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23. 早速のイベント
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アリューシャ王女の教育係を引き受けるというお返事をし、その日の夕食が終わる頃。
セレオン殿下が、少し言いにくそうに口を開いた。
「……実はね、ミラベル嬢。こうしてアリューシャの教育係を引き受けてもらった直後に早速で申し訳ないのだが、私の母が、……王妃陛下が、来月茶会を開く予定があるんだ」
「は、はい……」
王妃陛下が、お茶会?
え?それが、何なんだろう……。
じわりと不安を覚えつつ、私はセレオン殿下の次の言葉を待った。さっきまでセレオン殿下から長いお説教をくらっていたアリューシャ王女は、もうご機嫌にデザートを食べている。
「それでね、アリューシャが最近めっきり成長したらしいという評判を聞いて、この子をその茶会の席に招きたいと言っているんだ。それと、この子の教育係の君をね」
「……え……」
…………え?
「これまで教師たちが苦心していたこのお転婆娘を手懐けた君がどんな女性なのか、気になって仕方ないらしい。一緒に出席して、母に顔を見せてやってもらえるかな。向こうは楽しみにしているんだ」
「……っ、」
な……、
何ですって…………?!
自分の血の気が引いていく、ザァァーッという音が聞こえた気がした。わ、私が……?意を決して王女様の教育係になることをお引き受けしたばかりの、この私が……、今度は王妃陛下のお茶会に、出席……?
(あ、やっぱり引き受けるべきじゃなかったかも)
ほんの一瞬そんな考えが頭をよぎるほどに、私は戦いた。強張った私の表情を見てか、セレオン殿下が慌てたようにフォローする。
「いや、そんなに気負う必要はないよ。母はただ、君に礼が言いたいだけだと思うから。女性同士で楽しくお喋りがしたいだけさ。決して君の一挙手一投足を品定めしようとしているわけじゃない。まぁ、温厚な人だよ。大丈夫だから」
「……は……、はい……っ。し、承知、いたしました……」
明らかに不自然な声で答える私に、殿下は困ったように微笑んだ。
「心配しないで。君がこれまで置かれていた環境については説明してあるし、まだ社交の場に不慣れなことも母には分かっているよ。アリューシャのマナーだってまだまだ完璧ではないこともね。……だから、どうか気楽に楽しんできてほしい。君にとっても良い経験になると思うよ」
「は、はい……。ありがとうございます、殿下」
セレオン殿下の優しい言葉の節々に、私への気遣いが溢れている。緊張するなと言われても絶対に無理だけど、そのお気持ちを汲んで、私も前向きに受け止めようとした。
「アリューシャも、分かったね?来月だよ。ミラベル嬢が安心して参加できるよう、お前もしっかり茶会のマナーを学んでおくんだ」
「はぁい、分かったわ。ちょっとめんどくさいけど……。でもミラベルさんと一緒に行けるならどこでも嬉しいわ!ちゃんとミラベルさんの顔を潰さないように頑張るから、私!」
「あ、あは……」
ああ、顔が引きつる……。
この時の私はまだ、とても消極的な気持ちだった。
畏れ多くも王女殿下の教育係の任を賜り、しかもその直後に王妃陛下主催の茶会に参加するよう言われ、これからの日々に対して喜び以上に不安と緊張感があった。
けれど、この翌日。
私が俄然やる気を漲らせることとなる、ある人たちとの出会いがあった。
セレオン殿下が、少し言いにくそうに口を開いた。
「……実はね、ミラベル嬢。こうしてアリューシャの教育係を引き受けてもらった直後に早速で申し訳ないのだが、私の母が、……王妃陛下が、来月茶会を開く予定があるんだ」
「は、はい……」
王妃陛下が、お茶会?
え?それが、何なんだろう……。
じわりと不安を覚えつつ、私はセレオン殿下の次の言葉を待った。さっきまでセレオン殿下から長いお説教をくらっていたアリューシャ王女は、もうご機嫌にデザートを食べている。
「それでね、アリューシャが最近めっきり成長したらしいという評判を聞いて、この子をその茶会の席に招きたいと言っているんだ。それと、この子の教育係の君をね」
「……え……」
…………え?
「これまで教師たちが苦心していたこのお転婆娘を手懐けた君がどんな女性なのか、気になって仕方ないらしい。一緒に出席して、母に顔を見せてやってもらえるかな。向こうは楽しみにしているんだ」
「……っ、」
な……、
何ですって…………?!
自分の血の気が引いていく、ザァァーッという音が聞こえた気がした。わ、私が……?意を決して王女様の教育係になることをお引き受けしたばかりの、この私が……、今度は王妃陛下のお茶会に、出席……?
(あ、やっぱり引き受けるべきじゃなかったかも)
ほんの一瞬そんな考えが頭をよぎるほどに、私は戦いた。強張った私の表情を見てか、セレオン殿下が慌てたようにフォローする。
「いや、そんなに気負う必要はないよ。母はただ、君に礼が言いたいだけだと思うから。女性同士で楽しくお喋りがしたいだけさ。決して君の一挙手一投足を品定めしようとしているわけじゃない。まぁ、温厚な人だよ。大丈夫だから」
「……は……、はい……っ。し、承知、いたしました……」
明らかに不自然な声で答える私に、殿下は困ったように微笑んだ。
「心配しないで。君がこれまで置かれていた環境については説明してあるし、まだ社交の場に不慣れなことも母には分かっているよ。アリューシャのマナーだってまだまだ完璧ではないこともね。……だから、どうか気楽に楽しんできてほしい。君にとっても良い経験になると思うよ」
「は、はい……。ありがとうございます、殿下」
セレオン殿下の優しい言葉の節々に、私への気遣いが溢れている。緊張するなと言われても絶対に無理だけど、そのお気持ちを汲んで、私も前向きに受け止めようとした。
「アリューシャも、分かったね?来月だよ。ミラベル嬢が安心して参加できるよう、お前もしっかり茶会のマナーを学んでおくんだ」
「はぁい、分かったわ。ちょっとめんどくさいけど……。でもミラベルさんと一緒に行けるならどこでも嬉しいわ!ちゃんとミラベルさんの顔を潰さないように頑張るから、私!」
「あ、あは……」
ああ、顔が引きつる……。
この時の私はまだ、とても消極的な気持ちだった。
畏れ多くも王女殿下の教育係の任を賜り、しかもその直後に王妃陛下主催の茶会に参加するよう言われ、これからの日々に対して喜び以上に不安と緊張感があった。
けれど、この翌日。
私が俄然やる気を漲らせることとなる、ある人たちとの出会いがあった。
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