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22 中間試験が迫っているようです!
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「というワケでね?わたしの魔法って途中で分解されちゃうんだって、だから完全な魔法として展開できないんだって」
「へえ」
家に帰り、今までずっと分からなかった謎を一つ解き明かしたことをシャルに報告したのですが、生返事が帰ってくるだけでした。
「え、なんか反応薄いね。けっこう大事件だと思うんだけど」
「それは発見かもしれないけどさ、解決策はないんでしょ?」
「うん、セシルさんもミミアさんも原因は分からないって」
「じゃあ結局一緒よね。魔法を使えない魔法士見習いさん」
「うう……それはそうだけど……」
元も子もないことを言われてしまいました。
「ていうかさ。魔法も大事だけど、そろそろ中間試験よ。準備できてる?」
「……ん?だからこうして毎日練習をしてるんじゃない」
アルマン魔法学園の試験は年に二回。
中間試験と進級試験があり、どちらも落としてしまうと即退学という厳しい世界です。それに生き残るためこうして特訓をし続けているわけです。
「いや、実技の練習は大事だけど。中間は筆記試験よ、分かってる?」
!?
「うん。分かってた気がするかもしれない」
「……言い回しおかしいけど」
正直、完全に失念していました。
わたしの頭の中にあったのは魔法を使えなければ落第する、その一点でした。
「もう一ヶ月切ってるんだから、ちゃんと勉強しときなさいよ」
「うん。したいと思ってた気がするかもしれない」
「だから言い回しおかしいって」
わたしはご飯を食べ終えると、足早に自室へと向かうのでした。
「さて……」
机に向かい、教科書とノートを開きます。
今日からコツコツと勉強をしていけば、わたしでも合格できるはずです。
「……ううん」
清々しいほど、内容が頭に入ってきません。
一人で黙々と読み込む作業とか苦手なんですよねぇ……。
そうだ、シャルと一緒にやろうかな?
わたしは自室から出て、隣にあるシャルの部屋に向かいます。
――コンコン。ガチャ
「シャルー、ちょっといい?」
「うひゃっ!?えっ!?なにっ!?」
机に座っていたシャルが飛び上がるようにして、こちらを振り返ります。
「どうしたの、何かあった?」
「い、いやっ!何もないけど、いきなりなにっ!?」
「一緒に勉強しようと思って」
「え、いや、ていうかノックしてよ!」
「したよ?」
「そのまま入ってきたら意味ないでしょ!?」
むぅ……何やらシャルの様子がおかしいのです。
いきなり入ったのは失礼だったと思いますが、そんなの初めてじゃないですし……。
「シャル、何か隠してる?」
「はっ!?隠すって、なにを!?」
「いや、だから何かを……」
「分かった!勉強はしてあげるから、あんたの部屋にしよう!」
そうすると、シャルはわたしの背中を押して部屋から強制退去をしようとするのでした。
明らかにシャルは動揺している様子。
……わたし、気になります!
「駆動――加速!!」
わたしはシャルの手をすり抜けて、机に向かいます。
「そこで魔術を使うか!?」
「だってシャル怪しいんだもん!」
そのまま机へ。
そこにあったのは……。
「写真?」
わたしとシャルが二人で写っている幼い頃のアルバムでした。
「そ……そう!写真!何でもないでしょ!?」
「うん、そうだね」
これをどうして隠そうとしていたのか……?
不思議な子です。
「じゃあ、ほら返して……!」
わたしの手からアルバムをはぎ取ろうとするシャル。
それをひょいっと避けます。
「なにしてんのっ!?」
「懐かしいからわたしにも見せてよ」
ちょっと童心に帰りたくなってしまいました。
勉強に対する逃避行動をしている感じはかなりしますが、それでも見たい気持ちは収まりません。
ぺらりと次のページをめくります。
「ん……?あれ、今度はわたしだけか」
「ひゃあっ!?」
そこには一人で写っているわたしだけの写真で埋め尽くされていました。
カメラ目線のものはなく、どれも何かをしている瞬間を切り取られているモノです。
「ちょ、ちょっ!勉強するのにこんなの見る必要ないでしょっ!!」
「あっ」
シャルにアルバムを取られてしまいました。
「え~、いいじゃん。ちょっとくらい」
「ダメ、こういうのは切り替えが大事なの。そうやってズルズルやるからいつまで経っても始まらないんでしょ!?」
それはそうだけど……シャルは手厳しいです。
「というかさ?わたしってあんな写真撮ってたっけ?シャルと一緒に撮ったのは覚えてるけど、一人のは記憶にないんだけど……」
「撮ってるわよ!撮ってるからこうしてあるんじゃない!」
「それは、そうだけど……?」
「そう!撮ったの!忘れちゃってるのね!記憶力が足りないって大変ねっ!」
シャルは何やら矢継ぎ早に言葉をまくし立ててきます。
そんなに言わなくてもいいのでは……。
「さあ!勉強するんでしょ!?行った行った!」
そうしてわたしは部屋から追い出されるのでした。
「変なシャル」
でも、ま、ここは切り替えて勉強を教えてもらいましょう。
◇◇◇
翌日の放課後。
いつもなら魔法の練習をするところですが、今日からは予定を変更します。
そうです、中間試験に向けて勉強をしましょう。
毎回、シャルにお願いするのも気が引けますから、学校に残って勉強をしましょう。
「よし、図書室に向かいましょう」
学校で勉強と言えば図書室ですよね。
「おい、ラピスが図書室行くってよ……」
「なにすんだ?」
「そりゃ勉強だろ」
「ラピスですら勉強するなら、俺もそろそろやらないとマズいのか?」
マルコ君とヨハン君の素で失礼な会話をスルーしながら、わたしは教室を後にします。
図書室は清廉とした空気が流れていました。
生徒の数もまばらで、とても静かです。
空いているテーブルを探していると、一人見知った方を見つけます。
「セシルさん?」
「……え」
セシルさんはわたしの姿を見て、目を丸くしています。
「……道に迷った?」
ああ……、セシルさんにもかなり失礼なことを思われている気がしてなりません。
「いえ、合ってます。勉強しようと思って図書室に来たんです」
「勉強……するの?」
「え、セシルさんわたしのこと何だと思ってるんですか?」
そんな意外そうな反応しなくてもいいですよね?わたしも魔法学園の生徒ですよ。
「無理しない方がいい、勉強したからってすぐに魔法が使えるようにはならない」
「いえ、そんな無茶してるわけじゃないですから!わたしだってテスト前なら勉強くらいしますよ!!」
「……そうなんだ。意外」
ラピスのパブリックイメージってどういう事になっているんでしょうか?
勉強することすら意外に思われるって……。
必ずテストで良い点を取って見返してみせます。
「へえ」
家に帰り、今までずっと分からなかった謎を一つ解き明かしたことをシャルに報告したのですが、生返事が帰ってくるだけでした。
「え、なんか反応薄いね。けっこう大事件だと思うんだけど」
「それは発見かもしれないけどさ、解決策はないんでしょ?」
「うん、セシルさんもミミアさんも原因は分からないって」
「じゃあ結局一緒よね。魔法を使えない魔法士見習いさん」
「うう……それはそうだけど……」
元も子もないことを言われてしまいました。
「ていうかさ。魔法も大事だけど、そろそろ中間試験よ。準備できてる?」
「……ん?だからこうして毎日練習をしてるんじゃない」
アルマン魔法学園の試験は年に二回。
中間試験と進級試験があり、どちらも落としてしまうと即退学という厳しい世界です。それに生き残るためこうして特訓をし続けているわけです。
「いや、実技の練習は大事だけど。中間は筆記試験よ、分かってる?」
!?
「うん。分かってた気がするかもしれない」
「……言い回しおかしいけど」
正直、完全に失念していました。
わたしの頭の中にあったのは魔法を使えなければ落第する、その一点でした。
「もう一ヶ月切ってるんだから、ちゃんと勉強しときなさいよ」
「うん。したいと思ってた気がするかもしれない」
「だから言い回しおかしいって」
わたしはご飯を食べ終えると、足早に自室へと向かうのでした。
「さて……」
机に向かい、教科書とノートを開きます。
今日からコツコツと勉強をしていけば、わたしでも合格できるはずです。
「……ううん」
清々しいほど、内容が頭に入ってきません。
一人で黙々と読み込む作業とか苦手なんですよねぇ……。
そうだ、シャルと一緒にやろうかな?
わたしは自室から出て、隣にあるシャルの部屋に向かいます。
――コンコン。ガチャ
「シャルー、ちょっといい?」
「うひゃっ!?えっ!?なにっ!?」
机に座っていたシャルが飛び上がるようにして、こちらを振り返ります。
「どうしたの、何かあった?」
「い、いやっ!何もないけど、いきなりなにっ!?」
「一緒に勉強しようと思って」
「え、いや、ていうかノックしてよ!」
「したよ?」
「そのまま入ってきたら意味ないでしょ!?」
むぅ……何やらシャルの様子がおかしいのです。
いきなり入ったのは失礼だったと思いますが、そんなの初めてじゃないですし……。
「シャル、何か隠してる?」
「はっ!?隠すって、なにを!?」
「いや、だから何かを……」
「分かった!勉強はしてあげるから、あんたの部屋にしよう!」
そうすると、シャルはわたしの背中を押して部屋から強制退去をしようとするのでした。
明らかにシャルは動揺している様子。
……わたし、気になります!
「駆動――加速!!」
わたしはシャルの手をすり抜けて、机に向かいます。
「そこで魔術を使うか!?」
「だってシャル怪しいんだもん!」
そのまま机へ。
そこにあったのは……。
「写真?」
わたしとシャルが二人で写っている幼い頃のアルバムでした。
「そ……そう!写真!何でもないでしょ!?」
「うん、そうだね」
これをどうして隠そうとしていたのか……?
不思議な子です。
「じゃあ、ほら返して……!」
わたしの手からアルバムをはぎ取ろうとするシャル。
それをひょいっと避けます。
「なにしてんのっ!?」
「懐かしいからわたしにも見せてよ」
ちょっと童心に帰りたくなってしまいました。
勉強に対する逃避行動をしている感じはかなりしますが、それでも見たい気持ちは収まりません。
ぺらりと次のページをめくります。
「ん……?あれ、今度はわたしだけか」
「ひゃあっ!?」
そこには一人で写っているわたしだけの写真で埋め尽くされていました。
カメラ目線のものはなく、どれも何かをしている瞬間を切り取られているモノです。
「ちょ、ちょっ!勉強するのにこんなの見る必要ないでしょっ!!」
「あっ」
シャルにアルバムを取られてしまいました。
「え~、いいじゃん。ちょっとくらい」
「ダメ、こういうのは切り替えが大事なの。そうやってズルズルやるからいつまで経っても始まらないんでしょ!?」
それはそうだけど……シャルは手厳しいです。
「というかさ?わたしってあんな写真撮ってたっけ?シャルと一緒に撮ったのは覚えてるけど、一人のは記憶にないんだけど……」
「撮ってるわよ!撮ってるからこうしてあるんじゃない!」
「それは、そうだけど……?」
「そう!撮ったの!忘れちゃってるのね!記憶力が足りないって大変ねっ!」
シャルは何やら矢継ぎ早に言葉をまくし立ててきます。
そんなに言わなくてもいいのでは……。
「さあ!勉強するんでしょ!?行った行った!」
そうしてわたしは部屋から追い出されるのでした。
「変なシャル」
でも、ま、ここは切り替えて勉強を教えてもらいましょう。
◇◇◇
翌日の放課後。
いつもなら魔法の練習をするところですが、今日からは予定を変更します。
そうです、中間試験に向けて勉強をしましょう。
毎回、シャルにお願いするのも気が引けますから、学校に残って勉強をしましょう。
「よし、図書室に向かいましょう」
学校で勉強と言えば図書室ですよね。
「おい、ラピスが図書室行くってよ……」
「なにすんだ?」
「そりゃ勉強だろ」
「ラピスですら勉強するなら、俺もそろそろやらないとマズいのか?」
マルコ君とヨハン君の素で失礼な会話をスルーしながら、わたしは教室を後にします。
図書室は清廉とした空気が流れていました。
生徒の数もまばらで、とても静かです。
空いているテーブルを探していると、一人見知った方を見つけます。
「セシルさん?」
「……え」
セシルさんはわたしの姿を見て、目を丸くしています。
「……道に迷った?」
ああ……、セシルさんにもかなり失礼なことを思われている気がしてなりません。
「いえ、合ってます。勉強しようと思って図書室に来たんです」
「勉強……するの?」
「え、セシルさんわたしのこと何だと思ってるんですか?」
そんな意外そうな反応しなくてもいいですよね?わたしも魔法学園の生徒ですよ。
「無理しない方がいい、勉強したからってすぐに魔法が使えるようにはならない」
「いえ、そんな無茶してるわけじゃないですから!わたしだってテスト前なら勉強くらいしますよ!!」
「……そうなんだ。意外」
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