【完結済】結婚式の翌日、私はこの結婚が白い結婚であることを知りました。

鳴宮野々花@書籍2冊発売中

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「おはようミッチェル!体の具合はいかが?」
「ああ、おはようアミカ。……うーん、それが何だか……いまだに胃が重い感じがするんだよなぁ。昨日の結婚式があまりにも幸せだったものだから、普段より羽目を外して騒ぎすぎたことが原因かもしれないなぁ」
「え、えぇ……?」

 翌朝、食堂へ現れたミッチェルに体調を尋ねるとそんな返事が返ってきて私は戸惑った。羽目を外して騒ぎすぎたから、胃もたれ……?そんなこともあるのかしら……?

「……無理をせず、今日はゆっくり過ごしたら?そしたらそのうち元気になれるかもしれないわよ」
「ああ、そうしたいところなんだが、今日はちょっと父のところへ顔を出してくるよ。何だか急ぎの用件があるらしくてね」
「お父様のところへ?でも明日私と一緒に伺う予定だったでしょう?」

 今日はミッチェルのお父様のベルナップ伯爵がお忙しい日だから、明日改めて二人で挨拶に行くように予定していたはずだった。

「いや、そうなんだけどね、少しだけ、今日の午前中に済ませておきたい用件があるらしいんだ。昨日言わなかったっけ?」
「いえ、聞いてなかったと思うわ。じゃあ、私も朝食を食べたら急いで準備をするわね」

 私がそう言うと、ミッチェルは慌てて遮る。

「いいよいいよアミカ。今日は僕だけで行ってくる。どうせ明日またゆっくり挨拶に行くんだしね。僕にもよく分からないのだけど、二人で少し話したいというんだ。領地の仕事に関しての話かなぁ…。とにかくすぐに帰ってくるから。君は待っていて」
「え、ええ。それなら、……はい」

 明日でも良さそうなものだけれど、…もしかしたら父と息子の二人だけで話したい何かがあるのかもしれない。詮索したり、無理に入り込もうとするのは良くないわ。お母様にも言われているもの。夫婦といっても別々の人間なのだから、互いの時間もちゃんと尊重しあって、空気を読んで不快にさせないように過ごすのよ、って。
 それって、きっとこういう時のことよね。

「お父様によろしくね、ミッチェル」
「ああ。…僕もバゲットと卵をいただこうかな」
「かしこまりました」

 ミッチェルの言葉にメイドが返事をし、朝食の準備をする。

(よかったわ。胃もたれするって言ってたけど、食欲はあるみたいね)

 私は食卓で束の間の夫婦の会話を楽しんだのだった。





 食事が済むやいなやミッチェルは出かけていった。一人になった私はふと思い立って、ポーラに会いに行ってみることにした。

(彼女にも式に参列してくれたお礼が言いたいし、二人でゆっくりお喋りもしたいもの)

 部屋に戻って髪を整え直してもらい、アクセサリーをゆっくり選ぶと、私は屋敷を出た。



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