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第50話 マウガン・ビッグベアー
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マウガンにウィレナは歓声に負けじと声を張り上げ話しかける。
「マウガン!私よウィレナ!覚えてる?ウィレナ・ティーアよ!」
「ウィレナ・ティーア……?姫様!姫様ですか!なんというお格好で!」
「そうよ。もう姫じゃないけどね。お久しぶりね。マウガン。」
「おお!姫様!ご立派になられて!私としたことが姫様の御一行になんてことを……!」
「もう……!いいわよ!マウガン!それよりここだと目立つわ。騒ぎになってしまったし。どこか場所を変えたいのだけれど。」
「はは!では狭いながらもわが屋敷へどうぞ!」
――この偉丈夫がマウガンなのね。仲間になるの?
――ああ、この街でのイベントをこなすと仲間になる。
マウガンはJたちを連れてコロシアムの近くにある大きな屋敷に移動した。その屋敷は他の建物よりも大きく立派な作りになっており、石と木でできた木組みの家のようだった。
Jたちはそこの広間へと通されると、数人のメイドが頭を下げマウガンを出迎える。そしてソーコルと呼ばれたその少年と似ている背丈、同様に大き目の帽子を鉢巻のようにして、同じような顔立ちの少女がマウガンを出迎えた。
「マウガンさん!お帰りなさい!午後の試合は終わったの?よかった怪我してなくて。夜の試合も頑張ってね!」
「ああ、ただいま、ミラン。」
「あら、お客様?いらっしゃいませ。私はミランといいます。お見知りおきを。」
「うん、よろしくミラン。私はタラサ。ウィレナの仲間よ。」
「ウィレナさん?マウガンさんの昔話でよく聞く名ですね。」
「私がウィレナよ。よろしくね。ミランちゃん。」
「ミラン、ソーコルと一緒に部屋に行っていなさい。私はこの方たちと話があるんでね。」
「わかったわマウガンさん。ほら、行くわよソーコル。」
「……ちっ」
「舌打ちしない!」
マウガンは子供二人を部屋の外に追いやり、メイドたちに飲み物を持ってこさせた後に、部屋にはJたちとマウガンだけとなった。
「さて、何から話しましょうか?」
『コロシアムのチャンピオンなのか?』
『あんたとウィレナの関係は?』
『なぜ俺たちから物を盗んだ?』
『今の子達可愛かったな』
Jは2番目の選択肢を選んだ。
『あんたとウィレナの関係は?』
「私は昔ティーア皇国でウィレナ姫にお仕えしていた騎士でございます。」
「マウガン……実は私はもう姫じゃないの……」
ウィレナはジマリ村から王城での話をマウガンにした。
「そうでございましたか……それは大変お辛かったでしょう。しかし、姫様、私にとっては姫様は姫様でございます!私が忠誠を誓ったのはティーア皇国の王女ではなくウィレナ様ご本人!それは今でも変わっておりません!」
「ありがとう……マウガン……」
マウガンの話から察するに姫が偽物だと言うことを知らされていないようだった。
『どうしてこの街に?』
『あの子たちはアンタの子供か?』
『なぜ俺たちから物を盗んだ?』
『俺も闘技大会に出てみたい』
Jは1番目の選択肢を選んだ。
『どうしてこの街に?』
「私がまだティーア皇国で騎士としてウィレナ様に仕えていた時、その時新米騎士として名を上げていたジラフィムに決闘を申し込まれたのです。ジラフィムも私と同様に『剛剣』として名を馳せていました。ジラフィムにとっては若気の至りだったのでしょう。私を打倒し姫様の近衛兵長に出世するとともに、ティーア皇国の『剛剣』の称号をわがものにしたいと言ったところなのでしょう。私としても、新進気鋭の騎士との手合わせはいい鍛錬になると思い、負けるつもりは全くなく、その決闘を受けました。しかし、結果として私はジラフィムに敗北。己の未熟さと限界を同時に悟ってしまった私は、剣を王に納め、流浪の旅へと出ることになったのです。」
――ウィレナに忠誠を誓ったのに出て行っちゃうんだ。
――そこはほら、騎士としてとか男としての矜持があったんじゃない?
――男ってめんどくさいわね。
――そうだね。
「そして旅の最中、バルバロ共和国である夫婦と出会います。その夫婦は野党に襲われて逃げている最中で、まだ小さな赤子を2人抱きかかえて逃げていました。私はその夫婦を助けるべく、剣を取り野盗と対峙しました。そして野盗を撃退することには成功しました。しかし、夫婦はともに深手を負い、出会ったその晩、息を引き取りました。そしてその夫婦が命がけで守った赤子2人が先ほどのソーコルとミランとなります。」
『チャンピオンというのは?』
『親代わりになって育てたのか。』
『なぜ財布を盗んだ?』
『ソーコルにミランか、可愛かったな』
Jは2番目の選択肢を選んだ。
『親代わりになって育てたのか。』
「はい、夫婦の最後の言葉が「二人が1人前になるまで見守ってやってくれ」とのことで私は騎士の誓いを立てました。赤子二人を連れて旅をするのは難しく、幸いこの街の近くでしたので、日銭を稼ぐために闘技大会に参加するようになり、いつの間にかチャンピオンとなっていた次第です。」
「は~すっごいね!そしてこんな豪邸たてちゃったんだ!」
「剣一本でここまでのし上がるとは、やはりティーア皇国の『剛剣』の名に恥じないつわものだったですね。」
「旅の道中は野盗やモンスターとよく戦っていましたから、それで強くなっていたのかもしれません。」
『どうしてソーコルは俺から財布を盗んだんだ?』
「分かりません。弟のソーコルは最近私の言うことを聞かなくなってきてしまっているのです。」
――反抗期かしら
――だといいね
――何か含みがあるわね。
――別に何も。
「マウガン!私よウィレナ!覚えてる?ウィレナ・ティーアよ!」
「ウィレナ・ティーア……?姫様!姫様ですか!なんというお格好で!」
「そうよ。もう姫じゃないけどね。お久しぶりね。マウガン。」
「おお!姫様!ご立派になられて!私としたことが姫様の御一行になんてことを……!」
「もう……!いいわよ!マウガン!それよりここだと目立つわ。騒ぎになってしまったし。どこか場所を変えたいのだけれど。」
「はは!では狭いながらもわが屋敷へどうぞ!」
――この偉丈夫がマウガンなのね。仲間になるの?
――ああ、この街でのイベントをこなすと仲間になる。
マウガンはJたちを連れてコロシアムの近くにある大きな屋敷に移動した。その屋敷は他の建物よりも大きく立派な作りになっており、石と木でできた木組みの家のようだった。
Jたちはそこの広間へと通されると、数人のメイドが頭を下げマウガンを出迎える。そしてソーコルと呼ばれたその少年と似ている背丈、同様に大き目の帽子を鉢巻のようにして、同じような顔立ちの少女がマウガンを出迎えた。
「マウガンさん!お帰りなさい!午後の試合は終わったの?よかった怪我してなくて。夜の試合も頑張ってね!」
「ああ、ただいま、ミラン。」
「あら、お客様?いらっしゃいませ。私はミランといいます。お見知りおきを。」
「うん、よろしくミラン。私はタラサ。ウィレナの仲間よ。」
「ウィレナさん?マウガンさんの昔話でよく聞く名ですね。」
「私がウィレナよ。よろしくね。ミランちゃん。」
「ミラン、ソーコルと一緒に部屋に行っていなさい。私はこの方たちと話があるんでね。」
「わかったわマウガンさん。ほら、行くわよソーコル。」
「……ちっ」
「舌打ちしない!」
マウガンは子供二人を部屋の外に追いやり、メイドたちに飲み物を持ってこさせた後に、部屋にはJたちとマウガンだけとなった。
「さて、何から話しましょうか?」
『コロシアムのチャンピオンなのか?』
『あんたとウィレナの関係は?』
『なぜ俺たちから物を盗んだ?』
『今の子達可愛かったな』
Jは2番目の選択肢を選んだ。
『あんたとウィレナの関係は?』
「私は昔ティーア皇国でウィレナ姫にお仕えしていた騎士でございます。」
「マウガン……実は私はもう姫じゃないの……」
ウィレナはジマリ村から王城での話をマウガンにした。
「そうでございましたか……それは大変お辛かったでしょう。しかし、姫様、私にとっては姫様は姫様でございます!私が忠誠を誓ったのはティーア皇国の王女ではなくウィレナ様ご本人!それは今でも変わっておりません!」
「ありがとう……マウガン……」
マウガンの話から察するに姫が偽物だと言うことを知らされていないようだった。
『どうしてこの街に?』
『あの子たちはアンタの子供か?』
『なぜ俺たちから物を盗んだ?』
『俺も闘技大会に出てみたい』
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『どうしてこの街に?』
「私がまだティーア皇国で騎士としてウィレナ様に仕えていた時、その時新米騎士として名を上げていたジラフィムに決闘を申し込まれたのです。ジラフィムも私と同様に『剛剣』として名を馳せていました。ジラフィムにとっては若気の至りだったのでしょう。私を打倒し姫様の近衛兵長に出世するとともに、ティーア皇国の『剛剣』の称号をわがものにしたいと言ったところなのでしょう。私としても、新進気鋭の騎士との手合わせはいい鍛錬になると思い、負けるつもりは全くなく、その決闘を受けました。しかし、結果として私はジラフィムに敗北。己の未熟さと限界を同時に悟ってしまった私は、剣を王に納め、流浪の旅へと出ることになったのです。」
――ウィレナに忠誠を誓ったのに出て行っちゃうんだ。
――そこはほら、騎士としてとか男としての矜持があったんじゃない?
――男ってめんどくさいわね。
――そうだね。
「そして旅の最中、バルバロ共和国である夫婦と出会います。その夫婦は野党に襲われて逃げている最中で、まだ小さな赤子を2人抱きかかえて逃げていました。私はその夫婦を助けるべく、剣を取り野盗と対峙しました。そして野盗を撃退することには成功しました。しかし、夫婦はともに深手を負い、出会ったその晩、息を引き取りました。そしてその夫婦が命がけで守った赤子2人が先ほどのソーコルとミランとなります。」
『チャンピオンというのは?』
『親代わりになって育てたのか。』
『なぜ財布を盗んだ?』
『ソーコルにミランか、可愛かったな』
Jは2番目の選択肢を選んだ。
『親代わりになって育てたのか。』
「はい、夫婦の最後の言葉が「二人が1人前になるまで見守ってやってくれ」とのことで私は騎士の誓いを立てました。赤子二人を連れて旅をするのは難しく、幸いこの街の近くでしたので、日銭を稼ぐために闘技大会に参加するようになり、いつの間にかチャンピオンとなっていた次第です。」
「は~すっごいね!そしてこんな豪邸たてちゃったんだ!」
「剣一本でここまでのし上がるとは、やはりティーア皇国の『剛剣』の名に恥じないつわものだったですね。」
「旅の道中は野盗やモンスターとよく戦っていましたから、それで強くなっていたのかもしれません。」
『どうしてソーコルは俺から財布を盗んだんだ?』
「分かりません。弟のソーコルは最近私の言うことを聞かなくなってきてしまっているのです。」
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