして広がっていった。
でも、絶対に不幸の始まりなんかにさせないわ。
世界を救ってみせる。
私には現代のエリザベートの知識があるんですもの、なんとかなるわ。
でも、何年にどうとか、何月とかはだいぶ怪しいわ。
大丈夫かしら……いや大丈夫よね。
そんなことを考えながら集まってきた人々に握手をしたり、丁寧にお礼をいい、キリの良いところでホテルに向かう馬車に乗った。
ホテルに着くと、ヘレーネ、ルドヴィカお母さん、ゾフィー皇太后がニヤニヤしながら待ち構えていた。

「まぁまぁ仲良くて良いわね、フランツ」

「シシィ!! おかえりなさい」

お母さんズはすぐに声を掛けてきた。

「シシィと婚約したことを司教殿に祝福していただきました」

皇帝陛下は満面の笑みでそう言うとお母さんズは飛び上がるように喜んだ。

「皇后陛下、ご婚約お祝い申し上げます」

唯一、まともなネネーは丁寧に皇帝にお辞儀をして私にはビッグハグしてくれたわ。
いいお姉様だわ。

「さあ、フランツこれからが大変よ、花嫁を迎える準備をしなくてはいけませんからね、シシィにも様々な準備が必要でしょうから」

「はい、皇太后陛下」

私は上品にお辞儀をした。
皇太后は満足げに微笑んだ。

「実はルドヴィカからはシシィは野生児だと聞いていたけど、きちんとしたレディでよかったわ、もちろん皇后としてはもう少し準備が必要ですけどね、公爵には花嫁支度についてあれこれ相談する必要がありそうだわ」

「ゾフィー、それは主人にじゃなくて私に話してくれた方が早いわ」

ルドヴィカお母さんはゾフィー皇太后のそう笑いながら言いました。

「ルドヴィカ、今は8月で、結婚は4月頃になるでしょう、シシィの準備には一年ないから宮廷側からも色々と支援しないと難しいでしょう、ウィーン宮廷内では色々とやかく言われるし、諸外国にも見せつけなくてはならないから、だからそうね、公爵にもとっぴな行動はなさらないようにと良く言っておいてちょうだいね」

ゾフィー皇太后はその後もあれこれ話して、みんなに不快な思い……ではなくありがたいクソバイスを与えてくださり、その日は和やかに終わりました。
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