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78. 結ばれた心
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エルドの瞳はいつもと同じように優しく、そして穏やかだった。だけど彼の表情はやはりかすかに強張り、緊張しているのが分かる。……こころなしか、耳朶が少し赤い。
「アリア様。あなたは以前、書庫で本をお選びになっている時に、俺にこう言いました。男は手に入れた女には興味を失くし、新たな女性に目が行くものなのだと。……覚えていらっしゃいますか?」
そのことなら、はっきりと覚えている。ジェラルド元国王の浮気を初めて目撃して衝撃を受けた後だったっけ。すでに彼が公務を放り出しフラフラと遊びはじめた頃だった。心細くて傷付いて、それを必死に隠しながら仕事と勉強に邁進していた。
一体、今から何の話が始まるの……?エルドは何を言うつもりなんだろう。
全身を期待と不安が駆け巡る。大きく脈打ち続ける心臓の音さえ煩わしく思えるほどに、私はエルドの言葉だけに全神経を集中させた。緊張のあまり今にもフラつきそうだったけれど、震える足に力を込めながらどうにか立っていた。
「……俺は違います。俺はそんな男じゃない。愛する人をこの手に得られるのなら、生涯その方への想いを貫くと誓います。……あなたさえ、得られるのなら」
「……エル、ド……」
私を、得られるのなら……?
本当に?
これは、今、現実に起こっていることなの……?
あなたも、私のことを……?
エルドはその大きく温かい手で私の両手をそっと包み込んだ。そして眦を赤く染めながら、私に言った。
「愛しています、アリア様。俺にはずっと、あなただけだった。身の程知らずの想いだと分かっていても、胸の奥から止めどなく溢れ出すこの熱を押し留めることなど、俺にはできませんでした。カナルヴァーラのあなたのご家族から正式に許可をいただき、今こうしてようやくあなたにこの想いを打ち明けております。……どうか、お願いです」
エルドはそう言うとその場に跪き、私の両手を優しく包み込んだままで私を見上げる。
気付けば私の頬を涙が伝い落ちていた。
「一人の護衛騎士としてではなく、これからはあなたの人生の伴侶として、おそばにいさせてください。俺はずっとあなただけを見ていたい。誰よりも一番近くで、あなたのことを支えていきたいのです」
「……エルド……ッ」
もう堪えきれなかった。エルドから両手を離し、くしゃりと歪んだ顔を急いで隠す。後から後から涙が溢れ、子どものように泣きじゃくる。胸がいっぱいで言葉が出ない。エルドが立ち上がり、取り乱す私を力強く抱きしめた。
まさかエルドがこの私のことを、こんなにも強く想ってくれていたなんて。その気持ちは、本当に嬉しい。私の方こそ、ずっと心の中でこの人だけを想い続けていたのだから。
だけど……素直にこの胸に飛び込むには、あまりにも……
「……わ……、私は……、あなたに相応しい相手では、ないでしょう……。だって、私は、あの男の妃だったのよ……」
私はもう、とうに清い体ではない。ファウラー侯爵家の令息であるエルドなら、私のような女でなくてもいくらでもお似合いの乙女がいるはずだ。過去に夫のいた女など、わざわざ選ぶ必要もないはずなのに。
だけど私の言葉を聞いたエルドはますます強く私を抱きしめ、切羽詰まった声で言う。
「それが何だと言うのですか!俺はあなたの過去の痛みも苦しみも、全てをこの身に受け止めたい。あなたが乗り越えてきた様々な経験が、今のあなたという美しい人を形作っているのです。あなたが一人でもがき苦しみながら、それでも必死に前に進んでいくお姿をずっと見てきました。もどかしくてならなかった。本当はただ見守っているだけじゃなく、隣に並び、あなたを支え、一緒に戦いたかった。どうか……、あなたに寄り添うその幸福な立場を、俺に与えてください、アリア様。あなたが苦しい時に、誰に遠慮することもなく真っ先に手を差し伸べる権利を」
エルドが止めどなく与えてくれる愛の言葉が、私の心に優しく降り積もっていく。傷や痛みを覆い隠すように、癒やすように、私の心を包み込んでくれる。
その大きな手がそっと私の手をとり、涙でぐしょぐしょになった顔がさらされる。恥ずかしくて、……何よりどうしようもなく嬉しくて。
彼は左腕で私の腰をしっかりと引き寄せたまま、もう片方の手で私の頬を優しく撫で、涙を拭き取っていく。
「……聞かせてください、アリア様。どうかあなたの口から、俺を受け入れると」
その口調は切実で、祈るような眼差しは真剣そのものだった。エルドの胸に飛び込むことを躊躇していた私の心は、愛情溢れるその眼差しの前に決壊した。
新たな涙を流しながら、私は震える声で必死に想いを伝える。
「わ……、私……、私こそ、あなたのことをずっとずっと想っていたわ……。決して誰にも知られてはいけないと、何も望んではいけないと自分を戒めながら、それでもこの想いを……断ち切ることなんてできなかった……」
「…………っ!」
エルドが息を呑み、その美しい翠色の瞳が見開かれる。わずかに揺れるその瞳を見つめながら、私は溢れ出した自分の想いの全てを伝える。
「エルド、あなたのことが大好きよ。傷付いて、孤独で心細くて、心が折れそうな時でも、あなたがそばにいてくれたから私はここで生きていられた。あなたは私の心も、ずっと守ってくれていたのよ。……ありがとう、エルド……」
「……アリア様……。これは……夢ではないのですね……」
エルドの声も震えている。私たちは言葉を失くし、ただ見つめ合った。これまで秘め続けた想いを伝え合うように。
やがて私たちはどちらからともなく、ゆっくりと顔を近づけた。夢見心地のまま静かに目を閉じ、エルドの唇が重なるのを受け入れる。
触れ合う体温は頭が真っ白になるほど甘美なもので、私は無意識にエルドの肩に手を伸ばし、指先に力をこめていた。それに呼応するように、エルドが一層強く私を抱き寄せる。
どれくらいの間でそうしていただろう。互いの想いを確かめ合うように何度も唇を重ねた私たちは、やがて名残惜しくもゆっくりと体を離し、再び見つめ合う。
もう迷いはなかった。私は自分の想いを噛みしめながら、目の前の愛する人に乞う。
「……私も、あなたの隣にいたい。いつかこの命が終わるその日まで、ずっと。……私と一緒に、生きていってくれる?」
「……もちろんです、アリア様。誰が何と言おうと、あなたのそばから決して離れません。どんなに長く苦しい道でも、一緒に歩いていきましょう。あなたの荷物を、俺にも背負わせてください」
その瞳を見つめれば、エルドの想いの強さが分かる。この国に来て以来初めて感じる幸福に浸りながら、私は彼の胸に顔を埋めて目を閉じた。柔らかな風がふわりと吹き、いくつもの花びらが私たちの周りに舞い上がる。
エルドは私の髪に何度も口づけながら、しっかりと私を抱きしめていた──────
「アリア様。あなたは以前、書庫で本をお選びになっている時に、俺にこう言いました。男は手に入れた女には興味を失くし、新たな女性に目が行くものなのだと。……覚えていらっしゃいますか?」
そのことなら、はっきりと覚えている。ジェラルド元国王の浮気を初めて目撃して衝撃を受けた後だったっけ。すでに彼が公務を放り出しフラフラと遊びはじめた頃だった。心細くて傷付いて、それを必死に隠しながら仕事と勉強に邁進していた。
一体、今から何の話が始まるの……?エルドは何を言うつもりなんだろう。
全身を期待と不安が駆け巡る。大きく脈打ち続ける心臓の音さえ煩わしく思えるほどに、私はエルドの言葉だけに全神経を集中させた。緊張のあまり今にもフラつきそうだったけれど、震える足に力を込めながらどうにか立っていた。
「……俺は違います。俺はそんな男じゃない。愛する人をこの手に得られるのなら、生涯その方への想いを貫くと誓います。……あなたさえ、得られるのなら」
「……エル、ド……」
私を、得られるのなら……?
本当に?
これは、今、現実に起こっていることなの……?
あなたも、私のことを……?
エルドはその大きく温かい手で私の両手をそっと包み込んだ。そして眦を赤く染めながら、私に言った。
「愛しています、アリア様。俺にはずっと、あなただけだった。身の程知らずの想いだと分かっていても、胸の奥から止めどなく溢れ出すこの熱を押し留めることなど、俺にはできませんでした。カナルヴァーラのあなたのご家族から正式に許可をいただき、今こうしてようやくあなたにこの想いを打ち明けております。……どうか、お願いです」
エルドはそう言うとその場に跪き、私の両手を優しく包み込んだままで私を見上げる。
気付けば私の頬を涙が伝い落ちていた。
「一人の護衛騎士としてではなく、これからはあなたの人生の伴侶として、おそばにいさせてください。俺はずっとあなただけを見ていたい。誰よりも一番近くで、あなたのことを支えていきたいのです」
「……エルド……ッ」
もう堪えきれなかった。エルドから両手を離し、くしゃりと歪んだ顔を急いで隠す。後から後から涙が溢れ、子どものように泣きじゃくる。胸がいっぱいで言葉が出ない。エルドが立ち上がり、取り乱す私を力強く抱きしめた。
まさかエルドがこの私のことを、こんなにも強く想ってくれていたなんて。その気持ちは、本当に嬉しい。私の方こそ、ずっと心の中でこの人だけを想い続けていたのだから。
だけど……素直にこの胸に飛び込むには、あまりにも……
「……わ……、私は……、あなたに相応しい相手では、ないでしょう……。だって、私は、あの男の妃だったのよ……」
私はもう、とうに清い体ではない。ファウラー侯爵家の令息であるエルドなら、私のような女でなくてもいくらでもお似合いの乙女がいるはずだ。過去に夫のいた女など、わざわざ選ぶ必要もないはずなのに。
だけど私の言葉を聞いたエルドはますます強く私を抱きしめ、切羽詰まった声で言う。
「それが何だと言うのですか!俺はあなたの過去の痛みも苦しみも、全てをこの身に受け止めたい。あなたが乗り越えてきた様々な経験が、今のあなたという美しい人を形作っているのです。あなたが一人でもがき苦しみながら、それでも必死に前に進んでいくお姿をずっと見てきました。もどかしくてならなかった。本当はただ見守っているだけじゃなく、隣に並び、あなたを支え、一緒に戦いたかった。どうか……、あなたに寄り添うその幸福な立場を、俺に与えてください、アリア様。あなたが苦しい時に、誰に遠慮することもなく真っ先に手を差し伸べる権利を」
エルドが止めどなく与えてくれる愛の言葉が、私の心に優しく降り積もっていく。傷や痛みを覆い隠すように、癒やすように、私の心を包み込んでくれる。
その大きな手がそっと私の手をとり、涙でぐしょぐしょになった顔がさらされる。恥ずかしくて、……何よりどうしようもなく嬉しくて。
彼は左腕で私の腰をしっかりと引き寄せたまま、もう片方の手で私の頬を優しく撫で、涙を拭き取っていく。
「……聞かせてください、アリア様。どうかあなたの口から、俺を受け入れると」
その口調は切実で、祈るような眼差しは真剣そのものだった。エルドの胸に飛び込むことを躊躇していた私の心は、愛情溢れるその眼差しの前に決壊した。
新たな涙を流しながら、私は震える声で必死に想いを伝える。
「わ……、私……、私こそ、あなたのことをずっとずっと想っていたわ……。決して誰にも知られてはいけないと、何も望んではいけないと自分を戒めながら、それでもこの想いを……断ち切ることなんてできなかった……」
「…………っ!」
エルドが息を呑み、その美しい翠色の瞳が見開かれる。わずかに揺れるその瞳を見つめながら、私は溢れ出した自分の想いの全てを伝える。
「エルド、あなたのことが大好きよ。傷付いて、孤独で心細くて、心が折れそうな時でも、あなたがそばにいてくれたから私はここで生きていられた。あなたは私の心も、ずっと守ってくれていたのよ。……ありがとう、エルド……」
「……アリア様……。これは……夢ではないのですね……」
エルドの声も震えている。私たちは言葉を失くし、ただ見つめ合った。これまで秘め続けた想いを伝え合うように。
やがて私たちはどちらからともなく、ゆっくりと顔を近づけた。夢見心地のまま静かに目を閉じ、エルドの唇が重なるのを受け入れる。
触れ合う体温は頭が真っ白になるほど甘美なもので、私は無意識にエルドの肩に手を伸ばし、指先に力をこめていた。それに呼応するように、エルドが一層強く私を抱き寄せる。
どれくらいの間でそうしていただろう。互いの想いを確かめ合うように何度も唇を重ねた私たちは、やがて名残惜しくもゆっくりと体を離し、再び見つめ合う。
もう迷いはなかった。私は自分の想いを噛みしめながら、目の前の愛する人に乞う。
「……私も、あなたの隣にいたい。いつかこの命が終わるその日まで、ずっと。……私と一緒に、生きていってくれる?」
「……もちろんです、アリア様。誰が何と言おうと、あなたのそばから決して離れません。どんなに長く苦しい道でも、一緒に歩いていきましょう。あなたの荷物を、俺にも背負わせてください」
その瞳を見つめれば、エルドの想いの強さが分かる。この国に来て以来初めて感じる幸福に浸りながら、私は彼の胸に顔を埋めて目を閉じた。柔らかな風がふわりと吹き、いくつもの花びらが私たちの周りに舞い上がる。
エルドは私の髪に何度も口づけながら、しっかりと私を抱きしめていた──────
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