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32.ユリシーズ殿下の助言
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ジェラルド様と私が衝突して以来、案の定王宮内の人々の態度がますます冷たくなっていった。
ただでさえ人の出入りの少なかった離宮にはますます人が寄り付かなくなり、公務のために王宮に足を踏み入れても、すれ違う使用人や侍女たちの態度が違う。
あの日の騒ぎを聞いていた侍女や、マデリーン妃の友人という女性たち…、噂話を広める人はいくらでもいるだろう。私は国王陛下の寵愛を失った、隣国から来た子の成せない役立たずの正妃として扱われているのだ。
私は本当にただ公務をこなすだけのお飾り王妃になってしまった。
(だけど…、お飾りだろうと何だろうと、私は王妃。公務をサボる理由にはならないわ)
ましては国王があの調子なのだ。私まで仕事を投げ出してしまってはこの王宮内はどうなることか。
見くびられても、軽んじられても、私は日々黙々と自分の仕事をこなしていた。
そんなある日、私の元にとある来訪者があった。
「…ファルレーヌ王国の…、ユリシーズ殿下が…?」
「はい。急ぎ謁見の間までお越しくださいませ。国王陛下は取り込み中なので、妃陛下に対応をお願いしたいと」
普段はろくに挨拶もしてこなくなった侍女が強張った顔で私を呼びに離宮までやって来たのだ。気まずさからか、目を合わせようともしない。
(ユリシーズ殿下…。結婚式に来てくださった時にお目にかかって以来だわ)
優しい笑顔のファルレーヌ王国第一王子のお顔が頭の中に蘇る。
「リネット、手伝ってちょうだい」
「は、はいっ、アリア様」
私はリネットに身支度を手伝ってもらい、大急ぎで王宮へ向かった。
「…突然の来訪で驚かせてしまったかな。申し訳ない」
「とんでもないことでございます。先日は私共の結婚式にご参列いただき、本当にありがとうございました」
「あの日のあなたは神々しいほどの美しさでしたね。まだはっきりと覚えていますよ」
ユリシーズ殿下は相変わらずニコニコしながら私にそう答えてくれる。
ジェラルド様は何をしているのだろう。この場にいなくて大丈夫なのかしら…。仮にも他国の第一王子がこうしてわざわざ来られているのに…。
「…ユリシーズ殿下、国王がお会いできずに申し訳ございません」
「いえ、お構いなく。先ほど少しこちらの方に尋ねてみたのですが、陛下はお忙しそうですし、私も今回は我が国との貿易先の視察を兼ねて来ただけですから。あなた様にご挨拶をしたらすぐに出国しようと思っておりました」
「まぁ…、そうなのですね。それはわざわざ…。視察はもうお済みで?」
私の中で、話に聞いていたある人たちの存在がふと浮かんだ。
「ええ。先日は西の方のプレストン辺境伯の領地に行ってきました。相変わらずどことの取り引きも順調な様子でしたね」
「…そうですか。それは…」
その名を聞いて、心臓がドクンと大きく跳ねた。
やっぱり。以前アドラム公爵から少し話を聞いたことがある。国土西端に位置するプレストン辺境伯領。ジェラルド様の元婚約者コーデリア嬢はそちらの領主の元へ嫁いだと言っていた。
微妙な感情が顔に出てしまっていたのだろうか。ユリシーズ殿下は微笑みを浮かべたまま私に言った。
「…あなたがここへ嫁いでこられるまでは、プレストン辺境伯の今の奥様、コーデリア様が陛下の婚約者だったわけですよね。…お会いになったことは?」
「あ、ありません。…コーデリア様のことは話に聞いたことはございますが…。その件以降、お父上のデイヴィス侯爵も王宮を離れたそうですし、コーデリア様とも…」
踏み込んだことを尋ねられドギマギしてしまう。正直に話していいものだろうか。
だけどユリシーズ殿下はあくまで穏やかに言った。
「そうなのですね。…かのデイヴィス侯爵令嬢、コーデリア様は、ご存知かとは思いますが幼少の頃からジェラルド陛下の婚約者であったそうで。将来の王妃となるためそれはそれは厳しい教育に耐え抜いてこられたそうです。カナルヴァーラの王女であるあなた様も、ここへ嫁いでこられる以前から相応の教育をこなしてこられたのでしょうが。…突然大国の正妃として嫁ぐことになり、生まれ育った国を出られて、大変だったことでしょう。慣れない場所での生活に、新たな教育…。しっかりとやり抜き立派に務めを果たしておられるお姿、感心いたします」
「いえ、私などまだまだ未熟者でございますわ。…ですが、ありがとうございます」
ユリシーズ殿下の優しい言葉に、気を緩めたら涙が滲みそうだった。もうここには、私にこんな優しさを見せてくれる人なんてそんなに多くはいない。エルドたちやリネットがいてくれるだけ恵まれているけれど。
今もエルドは部屋の片隅に静かに立ったまま、じっと私を見守ってくれている。
その視線を、妙に意識してしまう。
そんな私の心の内など知るはずもないユリシーズ殿下は続けて言った。
「デイヴィス侯爵令嬢コーデリア様は、こちらの王宮で外交官として長く務めていらっしゃったお父上のコネクションも駆使して、諸外国との関係強化に力を入れていらっしゃいました。その頃はまだ先代国王陛下も健在でいらっしゃいましたが、近い将来ご自分が王家に嫁がれた後のことや、ジェラルド陛下が即位された後のことを考えておられたのでしょうね。お父上に伴うかたちで、時期王太子妃として外交会議の場に参加されていたこともありましたし、国際的なパーティーなどには積極的に参加して人脈を広げておいででした」
「…そう、だったのですね…」
改めて感心してしまう。コーデリア・デイヴィス侯爵令嬢…。本当に立派な方だったんだわ…。さぞ近隣諸国からの信頼も厚かったことだろう。
(…私は…、王宮内のみならず、近隣諸国からも受け入れられづらいのかもしれない…。そんな立派な方に取って代わり王妃となってしまっただなんて…)
弱気になどなるものかと何度も自分自身を叱咤してきたはずなのに、私の心はまたこんなことで情けなく揺れてしまった。
「アリア妃陛下」
「は、はい」
思わず下がってしまった顔を慌てて上げると、ユリシーズ殿下の澄んだ瞳が真正面から私を見つめていた。
「…ジェラルド陛下は側妃をお迎えになったとか。その側妃殿のお世話が忙しいようで、ご公務も滞りがちのようですね」
「……あ……」
ど、どこから情報が入ったのだろう。…まぁ、この王国内を回って来られた後なら、誰からでも情報は入るか…。
今の情けない王宮の現状を見透かされているような殿下の言葉に恥ずかしさが込み上げる。
「ですが、あなた様がこうして立派に務めを果たしておられるおかげで、今のところ何も問題は起きていないようですね。安心いたしました。…どうぞ妃陛下、お心を強く持って頑張ってください。私で力になれることがあればいつでも助けになりますよ」
(…ユリシーズ殿下…)
暖かく包み込むようなその視線と言葉に、喉元まで込み上げてくるものをぐっと堪えると、私は一呼吸置いてから静かに微笑み、答えた。
「…お心遣いに感謝いたしますわ。心強いです。…とても」
「諸外国との関係を、大事になさってください、アリア妃陛下。コーデリア様が築いてこられた外交関係を引き継ぎ、あなた様のやり方でより強固なものにしていけば、きっといざという時に役に立つはずですから。このラドレイヴン王国は、大陸きっての大国。…しかし、いくら強い国力を持っているとはいえ、未来永劫安泰が決まっているということはないのですから」
「……はい。仰る通りですわ。ご忠告、肝に銘じます」
「はは。いやなに、忠告というほどのものじゃありませんよ。頑張っていらっしゃる妃陛下への、私からの小さなアドバイスです。…コーデリア様も、あなたのことを気にかけていらっしゃいましたよ」
「…えっ?そ、そうなのですかっ?」
意外な言葉に、思わず上擦った声が出てしまう。…コーデリア様が、私のことを…?
「ええ。辺境伯領にも、王家の噂は届いているようで。妃陛下が心安らかに公務に励んでおられればよいのですがと言っておいででしたよ」
「……っ、」
一度もお会いしたことのない、この国の侯爵家のご令嬢。
陰謀渦巻き、誰もが表と裏を使い分けながら上手く渡っていこうとする社交界で、貴族家の人々の言葉を簡単に信じることはきっと馬鹿げているのだろう。
…だけど。
「さぁ、では私はそろそろ失礼しようかな。お元気そうなお顔を拝見して安心しました」
「…ありがとうございます、ユリシーズ殿下。本日はお会いできて、本当によかったです」
「私もですよ。ぜひまたお話いたしましょう。次にお会いできる日を楽しみにしておりますので」
「ええ。こちらこそ」
ユリシーズ殿下の気遣いと、まだ見ぬコーデリア様のお話を聞き、私は久しぶりに穏やかな心持ちになったのだった。
ただでさえ人の出入りの少なかった離宮にはますます人が寄り付かなくなり、公務のために王宮に足を踏み入れても、すれ違う使用人や侍女たちの態度が違う。
あの日の騒ぎを聞いていた侍女や、マデリーン妃の友人という女性たち…、噂話を広める人はいくらでもいるだろう。私は国王陛下の寵愛を失った、隣国から来た子の成せない役立たずの正妃として扱われているのだ。
私は本当にただ公務をこなすだけのお飾り王妃になってしまった。
(だけど…、お飾りだろうと何だろうと、私は王妃。公務をサボる理由にはならないわ)
ましては国王があの調子なのだ。私まで仕事を投げ出してしまってはこの王宮内はどうなることか。
見くびられても、軽んじられても、私は日々黙々と自分の仕事をこなしていた。
そんなある日、私の元にとある来訪者があった。
「…ファルレーヌ王国の…、ユリシーズ殿下が…?」
「はい。急ぎ謁見の間までお越しくださいませ。国王陛下は取り込み中なので、妃陛下に対応をお願いしたいと」
普段はろくに挨拶もしてこなくなった侍女が強張った顔で私を呼びに離宮までやって来たのだ。気まずさからか、目を合わせようともしない。
(ユリシーズ殿下…。結婚式に来てくださった時にお目にかかって以来だわ)
優しい笑顔のファルレーヌ王国第一王子のお顔が頭の中に蘇る。
「リネット、手伝ってちょうだい」
「は、はいっ、アリア様」
私はリネットに身支度を手伝ってもらい、大急ぎで王宮へ向かった。
「…突然の来訪で驚かせてしまったかな。申し訳ない」
「とんでもないことでございます。先日は私共の結婚式にご参列いただき、本当にありがとうございました」
「あの日のあなたは神々しいほどの美しさでしたね。まだはっきりと覚えていますよ」
ユリシーズ殿下は相変わらずニコニコしながら私にそう答えてくれる。
ジェラルド様は何をしているのだろう。この場にいなくて大丈夫なのかしら…。仮にも他国の第一王子がこうしてわざわざ来られているのに…。
「…ユリシーズ殿下、国王がお会いできずに申し訳ございません」
「いえ、お構いなく。先ほど少しこちらの方に尋ねてみたのですが、陛下はお忙しそうですし、私も今回は我が国との貿易先の視察を兼ねて来ただけですから。あなた様にご挨拶をしたらすぐに出国しようと思っておりました」
「まぁ…、そうなのですね。それはわざわざ…。視察はもうお済みで?」
私の中で、話に聞いていたある人たちの存在がふと浮かんだ。
「ええ。先日は西の方のプレストン辺境伯の領地に行ってきました。相変わらずどことの取り引きも順調な様子でしたね」
「…そうですか。それは…」
その名を聞いて、心臓がドクンと大きく跳ねた。
やっぱり。以前アドラム公爵から少し話を聞いたことがある。国土西端に位置するプレストン辺境伯領。ジェラルド様の元婚約者コーデリア嬢はそちらの領主の元へ嫁いだと言っていた。
微妙な感情が顔に出てしまっていたのだろうか。ユリシーズ殿下は微笑みを浮かべたまま私に言った。
「…あなたがここへ嫁いでこられるまでは、プレストン辺境伯の今の奥様、コーデリア様が陛下の婚約者だったわけですよね。…お会いになったことは?」
「あ、ありません。…コーデリア様のことは話に聞いたことはございますが…。その件以降、お父上のデイヴィス侯爵も王宮を離れたそうですし、コーデリア様とも…」
踏み込んだことを尋ねられドギマギしてしまう。正直に話していいものだろうか。
だけどユリシーズ殿下はあくまで穏やかに言った。
「そうなのですね。…かのデイヴィス侯爵令嬢、コーデリア様は、ご存知かとは思いますが幼少の頃からジェラルド陛下の婚約者であったそうで。将来の王妃となるためそれはそれは厳しい教育に耐え抜いてこられたそうです。カナルヴァーラの王女であるあなた様も、ここへ嫁いでこられる以前から相応の教育をこなしてこられたのでしょうが。…突然大国の正妃として嫁ぐことになり、生まれ育った国を出られて、大変だったことでしょう。慣れない場所での生活に、新たな教育…。しっかりとやり抜き立派に務めを果たしておられるお姿、感心いたします」
「いえ、私などまだまだ未熟者でございますわ。…ですが、ありがとうございます」
ユリシーズ殿下の優しい言葉に、気を緩めたら涙が滲みそうだった。もうここには、私にこんな優しさを見せてくれる人なんてそんなに多くはいない。エルドたちやリネットがいてくれるだけ恵まれているけれど。
今もエルドは部屋の片隅に静かに立ったまま、じっと私を見守ってくれている。
その視線を、妙に意識してしまう。
そんな私の心の内など知るはずもないユリシーズ殿下は続けて言った。
「デイヴィス侯爵令嬢コーデリア様は、こちらの王宮で外交官として長く務めていらっしゃったお父上のコネクションも駆使して、諸外国との関係強化に力を入れていらっしゃいました。その頃はまだ先代国王陛下も健在でいらっしゃいましたが、近い将来ご自分が王家に嫁がれた後のことや、ジェラルド陛下が即位された後のことを考えておられたのでしょうね。お父上に伴うかたちで、時期王太子妃として外交会議の場に参加されていたこともありましたし、国際的なパーティーなどには積極的に参加して人脈を広げておいででした」
「…そう、だったのですね…」
改めて感心してしまう。コーデリア・デイヴィス侯爵令嬢…。本当に立派な方だったんだわ…。さぞ近隣諸国からの信頼も厚かったことだろう。
(…私は…、王宮内のみならず、近隣諸国からも受け入れられづらいのかもしれない…。そんな立派な方に取って代わり王妃となってしまっただなんて…)
弱気になどなるものかと何度も自分自身を叱咤してきたはずなのに、私の心はまたこんなことで情けなく揺れてしまった。
「アリア妃陛下」
「は、はい」
思わず下がってしまった顔を慌てて上げると、ユリシーズ殿下の澄んだ瞳が真正面から私を見つめていた。
「…ジェラルド陛下は側妃をお迎えになったとか。その側妃殿のお世話が忙しいようで、ご公務も滞りがちのようですね」
「……あ……」
ど、どこから情報が入ったのだろう。…まぁ、この王国内を回って来られた後なら、誰からでも情報は入るか…。
今の情けない王宮の現状を見透かされているような殿下の言葉に恥ずかしさが込み上げる。
「ですが、あなた様がこうして立派に務めを果たしておられるおかげで、今のところ何も問題は起きていないようですね。安心いたしました。…どうぞ妃陛下、お心を強く持って頑張ってください。私で力になれることがあればいつでも助けになりますよ」
(…ユリシーズ殿下…)
暖かく包み込むようなその視線と言葉に、喉元まで込み上げてくるものをぐっと堪えると、私は一呼吸置いてから静かに微笑み、答えた。
「…お心遣いに感謝いたしますわ。心強いです。…とても」
「諸外国との関係を、大事になさってください、アリア妃陛下。コーデリア様が築いてこられた外交関係を引き継ぎ、あなた様のやり方でより強固なものにしていけば、きっといざという時に役に立つはずですから。このラドレイヴン王国は、大陸きっての大国。…しかし、いくら強い国力を持っているとはいえ、未来永劫安泰が決まっているということはないのですから」
「……はい。仰る通りですわ。ご忠告、肝に銘じます」
「はは。いやなに、忠告というほどのものじゃありませんよ。頑張っていらっしゃる妃陛下への、私からの小さなアドバイスです。…コーデリア様も、あなたのことを気にかけていらっしゃいましたよ」
「…えっ?そ、そうなのですかっ?」
意外な言葉に、思わず上擦った声が出てしまう。…コーデリア様が、私のことを…?
「ええ。辺境伯領にも、王家の噂は届いているようで。妃陛下が心安らかに公務に励んでおられればよいのですがと言っておいででしたよ」
「……っ、」
一度もお会いしたことのない、この国の侯爵家のご令嬢。
陰謀渦巻き、誰もが表と裏を使い分けながら上手く渡っていこうとする社交界で、貴族家の人々の言葉を簡単に信じることはきっと馬鹿げているのだろう。
…だけど。
「さぁ、では私はそろそろ失礼しようかな。お元気そうなお顔を拝見して安心しました」
「…ありがとうございます、ユリシーズ殿下。本日はお会いできて、本当によかったです」
「私もですよ。ぜひまたお話いたしましょう。次にお会いできる日を楽しみにしておりますので」
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