幸せは食事の中に

やなぎ

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第1話 パエリア

来客

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「え?ちょ。何寝てんの!?」

「ん?一緒に寝るか?」

 洗い物が終わっだのだろう。意外に早かった気がする。まぁ、もともと洗い物は少なかったし、こんなものか。

「う、うん。」

 奈々は返事をし、布団に入ってくる。

 少し頬を赤らめ、俺の顔を見上げる。

 俺はそっと彼女の髪を撫で、キスをした。

「んふふ。やっといちゃいちゃできる。」

 奈々は俺に抱きつく。もうちょっと恥ずかしがってくれた方が弄りがいがあるんだけどなぁ。まぁ、可愛いから良いんだけど。

「ピンポーン。」

「もぅ。これから良いとこなのにぃ。誰よ!」

 奈々が怒り気味に玄関に向かう。

「はいはーい。どなたー?」

 ドアを開ける奈々。

「お邪魔しまー……。部屋間違えました。」

 榊先輩の声とドアを閉める音。

 あちゃー。

「先輩!合ってますから!入りますよ。」

「いやでも女が出てきたぞ?」

「ああそれ奈々ちゃんですよ。凛の彼女なんで大丈夫です。」

「え?それこそお邪魔じゃない?良いの俺ら入って?」

「まぁいつものことなんで大丈夫ですよ。」

 ドア越しから2人の会話が聞こえる。

「どうでも良いので取り敢えず入って下さいよ先輩。」

 ラチがあかないので俺が2人を呼びに外に出た。

「お、おう。そうだな。お邪魔します。」

 なんとか2人とも部屋に入れることに成功した。

 奈々の機嫌が悪そうなのは気にしないことにしよう。

「奈々ちゃん久しぶり。最近凛ん家来てなかったみたいだけどどうしたの?」

「神奈さんに言うことなんて何もありません!」

「あらら。なんか今日は機嫌悪い?」

「あぁ。料理が終わってからお前らくるのを待つ間、イチャイチャしようとした矢先に来ちゃうもんだから、怒りを覚えたはいいけど、誰が悪いというわけでもないから、怒りをぶつける相手もなく、どうしようもない気持ちを抱えている結果、拗ねているように見えているんだろう。」

「ちょ!やめてって見透かしたように私の心読むの!」

「まあまあ。落ち着け。」

 顔を赤くして俺につっかかってくる奈々をなだめる。

「あ、先輩。紹介遅れましたが、これ、俺の彼女の小林奈々です。奈々ちゃんって呼んであげて下さい。」

「え?あ、あぁ。わかった。」

「ちょっと!うちのこと奈々ちゃんって呼び方で周りに広めるのやめてよ!はずいじゃん!」

「奈々って名前可愛いんだから良いじゃん。」

「せめて呼び捨ての方がいい!」

「呼び捨ては俺だけの特権だからダメ。」

「え?あ、うん。」

「おーい。お二人さん。いちゃつくのはいいけど、先輩固まってるから。」

「あ、すみません。つい。次は先輩の紹介ですね!自分で自己紹介します?」

「まじか!?サクッと紹介してくれればいいよ。」

「いやいや、ここは先輩自身でやるべきですよ!」

「……。わかったから遠山。そのにやけづらやめろ。」

「あ、はい。わかりました。」

「えーと。俺は榊雄二。よろしく。」

「えー。先輩それだけですか?」

「他に何話すんだよ……。」

「先輩!ビール買って来てくれたんですね!あ、日本酒もある!ありがとうございます!」

「話聞けよ!」

「それより凛。つまみはある?」

「神奈も俺のことスルーかよ。」

「あ、すみません。そういうプレイかと。」

「つまみじゃないけどパエリアがもう出来る頃だと思う。」

「あ、じゃあうち見てくるね!」

「おう!たのんだ!」







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