23 / 74
22. サリアの悩み(※sideラウル)
しおりを挟む
「二人で会って、どんなことを話すんだ? 君と彼女は」
その質問には特に深い意味はなかった。相容れなさそうな二人がどのような会話をしているのだろうかと、ただの興味本位で尋ねたに過ぎない。
しかし私の質問を聞いたロージエは、途端に気まずそうな顔をする。
「……」
「……どうした?」
「っ!! あ……、い、いえ。……その……、こ、こんな話を聞かせてしまったら、ヘイワード様がご不快な思いをなさるのでは、と……不安になりまして……」
(……?)
まるで見てはいけないものを見てしまったかのように、ロージエは私から目を逸らし、急にオドオドしはじめる。
「一体何だ? 君とサリア嬢の会話の内容が、私を不快にさせるものだと……? 私の悪口でも話しているのか」
軽口のつもりでそう言ったのだが、ロージエはますます暗くなり、完全に俯いてしまった。
「……へ、ヘイワード様の悪口などでは、ありません。……むしろサリアさんは、ヘイワード様のことをいつも、素敵なお方だと褒めていらっしゃいます……」
「……そうか」
その情報は別に聞かなくてよかったな。
喜びを微塵も表さない私の態度が気になったのか、ロージエはおそるおそる私に尋ねる。
「……う、嬉しくは、ないのですか。あんなに可愛いサリアさんに、素敵と言われても……」
「ああ。別に」
きっぱりとそう答えると、何故だかロージエはほんの少しホッとしたような顔をした。
「……そうですか……。あ、あの、サリアさんがよく話しているのが……、……実は、ヘイワード様の、そのご婚約者様のことなのです」
「……ティファナ嬢の?」
私が聞き返すと、ロージエはまた視線を逸らしながら小さな声で、はい……と呟いた。
「その……、サ、サリアさんは、義姉となられたそのティファナ様から、あまり優しくしてもらえないそうで……。そのことをずっと悩んでいるのです」
「……と言うと?」
会話の流れで、いつの間にかサリアの悩みを聞く羽目になったしまった。正直あまり興味はない。時折目にするだけのあの小娘だが、察しはつく。ティファナが優しくしないと愚痴を零しているのは、おそらく自分のあの不作法ぶりをティファナから咎められたり、改めるよう説教されたりしているのだろう。それならごく当然のことだ。サリアの立ち居振る舞いは、侯爵家の令嬢として到底相応しいものではないのだから。
しかしロージエが口にしたのは、それとは少し違うものだった。
「サリアさんが言うには……、ティファナ様は初対面の時からサリアさんにとても冷たかったと。あなたたち母娘はお金目当てで私の父に取り入ったんでしょう? などと、自分たち母娘が悪人であるかのように決めつけられ、それ以来いつもひどいことばかり言われているそうなんです」
「……。……ふ、まさか」
ロージエのその言葉を聞いても、私の心は微塵も揺れなかった。私はティファナを愛しているわけではないが、今ロージエから聞かされたサリアの発言が虚言であることは信じて疑わなかった。それほど私はティファナの人間性に信頼を置き、その逆にサリアの言動は、一切信用できないと感じていた。
ふいに、先日観劇に出かけた際の彼女との会話を思い出す。これまでは彼女への苦手意識もあり、あまり踏み込んだ内容の会話をすることがなかった。互いに渋々夫婦になり、どうにか表面上上手くやっていくしかないのだろうと諦めていた。けれどあの日、美しい歌劇を見て同じように良い感想を持った私たちは、その高揚した気分のままに、これまで触れてこなかった内容の会話を交わした。元々王太子殿下の婚約者候補であったティファナが、その夢破れて我がヘイワード公爵家に嫁いでくることに後ろ向きな気持ちを持っているのではないかと思い込んでいたが、ティファナは逆に、我々の結婚に対してとても前向きな思いを持ってくれていた。
しっかりとした自分の考えを持ち、どうにか私との距離を縮め良き夫婦になろうとしてくれているその姿に、初めて心を動かされた。彼女とて、本当は私に対して好意的な気持ちは持っていなかったはずなのに、それでも婚約が決まるとすぐに気持ちを切り替えて、私との溝を埋めようとしてくれていた。彼女のその思いに、私もようやく応えていこうという気になってきたのだった。
だが私の反応を見たロージエは、少しムキになって言い募る。
「ほ、本当なんです! サリアさん、お母様がティファナ様のお父上と再婚されて以来、そのことでずっと悩んでいて……。いつもご両親の見ていないところでひどい意地悪をされているそうなんです。早く母親と一緒にこの屋敷を出ていきなさいよと怒鳴って突き飛ばしてきたこともあるって……」
「はは。くだらない。ティファナ嬢はそんなことをする女性じゃないさ」
「っ! で……ですが……っ、サリアさんは本当に悩んでて……っ! あんたなんか大嫌いよとか、下品な貧乏人にこのオールディス侯爵家と関わりを持つ権利はないわとか、ほ、他にも……っ、」
「ブライト君」
おそらくは自分の友人を庇いたい気持ちが強いのだろう。必死に言い募るロージエの言葉を、私は遮った。
どう伝えようか。サリアは信用に足る人間ではないと私は思っている、だから君が彼女から聞かされたというそれらの話も信用しない。そう言えば、ロージエは友人を侮辱されたように感じ、不快な思いをするだろうか。
(……わざわざそんなことは言わない方がいいな)
「……私も君も、彼女たちのそれらのやり取りを直接自分の目で見たわけではない。そうだろう? 君が友人であるサリア嬢を心配する気持ちは分かるが、私は自分の婚約者であるティファナ嬢のことを、そんな陰湿な人間ではないと思っている。ティファナ嬢に接し、彼女の人柄を知るほどにそう思えるよ。だから、まぁ……、君がサリア嬢から聞かされたそれらの話は、一応頭に入れておくに留めるよ。もしも何か今後気にかかることがあれば、またその時に考えよう。……さぁ、そろそろ食事を済ませて戻らなければ」
ロージエの皿にまだ料理がたくさん残っていることに気付き、私はやんわりと急かした。しかしロージエは、俯いたまま微動だにしなくなった。
「……ブライト君? どうした」
「…………とても、信頼しあっておられるのですね。ヘイワード様と、ティファナ様は……」
「……っ、」
そう言いながら顔を上げ私の方を見た、ロージエのその縋りつくような瞳に、突然私の心は激しく揺さぶられた。その頼りなげな、まるで私が受け止めてやらねば泣き崩れてしまいそうなか弱さの滲む姿に、何故だか私の鼓動が高鳴る。
動揺を隠しながら、私は考えた。……ティファナと信頼しあっている。それはどうだろう。……いや、信頼しあっていると言えるような関係性ではない。今はまだ。
ただ、ようやくわずかに彼女との心の距離が縮まりつつある、そんな程度だ。
これからもっと互いを知っていきたいという、前向きな気持ちにはなってきたが。
「……彼女の人となりをある程度知っているというだけさ。ほら、早く食べなさい」
何故だか必要以上に落ち込んでしまったらしいロージエに、私はそう促したのだった。
つい先ほどの訳の分からない動揺は、ティファナについて考えている間に随分収まっていた。
その質問には特に深い意味はなかった。相容れなさそうな二人がどのような会話をしているのだろうかと、ただの興味本位で尋ねたに過ぎない。
しかし私の質問を聞いたロージエは、途端に気まずそうな顔をする。
「……」
「……どうした?」
「っ!! あ……、い、いえ。……その……、こ、こんな話を聞かせてしまったら、ヘイワード様がご不快な思いをなさるのでは、と……不安になりまして……」
(……?)
まるで見てはいけないものを見てしまったかのように、ロージエは私から目を逸らし、急にオドオドしはじめる。
「一体何だ? 君とサリア嬢の会話の内容が、私を不快にさせるものだと……? 私の悪口でも話しているのか」
軽口のつもりでそう言ったのだが、ロージエはますます暗くなり、完全に俯いてしまった。
「……へ、ヘイワード様の悪口などでは、ありません。……むしろサリアさんは、ヘイワード様のことをいつも、素敵なお方だと褒めていらっしゃいます……」
「……そうか」
その情報は別に聞かなくてよかったな。
喜びを微塵も表さない私の態度が気になったのか、ロージエはおそるおそる私に尋ねる。
「……う、嬉しくは、ないのですか。あんなに可愛いサリアさんに、素敵と言われても……」
「ああ。別に」
きっぱりとそう答えると、何故だかロージエはほんの少しホッとしたような顔をした。
「……そうですか……。あ、あの、サリアさんがよく話しているのが……、……実は、ヘイワード様の、そのご婚約者様のことなのです」
「……ティファナ嬢の?」
私が聞き返すと、ロージエはまた視線を逸らしながら小さな声で、はい……と呟いた。
「その……、サ、サリアさんは、義姉となられたそのティファナ様から、あまり優しくしてもらえないそうで……。そのことをずっと悩んでいるのです」
「……と言うと?」
会話の流れで、いつの間にかサリアの悩みを聞く羽目になったしまった。正直あまり興味はない。時折目にするだけのあの小娘だが、察しはつく。ティファナが優しくしないと愚痴を零しているのは、おそらく自分のあの不作法ぶりをティファナから咎められたり、改めるよう説教されたりしているのだろう。それならごく当然のことだ。サリアの立ち居振る舞いは、侯爵家の令嬢として到底相応しいものではないのだから。
しかしロージエが口にしたのは、それとは少し違うものだった。
「サリアさんが言うには……、ティファナ様は初対面の時からサリアさんにとても冷たかったと。あなたたち母娘はお金目当てで私の父に取り入ったんでしょう? などと、自分たち母娘が悪人であるかのように決めつけられ、それ以来いつもひどいことばかり言われているそうなんです」
「……。……ふ、まさか」
ロージエのその言葉を聞いても、私の心は微塵も揺れなかった。私はティファナを愛しているわけではないが、今ロージエから聞かされたサリアの発言が虚言であることは信じて疑わなかった。それほど私はティファナの人間性に信頼を置き、その逆にサリアの言動は、一切信用できないと感じていた。
ふいに、先日観劇に出かけた際の彼女との会話を思い出す。これまでは彼女への苦手意識もあり、あまり踏み込んだ内容の会話をすることがなかった。互いに渋々夫婦になり、どうにか表面上上手くやっていくしかないのだろうと諦めていた。けれどあの日、美しい歌劇を見て同じように良い感想を持った私たちは、その高揚した気分のままに、これまで触れてこなかった内容の会話を交わした。元々王太子殿下の婚約者候補であったティファナが、その夢破れて我がヘイワード公爵家に嫁いでくることに後ろ向きな気持ちを持っているのではないかと思い込んでいたが、ティファナは逆に、我々の結婚に対してとても前向きな思いを持ってくれていた。
しっかりとした自分の考えを持ち、どうにか私との距離を縮め良き夫婦になろうとしてくれているその姿に、初めて心を動かされた。彼女とて、本当は私に対して好意的な気持ちは持っていなかったはずなのに、それでも婚約が決まるとすぐに気持ちを切り替えて、私との溝を埋めようとしてくれていた。彼女のその思いに、私もようやく応えていこうという気になってきたのだった。
だが私の反応を見たロージエは、少しムキになって言い募る。
「ほ、本当なんです! サリアさん、お母様がティファナ様のお父上と再婚されて以来、そのことでずっと悩んでいて……。いつもご両親の見ていないところでひどい意地悪をされているそうなんです。早く母親と一緒にこの屋敷を出ていきなさいよと怒鳴って突き飛ばしてきたこともあるって……」
「はは。くだらない。ティファナ嬢はそんなことをする女性じゃないさ」
「っ! で……ですが……っ、サリアさんは本当に悩んでて……っ! あんたなんか大嫌いよとか、下品な貧乏人にこのオールディス侯爵家と関わりを持つ権利はないわとか、ほ、他にも……っ、」
「ブライト君」
おそらくは自分の友人を庇いたい気持ちが強いのだろう。必死に言い募るロージエの言葉を、私は遮った。
どう伝えようか。サリアは信用に足る人間ではないと私は思っている、だから君が彼女から聞かされたというそれらの話も信用しない。そう言えば、ロージエは友人を侮辱されたように感じ、不快な思いをするだろうか。
(……わざわざそんなことは言わない方がいいな)
「……私も君も、彼女たちのそれらのやり取りを直接自分の目で見たわけではない。そうだろう? 君が友人であるサリア嬢を心配する気持ちは分かるが、私は自分の婚約者であるティファナ嬢のことを、そんな陰湿な人間ではないと思っている。ティファナ嬢に接し、彼女の人柄を知るほどにそう思えるよ。だから、まぁ……、君がサリア嬢から聞かされたそれらの話は、一応頭に入れておくに留めるよ。もしも何か今後気にかかることがあれば、またその時に考えよう。……さぁ、そろそろ食事を済ませて戻らなければ」
ロージエの皿にまだ料理がたくさん残っていることに気付き、私はやんわりと急かした。しかしロージエは、俯いたまま微動だにしなくなった。
「……ブライト君? どうした」
「…………とても、信頼しあっておられるのですね。ヘイワード様と、ティファナ様は……」
「……っ、」
そう言いながら顔を上げ私の方を見た、ロージエのその縋りつくような瞳に、突然私の心は激しく揺さぶられた。その頼りなげな、まるで私が受け止めてやらねば泣き崩れてしまいそうなか弱さの滲む姿に、何故だか私の鼓動が高鳴る。
動揺を隠しながら、私は考えた。……ティファナと信頼しあっている。それはどうだろう。……いや、信頼しあっていると言えるような関係性ではない。今はまだ。
ただ、ようやくわずかに彼女との心の距離が縮まりつつある、そんな程度だ。
これからもっと互いを知っていきたいという、前向きな気持ちにはなってきたが。
「……彼女の人となりをある程度知っているというだけさ。ほら、早く食べなさい」
何故だか必要以上に落ち込んでしまったらしいロージエに、私はそう促したのだった。
つい先ほどの訳の分からない動揺は、ティファナについて考えている間に随分収まっていた。
395
お気に入りに追加
1,896
あなたにおすすめの小説
「わかれよう」そうおっしゃったのはあなたの方だったのに。
友坂 悠
恋愛
侯爵夫人のマリエルは、夫のジュリウスから一年後の離縁を提案される。
あと一年白い結婚を続ければ、世間体を気にせず離婚できるから、と。
ジュリウスにとっては亡き父が進めた政略結婚、侯爵位を継いだ今、それを解消したいと思っていたのだった。
「君にだってきっと本当に好きな人が現れるさ。私は元々こうした政略婚は嫌いだったんだ。父に逆らうことができず君を娶ってしまったことは本当に後悔している。だからさ、一年後には離婚をして、第二の人生をちゃんと歩んでいくべきだと思うんだよ。お互いにね」
「わかりました……」
「私は君を解放してあげたいんだ。君が幸せになるために」
そうおっしゃるジュリウスに、逆らうこともできず受け入れるマリエルだったけれど……。
勘違い、すれ違いな夫婦の恋。
前半はヒロイン、中盤はヒーロー視点でお贈りします。
四万字ほどの中編。お楽しみいただけたらうれしいです。
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。
ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。
即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。
そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。
国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。
⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎
※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!
忘れられた妻
毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。
セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。
「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」
セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。
「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」
セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。
そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。
三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる