22 / 22
その後のお話
書籍化記念SS ◆ 再会
しおりを挟む
「おかあたま、もうちゅく?」
「ええ、ほら、ルティ、外を見てごらんなさい。あそこに大きなお屋敷が見えるでしょう? あれがオリビア叔母様のおうちよ。オリビア叔母様と、グレイソン叔父様のね」
「わぁい! ちゅいた! ちゅいたー!」
私と同じ金色の髪に緑色の目をした小さな彼女が、私の座っている座席の隣に立ち、小窓にピタリと手をつけて飛び跳ねはじめる。揺れる馬車の中で、危なっかしいことこの上ない。向かいに座っていたライリー様がやれやれといった様子で溜め息をつきこちらに来ると、彼女の小さな体を抱き上げ連れて行き、自分の膝の上に乗せた。
「全く。困ったお転婆娘だなお前は。もうじき三つになるんだぞ。いつまでも赤ん坊のようにきゃあきゃあと」
「おとうたま、ネイトはぴょんぴょん、できないよ? ルティはできるっ。だからルティは、もうあかたんじゃないっ」
ませた口調で父に反論する娘のルティアと、そんな娘の言葉に一瞬たじろぐライリー様を見て、思わず笑ってしまう。
私の腕の中の息子ネイトは、はしゃぐ姉の声に目を覚ますこともなく、すやすやと寝息を立てている。
娘のルティアが生まれてから二年と十ヶ月後、私たち夫婦はもう一人の宝物を授かった。名はネイト。栗色の髪に黄金色の瞳を持つ、ライリー様にそっくりの、お人形のように愛らしい男の子だ。
ルティアが生まれて少し経った頃、義妹のオリビア嬢はついにカートライト侯爵家のご令息グレイソン様と結婚し、アクストン公爵邸を去った。それからは互いに何度も手紙を出し合い、近況報告を重ねた。不慣れな環境の中で精一杯頑張っているらしいオリビア嬢を真摯に支えてくれている、カートライト侯爵令息。二人のそんな日常が垣間見えるそれらの手紙に、私は安心していた。
数ヶ月に一度はオリビア嬢がこちらに会いに来てくれて、元気な顔を見せてはルティアの相手をしてくれたり、私と一緒にお茶をしながらたくさんお喋りをしたりと、順風満帆な日々を過ごしていた。
けれど。
結婚から二年近くが経つ頃、オリビア嬢の手紙に思い悩む様子が見られるようになってきた。
赤ちゃんを授かる気配がないの。私の体が弱かったのがいけないのかしら。もしかしたら、あの事件の後遺症なのかもしれない。私はグレイ様に、私たちの赤ちゃんを抱く喜びを与えてあげられないのかもしれない……。
そんな文言が増え、手紙の回数が減るにつれ、私もライリー様も心配でたまらなくなってきた。すぐにでも駆けつけて大丈夫だと励まし、そばについていてあげたかった。けれど、この頃のルティアは私の姿が少し見えなくなるだけで火がついたように泣いていたし、環境の変化に敏感でよく癇癪を起こすルティアを連れて二人の暮らす屋敷まで旅に出るのは難しかった。
乳母や侍女たちの手を借りているとはいえ、初めての育児に真剣に向き合っていた私自身もいっぱいいっぱいになり、公爵領の仕事はほぼライリー様任せ。彼もまた、オリビア嬢に会いに行くということがなかなかできなかった。
何もしてあげられない苦しさから、私はせめてもの慰めにと、時間を見つけては何度も手紙を書いた。少しでも義妹の心を楽にしてあげたかったから。
だけどそんな中で、私のお腹にもう一つの命が宿ったのだ。
アクストン公爵家の跡継ぎとなる子かもしれない。娘もとっても可愛いけれど、跡継ぎを産むのも私の大きな役目の一つだ。
無事に生まれてきてくれることを願いながらも、オリビア嬢の気持ちを思うと、いつどのように報告すればいいのか……。ライリー様も私も、この時ばかりは心底悩み抜いた。
けれど、ちょうどそんな時だった。
オリビア嬢からこの上なく嬉しい報告の手紙が届いたのは。
「いらっしゃいませ。ようこそお出でくださいました、アクストン公爵閣下、公爵夫人」
家令に出迎えられ、私たち一家は屋敷の中へと通される。最近では場見知りもなくなり落ち着いてきたルティアは、ライリー様に手を引かれてトコトコと歩きながら興味深げに辺りを見回している。その後ろ姿を見守りながらついて行く私。慣れた乳母がしっかりとネイトを抱いて、さらに私の後ろに続く。
「失礼いたします。お着きになられました」
「お兄様、お義姉様!」
案内された大きな部屋に入ると、オリビア嬢とカートライト侯爵令息がソファーから立ち上がり笑顔で出迎えてくれた。久しぶりに見る大切な義妹の元気そうな顔に、私たちも破顔する。
「オリビアさん……! ようやく会えたわね。体調はいかが?」
「ふふ。バッチリよ。心配性のグレイ様の指示でね、侍女たちが朝から晩までずっと私を見てるのよ。体調なんて崩しようがないわ」
そう答えるオリビア嬢に安心したのだろう、ライリー様は彼女の隣にピタリと寄り添っているカートライト侯爵令息に向かって礼を述べた。
「本当に、君がよくしてくれるから我々も安心して任せていられるよ。ありがとう、グレイソン君」
「当然のことです。リビーは私にとっても大切な妻ですからね。ようこそおいで下さいました、義兄上、義姉上」
カートライト侯爵令息は人懐っこい爽やかな笑顔を見せてくれた。
オリビア嬢はソファーの前から離れ、ライリー様と手を繋いだままウズウズしているルティアに向かい手を広げる。
「おいで、私の可愛いルティア! ああ、あなたにどれだけ会いたかったことか……!」
その呼びかけにルティアはライリー様の手を振りほどき、勢いよく飛び出す。そしてオリビア嬢に駆け寄ると、ドーンと体当たりするようにしがみついた。
オリビア嬢はその場にしゃがみ込み、娘の体を抱きしめてくれる。
「なんて可愛いのかしら! 叔母様のこと、覚えてくれてたの? ああ、こんなに大きくなって……! やだ、なんだか涙が出ちゃう」
もう随分会っていないのだから、小さかったルティアがオリビア嬢のことを覚えているはずなどない。けれど、義妹のほんわかした優しい雰囲気が幼子を安心させるのだろうか。最近場見知り人見知りが随分減ってきたとはいえ、ルティアは驚くほどすんなりとオリビア嬢の元に駆け寄っていった。
その様子を見ていたカートライト侯爵令息が、同じように腰を落としてルティアに向かって両手を広げてくれる。
「ははっ。可愛いなぁ。天使みたいじゃないか。こんにちは、ルティアちゃん。叔父様のことも覚えてくれてるかなぁ? ……うーん、無理か。まだほとんど会ったことないもんね」
ルティアはカートライト侯爵令息を見てカチッと固まると、オリビア嬢の胸に顔を埋めるようにしてますますしっかりと抱きついている。彼の方に寄っていく気配もない。……慣れていない男の人は、ちょっと怖いみたい。
「ごめんなさいね、グレイソン様」
苦笑しつつも私が謝ると、彼は微笑む。
「いえ。お帰りになるまでに仲良くなってみせますよ。……さぁ、もう一人のお子様にも、ぜひご挨拶させてください」
カートライト侯爵令息はそう言って私たちの後ろに控えている乳母の方に視線を送る。その言葉に、ルティアの相手をしてくれているオリビア嬢もパッと顔を輝かせてこちらを見上げた。
「私も、早く見たいわお義姉様!」
「ふふ。ええ、こちらこそ……」
そう言って、私も彼との対面を願い出ようとした。
その時。
ふえぇ……、という頼りない鳴き声が、部屋の奥にあるベビーベッドから聞こえてきた。
「おや、うちの息子は目が覚めてしまったみたいだね」
カートライト侯爵令息がそう呟き、全員の視線が一斉にそちらに注目する。しばらくすると乳母たちが彼を抱いて、私たちの元へと連れてきてくれた。胸が高鳴る。
カートライト侯爵令息は乳母からその子を受け取ると、危なげなく抱きながら私たちの前に来て言った。
「息子のマティアスです。……ほら、泣き止んでご機嫌なお顔を伯父様たちに見せてごらん」
ふぇ、ふぇ……と泣いていたその子は、抱き上げられたことで安心したのか、あっという間に大人しくなった。ライリー様と私はカートライト侯爵令息の腕の中を覗き込む。
「……なんと可愛らしい」
「まぁ、本当に……! この子がグレイソン様と……オリビアさんの子……」
ライリー様やオリビア嬢と同じ淡い栗色の、柔らかそうな髪。すでにすやすやと眠っている生まれてたった一月の天使は、叫びたくなるほどの愛らしさだ。
胸がいっぱいになって、それ以上の言葉がなかなか続かない。視界がじわりと滲んだ。
「……本当に……よかったわね、オリビアさん」
「……ええ。ありがとう、お義姉様……」
互いに声が震えてしまう。ようやくこの日を迎えることができた。不安を募らせていたオリビア嬢にとっては、きっととても長い時間だっただろう。
「ね、見せて、お兄様。そちらの可愛い赤ちゃんも」
「…………ああ。そうだな」
ライリー様はライリー様で感極まっているのだろう。オリビア嬢に声をかけられてもしばらくは黙ったままでカートライト侯爵令息の腕の中の天使をジッと見続けていた。そしてようやく目を離すと、後ろを振り返ってうちの乳母から赤ん坊を受け取る。
「息子のネイトだ」
「……まぁ……っ!」
立ち上がってルティアの手を繋いだままこちらに近づき、ライリー様の腕の中の子を覗き込むオリビア嬢。カートライト侯爵令息がマティアスを抱いたまま、ライリー様のそばに近づく。
私と、オリビア嬢と、ライリー様とカートライト侯爵令息。
四人は顔を突き合わせるようにして二人の赤ん坊を覗き込み、そして全員言葉を失った。
「……なんだか……」
と、私が声を漏らせば、
「え、ええ……」
と、オリビア嬢。ライリー様も、
「……すごいな。こうして見ると、まるで……」
と言葉を詰まらせる。
そこにカートライト侯爵令息がカラカラと笑いながら言った。
「まるで双子みたいですね! そっくりじゃないですか! ははははっ」
……そう。生後約一ヶ月と二ヶ月の二人の赤ん坊は、並べて見ると驚くほどに瓜二つだった。
どちらもアクストン公爵家の血を引く親と同じ、淡く艷やかな栗色の髪。その少ない産毛の毛量もなんとなく同じくらいだし、肌の白さ、睫毛の濃さや長さ、そしてちょこんとつまみ上げたような小さな鼻や唇の形まで……どこを見ても本当にそっくりだった。いや、うちの方がおよそ一月先に生まれているのだから、大きさはこちらの方が若干大きいけれど。
ライリー様が感心したように呟いた。
「こんなに似ている赤ん坊がいるのか? 血の繋がりとはすごいな」
「ふふふ。本当ね。マティアスは瞳の色も、私と同じ青色なのよ」
「そうか。ネイトは私と同じ金色だ。違うところもあったな」
兄妹の会話を聞きながら二人の赤ん坊を見比べていた私も口を挟む。
「でもこうして二人して眠っていたら、ほとんど区別がつかないくらいですわ。すごいわね……。ふふ、きっと仲良しになってくれるわよ。よろしくね、マティアス」
オリビア嬢にまとわりついたまま大人四人の会話を聞いていたルティアが、ぴょんぴょんしはじめた。
「みちぇてぇ! あかたん、ルティにもみちぇてー」
「ええ。おいで、ルティ」
私はルティアを抱っこして、父親たちの腕の中を覗かせる。
すると二人の赤ん坊を見比べたルティアが、大きな瞳をさらに丸くして言った。
「ネイト、ふたちゅになった?」
その言葉を聞いた途端、大人四人は声を出して笑った。
その後は互いにたくさんの出産祝いの品を披露し合い、積もる話に花を咲かせた。夜になると赤ん坊たちは乳母に預け、全員で一緒に食卓を囲み、賑やかで楽しい時間を過ごす。そして男二人がワイン片手に仕事の話などをしている間に、私とルティアはオリビア嬢の部屋で三人でくつろいだ。
「……ふふ。眠っちゃったわね、ルティア」
「本当ね。今日は一日中興奮してて、珍しくお昼寝もしなかったのよ。馬車の中で少しは眠るかと思ったんだけど……ずっとはしゃぎっぱなし。ふふ。よっぽどあなたたちに会うのが楽しみだったのね」
ソファーに座っていたオリビア嬢の膝に頭を乗せて、ルティアはいつの間にかすやすやと眠ってしまっていた。オリビア嬢はそんなルティアの髪の毛を愛おしそうにそっと撫でてくれている。
「嬉しいわ。そんなに楽しみにしてくれていたなんて。……叔母様も、あなたに会うのが本当に楽しみだったのよ」
ルティアの寝顔を見て微笑みそう呟いたオリビア嬢は、顔を上げると私に向かって言った。
「お義姉様にもね」
「……ええ。私も。こうして幸せそうなあなたたちを直接見ることができて、ようやく安心したわ。あなたが悩んでいる時にそばにいてあげられなくてごめんなさいね」
私がそう言うと、オリビア嬢は静かに首を横に振る。
「ううん。お義姉様だって大変な時期だったのに、あんなに何度もお手紙をくださってありがとう。優しい言葉にどれほど励まされたか……。おかげで乗り越えることができた」
「そう言ってもらえたら嬉しいわ。グレイソン様も、相変わらずあなたにぞっこんね。あんなに大切にしてくださる方があなたの旦那様になってくれて、本当によかった」
「ふふ……。ええ。いまだに朝から晩までリビーリビーって私を気にかけてくださるわ。いい旦那様よ。私も……まさか自分がこんなに幸せになれる日が来るなんて。お義姉様に出会う前、ずっとベッドの上にばかりいた頃は想像もつかなかったわ」
「……そう」
花が開くようにふわりと笑ってそう言った義妹は本当に綺麗だった。愛されている妻としての、そして大切な命を生み育てる母としての輝きに満ち溢れている。
しみじみとその笑顔に見とれていると、オリビア嬢が続けて言った。
「ね、お義姉様。アクストンの屋敷で私たちが初めて出会ったあの時には、まさかこんな日が来るなんて想像もしてなかったわよね」
「ふふ。本当よ。すごく緊張してライリー様への挨拶を済ませて、あなたのお部屋に案内されて……。初めてあなたを見た時は、随分とか細くてしとやかな方だなって思ったわ。でも、今のあなたはあの頃とは全然違う」
「あら! 私おしとやかな侯爵令息夫人じゃないかしら?」
ふざけた口調と表情でそんなことを言うオリビア嬢。私は思わず噴き出して言った。
「いやね、分かってるくせに。そういう意味じゃないわ。あの頃とは比べものにもならないくらいに……あなたが明るく輝いてるってことよ。溌剌としていて、とても綺麗」
私がそう言うと彼女は嬉しそうに笑った。
「本当? ありがとう、お義姉様。もしそうなら、それは皆のおかげね。ずっと私を大切に守ってきてくれたお兄様と、私のそばで心を支え続けてくれたお義姉様。そして、グレイ様もね」
その夜は久しぶりに二人で深夜まで語り合った。懐かしくて、楽しい夜。
人は出会い、時を重ね、少しずついろいろなことが変化していく。
拗れて傷つき、涙を流して離れ。
孤独な夜を過ごし、また新しい出会いにときめき。
恋や友情。いくつもの出会いと別れを繰り返しながら、人は皆懸命に前に進んでいく。そうして生きた先にふと気が付けば、これまでとは違う特別な出会いが待っていることも。
その出会いが新たな自分を作り、経験したことのない幸せが、人生を華やかに彩る。
ひたむきに生きる全ての人の未来が、輝きに満ちていますように──────
ーーーーー end ーーーーー
読者の皆様へ、心からの感謝を込めて……
この作品を読んでくださってありがとうございました!!
「ええ、ほら、ルティ、外を見てごらんなさい。あそこに大きなお屋敷が見えるでしょう? あれがオリビア叔母様のおうちよ。オリビア叔母様と、グレイソン叔父様のね」
「わぁい! ちゅいた! ちゅいたー!」
私と同じ金色の髪に緑色の目をした小さな彼女が、私の座っている座席の隣に立ち、小窓にピタリと手をつけて飛び跳ねはじめる。揺れる馬車の中で、危なっかしいことこの上ない。向かいに座っていたライリー様がやれやれといった様子で溜め息をつきこちらに来ると、彼女の小さな体を抱き上げ連れて行き、自分の膝の上に乗せた。
「全く。困ったお転婆娘だなお前は。もうじき三つになるんだぞ。いつまでも赤ん坊のようにきゃあきゃあと」
「おとうたま、ネイトはぴょんぴょん、できないよ? ルティはできるっ。だからルティは、もうあかたんじゃないっ」
ませた口調で父に反論する娘のルティアと、そんな娘の言葉に一瞬たじろぐライリー様を見て、思わず笑ってしまう。
私の腕の中の息子ネイトは、はしゃぐ姉の声に目を覚ますこともなく、すやすやと寝息を立てている。
娘のルティアが生まれてから二年と十ヶ月後、私たち夫婦はもう一人の宝物を授かった。名はネイト。栗色の髪に黄金色の瞳を持つ、ライリー様にそっくりの、お人形のように愛らしい男の子だ。
ルティアが生まれて少し経った頃、義妹のオリビア嬢はついにカートライト侯爵家のご令息グレイソン様と結婚し、アクストン公爵邸を去った。それからは互いに何度も手紙を出し合い、近況報告を重ねた。不慣れな環境の中で精一杯頑張っているらしいオリビア嬢を真摯に支えてくれている、カートライト侯爵令息。二人のそんな日常が垣間見えるそれらの手紙に、私は安心していた。
数ヶ月に一度はオリビア嬢がこちらに会いに来てくれて、元気な顔を見せてはルティアの相手をしてくれたり、私と一緒にお茶をしながらたくさんお喋りをしたりと、順風満帆な日々を過ごしていた。
けれど。
結婚から二年近くが経つ頃、オリビア嬢の手紙に思い悩む様子が見られるようになってきた。
赤ちゃんを授かる気配がないの。私の体が弱かったのがいけないのかしら。もしかしたら、あの事件の後遺症なのかもしれない。私はグレイ様に、私たちの赤ちゃんを抱く喜びを与えてあげられないのかもしれない……。
そんな文言が増え、手紙の回数が減るにつれ、私もライリー様も心配でたまらなくなってきた。すぐにでも駆けつけて大丈夫だと励まし、そばについていてあげたかった。けれど、この頃のルティアは私の姿が少し見えなくなるだけで火がついたように泣いていたし、環境の変化に敏感でよく癇癪を起こすルティアを連れて二人の暮らす屋敷まで旅に出るのは難しかった。
乳母や侍女たちの手を借りているとはいえ、初めての育児に真剣に向き合っていた私自身もいっぱいいっぱいになり、公爵領の仕事はほぼライリー様任せ。彼もまた、オリビア嬢に会いに行くということがなかなかできなかった。
何もしてあげられない苦しさから、私はせめてもの慰めにと、時間を見つけては何度も手紙を書いた。少しでも義妹の心を楽にしてあげたかったから。
だけどそんな中で、私のお腹にもう一つの命が宿ったのだ。
アクストン公爵家の跡継ぎとなる子かもしれない。娘もとっても可愛いけれど、跡継ぎを産むのも私の大きな役目の一つだ。
無事に生まれてきてくれることを願いながらも、オリビア嬢の気持ちを思うと、いつどのように報告すればいいのか……。ライリー様も私も、この時ばかりは心底悩み抜いた。
けれど、ちょうどそんな時だった。
オリビア嬢からこの上なく嬉しい報告の手紙が届いたのは。
「いらっしゃいませ。ようこそお出でくださいました、アクストン公爵閣下、公爵夫人」
家令に出迎えられ、私たち一家は屋敷の中へと通される。最近では場見知りもなくなり落ち着いてきたルティアは、ライリー様に手を引かれてトコトコと歩きながら興味深げに辺りを見回している。その後ろ姿を見守りながらついて行く私。慣れた乳母がしっかりとネイトを抱いて、さらに私の後ろに続く。
「失礼いたします。お着きになられました」
「お兄様、お義姉様!」
案内された大きな部屋に入ると、オリビア嬢とカートライト侯爵令息がソファーから立ち上がり笑顔で出迎えてくれた。久しぶりに見る大切な義妹の元気そうな顔に、私たちも破顔する。
「オリビアさん……! ようやく会えたわね。体調はいかが?」
「ふふ。バッチリよ。心配性のグレイ様の指示でね、侍女たちが朝から晩までずっと私を見てるのよ。体調なんて崩しようがないわ」
そう答えるオリビア嬢に安心したのだろう、ライリー様は彼女の隣にピタリと寄り添っているカートライト侯爵令息に向かって礼を述べた。
「本当に、君がよくしてくれるから我々も安心して任せていられるよ。ありがとう、グレイソン君」
「当然のことです。リビーは私にとっても大切な妻ですからね。ようこそおいで下さいました、義兄上、義姉上」
カートライト侯爵令息は人懐っこい爽やかな笑顔を見せてくれた。
オリビア嬢はソファーの前から離れ、ライリー様と手を繋いだままウズウズしているルティアに向かい手を広げる。
「おいで、私の可愛いルティア! ああ、あなたにどれだけ会いたかったことか……!」
その呼びかけにルティアはライリー様の手を振りほどき、勢いよく飛び出す。そしてオリビア嬢に駆け寄ると、ドーンと体当たりするようにしがみついた。
オリビア嬢はその場にしゃがみ込み、娘の体を抱きしめてくれる。
「なんて可愛いのかしら! 叔母様のこと、覚えてくれてたの? ああ、こんなに大きくなって……! やだ、なんだか涙が出ちゃう」
もう随分会っていないのだから、小さかったルティアがオリビア嬢のことを覚えているはずなどない。けれど、義妹のほんわかした優しい雰囲気が幼子を安心させるのだろうか。最近場見知り人見知りが随分減ってきたとはいえ、ルティアは驚くほどすんなりとオリビア嬢の元に駆け寄っていった。
その様子を見ていたカートライト侯爵令息が、同じように腰を落としてルティアに向かって両手を広げてくれる。
「ははっ。可愛いなぁ。天使みたいじゃないか。こんにちは、ルティアちゃん。叔父様のことも覚えてくれてるかなぁ? ……うーん、無理か。まだほとんど会ったことないもんね」
ルティアはカートライト侯爵令息を見てカチッと固まると、オリビア嬢の胸に顔を埋めるようにしてますますしっかりと抱きついている。彼の方に寄っていく気配もない。……慣れていない男の人は、ちょっと怖いみたい。
「ごめんなさいね、グレイソン様」
苦笑しつつも私が謝ると、彼は微笑む。
「いえ。お帰りになるまでに仲良くなってみせますよ。……さぁ、もう一人のお子様にも、ぜひご挨拶させてください」
カートライト侯爵令息はそう言って私たちの後ろに控えている乳母の方に視線を送る。その言葉に、ルティアの相手をしてくれているオリビア嬢もパッと顔を輝かせてこちらを見上げた。
「私も、早く見たいわお義姉様!」
「ふふ。ええ、こちらこそ……」
そう言って、私も彼との対面を願い出ようとした。
その時。
ふえぇ……、という頼りない鳴き声が、部屋の奥にあるベビーベッドから聞こえてきた。
「おや、うちの息子は目が覚めてしまったみたいだね」
カートライト侯爵令息がそう呟き、全員の視線が一斉にそちらに注目する。しばらくすると乳母たちが彼を抱いて、私たちの元へと連れてきてくれた。胸が高鳴る。
カートライト侯爵令息は乳母からその子を受け取ると、危なげなく抱きながら私たちの前に来て言った。
「息子のマティアスです。……ほら、泣き止んでご機嫌なお顔を伯父様たちに見せてごらん」
ふぇ、ふぇ……と泣いていたその子は、抱き上げられたことで安心したのか、あっという間に大人しくなった。ライリー様と私はカートライト侯爵令息の腕の中を覗き込む。
「……なんと可愛らしい」
「まぁ、本当に……! この子がグレイソン様と……オリビアさんの子……」
ライリー様やオリビア嬢と同じ淡い栗色の、柔らかそうな髪。すでにすやすやと眠っている生まれてたった一月の天使は、叫びたくなるほどの愛らしさだ。
胸がいっぱいになって、それ以上の言葉がなかなか続かない。視界がじわりと滲んだ。
「……本当に……よかったわね、オリビアさん」
「……ええ。ありがとう、お義姉様……」
互いに声が震えてしまう。ようやくこの日を迎えることができた。不安を募らせていたオリビア嬢にとっては、きっととても長い時間だっただろう。
「ね、見せて、お兄様。そちらの可愛い赤ちゃんも」
「…………ああ。そうだな」
ライリー様はライリー様で感極まっているのだろう。オリビア嬢に声をかけられてもしばらくは黙ったままでカートライト侯爵令息の腕の中の天使をジッと見続けていた。そしてようやく目を離すと、後ろを振り返ってうちの乳母から赤ん坊を受け取る。
「息子のネイトだ」
「……まぁ……っ!」
立ち上がってルティアの手を繋いだままこちらに近づき、ライリー様の腕の中の子を覗き込むオリビア嬢。カートライト侯爵令息がマティアスを抱いたまま、ライリー様のそばに近づく。
私と、オリビア嬢と、ライリー様とカートライト侯爵令息。
四人は顔を突き合わせるようにして二人の赤ん坊を覗き込み、そして全員言葉を失った。
「……なんだか……」
と、私が声を漏らせば、
「え、ええ……」
と、オリビア嬢。ライリー様も、
「……すごいな。こうして見ると、まるで……」
と言葉を詰まらせる。
そこにカートライト侯爵令息がカラカラと笑いながら言った。
「まるで双子みたいですね! そっくりじゃないですか! ははははっ」
……そう。生後約一ヶ月と二ヶ月の二人の赤ん坊は、並べて見ると驚くほどに瓜二つだった。
どちらもアクストン公爵家の血を引く親と同じ、淡く艷やかな栗色の髪。その少ない産毛の毛量もなんとなく同じくらいだし、肌の白さ、睫毛の濃さや長さ、そしてちょこんとつまみ上げたような小さな鼻や唇の形まで……どこを見ても本当にそっくりだった。いや、うちの方がおよそ一月先に生まれているのだから、大きさはこちらの方が若干大きいけれど。
ライリー様が感心したように呟いた。
「こんなに似ている赤ん坊がいるのか? 血の繋がりとはすごいな」
「ふふふ。本当ね。マティアスは瞳の色も、私と同じ青色なのよ」
「そうか。ネイトは私と同じ金色だ。違うところもあったな」
兄妹の会話を聞きながら二人の赤ん坊を見比べていた私も口を挟む。
「でもこうして二人して眠っていたら、ほとんど区別がつかないくらいですわ。すごいわね……。ふふ、きっと仲良しになってくれるわよ。よろしくね、マティアス」
オリビア嬢にまとわりついたまま大人四人の会話を聞いていたルティアが、ぴょんぴょんしはじめた。
「みちぇてぇ! あかたん、ルティにもみちぇてー」
「ええ。おいで、ルティ」
私はルティアを抱っこして、父親たちの腕の中を覗かせる。
すると二人の赤ん坊を見比べたルティアが、大きな瞳をさらに丸くして言った。
「ネイト、ふたちゅになった?」
その言葉を聞いた途端、大人四人は声を出して笑った。
その後は互いにたくさんの出産祝いの品を披露し合い、積もる話に花を咲かせた。夜になると赤ん坊たちは乳母に預け、全員で一緒に食卓を囲み、賑やかで楽しい時間を過ごす。そして男二人がワイン片手に仕事の話などをしている間に、私とルティアはオリビア嬢の部屋で三人でくつろいだ。
「……ふふ。眠っちゃったわね、ルティア」
「本当ね。今日は一日中興奮してて、珍しくお昼寝もしなかったのよ。馬車の中で少しは眠るかと思ったんだけど……ずっとはしゃぎっぱなし。ふふ。よっぽどあなたたちに会うのが楽しみだったのね」
ソファーに座っていたオリビア嬢の膝に頭を乗せて、ルティアはいつの間にかすやすやと眠ってしまっていた。オリビア嬢はそんなルティアの髪の毛を愛おしそうにそっと撫でてくれている。
「嬉しいわ。そんなに楽しみにしてくれていたなんて。……叔母様も、あなたに会うのが本当に楽しみだったのよ」
ルティアの寝顔を見て微笑みそう呟いたオリビア嬢は、顔を上げると私に向かって言った。
「お義姉様にもね」
「……ええ。私も。こうして幸せそうなあなたたちを直接見ることができて、ようやく安心したわ。あなたが悩んでいる時にそばにいてあげられなくてごめんなさいね」
私がそう言うと、オリビア嬢は静かに首を横に振る。
「ううん。お義姉様だって大変な時期だったのに、あんなに何度もお手紙をくださってありがとう。優しい言葉にどれほど励まされたか……。おかげで乗り越えることができた」
「そう言ってもらえたら嬉しいわ。グレイソン様も、相変わらずあなたにぞっこんね。あんなに大切にしてくださる方があなたの旦那様になってくれて、本当によかった」
「ふふ……。ええ。いまだに朝から晩までリビーリビーって私を気にかけてくださるわ。いい旦那様よ。私も……まさか自分がこんなに幸せになれる日が来るなんて。お義姉様に出会う前、ずっとベッドの上にばかりいた頃は想像もつかなかったわ」
「……そう」
花が開くようにふわりと笑ってそう言った義妹は本当に綺麗だった。愛されている妻としての、そして大切な命を生み育てる母としての輝きに満ち溢れている。
しみじみとその笑顔に見とれていると、オリビア嬢が続けて言った。
「ね、お義姉様。アクストンの屋敷で私たちが初めて出会ったあの時には、まさかこんな日が来るなんて想像もしてなかったわよね」
「ふふ。本当よ。すごく緊張してライリー様への挨拶を済ませて、あなたのお部屋に案内されて……。初めてあなたを見た時は、随分とか細くてしとやかな方だなって思ったわ。でも、今のあなたはあの頃とは全然違う」
「あら! 私おしとやかな侯爵令息夫人じゃないかしら?」
ふざけた口調と表情でそんなことを言うオリビア嬢。私は思わず噴き出して言った。
「いやね、分かってるくせに。そういう意味じゃないわ。あの頃とは比べものにもならないくらいに……あなたが明るく輝いてるってことよ。溌剌としていて、とても綺麗」
私がそう言うと彼女は嬉しそうに笑った。
「本当? ありがとう、お義姉様。もしそうなら、それは皆のおかげね。ずっと私を大切に守ってきてくれたお兄様と、私のそばで心を支え続けてくれたお義姉様。そして、グレイ様もね」
その夜は久しぶりに二人で深夜まで語り合った。懐かしくて、楽しい夜。
人は出会い、時を重ね、少しずついろいろなことが変化していく。
拗れて傷つき、涙を流して離れ。
孤独な夜を過ごし、また新しい出会いにときめき。
恋や友情。いくつもの出会いと別れを繰り返しながら、人は皆懸命に前に進んでいく。そうして生きた先にふと気が付けば、これまでとは違う特別な出会いが待っていることも。
その出会いが新たな自分を作り、経験したことのない幸せが、人生を華やかに彩る。
ひたむきに生きる全ての人の未来が、輝きに満ちていますように──────
ーーーーー end ーーーーー
読者の皆様へ、心からの感謝を込めて……
この作品を読んでくださってありがとうございました!!
1,106
お気に入りに追加
5,197
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。

三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました


婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。