「名建築で殺人を」アカンサス邸の殺人〜執筆者カトリーヌの事件簿

カトリーヌ・ドゥ・ウェルウッド

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私が一人でゆっくりお茶を飲んでいると事情聴取から戻ってきたももちゃんが帰ってきた。

「ほんと最悪ですよ、今日のケータリング写真に撮って貰ったのに宣伝で使えないじゃないですか」

「たしかに殺人事件の際にケータリングしてました!は宣伝には不適切かも知れないわね」

すると外からバタバタと騒がしい音が聞こえてきた。

「きっと鑑識やらなんやらがきたんじゃないのかしら?」

「あら、カトリーヌ、鑑識はとっくにきて現場検証っていうのをやってるわよ」

「あら、じゃあなんでバタバタしてるのかしら?競走馬じゃあるまいし」

するとドアがバタンと開けられてかりんさんがすごい剣幕で叫んだ

「磯野さんが殺されたわ!!」

一瞬なんのことかわからなくて固まってしまったわ。

「何ですって?」

「離れのビリヤードルームの裏側で、刺されて……」

私達はびっくりしてすぐに現場に行ったのよ、もう警察がいて現場は入れなかったわ。
でも現場は丸見えだったの。

「なんてこと……」

かりんさんのつぶやきが聞こえてきたわ。

「きっと犯人につながることをタバコを隠れて吸ってる時に気づいた、あるいは見つけてしまったんじゃないかしら」

「何を見つけて、何がわかったって言うの?」

「それが謎なの、犯人の目星はついてるけどまだ謎が多すぎるのよ」

「何ですって、誰なのよ!カトリーヌ」

「かりんさんには少なくとも言えないわね、あなたはみんなに話してしまうか、すくなくとも仄めかしてしまうもの」

そう言うとかりんさんはシュンとなった。

「言うなれば一つ一つは単純なことなんです、でも問題は動機なんです、動機のない愉快犯と言うことは手法から考えてありえないわ、これはよく練られた殺人よ」 

私はそう言って現場から離れてイギリス式風景庭園を歩いて推理を続けたの。
大きな銀杏の下、東屋で安堂さんが意気消沈しているのが見えたわ。
私はもちろん話を聞きたかったから向かったのよ。

「安堂さん、どうしたの?」

私の声にハッとした安堂さんは無理矢理微笑もうとしたように口元が不器用に歪んだ。

「何だか悲しくて」

「心中お察ししますわ」

「ちがうのよ、多分カトリーヌちゃんが思ってるようなことじゃないのよ」

安堂さんは何を言ってるのかしらと私は思いながら黙っていた。

「カトリーヌちゃんはあの人が死んだから悲しんでると思ってるでしょ?もちろん悲しいけど、それよりもあの人は私のことなんて一ミリも好きじゃなかったのよ、あんな良い顔して気をもたせたのに」

「安堂さん、それってどういうこと?」

「私、見ちゃったのよ……」
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