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32. 心折れる(※sideアンドリュー)
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「……やだ。あなた、何を泣いてらっしゃるの?!情けない……!泣きたいのはこっちだわ!せっかく王太子殿下の婚約者になったというのに、当てにして家族とたくさん買い物しても、金がないから援助はできないとか、勉強のご褒美に何かプレゼントしてほしいと言っても何も買えないとか、まるで贅沢もさせてもらえない!」
「…………メレディアとの、婚約解消で……、多額の慰謝料を支払ったと……、言ったじゃ、ないか……。ぜ、贅沢なんか、できなくても……、……僕らには、し、真実の、愛が、あるから……」
「愛なんてお金がなければ消え去りますわ!!どこの女が好き好んで苦労ばかりさせる男のことを愛するというの?!あなたの元に来てからというもの、勉強勉強、教育教育……!こっちは頭がおかしくなりそうなくらいなのに。あなたこそ愛しい女がこんなに大変な思いをしているというのに労いのご褒美さえ買ってくださらないのね!!」
「…………。」
「自分は婚約者としてのフォローも何もしてくれないくせに、私にだけ頑張れ、もっとやれと発破をかけてきますの?!それって男としてどうなの?!家族のことも私のことも、全然幸せにしてくれない。あなたって本当に頼りなくて情けない人ね!!」
「…………。」
俯いた顔を上げられずにいる僕の頭上に、容赦のない責め言葉が次々に浴びせられる。金切り声を叩きつけられるたびに、僕の自尊心にヒビが入りポロポロと崩れ落ちていくようだった。何人もの護衛や侍従たちが見守っているこの部屋の中で、僕は荒ぶる婚約者からこれでもかと罵倒されていた。
「ああ、もう……っ!!こんなことなら王太子の婚約者になんかなるんじゃなかったわ!あなたってトラヴィス殿下とは大違いね!見た目も、中身も!!」
「…………っ、」
それだけは、言われたくなかった。何もかもあの弟に劣っていることは、自分でもよく分かっていた。
だけどまさか、誰よりも僕の味方でいてくれるはずの婚約者から、こんな風に比べられ、罵られるなんて……。
その直後、エルシーはさらに僕の自尊心を粉々に砕いた。
「私本当はあなたじゃなくてトラヴィス殿下のことが好きだったのよ!だけどどんなに言い寄ってもまるっきり相手にもされなかったから、仕方なくあなたに鞍替えしたの!王太子の妃になって、私を手酷く振ったトラヴィス殿下を見返してやろうって。だけど……、あなたなんかじゃ全然自慢の夫にはならない!苦しいことばかり強要されて、楽しいことなんて全然なくて、……このままあなたの妃になったって、いいことなんて一つもないわ!!」
「…………っ!!」
床を見つめたまま呆然と固まる僕を置いて、エルシーはドスドスと歩きながら部屋を出ていってしまった。
「………………。」
エルシーに投げつけられた言葉の数々は、鋭い刃となって僕の胸に幾重にも突き刺さった。唇がブルブルと震え出す。自分がいかに情けないか頭では分かっていても、次々と零れる涙を止めることができなかった。
僕はのそりと膝を上げ、そのままベッドに這い上がり横になると、ブランケットを頭まで被った。涙がとめどなく溢れる。
エルシーは、トラヴィスのことが好きだったのか。
僕のことなんか、最初から好きじゃなかったのか……。
こんなに僕の具合が悪くても、少しも気に留めてはくれない。
僕は彼女にとって、ただ肩書きだけの男だったのか……。
「…………ふ……、……ぅぅ……」
虚しさと悲しさで、嗚咽が漏れるのを抑えることできない。18にもなった男が、この国の王太子が、こんな情けない姿を見せていることがいかに愚かしいか、ちゃんと頭では分かっているんだ。だけど、心が折れてしまって起き上がる気力が湧かない。きっと部屋のあちこちから今、侍従らの冷たい視線がこちらに向いていることだろう。
『……アンドリュー様、いかがなさいましたか?』
(……。……?)
その時。幼い頃から聞き慣れた、穏やかで優しい、それでいて凛とした響きを持つ声が、どこからともなく聞こえた気がした。
『具合が悪いのですね。……大丈夫です。落ち着いてくださいませ、アンドリュー様。私がついておりますから……』
(……メレディアだ……)
そうだ。この声。僕が過度な緊張により吐き気や目まいを覚えると、いつもこうしてメレディアが寄り添ってくれていた。
疲弊しきった頭の中に、在りし日のメレディアの優しい声がよみがえる。
『……アンドリュー様、お座りになって。ほら、いつものカモミールティーでございますよ。私がお入れしました。心が落ち着くおまじない入りです。召し上がってください。……そんなに緊張なさらずとも、大丈夫ですわ。この私がついております。アンドリュー様がお困りになることがあれば、いつでも必ず、私がお助けしますから』
「……う……、ぅぅぅ……っ!」
僕は一体何をしていたんだろう。
か弱い雰囲気のエルシーに甘い言葉で言い寄られ、彼女の嘘を見破ることさえできず、長年そばで支えてくれていたメレディアを悪者だと決めつけ、捨ててしまった。
頼りなげな様子で、「メレディア様から虐められていて辛いのです」と僕を頼ってくるエルシーを、守ってあげなくてはと思ったんだ。だって、この僕を頼ってくれる人なんて、他に誰もいなかったから。僕はただ王家の長男として生まれてしまった、器の小さい気弱な男で、皆が完璧なメレディアに期待していることは分かっていた。僕自身メレディアを頼りにしつつも、周囲の失望の眼差しにいたたまれず、どうしようもなく居心地が悪かった。
唯一僕を頼りにしてくれるエルシーと連れ添えば、僕も男として成長できるのではと、自尊心を取り戻せるのではと、そんな甘いことを考えてしまった。
誰がそばにいようとも、僕は僕でしかないのに。
自分を変えたければ、自分自身で成長していくしかないのに。
(……ごめん……。ごめんよ、メレディア……)
幼い頃から、誰よりも一番近くにいてくれたのに。
君だってきっと、僕のことなんか好きだったわけじゃないだろう。それでも君は、いつも優しかった。至らない僕をどうにか支えようと、僕の立場を守り抜こうとしてくれていたのに。
それなのに、僕は…………
「…………メレディアとの、婚約解消で……、多額の慰謝料を支払ったと……、言ったじゃ、ないか……。ぜ、贅沢なんか、できなくても……、……僕らには、し、真実の、愛が、あるから……」
「愛なんてお金がなければ消え去りますわ!!どこの女が好き好んで苦労ばかりさせる男のことを愛するというの?!あなたの元に来てからというもの、勉強勉強、教育教育……!こっちは頭がおかしくなりそうなくらいなのに。あなたこそ愛しい女がこんなに大変な思いをしているというのに労いのご褒美さえ買ってくださらないのね!!」
「…………。」
「自分は婚約者としてのフォローも何もしてくれないくせに、私にだけ頑張れ、もっとやれと発破をかけてきますの?!それって男としてどうなの?!家族のことも私のことも、全然幸せにしてくれない。あなたって本当に頼りなくて情けない人ね!!」
「…………。」
俯いた顔を上げられずにいる僕の頭上に、容赦のない責め言葉が次々に浴びせられる。金切り声を叩きつけられるたびに、僕の自尊心にヒビが入りポロポロと崩れ落ちていくようだった。何人もの護衛や侍従たちが見守っているこの部屋の中で、僕は荒ぶる婚約者からこれでもかと罵倒されていた。
「ああ、もう……っ!!こんなことなら王太子の婚約者になんかなるんじゃなかったわ!あなたってトラヴィス殿下とは大違いね!見た目も、中身も!!」
「…………っ、」
それだけは、言われたくなかった。何もかもあの弟に劣っていることは、自分でもよく分かっていた。
だけどまさか、誰よりも僕の味方でいてくれるはずの婚約者から、こんな風に比べられ、罵られるなんて……。
その直後、エルシーはさらに僕の自尊心を粉々に砕いた。
「私本当はあなたじゃなくてトラヴィス殿下のことが好きだったのよ!だけどどんなに言い寄ってもまるっきり相手にもされなかったから、仕方なくあなたに鞍替えしたの!王太子の妃になって、私を手酷く振ったトラヴィス殿下を見返してやろうって。だけど……、あなたなんかじゃ全然自慢の夫にはならない!苦しいことばかり強要されて、楽しいことなんて全然なくて、……このままあなたの妃になったって、いいことなんて一つもないわ!!」
「…………っ!!」
床を見つめたまま呆然と固まる僕を置いて、エルシーはドスドスと歩きながら部屋を出ていってしまった。
「………………。」
エルシーに投げつけられた言葉の数々は、鋭い刃となって僕の胸に幾重にも突き刺さった。唇がブルブルと震え出す。自分がいかに情けないか頭では分かっていても、次々と零れる涙を止めることができなかった。
僕はのそりと膝を上げ、そのままベッドに這い上がり横になると、ブランケットを頭まで被った。涙がとめどなく溢れる。
エルシーは、トラヴィスのことが好きだったのか。
僕のことなんか、最初から好きじゃなかったのか……。
こんなに僕の具合が悪くても、少しも気に留めてはくれない。
僕は彼女にとって、ただ肩書きだけの男だったのか……。
「…………ふ……、……ぅぅ……」
虚しさと悲しさで、嗚咽が漏れるのを抑えることできない。18にもなった男が、この国の王太子が、こんな情けない姿を見せていることがいかに愚かしいか、ちゃんと頭では分かっているんだ。だけど、心が折れてしまって起き上がる気力が湧かない。きっと部屋のあちこちから今、侍従らの冷たい視線がこちらに向いていることだろう。
『……アンドリュー様、いかがなさいましたか?』
(……。……?)
その時。幼い頃から聞き慣れた、穏やかで優しい、それでいて凛とした響きを持つ声が、どこからともなく聞こえた気がした。
『具合が悪いのですね。……大丈夫です。落ち着いてくださいませ、アンドリュー様。私がついておりますから……』
(……メレディアだ……)
そうだ。この声。僕が過度な緊張により吐き気や目まいを覚えると、いつもこうしてメレディアが寄り添ってくれていた。
疲弊しきった頭の中に、在りし日のメレディアの優しい声がよみがえる。
『……アンドリュー様、お座りになって。ほら、いつものカモミールティーでございますよ。私がお入れしました。心が落ち着くおまじない入りです。召し上がってください。……そんなに緊張なさらずとも、大丈夫ですわ。この私がついております。アンドリュー様がお困りになることがあれば、いつでも必ず、私がお助けしますから』
「……う……、ぅぅぅ……っ!」
僕は一体何をしていたんだろう。
か弱い雰囲気のエルシーに甘い言葉で言い寄られ、彼女の嘘を見破ることさえできず、長年そばで支えてくれていたメレディアを悪者だと決めつけ、捨ててしまった。
頼りなげな様子で、「メレディア様から虐められていて辛いのです」と僕を頼ってくるエルシーを、守ってあげなくてはと思ったんだ。だって、この僕を頼ってくれる人なんて、他に誰もいなかったから。僕はただ王家の長男として生まれてしまった、器の小さい気弱な男で、皆が完璧なメレディアに期待していることは分かっていた。僕自身メレディアを頼りにしつつも、周囲の失望の眼差しにいたたまれず、どうしようもなく居心地が悪かった。
唯一僕を頼りにしてくれるエルシーと連れ添えば、僕も男として成長できるのではと、自尊心を取り戻せるのではと、そんな甘いことを考えてしまった。
誰がそばにいようとも、僕は僕でしかないのに。
自分を変えたければ、自分自身で成長していくしかないのに。
(……ごめん……。ごめんよ、メレディア……)
幼い頃から、誰よりも一番近くにいてくれたのに。
君だってきっと、僕のことなんか好きだったわけじゃないだろう。それでも君は、いつも優しかった。至らない僕をどうにか支えようと、僕の立場を守り抜こうとしてくれていたのに。
それなのに、僕は…………
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