幸せは食事の中に

やなぎ

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第1話 パエリア

お開き

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 その後3時間ほど飲んで2人は帰った。

「今日は悪かったな。せっかく来てくれたのに。」

 今は奈々と2人きり。奈々は洗い物をしている。

「ううん。2人で食事したかったとは思ったけど、家でみんなで食べるのってやっぱり楽しいし、こういうのってたぶん凛のとこじゃないとなかなか経験できないと思うから、怒ってはないよ。」

「なんかお前、大人だな。どうした?」

「どうしたって聞くのひどくない?」

「まぁいいじゃないか。食器洗ってる間に俺は風呂にでも入ってくるさ。」

「はいはい。いってらっしゃい。」


「はぁ。あったまった。」

 風呂上がりのポカポカ気分。

「上がるの早かったね。」

 俺はお茶を飲み、ベッドに座ってテレビを見ている奈々の隣に座る。

「髪冷たい!乾かしな!」

 奈々に濡れた髪が触れたのか、妙に反応された。

「えーだるい。」

 俺は基本自然乾燥派なのでドライヤーと言う奴はあまり使いたくない。

「風邪引くよー?」

 なんでそんなに髪を乾かして欲しいんだこの子は!

「んー。乾かして?」

 自分で乾かすのは疲れるので、甘えてみることにする。年下に甘えるのはちょっと気恥ずかしさがあるな。

「もぅ。しょうがないなぁ。」

 ん?ちょっと嬉しそう?喜んでくれるなら万々歳だ。


 ドライヤーのブオォって言う音はあまり好かんが、優しく頭に触る奈々の手や暖かな風は妙に気持ちよくて眠気を誘う。

「ちょっと、ちゃんと座ってて!」

 おっと、睡魔に負けそうになってた。正確には負けてたな。

「悪い悪い。ちょっと気持ちよくて寝落ちしそうだった。」

「はい!もう乾いた!」

 お、意外に早かった。

「ありがと。それで、今日はお前どうするんだ?」

「泊まる予定だよ?」

「あ、やっぱり?じゃあ風呂入って来な。」

「うん。いってくる。覗いちゃダメだよ?」

「わざわざ覗く理由がない。」

 さっさと行け。と言って、風呂場に追いやる。

 さて俺は寝るか。

 布団に入って電気を消す。

 おやすみ!







~fin~
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