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というわけで、みんな席についてお茶にする。
お茶というけど、コーヒーも、オレンジジュースやレモネードもある。
テーブルにはきゅうりのサンドイッチにサワークッキー、
ザラメまみれのクッキーというとこのザント・クーヘン、バニラ・ラスク、トプフェンクーヘン、いわゆるクグロフ、たくさんの果物。
どれも美味しそうだわ。
食べ物があると素晴らしいくらい社交は楽になる。
みんな食べ始めたら会話がなくても問題ないからだ。

「どれも美味しいな」

皇帝陛下はトプフェンクーヘン、フレッシュチーズのケーキね、平たくいうと、を食べながらコーヒーを楽しんでいる

「そうですわね陛下」

私も食べながら返事を返す。
それ以上の会話はなく、みんな黙々と食べたり飲んだりしている。
ルドヴィカお母さんはソワソワしてるし、皇帝陛下はドキドキしてるのがモロ分かりで私だけ平然としているKHAOSな状態(発音良く)
黙って食べてるのもなんか変なので話題をふることするわ。

「陛下はどのお菓子が好きですの?」

「はい?」

「好きなのはどれなのかしらと……」

「好きなのはあなただ、シシィ!!」

皇帝陛下がいきなり顔を真っ赤にして言うので、みんな静まり返った。

「いえ、お菓子の話ですわ、でもなんで私が好きなんでしょうか?ネネーの方が遥かに優れてますのに皇后には」

私は本人に疑問をぶつけることにした。
そのほうがスッキリするわよね。
 
「理由がなくては好きなってはいけないのだろうか?」

「人間の行動には大概理由がありますから理由がないというのは中々面白いですわね、皇帝陛下が皇后を決めるという局面では考えられませんわ」

「君はあまり感情に動かされることはないのか?」

「ありますわ、美しい風景や芸術、些細な鳥の声や道の花々、すべてに揺り動かされます、だからこそ私はそれらを守る必要がある陛下のお気持ちやお考え、理由を知りたいと望んだのです」

「まずは君の美しさだ」

「美しさはわかりやすい理由ですね、どの生き物でも美しさで求愛いたしますもの」

「でも君の美しさは外見だけではない、なんというか内から光り輝く何かを感じるんだ、さらに君は美しいだけでなく肝も座ってるし、知性だってある、だからこそ皇后に相応しい資質が備わっていると考えている」

「皇后に求められるのは知性よりも従順で美しく、着せ替え人形みたいに自分を押し殺すことだと思いますわ、無個性かつ、言われたことを言われた通りやり、男の子を産む、余計なことは言わない、これが帝国の求めている皇后の姿だと皇太后陛下は考えてらっしゃると思いますよ」

「シシィ……」

「私には向かないと思います、まず皇太后陛下とも皇帝陛下とも思想が違いますし、私は無個性ではないですし、生意気にも皇太后陛下や皇帝陛下に意見しますもの、その上で私を好きとおっしゃるならば、私が嫁いだ後、あなたも結婚して世継ぎをお互い産んでから愛人にする、それなら私も同意しますわ、愛人には皇后に求められる資質はいりませんもの」

「僕は愛人だなんて、そんな不実な……」

「衛生係、夜のお茶係がいらっしゃるでしょ?」

「シシィ!!なんてことを言うの」

「ママは黙っていて、権力ある若い男性ですもの仕方ないことですわ、長々話しましたけど私を皇后にしたい理由がわからないと何も始まりませんわ、好きというだけなら愛人でいいんですもの、それに私は陛下のこと知りませんし」

「なら、ならこれから僕を知って、少しでも良いと思ったら結婚してくれるね?」

「母と同じ返答をすべきでしょうね、皇帝陛下の望みをどうしてお断りする人がいるでしょう、謹んでお受けいたしますわ」

私はそう言うと立ち上がって、完璧で優雅なお辞儀をしました。
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