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しかし私は目がしっかりと開いて、部屋にいることに気づいた。
一命を取り留めた感じか……。
海外旅行保険、医療保険入っていて良かった。
私は身体に力を入れて起き上がってみたがどこもいたくない。
目の前のお部屋は可愛らしいインテリアで病院というよりはエレガントな子ども部屋という雰囲気で本やら積み木、ぬいぐるみが散らかっている。
とりあえず誰かに何がどうなってるか聞かないといけないわね。
私はベッドから降りた。
その時、この目で自分の足が見えて、すぐ二度見することになった。
毛深く、筋肉質だった私の足は、ツルツル美肌で小さくなっているの、子供みたいに。
恐る恐る大きな鏡に自分の姿を映してみると13歳くらいの可憐な乙女、美少女がそこにいた。
「ちょっと!!どういうことっ!! 」
自分の叫びに二重に驚くことになる。
「私、ドイツ語喋ってる……いや日本語で話してるつもりなのになんで?なんでよ」
そう、私の話す言葉が話すつもりはないのにどう考えてもドイツ語という事態にとりあえず冷静になろうとベッドに腰掛けた。
いったい私に何が起きてるの?ドッキリ?いや違う、ドッキリならいきなりドイツ語私自身が話出したりしないわ。
そうよ、そうだわ、きっと今流行りの悪役令嬢とか聖女とか恋愛ゲームのヒロインとか小説の主人公に転生したに違いにないわ!!
そういうの読んだことあるもの。
なら、この姿、環境も納得できるわ。
フィクションの世界ね、ある意味死ぬ時の夢みたいなものかしら。
私が痛めたのは頭じゃなくて胸だったんだから、頭がおかしくなったんじゃないだろうし。
とにかく今はドイツ人のかわいい女の子よ私。
私はもう一度鏡の前に立ってみた。
栗色の長い髪に可愛いドレスが似合っている。
これでブロンドだったら不思議の国のアリスみたいだったのに。
でもピーターパンのウェンディみたいだわ服も。
すると、ガチャって扉が開く音がして私は振り返った。
「シシィ!! 大丈夫なの?」
ドイツ人のおばさんが大きな声で映画『風と共に去りぬ』のエキストラです!みたいな服装で話しかけてきた。
「ごきげんよう……」
とりあえず挨拶をしてみた、だって誰なのかわからないんだもの。
「どこも痛くない?まぁ、大丈夫そうね、木登りは二度としてはいけないわよ、いいわね?しばらくは部屋から出ないように」
そう言いつつ、このおばさんは私を優しく抱きしめてきた。
「あぁ、まだ意識がはっきりしてないのね、まだ寝てなさい」
そう言われたので私はベッドに強制的に戻らされて眠ることになった。
おばさんは部屋から出ると
「へレーネ、シシィは無事よ、マックスったら肝心な時にいないんだから!! 」
とベッドで寝てる私に配慮皆無な音量で喋っているのが聞こえる。
いや、いいんだけど私、一体誰なのよ?
もうっ誰よ、不幸になると自分が何者かわかるなんてほざいた人は。
私、不幸になったとたんに自分が誰かわからなくなったんですけども。
私はそんなことを思いながら寝返りをうつと、ふと、おばさんの言ったことがリフレインしてきた。
シシィ!!大丈夫なの?という私への呼びかけ、
それにへレーネやマックスという名前。
まさか、そんなはずは。
自分が思い浮かんだ仮説を打ち消そうと思ったがあまりにも似ている。
そう、私はシシィなのかもしれない。
へレーネという姉がいて、変わりものの父親マックス、
そして皇太后の姉妹である母。
私はその娘であるシシィ、つまりエリーザベト・アマーリエ・オイゲーニエ・フォン・ヴィッテルスバッハ、ヘルツォーギン・イン・バイエルン、のちに悲劇の皇妃と呼ばれるエリザベート皇后に。
一命を取り留めた感じか……。
海外旅行保険、医療保険入っていて良かった。
私は身体に力を入れて起き上がってみたがどこもいたくない。
目の前のお部屋は可愛らしいインテリアで病院というよりはエレガントな子ども部屋という雰囲気で本やら積み木、ぬいぐるみが散らかっている。
とりあえず誰かに何がどうなってるか聞かないといけないわね。
私はベッドから降りた。
その時、この目で自分の足が見えて、すぐ二度見することになった。
毛深く、筋肉質だった私の足は、ツルツル美肌で小さくなっているの、子供みたいに。
恐る恐る大きな鏡に自分の姿を映してみると13歳くらいの可憐な乙女、美少女がそこにいた。
「ちょっと!!どういうことっ!! 」
自分の叫びに二重に驚くことになる。
「私、ドイツ語喋ってる……いや日本語で話してるつもりなのになんで?なんでよ」
そう、私の話す言葉が話すつもりはないのにどう考えてもドイツ語という事態にとりあえず冷静になろうとベッドに腰掛けた。
いったい私に何が起きてるの?ドッキリ?いや違う、ドッキリならいきなりドイツ語私自身が話出したりしないわ。
そうよ、そうだわ、きっと今流行りの悪役令嬢とか聖女とか恋愛ゲームのヒロインとか小説の主人公に転生したに違いにないわ!!
そういうの読んだことあるもの。
なら、この姿、環境も納得できるわ。
フィクションの世界ね、ある意味死ぬ時の夢みたいなものかしら。
私が痛めたのは頭じゃなくて胸だったんだから、頭がおかしくなったんじゃないだろうし。
とにかく今はドイツ人のかわいい女の子よ私。
私はもう一度鏡の前に立ってみた。
栗色の長い髪に可愛いドレスが似合っている。
これでブロンドだったら不思議の国のアリスみたいだったのに。
でもピーターパンのウェンディみたいだわ服も。
すると、ガチャって扉が開く音がして私は振り返った。
「シシィ!! 大丈夫なの?」
ドイツ人のおばさんが大きな声で映画『風と共に去りぬ』のエキストラです!みたいな服装で話しかけてきた。
「ごきげんよう……」
とりあえず挨拶をしてみた、だって誰なのかわからないんだもの。
「どこも痛くない?まぁ、大丈夫そうね、木登りは二度としてはいけないわよ、いいわね?しばらくは部屋から出ないように」
そう言いつつ、このおばさんは私を優しく抱きしめてきた。
「あぁ、まだ意識がはっきりしてないのね、まだ寝てなさい」
そう言われたので私はベッドに強制的に戻らされて眠ることになった。
おばさんは部屋から出ると
「へレーネ、シシィは無事よ、マックスったら肝心な時にいないんだから!! 」
とベッドで寝てる私に配慮皆無な音量で喋っているのが聞こえる。
いや、いいんだけど私、一体誰なのよ?
もうっ誰よ、不幸になると自分が何者かわかるなんてほざいた人は。
私、不幸になったとたんに自分が誰かわからなくなったんですけども。
私はそんなことを思いながら寝返りをうつと、ふと、おばさんの言ったことがリフレインしてきた。
シシィ!!大丈夫なの?という私への呼びかけ、
それにへレーネやマックスという名前。
まさか、そんなはずは。
自分が思い浮かんだ仮説を打ち消そうと思ったがあまりにも似ている。
そう、私はシシィなのかもしれない。
へレーネという姉がいて、変わりものの父親マックス、
そして皇太后の姉妹である母。
私はその娘であるシシィ、つまりエリーザベト・アマーリエ・オイゲーニエ・フォン・ヴィッテルスバッハ、ヘルツォーギン・イン・バイエルン、のちに悲劇の皇妃と呼ばれるエリザベート皇后に。
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