幸せは食事の中に

やなぎ

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第2話 おでん

クリスマスイブ

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 あれは去年のクリスマス。

 俺は奈々と2人で過ごす予定だった。

 奈々は初めての2人のクリスマス。と意識をしているだろうと予想していたからだ。

 だが俺はクリスマスにバイトを入れた。

 クリスマスチキンをどうしても売りたい!と言う衝動に駆られてしまったのだ。

 もちろん奈々はその日は俺と遊ぶためにバイトを入れていない。

 17時から22時のシフトなので遊べないわけではない。

 だが、バイト入れちゃった。と言ったら、かなり落ち込んでいた。


 そして24日の朝、ピンポーンというチャイムで俺は目覚めた。

 扉を開けると奈々が立っていた。

「おはよう。」

 あくびを1つして、挨拶する。

「おはよう!もしかして今起きた?」

 真っ白いコートに赤いマフラー。ミニスカートに茶色のブーツ。なかなか気合を入れた服装だな。ミニスカとか寒くねぇのか?

「さっさと入りな、寒いだろ?」

 なんか重そうにトートバッグを持っていたので受け取る。

「あ、ありがと。お邪魔します。」

「おう。おかえり。」

「え?うん。ただいま。」

 おかえりと挨拶するのは、俺のポリシーみたいなものだ。よくうちに来る人に使っている。

 俺自身おかえりと言ってくれる人を求めているから、誰かが来るとおかえりって言いたくなるのだろう。

「ところでこれ結構重いけど何入ってるんだ?」

 部屋に入るなり気になっていたことを聞く。

「ん?きがえだよ?」

 なるほど、こいつは今日泊まるつもりなのか。

「そうか、じゃ。俺はもうひと眠りするから、自由にしてな。」

 俺は布団くるまる。あー寒い寒い。

「ぐはっ。」

 何かが急に腹に置かれた。結構な重量がある。

 目を開けると俺の上に奈々が座っていた。

 コートは脱がれていた。白いモコモコの服。触ったら気持ち良さそう。

 肩のモコモコに触れる。ふわふわで素材もサラサラしてて気持ちいい。

「?どうしたの?」

「いや、その服気持ち良さそうだなって思って。触っちゃダメだった?」

「ううん!……似合ってる?」

 少し頬を染めて肩を左右に振り、聞いてくる。

「可愛いと思う。」

「なんか棒読みで用意していた感あるんだけど?」

 ジト目で見てくる。

「本気で思ってないわけじゃないんだって。たださ、感情とか出すのってなんか照れ臭くてさ。うん。可愛いと思う!」

「ちょっ。急に本気で言われると照れる……。」

 顔を真っ赤にして言う。

 お前が言わせたんだけどな。とは言わないでおく。

 こういうアホみたいなところが可愛くて好きなんだよな。ま、これも言わないけど。

 言葉の代わりに奈々を抱き寄せる。

「ん。もぅ。」

 急に抱き寄せられて声が溢れる奈々。

「急にこういうのするのもやめてよ。……嬉しいけど。」

 胸に埋めた顔を上げ、頬を染めている。

「よし。眠気も覚めてきたし、そろそろ起きるかな。今日は何かしたいこととかあるか?」

 奈々を抱えたまま起き上がる。これは意外に腰に負担がかかる。もう2度とやらないでおこう。

「んー特にはないかな。でもどこかに遊びに行きたいかも!」

「却下!外でたくない。」

「引きこもりか!」

「基本的に外には出たくないから間違いではないな。……そうだな。じゃあ買い物にでも行くか。」

「え?買い物!?行きたい!何買うの?服とか?うち新しい靴欲しかったの!」

「ん?野菜、かな?」

「あ、スーパーね。うん、分かってたし……。」

 おー。凄く落胆してる。

「まぁ許せ。明日デートしてやるからさ。明日に期待しとけ。」

 肩をトントンして、上から目線で笑顔で言う。

「もぅ。絶対だからね!」

 うわぁ。怒ってるなぁ。って俺のせいか。

「じゃあこれから着替えるわ。」

「うん。わかった。」

「…………なんでお前は俺を凝視している?」

「え?ダメ?」

 そんなニヤケ面で小首を傾げても可愛くないぞ!

「まぁ別に見られて困るもんでもないしいいんだが……。」

 そう言い俺は普通に着替え出す。奈々は顔を赤らめながらも俺を凝視している。恥ずかしいなら見なきゃいいのに。アホだなやっぱり。

「さて、着替えも終わったし、買い物行くか!」

「うん!」







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