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「それで、一体何があったの?」
私は身支度を整えながら小泉さんに聞いた。
「それがね、ここの隣に、時間貸しの駐車場だった空き地があったじゃない?」
「あったわね」
「あそこに一軒家ができたのよ、立派な……」
「行きに見たわ、確かに立派な家だったし、家もだけど土地も異様なほど高いでしょ?よほどのお金持ちなんでしょうね、固定資産税を考えるだけで眩暈がするわ」
「でもそれだけじゃないのよ」
小泉さんはそう言うと口を閉じた。
「何よ?」
私はシャネルのリップペンシルで唇の輪郭をなぞり、ゲランの口紅を七種類丁寧にブラシで塗っていく。
あ、マリリンモンローがやってた手法よ。
「住んでるのがハンサムな独身男性なの」
「聞き捨てならないわね!!写真ないの?写真」
「ないわよ、で、もう想像はつくでしょうけど……」
「安堂さんと丘田さんがわちゃわちゃしてるわけね、あの二人ならそうするでしょう、でもなんでそれが問題なのかしら?丘田さんは元祖ぶりっこで頭空っぽにしてるし、安堂さんは人生にロマンスとアドベンチャーを求めるタイプだから何も悪いことはないんじゃないかしら?仕事は疎かになりそうだけど」
私はシャネルのリップグロスコートを塗りながら鏡に映る自分に微笑んだ、こんな美しい人いるかしら?
いえ、いないわね。
「それがそうでもなくて安堂さんと丘田さんがお互いにイライラしてるみたいでセンターの雰囲気が超ギスギスなのよ……カツラのピン留めこことここでいい?」
「ええ、きちんと留めてね、男で揉めるなんて面白いわね、じゃあセンター長と副センのひとみ姐さんは困ってるんじゃないかしら?」
「困ってるけど、その二人だけじゃないのよ問題は……」
小泉さんはため息をつくとカツラに挿すコームを取り出した。
「何が問題なの?」
「あなたとももちゃんがいなくなってから新しくやってきた人達よ」
「そうなの?話ぶった斬るけど今日のケータリングはももちゃんがくるんでしょ?楽しみだわ、でも料理の道に進んで正解だわ、素晴らしい腕と才能と舌と胃袋は事務員でいるにはもったいないもの」
「そう、酒が出ないのが残念だわ、で、話を戻すけど変な人達なのよ」
「今までも変な人しかいなかったじゃないの」
「それが度を超えてるの、渋谷さんっていうわりかし綺麗な人が入ったんだけどね、ひな祭りも七夕も知らないのよ」
「外国人なの?」
「純日本人よ」
「文化的貧困が進んでるのね、気の毒だわ、あとでラデュレのマカロンを食べさせてあげてね」
私は気の毒に思い差し入れのラデュレのマカロンを小泉さんに渡した。
「あら、ありがとうみんなで食べるわ、それにしてもすごいドレスね」
小泉さんは改めて私のドレス姿をみて言った。
私は身支度を整えながら小泉さんに聞いた。
「それがね、ここの隣に、時間貸しの駐車場だった空き地があったじゃない?」
「あったわね」
「あそこに一軒家ができたのよ、立派な……」
「行きに見たわ、確かに立派な家だったし、家もだけど土地も異様なほど高いでしょ?よほどのお金持ちなんでしょうね、固定資産税を考えるだけで眩暈がするわ」
「でもそれだけじゃないのよ」
小泉さんはそう言うと口を閉じた。
「何よ?」
私はシャネルのリップペンシルで唇の輪郭をなぞり、ゲランの口紅を七種類丁寧にブラシで塗っていく。
あ、マリリンモンローがやってた手法よ。
「住んでるのがハンサムな独身男性なの」
「聞き捨てならないわね!!写真ないの?写真」
「ないわよ、で、もう想像はつくでしょうけど……」
「安堂さんと丘田さんがわちゃわちゃしてるわけね、あの二人ならそうするでしょう、でもなんでそれが問題なのかしら?丘田さんは元祖ぶりっこで頭空っぽにしてるし、安堂さんは人生にロマンスとアドベンチャーを求めるタイプだから何も悪いことはないんじゃないかしら?仕事は疎かになりそうだけど」
私はシャネルのリップグロスコートを塗りながら鏡に映る自分に微笑んだ、こんな美しい人いるかしら?
いえ、いないわね。
「それがそうでもなくて安堂さんと丘田さんがお互いにイライラしてるみたいでセンターの雰囲気が超ギスギスなのよ……カツラのピン留めこことここでいい?」
「ええ、きちんと留めてね、男で揉めるなんて面白いわね、じゃあセンター長と副センのひとみ姐さんは困ってるんじゃないかしら?」
「困ってるけど、その二人だけじゃないのよ問題は……」
小泉さんはため息をつくとカツラに挿すコームを取り出した。
「何が問題なの?」
「あなたとももちゃんがいなくなってから新しくやってきた人達よ」
「そうなの?話ぶった斬るけど今日のケータリングはももちゃんがくるんでしょ?楽しみだわ、でも料理の道に進んで正解だわ、素晴らしい腕と才能と舌と胃袋は事務員でいるにはもったいないもの」
「そう、酒が出ないのが残念だわ、で、話を戻すけど変な人達なのよ」
「今までも変な人しかいなかったじゃないの」
「それが度を超えてるの、渋谷さんっていうわりかし綺麗な人が入ったんだけどね、ひな祭りも七夕も知らないのよ」
「外国人なの?」
「純日本人よ」
「文化的貧困が進んでるのね、気の毒だわ、あとでラデュレのマカロンを食べさせてあげてね」
私は気の毒に思い差し入れのラデュレのマカロンを小泉さんに渡した。
「あら、ありがとうみんなで食べるわ、それにしてもすごいドレスね」
小泉さんは改めて私のドレス姿をみて言った。
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