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42、見敵必殺

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 クマ太郎が不在の時に限って天敵アシダカグモを発見し、心を無にして掃除機を装備して撃退行動を開始したウサギです。

 何で掃除機と思う方もいるかもしれません。
 しかし、物理的に叩くという行動は距離を詰める必要があり、尚且つ体液が飛び散るリスクを伴います。

 近付きたくないならば殺虫剤スプレーを吹きかければいいと言う人もいるかもしれません。
 しかし、それは幼児がいる環境では出来得る限り使用したくない選択肢なのです。

 そして、最終奥義である奥の手……クマ太郎召喚は、さすがに一社会人としましては勤務先に電話は躊躇います。

 まあ、新婚時代の微笑ましいエピソードと致しまして、リビングのカーテンにゲジゲジを発見した私。
 そんな私は躊躇うことなく入浴中のクマ太郎へ突撃し、「今すぐに出てきなさい!」と扉を開け放ったのは笑い話です。
 扉を開けた瞬間の頭に泡がついているクマ太郎のとても驚いた顔は今でも覚えています。
 突然の私の暴虐武人な行動も笑って許してくれるクマ太郎へ感謝です。

 話を戻しますが、物理も殺虫剤も選べないとなってきますと、掃除機しか打つ手がなくなるという寸法です。
 掃除機を使用すれば一定の距離を保ちつつも吸い込んで排除することが可能です。

 そのため私は、掃除機を装備して心を無にして感情を殺し、暗殺者アサシンになったつもりで天敵と向かい合いました。
 すきまに逃げ込んだり、出てきたりを繰り返す天敵。
 しかし、ヤツは何故か弱っていて一瞬のスキを付いて吸い込むことが出来ました。
 そのまま出てきたら怖いので、しばらく掃除機をオンにしたまま距離を置いて観察。
 逃げ出した様子が無かったので、少しだけホッとしました。

 ですが、生死不明のヤツはまだ掃除機の中にいます。

 そのため、大きなビニール袋2つを使用して掃除機全体を覆い、ガムテープでぐるぐる巻にすれば完成です。

 そして、出来るだけ自分の生活圏から離れた物置などに隔離してクマ太郎の帰宅を待てばMissionコンプリートです。

 帰宅後のクマ太郎へ掃除機を綺麗にしてもらえれば、私の心の安全は確保されます。
 本当に嫌な顔一つしないで、笑って綺麗にしてくれるクマ太郎へは感謝の心しか有りません。

 クマ太郎、本当にありがとうございます。
 あなたのお陰で私は今日も生きて行けます。
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