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14.健気な王妃(※sideエルド)
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王国騎士団長を務めている父から、ジェラルド国王陛下がお迎えになる王妃様の護衛筆頭に就くよう命じられた時は、特別な感慨もなかった。
王宮内ではあまりいい感情を持つ者のいなかった、国王陛下のこの結婚。陛下の長年の婚約者であられたコーデリア・デイヴィス侯爵令嬢は素晴らしい女性であったし、またその父君であるデイヴィス侯爵は王宮の外交官長として誠実に務め、人望も厚かった。
それなのに先代国王陛下が崩御されるやいなや、即位したジェラルド国王はそのデイヴィス侯爵家をポイ捨てするように婚約を解消し、突然隣国カナルヴァーラのアリア王女を正妃にすると宣言したのだ。
重鎮たちは混乱し、王宮内は大騒ぎとなった。まだ見ぬアリア王女についてはそこかしこで悪い噂話が聞かれるようになった。ジェラルド国王が学生の頃カナルヴァーラに留学された時に王女に誑かされたに違いない、幼少の頃からの婚約者がいる陛下に言い寄るなどロクなものじゃなかろう、カナルヴァーラの陰謀だ、我が国を乗っ取ることを企んでいるに違いない……
結局ジェラルド国王の固い意志を曲げることは誰にもできず、デイヴィス侯爵は王宮を去り、渦中のカナルヴァーラの王女は我が国の王妃として迎え入れられた。
「エルド・ファウラーです。アリア妃陛下、お目にかかれて光栄に存じます」
「こちらこそ。どうぞよろしく」
「……。」
挨拶をする俺に優しく微笑むその人は、確かに美しかった。見事なピンクブロンドの長い巻き毛は惚れ惚れするほど艷やかで、深い紫色の瞳は慈愛に満ちて見えた。柔和で整った顔立ちは精巧な人形のように綺麗で、そのたおやかな雰囲気は人を安心させる。きっと大切に育てられてきたのだろうと感じさせた。
王宮に到着された最初の日の夕食を、アリア様は一人で食堂でとられた。
陛下もせめて最初の夜ぐらい、食事の席を共にしてさしあげてもいいのではないか。どことなく寂しそうにナイフを動かす妃陛下の後ろ姿を見ながら、俺はそんなことを思った。しょんぼりとしたそのか細い姿からは、国王を誑かしこの国の実権を握ろうなどとあくどいことを考えているような雰囲気は微塵も感じられなかった。
だが、そんなことは正直どうでもいい。
この方が見かけ通りの穏やかな優しい人物だろうと、噂通りの狡猾であざとい小悪魔だろうと、王妃は王妃だ。俺の使命はこの方に危険が及ばぬよう守り抜くこと。それだけだ。
最初はそう冷静に、客観的に見ていた。
ジェラルド国王のアリア様への溺愛ぶりは目に余るほどだった。よほど恋焦がれていたのであろう、嫁いできたことが嬉しくてたまらない様子だった。ところ構わず時を選ばず、アリア様の元へやって来ては撫でまわし、頬や額に口づけを落とし、労りの言葉をかけていた。そして側近のアドラム公爵令息に急かされて公務に戻っていく。周囲の者たちは目のやり場に困るほどだった。
アリア様も居心地悪そうに、されるがまま身を任せていた。
しかしその蜜月もあっという間に終わりを迎えた。
ジェラルド国王は、やはりあの女好きの先代のご子息だ。血は争えない、というやつだろう。数ヶ月経つ頃にはあんなにもご執心だったアリア様に見向きもしなくなり、他の女性を王宮に招き入れはじめたのだ。
アリア様が最初にその現場を目撃した時、俺もそばにいた。
その日もアリア様はお一人で公務を取りしきり、来客の応対が終わってしばらくした後、休憩をかねて中庭に行こうとしていた。俺はすぐに後を追う。この頃すでにジェラルド国王は公務をさぼりがちになっており、王妃教育を終えたばかりのアリア様はほとんど毎日のように一人で公務に勤しんでいた。
見知らぬ異国の地に突然やって来てまだ一年も経っていない。そんな中で唯一頼りにしていたはずのジェラルド国王は、一体どこで何をしているのかなかなか一緒に過ごす時間も取れなくなっている。さぞや心細い思いをなさっていることだろう。俺はそう思うようになっていた。
だがアリア様は表向き一切弱音を吐くこともなくひたすら真面目に勉強や公務に取り組んでおり、噂されていたようなあざとい女性にはとても見えなかった。
(…人の噂話など本当にアテにならぬものだな)
懸命でひたむき。そんな言葉がしっくりくる彼女の日々の生活ぶりに、俺はこの時すでに好感を抱いていた。この人ならば、我が国を良い方向へ導く素晴らしい王妃であってくれるだろうという予感があった。
そんなアリア様が、ジェラルド国王の浮気現場を目撃してしまった。
王宮の建物を出て、陛下とおぼしき人影を追うアリア様。何となく嫌な予感はしていたが、止めることもできずに俺は後を追った。
アリア様の後ろにいた俺や侍女にもはっきりと見えてしまった。
陛下が膝の上に女性を乗せ、口づけを交わしているところが。
アリア様のか細い後ろ姿は凍りついたように動かなくなり、その衝撃を思いやって俺の心は痛んだ。
さほど間を置かず、奥の方から陛下の側近のアドラム公爵令息が顔を出し、アリア様は慌てて建物の陰に隠れこちらにくるりと体を向けた。その顔は蒼白だった。
「……ア、……アリア、さま……」
「……っ、…見ちゃいけないものを見てしまったわね。二人とも、このことは誰にも秘密よ」
「…アリア様…」
「しっ。…さ、今日はもう戻りましょう。中庭はまた今度ね」
オロオロする侍女に気丈に微笑んでみせると、アリア様は静かにその場を離れた。
(…お可哀相に。大国を背負って一人で必死に頑張っていらっしゃるのに、……今どれほど傷付いておられるか)
若く純真な女性にとって、夫となった男の裏切りは大きなショックだろう。
彼女はどう見ても、他の女にこの座を奪われてたまるものかという気概を見せ強く立ち向かっていくような図太いタイプには思えない。
ピンクブロンドの艷やかな髪を靡かせながら、小さな背中を凛と伸ばして歩くその後ろ姿に、見ているこちらの胸が苦しくなった。
王宮内ではあまりいい感情を持つ者のいなかった、国王陛下のこの結婚。陛下の長年の婚約者であられたコーデリア・デイヴィス侯爵令嬢は素晴らしい女性であったし、またその父君であるデイヴィス侯爵は王宮の外交官長として誠実に務め、人望も厚かった。
それなのに先代国王陛下が崩御されるやいなや、即位したジェラルド国王はそのデイヴィス侯爵家をポイ捨てするように婚約を解消し、突然隣国カナルヴァーラのアリア王女を正妃にすると宣言したのだ。
重鎮たちは混乱し、王宮内は大騒ぎとなった。まだ見ぬアリア王女についてはそこかしこで悪い噂話が聞かれるようになった。ジェラルド国王が学生の頃カナルヴァーラに留学された時に王女に誑かされたに違いない、幼少の頃からの婚約者がいる陛下に言い寄るなどロクなものじゃなかろう、カナルヴァーラの陰謀だ、我が国を乗っ取ることを企んでいるに違いない……
結局ジェラルド国王の固い意志を曲げることは誰にもできず、デイヴィス侯爵は王宮を去り、渦中のカナルヴァーラの王女は我が国の王妃として迎え入れられた。
「エルド・ファウラーです。アリア妃陛下、お目にかかれて光栄に存じます」
「こちらこそ。どうぞよろしく」
「……。」
挨拶をする俺に優しく微笑むその人は、確かに美しかった。見事なピンクブロンドの長い巻き毛は惚れ惚れするほど艷やかで、深い紫色の瞳は慈愛に満ちて見えた。柔和で整った顔立ちは精巧な人形のように綺麗で、そのたおやかな雰囲気は人を安心させる。きっと大切に育てられてきたのだろうと感じさせた。
王宮に到着された最初の日の夕食を、アリア様は一人で食堂でとられた。
陛下もせめて最初の夜ぐらい、食事の席を共にしてさしあげてもいいのではないか。どことなく寂しそうにナイフを動かす妃陛下の後ろ姿を見ながら、俺はそんなことを思った。しょんぼりとしたそのか細い姿からは、国王を誑かしこの国の実権を握ろうなどとあくどいことを考えているような雰囲気は微塵も感じられなかった。
だが、そんなことは正直どうでもいい。
この方が見かけ通りの穏やかな優しい人物だろうと、噂通りの狡猾であざとい小悪魔だろうと、王妃は王妃だ。俺の使命はこの方に危険が及ばぬよう守り抜くこと。それだけだ。
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ジェラルド国王のアリア様への溺愛ぶりは目に余るほどだった。よほど恋焦がれていたのであろう、嫁いできたことが嬉しくてたまらない様子だった。ところ構わず時を選ばず、アリア様の元へやって来ては撫でまわし、頬や額に口づけを落とし、労りの言葉をかけていた。そして側近のアドラム公爵令息に急かされて公務に戻っていく。周囲の者たちは目のやり場に困るほどだった。
アリア様も居心地悪そうに、されるがまま身を任せていた。
しかしその蜜月もあっという間に終わりを迎えた。
ジェラルド国王は、やはりあの女好きの先代のご子息だ。血は争えない、というやつだろう。数ヶ月経つ頃にはあんなにもご執心だったアリア様に見向きもしなくなり、他の女性を王宮に招き入れはじめたのだ。
アリア様が最初にその現場を目撃した時、俺もそばにいた。
その日もアリア様はお一人で公務を取りしきり、来客の応対が終わってしばらくした後、休憩をかねて中庭に行こうとしていた。俺はすぐに後を追う。この頃すでにジェラルド国王は公務をさぼりがちになっており、王妃教育を終えたばかりのアリア様はほとんど毎日のように一人で公務に勤しんでいた。
見知らぬ異国の地に突然やって来てまだ一年も経っていない。そんな中で唯一頼りにしていたはずのジェラルド国王は、一体どこで何をしているのかなかなか一緒に過ごす時間も取れなくなっている。さぞや心細い思いをなさっていることだろう。俺はそう思うようになっていた。
だがアリア様は表向き一切弱音を吐くこともなくひたすら真面目に勉強や公務に取り組んでおり、噂されていたようなあざとい女性にはとても見えなかった。
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懸命でひたむき。そんな言葉がしっくりくる彼女の日々の生活ぶりに、俺はこの時すでに好感を抱いていた。この人ならば、我が国を良い方向へ導く素晴らしい王妃であってくれるだろうという予感があった。
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アリア様のか細い後ろ姿は凍りついたように動かなくなり、その衝撃を思いやって俺の心は痛んだ。
さほど間を置かず、奥の方から陛下の側近のアドラム公爵令息が顔を出し、アリア様は慌てて建物の陰に隠れこちらにくるりと体を向けた。その顔は蒼白だった。
「……ア、……アリア、さま……」
「……っ、…見ちゃいけないものを見てしまったわね。二人とも、このことは誰にも秘密よ」
「…アリア様…」
「しっ。…さ、今日はもう戻りましょう。中庭はまた今度ね」
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(…お可哀相に。大国を背負って一人で必死に頑張っていらっしゃるのに、……今どれほど傷付いておられるか)
若く純真な女性にとって、夫となった男の裏切りは大きなショックだろう。
彼女はどう見ても、他の女にこの座を奪われてたまるものかという気概を見せ強く立ち向かっていくような図太いタイプには思えない。
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