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4.生徒会
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「1年生は役員たちの補佐的な役割をするだけなんだ。本格的に活動してもらうのは2年生になってからになる。君はとても成績優秀らしいし、ぜひ生徒会に入って学園活動を盛り上げるサポートをしてもらいたいんだ。オリバー殿下も君を推薦していることだし」
「は、はぁ……」
入学から数日後、一学年上の先輩であるジュリアン・コープランド伯爵令息から生徒会に入って欲しいと勧誘された。生徒たちを代表して率いていくような大それた仕事、私にできるかしらとプレッシャーのかかる中一瞬迷ったけれど、オリバー殿下から推してもらっていると聞いて喜びの方が勝った。あんな素敵な方から認めてもらえていると思うと、やっぱり嬉しい。
「……では、はい。お引き受けさせていただきます」
「よかった!これからよろしく頼むよ。さっそく放課後生徒会室へ来てくれるかい?」
先輩は嬉しそうな顔で、足取り軽く教室を出て行った。
「すごいじゃないのグレース!いいなぁ~生徒会!あのオリバー殿下のすぐそばでお仕事できるのよ。あー私も入りたかったなぁ」
「ロージー……」
会話を聞いていたロージー・カニング伯爵令嬢が溜息をついている。入学してすぐに仲良くなった子だ。
そうよね。生徒会なんてごく一部の選ばれた生徒しか入ることはできないんだもの。せっかくこうして声をかけてもらったんだから、尻込みしてないで頑張ろう!
だけど。
「…………げっ」
放課後、生徒会室の扉を開いた私は、思わず小さな声が漏れた。
(なんでいるのよ。……なんっっでいるのよ!!)
中には生徒会の面々に混じって、レイが座っていたのだ。しかも隣にミランダ・クランドール公爵令嬢を侍らせて。……いや、侍らせてっていうのは語弊があるかもしれないけれど。でもまるで二人が婚約者同士に見えるくらい、仲良くピッタリくっついて座っていた。
「……。」
レイは私をチラリと見た後、興味なさげに視線を逸らした。
「やぁ、グレース嬢、来てくれたね。ありがとう。君のような賢い人が入ってくれるとすごく心強いよ。皆の学園生活がより良いものになるように、力を貸しておくれ」
「はっ、はい。もちろんですわ。お役に立てるように頑張ります!」
レイとミランダ嬢の様子を見て一瞬不愉快になったけれど、オリバー殿下が笑顔で声をかけてくださったものだから私もコロッと機嫌が直った。はー、やっぱり素敵~殿下。
「もう知っている人がほとんどだとは思うけれど、役員を紹介しておくよ。まずは僕が生徒会長だ。副会長はこのセレスティア・クランドール公爵令嬢。他の役員はこの三人だよ。トビー・ハイゼル、イーデン・ファーキンス、ジュリアン・コープランド」
オリバー殿下の婚約者のクランドール公爵令嬢に、3年生のハイゼル侯爵令息、2年生のファーキンス伯爵令息、それとさっき私を勧誘に来た2年生のコープランド伯爵令息だ。皆分かる。やはり出来の良い方ばかりが集まっているといったかんじだ。
「グレース・エイヴリーですわ。皆様よろしくお願いいたします」
「よろしくねグレースさん。あなたが入ってくれて私もとても心強いわ」
セレスティア様の言葉に続くように、皆さんそれぞれがよろしく、と私に挨拶を返してくれた。
「私たちも入ったのよ。うふふ。よろしくねグレースさん」
「……ええ、ミランダさん。よろしくお願いしますわ」
……だけど、この人だけはなぁ……。
正直、別に成績優秀という話も聞いたことがない。というか、あまりいい話を聞いたことがない……。まぁ、超優秀なお姉様のセレスティア様が役員だもの。きっとコネ入会よね、こう言っちゃ何だけど。
……あと何でいちいちレイに体を寄せて喋るの?
「1年生からは君たち三人が入ってくれた。勉強ばかりでは皆息が詰まるだろうから、季節ごとに皆の気晴らしにもなるような楽しい行事を開催できればと思っているんだ。何かアイデアがあったら遠慮なく言っておくれ」
オリバー殿下は皆を見渡しながら、にこやかにそう言った。
「はいっ。分かりましたわ」
……それにしても……、
レイだけ一言も挨拶してこないのはなぜ?!感じ悪すぎない?!
ふん。こっちも話しかけるもんか。
……私って……、子どもっぽいわね。
「は、はぁ……」
入学から数日後、一学年上の先輩であるジュリアン・コープランド伯爵令息から生徒会に入って欲しいと勧誘された。生徒たちを代表して率いていくような大それた仕事、私にできるかしらとプレッシャーのかかる中一瞬迷ったけれど、オリバー殿下から推してもらっていると聞いて喜びの方が勝った。あんな素敵な方から認めてもらえていると思うと、やっぱり嬉しい。
「……では、はい。お引き受けさせていただきます」
「よかった!これからよろしく頼むよ。さっそく放課後生徒会室へ来てくれるかい?」
先輩は嬉しそうな顔で、足取り軽く教室を出て行った。
「すごいじゃないのグレース!いいなぁ~生徒会!あのオリバー殿下のすぐそばでお仕事できるのよ。あー私も入りたかったなぁ」
「ロージー……」
会話を聞いていたロージー・カニング伯爵令嬢が溜息をついている。入学してすぐに仲良くなった子だ。
そうよね。生徒会なんてごく一部の選ばれた生徒しか入ることはできないんだもの。せっかくこうして声をかけてもらったんだから、尻込みしてないで頑張ろう!
だけど。
「…………げっ」
放課後、生徒会室の扉を開いた私は、思わず小さな声が漏れた。
(なんでいるのよ。……なんっっでいるのよ!!)
中には生徒会の面々に混じって、レイが座っていたのだ。しかも隣にミランダ・クランドール公爵令嬢を侍らせて。……いや、侍らせてっていうのは語弊があるかもしれないけれど。でもまるで二人が婚約者同士に見えるくらい、仲良くピッタリくっついて座っていた。
「……。」
レイは私をチラリと見た後、興味なさげに視線を逸らした。
「やぁ、グレース嬢、来てくれたね。ありがとう。君のような賢い人が入ってくれるとすごく心強いよ。皆の学園生活がより良いものになるように、力を貸しておくれ」
「はっ、はい。もちろんですわ。お役に立てるように頑張ります!」
レイとミランダ嬢の様子を見て一瞬不愉快になったけれど、オリバー殿下が笑顔で声をかけてくださったものだから私もコロッと機嫌が直った。はー、やっぱり素敵~殿下。
「もう知っている人がほとんどだとは思うけれど、役員を紹介しておくよ。まずは僕が生徒会長だ。副会長はこのセレスティア・クランドール公爵令嬢。他の役員はこの三人だよ。トビー・ハイゼル、イーデン・ファーキンス、ジュリアン・コープランド」
オリバー殿下の婚約者のクランドール公爵令嬢に、3年生のハイゼル侯爵令息、2年生のファーキンス伯爵令息、それとさっき私を勧誘に来た2年生のコープランド伯爵令息だ。皆分かる。やはり出来の良い方ばかりが集まっているといったかんじだ。
「グレース・エイヴリーですわ。皆様よろしくお願いいたします」
「よろしくねグレースさん。あなたが入ってくれて私もとても心強いわ」
セレスティア様の言葉に続くように、皆さんそれぞれがよろしく、と私に挨拶を返してくれた。
「私たちも入ったのよ。うふふ。よろしくねグレースさん」
「……ええ、ミランダさん。よろしくお願いしますわ」
……だけど、この人だけはなぁ……。
正直、別に成績優秀という話も聞いたことがない。というか、あまりいい話を聞いたことがない……。まぁ、超優秀なお姉様のセレスティア様が役員だもの。きっとコネ入会よね、こう言っちゃ何だけど。
……あと何でいちいちレイに体を寄せて喋るの?
「1年生からは君たち三人が入ってくれた。勉強ばかりでは皆息が詰まるだろうから、季節ごとに皆の気晴らしにもなるような楽しい行事を開催できればと思っているんだ。何かアイデアがあったら遠慮なく言っておくれ」
オリバー殿下は皆を見渡しながら、にこやかにそう言った。
「はいっ。分かりましたわ」
……それにしても……、
レイだけ一言も挨拶してこないのはなぜ?!感じ悪すぎない?!
ふん。こっちも話しかけるもんか。
……私って……、子どもっぽいわね。
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