68 / 74
67. 王太子の末路
しおりを挟む
混乱と怒りのあまり二の句が継げずにいる私の前で、父は話し続ける。
「どうやら王太子殿下は、サリアにすっかりのめり込んでしまわれたらしい。嘆かわしいことだ。あろうことか、サリアにどこぞの高位貴族家の養女として籍を置かせ、ご自分の婚約者にしてしまおうと陛下にかけ合ったそうだ。エーメリー公爵家としては納得できるはずもなかろう」
「あ……当たり前です……! そんなの、カトリーナがあまりにも……」
そう声を上げた瞬間、涙がこみ上げてきた。こんなひどい仕打ちがあるだろうか。カトリーナがその人生を捧げ懸命に努力してきたことの全てが無駄になってしまっただなんて。
ダミアン殿下もサリアも、絶対に許せない……!
唇を震わせ拳を握りしめる私を見て、父が苦笑する。
「落ち着きなさい、ティファナ。陛下がそんなことお認めになるはずがないだろう。王太子殿下の要求は当然却下され、殿下はすでに廃太子とされた」
「そ……っ! ……。……え?」
廃太子? ダミアン王太子殿下が?
目を丸くして父を見つめると、父は淡々と続ける。
「王太子殿下は最悪の形で、エーメリー公爵家の名に泥を塗ったのだ。このリデール王国で最も強い影響力を持つ、歴史あるエーメリー公爵家に。ましてや何の教養も知識もない平民のサリアを婚約者に据えようなどと、この国の貴族たちの誰一人として納得するはずがない。殿下のそんな要求を受け入れてしまえば王家は国中の信頼を失う。だから陛下は、王太子殿下を切り捨てる選択をなさった」
「で、では……、ダミアン殿下はどうなるのですか? それにサリアは……」
「殿下は王籍からも外され、東端のアグニュー男爵領を与えられたようだ。今後はアグニュー男爵を名乗られるわけだな」
アグニュー男爵領……。そこは王国の東にある、狭く貧しい土地。自然災害に見舞われやすく作物の育ちも悪い、経営状態は劣悪を極める地方だ。
あのダミアン殿下にとってはあまりにも苛酷な処遇といえるだろう。怠け者で知識の足りないあの方が、一体どうやって領民たちの生活を守っていくというのか。今頃泣きわめいていることだろう。
「……カトリーナが心配です」
私がポツリとそう呟いたその時。侍女が取り次ぎにやって来た。
「失礼いたします、ティファナお嬢様。王家より使いの方がお見えです」
「あ……、ええ、すぐ行くわ」
父が優しい眼差しで私を見る。
「王弟殿下かい?」
「はい。今日はお茶をするお約束を」
私がそう答えると、父が満足そうに頷いた。
「では行ってきなさい。王弟殿下からもお前に大切なお話があるだろう」
(……? 何かしら、大切なお話って)
含みを持たせるような父の言い方が気にはなったけれど、アルバート様を待たせるわけにもいかない。私は部屋に戻り手早く身支度の最終チェックをすると、お迎えの馬車に乗り込んだのだった。
◇ ◇ ◇
王宮に到着すると、今日はアルバート様の私室に通された。珍しいことだ。いつも二人でお茶をする時は、王宮内のサロンや庭園のガゼボなどに通されることが多いのに。
私がお部屋に入ると、アルバート様は嬉しそうに微笑んで私のそばに歩み寄ってくる。
「来たね、ティファナ。待ち遠しかった」
「ごきげんよう、アルバート様」
待ち遠しかったの一言に、つい口元が綻んでしまう。けれど浮かれている場合ではないと思い直し、私は慌てて表情を引き締めた。
「座って、ティファナ。オールディス侯爵からもう聞いたかな? 今日は君に大切な話が……、どうした? ティファナ」
進められたソファーに座った私の顔を見て、アルバート様が心配そうにそう言うと、すぐさま私の隣にやって来る。そして私の頬に手を添えると、至近距離から私の瞳を覗き込んだ。
「っ! ア、アルバート様……っ?」
「どうしてそんな顔をしている、ティファナ。何か困っていることがあるなら言ってくれ。隠さずに、どんなことでも」
青く澄んだ瞳は真剣そのもので、私の些細な変化をも見逃すまいと気を配ってくださっているのが分かる。まるで、自分が幼い子どもに戻ってしまったみたい。過保護なまでの彼の愛情は、時折くすぐったさを感じる。
そんなアルバート様に、私は自分の心配事を素直に打ち明けた。
「……先ほど、父から聞いたのです。ダミアン王太子殿下と、私の元義妹のサリアのことを……」
「ああ。そうか。もう聞いたんだね。……馬鹿な奴だよ、全く……。これで俺が教えてきた王子教育もすっかり無駄になってしまったわけだ」
場の空気を明るくしようとしているのか、少しおどけたようにそう言うアルバート様から目を逸らし、私は膝の上に置いた自分の両手を見つめる。
「……カトリーナが、心配なのです。今頃どれほど塞ぎ込んでいることか……。同じように切磋琢磨してきた仲だからこそ、あの努力の上にようやく得たものを突然失ってしまう苦しみを思うと……」
「ティファナ……」
カトリーナの美しく明るい微笑みが脳裏をよぎる。ラウル様や義家族のことで私が悩んでいる時、彼女はいつも親身になって相談に乗ってくれた。それだけじゃない。昔から私が窮地に陥ると、真っ先にカトリーナは手を差し伸べてくれた。もちろん、私も彼女にそうしてきたつもりだけれど、助けられた回数はきっと私の方が多いと思う。カトリーナはしっかり者だから。
同じ王太子妃の座を競い合っていたライバル同士ではあったけれど、私たちはその因縁をはるかに超えた友情で固く結ばれている。
こうしてアルバート様とお会いできてとても嬉しいけれど、今の私の頭の中はカトリーナのことでいっぱいだった。
するとふいにアルバート様が、私の肩を抱き寄せた。
「ティファナ、君はまだそこから先は何も知らないんだね?」
「……? は、はい……。私が父から聞いたのは、そこまでです。ちょうどこの話をしている時に、使者が来ましたので」
私がそう答えると、アルバート様はにこりと微笑んだ。
「どうやら王太子殿下は、サリアにすっかりのめり込んでしまわれたらしい。嘆かわしいことだ。あろうことか、サリアにどこぞの高位貴族家の養女として籍を置かせ、ご自分の婚約者にしてしまおうと陛下にかけ合ったそうだ。エーメリー公爵家としては納得できるはずもなかろう」
「あ……当たり前です……! そんなの、カトリーナがあまりにも……」
そう声を上げた瞬間、涙がこみ上げてきた。こんなひどい仕打ちがあるだろうか。カトリーナがその人生を捧げ懸命に努力してきたことの全てが無駄になってしまっただなんて。
ダミアン殿下もサリアも、絶対に許せない……!
唇を震わせ拳を握りしめる私を見て、父が苦笑する。
「落ち着きなさい、ティファナ。陛下がそんなことお認めになるはずがないだろう。王太子殿下の要求は当然却下され、殿下はすでに廃太子とされた」
「そ……っ! ……。……え?」
廃太子? ダミアン王太子殿下が?
目を丸くして父を見つめると、父は淡々と続ける。
「王太子殿下は最悪の形で、エーメリー公爵家の名に泥を塗ったのだ。このリデール王国で最も強い影響力を持つ、歴史あるエーメリー公爵家に。ましてや何の教養も知識もない平民のサリアを婚約者に据えようなどと、この国の貴族たちの誰一人として納得するはずがない。殿下のそんな要求を受け入れてしまえば王家は国中の信頼を失う。だから陛下は、王太子殿下を切り捨てる選択をなさった」
「で、では……、ダミアン殿下はどうなるのですか? それにサリアは……」
「殿下は王籍からも外され、東端のアグニュー男爵領を与えられたようだ。今後はアグニュー男爵を名乗られるわけだな」
アグニュー男爵領……。そこは王国の東にある、狭く貧しい土地。自然災害に見舞われやすく作物の育ちも悪い、経営状態は劣悪を極める地方だ。
あのダミアン殿下にとってはあまりにも苛酷な処遇といえるだろう。怠け者で知識の足りないあの方が、一体どうやって領民たちの生活を守っていくというのか。今頃泣きわめいていることだろう。
「……カトリーナが心配です」
私がポツリとそう呟いたその時。侍女が取り次ぎにやって来た。
「失礼いたします、ティファナお嬢様。王家より使いの方がお見えです」
「あ……、ええ、すぐ行くわ」
父が優しい眼差しで私を見る。
「王弟殿下かい?」
「はい。今日はお茶をするお約束を」
私がそう答えると、父が満足そうに頷いた。
「では行ってきなさい。王弟殿下からもお前に大切なお話があるだろう」
(……? 何かしら、大切なお話って)
含みを持たせるような父の言い方が気にはなったけれど、アルバート様を待たせるわけにもいかない。私は部屋に戻り手早く身支度の最終チェックをすると、お迎えの馬車に乗り込んだのだった。
◇ ◇ ◇
王宮に到着すると、今日はアルバート様の私室に通された。珍しいことだ。いつも二人でお茶をする時は、王宮内のサロンや庭園のガゼボなどに通されることが多いのに。
私がお部屋に入ると、アルバート様は嬉しそうに微笑んで私のそばに歩み寄ってくる。
「来たね、ティファナ。待ち遠しかった」
「ごきげんよう、アルバート様」
待ち遠しかったの一言に、つい口元が綻んでしまう。けれど浮かれている場合ではないと思い直し、私は慌てて表情を引き締めた。
「座って、ティファナ。オールディス侯爵からもう聞いたかな? 今日は君に大切な話が……、どうした? ティファナ」
進められたソファーに座った私の顔を見て、アルバート様が心配そうにそう言うと、すぐさま私の隣にやって来る。そして私の頬に手を添えると、至近距離から私の瞳を覗き込んだ。
「っ! ア、アルバート様……っ?」
「どうしてそんな顔をしている、ティファナ。何か困っていることがあるなら言ってくれ。隠さずに、どんなことでも」
青く澄んだ瞳は真剣そのもので、私の些細な変化をも見逃すまいと気を配ってくださっているのが分かる。まるで、自分が幼い子どもに戻ってしまったみたい。過保護なまでの彼の愛情は、時折くすぐったさを感じる。
そんなアルバート様に、私は自分の心配事を素直に打ち明けた。
「……先ほど、父から聞いたのです。ダミアン王太子殿下と、私の元義妹のサリアのことを……」
「ああ。そうか。もう聞いたんだね。……馬鹿な奴だよ、全く……。これで俺が教えてきた王子教育もすっかり無駄になってしまったわけだ」
場の空気を明るくしようとしているのか、少しおどけたようにそう言うアルバート様から目を逸らし、私は膝の上に置いた自分の両手を見つめる。
「……カトリーナが、心配なのです。今頃どれほど塞ぎ込んでいることか……。同じように切磋琢磨してきた仲だからこそ、あの努力の上にようやく得たものを突然失ってしまう苦しみを思うと……」
「ティファナ……」
カトリーナの美しく明るい微笑みが脳裏をよぎる。ラウル様や義家族のことで私が悩んでいる時、彼女はいつも親身になって相談に乗ってくれた。それだけじゃない。昔から私が窮地に陥ると、真っ先にカトリーナは手を差し伸べてくれた。もちろん、私も彼女にそうしてきたつもりだけれど、助けられた回数はきっと私の方が多いと思う。カトリーナはしっかり者だから。
同じ王太子妃の座を競い合っていたライバル同士ではあったけれど、私たちはその因縁をはるかに超えた友情で固く結ばれている。
こうしてアルバート様とお会いできてとても嬉しいけれど、今の私の頭の中はカトリーナのことでいっぱいだった。
するとふいにアルバート様が、私の肩を抱き寄せた。
「ティファナ、君はまだそこから先は何も知らないんだね?」
「……? は、はい……。私が父から聞いたのは、そこまでです。ちょうどこの話をしている時に、使者が来ましたので」
私がそう答えると、アルバート様はにこりと微笑んだ。
1,238
お気に入りに追加
1,915
あなたにおすすめの小説

今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから
猫の胸毛
恋愛
婚約者が王立学園の卒業を間近に控えていたある日。
ポーリーンのところに、婚約者の恋人だと名乗る女性がやってきた。
彼女は別れろ。と、一方的に迫り。
最後には暴言を吐いた。
「ああ、本当に嫌だわ。こんな田舎。肥溜めの臭いがするみたい。……貴女からも漂ってるわよ」
洗練された都会に住む自分の方がトリスタンにふさわしい。と、言わんばかりに彼女は微笑んだ。
「ねえ、卒業パーティーには来ないでね。恥をかくのは貴女よ。婚約破棄されてもまだ間に合うでしょう?早く相手を見つけたら?」
彼女が去ると、ポーリーンはある事を考えた。
ちゃんと、別れ話をしようと。
ポーリーンはこっそりと屋敷から抜け出して、婚約者のところへと向かった。

私のことは愛さなくても結構です
猫の胸毛
恋愛
サブリナは、聖騎士ジークムントからの婚約の打診の手紙をもらって有頂天になった。
一緒になって喜ぶ父親の姿を見た瞬間に前世の記憶が蘇った。
彼女は、自分が本の世界の中に生まれ変わったことに気がついた。
サブリナは、ジークムントと愛のない結婚をした後に、彼の愛する聖女アルネを嫉妬心の末に殺害しようとする。
いわゆる悪女だった。
サブリナは、ジークムントに首を切り落とされて、彼女の家族は全員死刑となった。
全ての記憶を思い出した後、サブリナは熱を出して寝込んでしまった。
そして、サブリナの妹クラリスが代打としてジークムントの婚約者になってしまう。
主役は、いわゆる悪役の妹です

さよなら、英雄になった旦那様~ただ祈るだけの役立たずの妻のはずでしたが…~
遠雷
恋愛
【本編完結】戦地から戻り、聖剣を得て聖騎士として英雄になった夫エリオットから、帰還早々に妻であるフローラに突き付けられた離縁状。
戦場で傍に寄り添い、その活躍により周囲から聖女と呼ばれるようになった女性エミリーを、彼は愛してしまったのだと告げる。安全な王都に暮らし日々祈るばかりだったフローラは、居場所を失くしてしまった。
反論も無く粛々と離縁を受け入れ、フローラは王都から姿を消した。
その日を境に、エリオットの周囲では異変が起こり始める。
一方でフローラは旅路で一風変わった人々と出会い、祝福を知る。
――――――――――――――――――――
※2025.1.5追記 11月に本編完結した際に、完結の設定をし忘れておりまして、
今ごろなのですが完結に変更しました。すみません…!
近々後日談の更新を開始予定なので、その際にはまた解除となりますが、
本日付けで一端完結で登録させていただいております
※ファンタジー要素強め、やや群像劇寄り
たくさんの感想をありがとうございます。全てに返信は出来ておりませんが、大切に読ませていただいております!

夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき@バカふり200万部突破
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――

旦那様、離婚してくださいませ!
ましろ
恋愛
ローズが結婚して3年目の結婚記念日、旦那様が事故に遭い5年間の記憶を失ってしまったらしい。
まぁ、大変ですわね。でも利き手が無事でよかったわ!こちらにサインを。
離婚届?なぜ?!大慌てする旦那様。
今更何をいっているのかしら。そうね、記憶がないんだったわ。
夫婦関係は冷めきっていた。3歳年上のキリアンは婚約時代から無口で冷たかったが、結婚したら変わるはずと期待した。しかし、初夜に言われたのは「お前を抱くのは無理だ」の一言。理由を聞いても黙って部屋を出ていってしまった。
それでもいつかは打ち解けられると期待し、様々な努力をし続けたがまったく実を結ばなかった。
お義母様には跡継ぎはまだか、石女かと嫌味を言われ、社交会でも旦那様に冷たくされる可哀想な妻と面白可笑しく噂され蔑まれる日々。なぜ私はこんな扱いを受けなくてはいけないの?耐えに耐えて3年。やっと白い結婚が成立して離婚できる!と喜んでいたのに……
なんでもいいから旦那様、離婚してくださいませ!
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる