「名建築で殺人を」アカンサス邸の殺人〜執筆者カトリーヌの事件簿

カトリーヌ・ドゥ・ウェルウッド

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私は死体の周りをよく観察してみた。
首周りの紐とワイシャツが真っ赤で床板にも血が流れてることから絞殺なのか刺殺なのか判断がつかないこと。
いずれにしてみても両方行うなんてどういうことかしら?
私はゼリーのように震えているノリちゃんが目に入ったのでレディとしての務めを思い出して優しく声をかけた。

「ノリちゃん、とりあえずここから離れて、そうお庭でお茶を飲みましょう、ねぇ、どうして上向いてるの?」

私はのりちゃんが震えながらも、上ばかりみてるのが気になった。

「怖くて泣きそうなの、でも私のファンデーション26.180円するのよ、涙で崩せないわ!!」

「そう考えられるなら大丈夫そうね、とにかく離れましょう」

一階の控え室までノリちゃんを連れてくると体脂肪を震わせながらハンカチで涙を抑え、ディオールの手鏡を出すとメイクが崩れてないか確認をし、人を喰ったような色の口紅に塗りたくっている。

私は電気ポットのお湯で持ってきた東インド会社のダージリンを淹れてノリちゃんに渡した。

「お茶を飲むと気分が落ち着くわよ」

「ありがとう、お砂糖、スティックシュガーを7本貰える?」

「7、7本も?体に良くないわよ?」

私はそういいながらもスティックシュガーを7本渡した。

「大丈夫よ、健康診断にいったらこれ全部皮下脂肪だから、問題ないみたい」

「健康に問題がありそうよ」

「皮下脂肪だからアザラシと一緒よ、糖尿にもなってないし」

「まあ、コーラよりかはヘルシーかもしれないわね、とにかく少し落ちついた方がいいわ」

私はそういうと私は帽子取り、ハットボックスにしまった。

「本当にびっくりしたわ、一番乗りで二階に行って部屋を眺めてたら死体があるだなんて」

「そうよね、幽霊騒ぎがあった中で本当に死体があるだなんて思わないものね」

「でも変だわ」

「何が変なの、カトリーヌ?」

「私が塔屋に行って戻ってきた時にあそこに死体があったら気づくはずよね、でも気づかなかったわ、マジマジ見ながら歩いてなかったし、ルイ16世様式のティーテーブルが部屋の前に……あら、あのテーブルがないわ!!」

「テーブル?死体の後ろに置いてあったわよ」

「それはおかしいわ、だって前からあれは見える位置、つまり部屋の入り口を塞ぐように置いていたんだもの」

私はそういうと自分のティーカップに注いだダージリンを飲み干した。
なぜ、わざわざティーテーブルを?
私が二階に上がったときテーブルはどうだったのかしら?
覚えてないわ……ももちゃんか竹内さんに聞いてみなくちゃ。

私はノリちゃんを長椅子に寝かせ、控え室を出ると
庭で見た特徴のない男性と鉢合わせした。

「失礼しました」

「わたくしこそごめんなさい、あ、待って」

私は男性に話しかけた。

「お許し遊ばせ、あなた警察の方でいらっしゃる?」

男性はそれを聞いて顔を顰めたの。

「はい、なぜ……」

「緊急の問題が発生してるので二階に来てもらえますかしら?」

「問題?」

私は辺りに人がいないのを確認してから小声で囁いた。

「死体があるんです」
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