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55.プレストン辺境伯領へ
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書簡のやり取りの中で訪問の許可を貰い、私はリネットやエルドたちと共にラドレイヴン王国の西端の地にやって来た。プレストン辺境伯領はたしかに広大で、そしてとてものどかだった。見渡す限りの麦畑の他には、穀物や野菜も多く実っているようだ。放牧されたたくさんの家畜たちに、ところどころに見える工場のような、大きな立派な建物。天候は良く気持ちのいい風が吹き、青空を自由に飛び回る鳥たちは高らかに歌っている。まさに風光明媚といった言葉がよく似合う、居心地の良さを感じる土地だった。王都からやって来るとまるで別の国のように感じられる。
「まさか王妃陛下にわざわざお越しいただけるとは、光栄の極みにございます。ご足労をおかけしてしまいました。お疲れではありませんか?」
大きなお屋敷の応接間で対応してくれたプレストン辺境伯は、とても落ち着いた雰囲気の素敵な男性だった。ところどころ白髪の交じった髪はきちんとセットされ、質の良い服を身にまとったその姿は清潔感に溢れている。上品で好感のもてる方だ。コーデリア様より随分年上とは聞いていたけれど…、たしかに、かなり離れているのは間違いなさそうだ。
そのコーデリア様の姿は応接間にはなかった。対応してくれたのが辺境伯お一人だったことに、わずかな不安を覚える。やはり私には会いたくないのかしら。それともどこかへお出かけなのか…。
気になってそわそわしてしまうけれど、そんな内心はおくびにも出さずにいた。
「いえ、大丈夫です。突然の申し出を受け入れていただき感謝いたします、プレストン辺境伯。…ここはとても素敵なところですね」
素直な感想を述べると、プレストン辺境伯は人の良さそうな優しい笑顔を見せた。
「王妃陛下に気に入っていただけたのでしたら幸いです。この辺りは気候にとても恵まれており、家畜も農作物も育てるには最適な地です。おかげさまで我がプレストン家は長年安定した暮らしを送っておりますよ」
…よし。この話の流れで切り出しそう…。東側諸国の経済状況と我が国からの支援について。
「…プレストン辺境伯、…差し上げた手紙にも少し記しましたが、先日…」
その時だった。
「失礼いたします」
ノックとともに扉が開き、応接間の中に一人の女性が入ってきた。その姿を一目見た途端、私の心臓が大きく高鳴る。
(…この方だわ。間違いない)
穏やかな笑みを浮かべたその若い女性は、腰まである艷やかな美しい栗色の髪をふわりと靡かせながら真っ直ぐに私の方に歩み寄ってきた。
透明感溢れる白い肌。吸い込まれそうな空色の瞳。柔らかいカナリアイエローのドレスを身にまとったその人は、私の目の前までやって来ると流れるような仕草でカーテシーを披露した。
「王妃陛下、こちらが妻のコーデリアでございます」
プレストン辺境伯の紹介と共に、コーデリア様が愛らしい小鳥の囀りのような澄んだ声で挨拶をくれる。
「コーデリアでございます。王妃陛下、このたびは遠路はるばる我がプレストン辺境伯領までお越しいただき、大変光栄にございます。ようこそおいでくださいました」
(…素敵な方…)
我を忘れて一瞬見とれてしまった。柔らかで優しい雰囲気の中にも、圧倒的なオーラを感じる。このわずかな対面の時間だけで、この人が特別な魅力を持った女性であることが感じられた。生まれ育った環境の中で身に付いた気品と教養によるものだろう。
この人が、ジェラルド様の…、国王陛下の元婚約者…。
「…はじめまして、コーデリア様。お目にかかれて嬉しゅうございます。どうぞ、私のことはアリアとお呼びになってください」
私がそう返事をすると、コーデリア様は可憐な花がふわりと咲くような素敵な笑顔をくれた。私の訪問を心から受け入れてくれているのだと分かる笑顔だった。
その後のプレストン辺境伯夫妻との話し合いで、辺境伯は自分たちの私財の中からかの国への支援金や農作物の援助を申し出てくれた。
「今年は特に多くの作物が収穫できましたし、領民たちの生活も十二分に潤っております。コーデリアが王家より貰い受けたかつての王太子領で新たに始めた事業も順調で、さらにその時いただいた慰謝料という名目の現金も、我々の結婚に際しコーデリアの持参金としてデイヴィス侯爵から譲り受けまして。ですから、何もご心配には及びません」
その話題になると、何とも言えない気まずさを感じてしまう。
「…お心遣い痛み入ります、プレストン辺境伯」
妻をかつて深く傷付けた国王の現在の妻である私に、思うところがあるのかもしれない。チクリと刺された気がして、思わず視線を伏せる。
「…アリア様、我が屋敷のガゼボは私の一番のお気に入りの場所なんです。中庭にあるのですが、ここに嫁いできた時その庭園のあまりの美しさに私が感動していると、夫がすぐさま造ってくれたんですのよ。ふふ。…よろしかったら、ご覧いただけませんか?」
コーデリア様がそう言うと、私に優しく微笑みかける。
(…お気に入りの場所が、中庭のガゼボ…。まるで私と同じね)
私もこの国に嫁いできてすぐに、王宮の中庭のガゼボが気に入ったっけ。最近ではほとんど行くことがなくなってしまった。その代わりに、離宮の部屋のバルコニーから中庭を眺めることが多くなったけれど。
ほんの一瞬頭の中に、あの青い月の夜が蘇る。幻想的な光に照らされた、エルドの姿。心臓がトクンと音を立てた。背後に控えてくれているエルドの存在を途端に意識してしまい、私は慌てて気持ちを切り替えた。
「…嬉しいですわ、コーデリア様。ぜひ拝見させてください」
私がそう答えると、コーデリア様は嬉しそうに笑って静かに立ち上がる。それを優しく見守りながらプレストン辺境伯が言った。
「よかったじゃないかコーデリア。王妃陛下と二人でゆっくりと花々を愛でてくるといい。…王妃陛下、コーデリアはここでの生活を楽しんでおりますが、何分同年代の貴婦人方と会話をする機会が随分と減りましたもので。よかったらぜひ、最近の王都の様子や流行りのものなど、いろいろと教えてやってください」
プレストン辺境伯の言葉の節々に妻であるコーデリア様への深い愛情が感じられる。仲睦まじい二人の様子を見て、私は内心とても安堵していた。
「まさか王妃陛下にわざわざお越しいただけるとは、光栄の極みにございます。ご足労をおかけしてしまいました。お疲れではありませんか?」
大きなお屋敷の応接間で対応してくれたプレストン辺境伯は、とても落ち着いた雰囲気の素敵な男性だった。ところどころ白髪の交じった髪はきちんとセットされ、質の良い服を身にまとったその姿は清潔感に溢れている。上品で好感のもてる方だ。コーデリア様より随分年上とは聞いていたけれど…、たしかに、かなり離れているのは間違いなさそうだ。
そのコーデリア様の姿は応接間にはなかった。対応してくれたのが辺境伯お一人だったことに、わずかな不安を覚える。やはり私には会いたくないのかしら。それともどこかへお出かけなのか…。
気になってそわそわしてしまうけれど、そんな内心はおくびにも出さずにいた。
「いえ、大丈夫です。突然の申し出を受け入れていただき感謝いたします、プレストン辺境伯。…ここはとても素敵なところですね」
素直な感想を述べると、プレストン辺境伯は人の良さそうな優しい笑顔を見せた。
「王妃陛下に気に入っていただけたのでしたら幸いです。この辺りは気候にとても恵まれており、家畜も農作物も育てるには最適な地です。おかげさまで我がプレストン家は長年安定した暮らしを送っておりますよ」
…よし。この話の流れで切り出しそう…。東側諸国の経済状況と我が国からの支援について。
「…プレストン辺境伯、…差し上げた手紙にも少し記しましたが、先日…」
その時だった。
「失礼いたします」
ノックとともに扉が開き、応接間の中に一人の女性が入ってきた。その姿を一目見た途端、私の心臓が大きく高鳴る。
(…この方だわ。間違いない)
穏やかな笑みを浮かべたその若い女性は、腰まである艷やかな美しい栗色の髪をふわりと靡かせながら真っ直ぐに私の方に歩み寄ってきた。
透明感溢れる白い肌。吸い込まれそうな空色の瞳。柔らかいカナリアイエローのドレスを身にまとったその人は、私の目の前までやって来ると流れるような仕草でカーテシーを披露した。
「王妃陛下、こちらが妻のコーデリアでございます」
プレストン辺境伯の紹介と共に、コーデリア様が愛らしい小鳥の囀りのような澄んだ声で挨拶をくれる。
「コーデリアでございます。王妃陛下、このたびは遠路はるばる我がプレストン辺境伯領までお越しいただき、大変光栄にございます。ようこそおいでくださいました」
(…素敵な方…)
我を忘れて一瞬見とれてしまった。柔らかで優しい雰囲気の中にも、圧倒的なオーラを感じる。このわずかな対面の時間だけで、この人が特別な魅力を持った女性であることが感じられた。生まれ育った環境の中で身に付いた気品と教養によるものだろう。
この人が、ジェラルド様の…、国王陛下の元婚約者…。
「…はじめまして、コーデリア様。お目にかかれて嬉しゅうございます。どうぞ、私のことはアリアとお呼びになってください」
私がそう返事をすると、コーデリア様は可憐な花がふわりと咲くような素敵な笑顔をくれた。私の訪問を心から受け入れてくれているのだと分かる笑顔だった。
その後のプレストン辺境伯夫妻との話し合いで、辺境伯は自分たちの私財の中からかの国への支援金や農作物の援助を申し出てくれた。
「今年は特に多くの作物が収穫できましたし、領民たちの生活も十二分に潤っております。コーデリアが王家より貰い受けたかつての王太子領で新たに始めた事業も順調で、さらにその時いただいた慰謝料という名目の現金も、我々の結婚に際しコーデリアの持参金としてデイヴィス侯爵から譲り受けまして。ですから、何もご心配には及びません」
その話題になると、何とも言えない気まずさを感じてしまう。
「…お心遣い痛み入ります、プレストン辺境伯」
妻をかつて深く傷付けた国王の現在の妻である私に、思うところがあるのかもしれない。チクリと刺された気がして、思わず視線を伏せる。
「…アリア様、我が屋敷のガゼボは私の一番のお気に入りの場所なんです。中庭にあるのですが、ここに嫁いできた時その庭園のあまりの美しさに私が感動していると、夫がすぐさま造ってくれたんですのよ。ふふ。…よろしかったら、ご覧いただけませんか?」
コーデリア様がそう言うと、私に優しく微笑みかける。
(…お気に入りの場所が、中庭のガゼボ…。まるで私と同じね)
私もこの国に嫁いできてすぐに、王宮の中庭のガゼボが気に入ったっけ。最近ではほとんど行くことがなくなってしまった。その代わりに、離宮の部屋のバルコニーから中庭を眺めることが多くなったけれど。
ほんの一瞬頭の中に、あの青い月の夜が蘇る。幻想的な光に照らされた、エルドの姿。心臓がトクンと音を立てた。背後に控えてくれているエルドの存在を途端に意識してしまい、私は慌てて気持ちを切り替えた。
「…嬉しいですわ、コーデリア様。ぜひ拝見させてください」
私がそう答えると、コーデリア様は嬉しそうに笑って静かに立ち上がる。それを優しく見守りながらプレストン辺境伯が言った。
「よかったじゃないかコーデリア。王妃陛下と二人でゆっくりと花々を愛でてくるといい。…王妃陛下、コーデリアはここでの生活を楽しんでおりますが、何分同年代の貴婦人方と会話をする機会が随分と減りましたもので。よかったらぜひ、最近の王都の様子や流行りのものなど、いろいろと教えてやってください」
プレストン辺境伯の言葉の節々に妻であるコーデリア様への深い愛情が感じられる。仲睦まじい二人の様子を見て、私は内心とても安堵していた。
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