最速の英雄ANY%~RTA走者がゲーム世界に異世界転移。攻略知識を生かして知識チート攻略していきます。~

貝竜

文字の大きさ
上 下
42 / 124

第42話 科学者の最期

しおりを挟む
「くっ……はっ……!」
『タラサ回復しろ!』
「うん……!」
タラサはカルトゥムの壺から回復薬を取り出し、飲み込み、ライフが回復する。
Jはタラサに近づき、タラサをドールハウスに入れる。
――範囲攻撃はシェロは躱せるがタラサは躱せないことが多いから、今回の戦いではタラサは役に立たない。
――タラサ可哀そう。
「うごぉおおおおおおっ!」
マオスの体力ゲージが勝手に減少していく。マオスの手足の関節部位から出血が見られ、マオスは苦痛の叫びをあげる。
「ぐぉおおおおっ!まだ実験途中の憑依水晶だからか……!ぐふっ!問題ない!貴様らを叩き潰した後ゆっくり我が体で実験するだけのことでございます……!」
――マオスは攻撃力も攻撃範囲も広いが、自傷ダメージが発生しているから、放置して逃げるだけで勝手に死ぬ。でもそれだと多少なりとも時間がかかるから適度にダメージを与えていくのが倒す為の近道だ。
マオスは右手を内側に捻り、回転させ右腕から触手掌を飛び出させJ達に攻撃する。Jはその攻撃をサイドステップでよけ、シェロも同様にJと反対側に回避する。Jは憑依アイテムをシェロに対して使用し、精神を入れ替えた。
伸びた触手掌にターゲットを合わせ、そこにめがけてシェロに憑依したJは投げナイフを構える。すると周囲の時間がゆっくりとなり、飛び出た触手掌にターゲットを合わせ、的確に触手掌に投げナイフを突き刺していく。すると再び時間が元の速度に戻り、マオスは絶叫し右腕をだらんと下に下げた。
――シェロ操作時の特殊能力で、高速移動により周囲の動きをゆっくりにする能力だ。落果遺物を加工して作ったナイフを分身させそれを投げつけて攻撃するのがシェロの基本戦闘だ。
マオスは左手も同様に回転させ触手を放つが、Jはそれを回避し投げナイフを突き立て、その投げナイフに繋がっている手元の紐に別のナイフをこすりつけ摩擦熱で着火。火花が紐をたどってマオスの左腕に突き刺さったナイフに到達し、柄に付いている爆薬に引火しマオスの左腕を吹き飛ばした。
「ぐぎゃぁアアアアアアアアアア!」
マオスの体力ゲージが大幅に減少し、半分を切る。両腕を失ったマオスは背中の触手掌を伸ばしながらあたりを破壊していく。Jは憑依アイテムを使用し再び元の体に戻ると、背中の触手掌でJたちを絡めとろうとして上半身を下げて突撃してくるマオスに向かって、ハンマーを頭部にたたきつけ素早く回避行動をとった。再び脳漿が飛び散りあたりをねばつかせる。壁に激突し動きを止めたマオスに向かって、Jとシェロはハンマーとナイフで攻撃を畳みかける。
マオスの体力ゲージが後わずかになったところで、マオスは立ち上がり、エンテとキャナリに向かって突進していった。エンテはキャナリを庇いながら攻撃をよける。
「私の完成体ィイイイイイイイッ!せめてお前だけは私の手でぇえええええええ!」
「よくも私の娘を襲ってくれたなァ!」
エンテは猿人型のモンスターの体を駆使し、左手で背負ってるキャナリを支えつつ右手でマオスの頭部を思い切り殴りつけた。
「グゥワバァアアアアアアッ!」
脳漿と血があたりに飛び散りマオスは倒れ、体を覆った触手掌が溶けていく。触手掌が溶けた体の中心部分には、頭がつぶれたマオスの原型が横たわっており、息も絶え絶えの状態だった。エンテはそのマオスを見下ろすように横に立ち、マオスに向かって話しかける。
「これで終わりだ。マオス・フレーダー。私を……お前が改造した街の住民を元に戻せ……!」
「はぁ……はぁ……ククク……お前も街の住民もこのまま……私の実験は失敗続きだった……失敗作など廃棄して当然……!」
「なんだと……!」
「貴様は唯一の成功例だが……成功した理由もまだ解明できておりません!私を助けなさい!そうすれば解明して貴様を元に戻して差し上げましょう……!」
「マオス!貴様……!」
エンテは憤慨する。マオスは倒さねばいけない悪だ。しかし自分が元の姿に戻るためにはその悪を救わねばいけないとうジレンマ。背反する選択にエンテは頭を悩ませる。すると、タラサがドールハウスから出てきてエンテに言う。
「エンテさん、大丈夫だよ。憑依の落果遺物の使い方は私たちが身をもって体験したし。」
「小娘が何をほざきますか……!」
「私はタラサ、タラサ・ティール。落果遺物の研究なら親子2代分の大ベテランよ!これ!
見て!」
タラサはそういうとバックパックからJたちが持っている水晶頭骨とは別の頭骨を出しエンテに渡した。
「これを持って念じてみて。「もとに戻れー!」って!」
「は!念じるだと!バカな小娘め!そんなことで落果遺物が動くとでも……!」
エンテは水晶頭骨を持って念じてみた。すると、意識が遠のいていき、ばたんと倒れる。
そしてエンテが起き上がると、直前までと様子がおかしくなっていた。
「キーッ!ウキャキャ!ウキーッ!」
エンテだった猿型のモンスターは暴れて崩壊した屋敷の外側へ出ていく。
「馬鹿な……!そんな……!」
マオスは信じられないと言った顔で逃げていくモンスターを見ている。タラサはそんなマオスにとどめの言葉を投げかける。
「マオス、アンタは失敗し続ければいつか成功すると考えてたみたいだけど、そこで思考が止まっていたみたいね。失敗から何も学ばない。ただ同じことを繰り返して失敗し続けただけ。そんなやつが、偶然の成功に酔ってさらに思考を放棄した。あんたは最初から科学者として失敗だったのよ。」
「クソぅ……!チクショウ!……!こんなことが……!こんなことでぇええええええ!」
マオスは最期の断末魔を上げながらばたりと倒れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...