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「……赤ちゃん、ね……」
私はわざと目を伏せ、小さく溜息をついた。
「…どうしたの?アミカ。何か悩みがあるの?」
本当に白々しいわねあなたたちは二人とも!!……と叫びたい心を静めて、私は落ち込んだ素振りで言った。
「……ううん、……いえ、そうね……。赤ちゃんは、ちょっと先になりそうだわ」
「え、どうして?ミッチェル様とは上手くいっているんでしょう?」
ポーラはすかさず食いついてくる。やっぱり焦りがあるらしい。
「……どうかしらね。こういう夫婦生活では、上手くいっているとは言えないと思うわ。決して、彼が冷たいわけではないのだけれど……その……」
「……もしかして……、寝室を共にしていないの……?」
「…………ええ、実はそうなのよ。……恥ずかしい話なんだけど……誰にも言わないでね、ポーラ」
「もちろんよ!あなたと私の仲じゃないの!秘密は絶対に言わないわ。相談してくれて嬉しい」
(~~~~~~~っ!!)
明らかにポーラのテンションが上がった。歯ぎしりしたい気持ちを必死で封じ込める。この子……今まで何年も私の親友のような顔をしていながら……!この……!こっ、……この……っ!!
「それで?原因は一体何なの?何か思い当たることはある?」
いかにも「私心配でたまりません」という顔をして、ポーラが私の手に自分の手をそっと重ねながら尋ねてくる。
「それが、分からないのよ…。最初は具合が悪いからって。でもその後も毎日違う理由で必ず別室で寝るの。もしかしたら……本当は私のことなんて、愛していないのかもしれないわ……」
「まぁ、そんな、アミカ…」
ポーラは重ねた手にキュッと力を込めてくる。
「きっと何か訳があるのよ。男性のことだから私にはよく分からないけれど、…でも大丈夫。ミッチェル様はアミカを心から愛しているわ。見ていれば分かるもの。心配することないわ。きっと時間が解決してくれるから。ね?」
「……ええ。…ありがとう、ポーラ」
「アミカ、私はいつだってあなたの味方よ」
心から心配していますと言わんばかりのポーラの演技に私は舌を巻いた。これが全部嘘なんだから……この子、本当にすごいわ。敵ながらあっぱれよ。
私はわざと目を伏せ、小さく溜息をついた。
「…どうしたの?アミカ。何か悩みがあるの?」
本当に白々しいわねあなたたちは二人とも!!……と叫びたい心を静めて、私は落ち込んだ素振りで言った。
「……ううん、……いえ、そうね……。赤ちゃんは、ちょっと先になりそうだわ」
「え、どうして?ミッチェル様とは上手くいっているんでしょう?」
ポーラはすかさず食いついてくる。やっぱり焦りがあるらしい。
「……どうかしらね。こういう夫婦生活では、上手くいっているとは言えないと思うわ。決して、彼が冷たいわけではないのだけれど……その……」
「……もしかして……、寝室を共にしていないの……?」
「…………ええ、実はそうなのよ。……恥ずかしい話なんだけど……誰にも言わないでね、ポーラ」
「もちろんよ!あなたと私の仲じゃないの!秘密は絶対に言わないわ。相談してくれて嬉しい」
(~~~~~~~っ!!)
明らかにポーラのテンションが上がった。歯ぎしりしたい気持ちを必死で封じ込める。この子……今まで何年も私の親友のような顔をしていながら……!この……!こっ、……この……っ!!
「それで?原因は一体何なの?何か思い当たることはある?」
いかにも「私心配でたまりません」という顔をして、ポーラが私の手に自分の手をそっと重ねながら尋ねてくる。
「それが、分からないのよ…。最初は具合が悪いからって。でもその後も毎日違う理由で必ず別室で寝るの。もしかしたら……本当は私のことなんて、愛していないのかもしれないわ……」
「まぁ、そんな、アミカ…」
ポーラは重ねた手にキュッと力を込めてくる。
「きっと何か訳があるのよ。男性のことだから私にはよく分からないけれど、…でも大丈夫。ミッチェル様はアミカを心から愛しているわ。見ていれば分かるもの。心配することないわ。きっと時間が解決してくれるから。ね?」
「……ええ。…ありがとう、ポーラ」
「アミカ、私はいつだってあなたの味方よ」
心から心配していますと言わんばかりのポーラの演技に私は舌を巻いた。これが全部嘘なんだから……この子、本当にすごいわ。敵ながらあっぱれよ。
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