最速の英雄ANY%~RTA走者がゲーム世界に異世界転移。攻略知識を生かして知識チート攻略していきます。~

貝竜

文字の大きさ
上 下
38 / 124

第38話 ダンジョン マオスの屋敷

しおりを挟む
「キャナリちゃん……悔しいかもしれないが、諦めるんだ。キャナリちゃんもあのお屋敷に行っちゃいけないよ。」
「うぅ……ぐすっ……」
住民たちはキャナリといわれる少女から離れ解散した。Jは馬から降り、キャナリに近づき話しかける。
『何があった?』
「旅人さん?変な恰好……えっとね、お父さんがおかしくなっちゃったの。」
シェロとタラサは前かがみになり腰を落とし少女と視線を合わせ、少女をなだめる。
「おかしくなった……というのは?」
「ちょっとお姉ちゃんたちに言ってくごらん。」
「えっとね、ここだと話しづらいからおうちでもいい?あっちの青い屋根の白い壁のおうち。」
するとキャナリは指定した家の方へ歩いていく。Jたちはその後をついていき、家の中に入る。家の中は家具や食器が散らかっており、何かが暴れたような形跡がある。
奥に見える扉はガタガタと揺れ、扉の向こう側で何かが暴れているようだ。
「どうぞ、ちらかってますけど、すわってください。わたし、キャナリっていいます。あ、おきゃくさまがきたらおちゃをださなきゃ……」
「いいよ。キャナリちゃん。それより何があったの?」
「えっとね、このまちのはずれにおやしきがあるの。そこにおとうさんが『ちょうさ』にいって、かえってきたらおかしくなってたの。」
キャナリは揺れる扉をゆびさす。
「このまちにはね、むかし『マオス』っていうきぞくがいて、おとうさんがいったのはそのおやしきなの。おやしきにいったひとがかえってこなくなるじけんがあったんだって。それでまちのひとたちはおやしきの『ちょうさ』」に行ったんだけど、ほとんどかえってこなくて、かえってきたひともあたまがおかしくなっちゃてたんだって。それでね、おとうさんがいうには、あのおやしきでなにか『じけん』がおきたんじゃないかって、いってしらべればきえたひとやあたまがおかしくなったひとが、もとにもどせるんじゃないかってでていったの。そしたら……」
キャナリは顔をふせ涙ぐむ。タラサはキャナリに近づきぎゅっと抱きしめる。きゃなりは声を振り絞り泣き出すように言葉を吐き出した。
「おとうさんおかしくなっちゃったぁあああああ……」
「そうだね……大変だったんだね……いいよ、お姉ちゃんの胸の中でいっぱい泣いていいんだよ……」
しばらくの間、キャナリはタラサの体に顔を押し付け泣き続けた。そしてだんだん泣き声が小さくなっていき、寝息を立てて寝始めた。
タラサはそっとキャナリを椅子に座らせ、床に落ちていた毛布を体に被せる。
「ねぇJ、シェロ。そのお屋敷に行ってみようよ!アタシこの子を何とかしてあげたいの!」 
「僕は賛成だが、助けるかどうかはJに任せるよ。」
『ああ、助けよう』
『だめだ、他にやることがある。』
Jは1番目の選択肢を選んだ
「ああ、助けよう」
――助けると何か見返りがあるの?
――攻略上のほぼ必須アイテムである『憑依の髑髏水晶』が手に入る。これは操作キャラをタラサやシェロとか見方キャラと変更できる特殊アイテムで、そのキャラと精神を入れ替えるアイテムだ。特にシェロを操作してアイテムを盗んだり、2段ジャンプしたり、どんな壁も登ったりするのに必要になる。
――そのついでにこの子を助けるのね
――そんな身もふたもない……
Jたちは椅子から立ち上がり、家を出る。
――町の人から話を聞いてそのあと屋敷に行くのが通常ルートだ。帰ってきた人間は、首から水晶どくろの顎部の首飾りを下げていて、それを外そうとすると暴れだして手に負えないとかの情報を手に入れられる。
――それが原因って分かるのね。
――ちなみにさっきのキャナリの家の横の窓の立て付けられた板の隙間から父親の姿を確認出来るけど、父親もその首飾りをしている。
Jたちは家を出て街の奥にある荒れ果てた街道への横の森林に進む。
――普通に街道に行くと、後ろから声をかけられて、危険だと通せんぼされるから、横の森林を屈んで進む必要がある。
――街人の善意をスルーしていくスタイル。
――これができるのプチ伏線な。
森林の途中から荒れ果てた街道へ移動し、少し進むと、荒れ果てた館が姿を現した。
――3連続館がダンジョンなのね。館多くない?
――ここ数回が特殊なだけだけだから……
Jは洋館内に正面から入っていく。重苦しい扉が埃を上げながら開いていく。
洋館内は薄暗く、緑色や紫色の炎を放つランタンが周囲を怪しげに照らしている。Jたちが洋館から中に入ると、突然上方からJたちを包むかのように檻が降って来た。突然のことにタラサもシェロも反応できず、檻に閉じ込められる。すると檻の上から、先端が人間の手になっている大量の触手が現れ、その触手掌がラッパ上の物体を持ちJたちを囲む。
「なになにこれ!めっちゃキモいんだけど!」
「いやな予感がするね……」
 突如、触手掌が持っているラッパ上の物体からピンク色のガスが噴き出す。
「吸い込むとマズイ!毒ガスだ!」
Jたちはとっさに口を覆い吸い込まないように手で口を覆う。だが、遅かった。J達の視界が歪み、目の前の天地が入れ替わる。バタンと地面に頭を打つ音が聞こえ、他の2人も倒れていると分かる。次第に目の前が暗転していき、意識を失った。
 うっすらと眼が明くと頭部が肥大化した人の姿に、イソギンチャクのようなものが背中から生え、そこから大量の触手掌がJ自身、シェロ、タラサを担ぎ上げ、残りの手で地面を這うように館の通路を移動している。
そして周りに落果遺物にチューブが付いた機械のような物体モンスターが檻に閉じ込められており、また別の壁は1面がまるごと巨大なモニターになっている部屋に入り、両手を天井から鎖で繋がれた。天井は格子が迷路のように入り組んでいる。部屋の一角には落果遺物の宝箱が鎮座している。モンスターが閉じ込められている檻には、邪悪な笑みを浮かべてこちらをニタニタと見ている不気味なモンスターがいた。
――拘束されたようだけど、他の入り口から入るとどうなるの?
――他の入り口はふさがってるし、バグで屋敷内に侵入してもどの場所からでも同じように拘束されるイベントになる。
「ぅん……くひゃ……っ」
タラサが目を覚まし、次いでシェロが目を覚ます。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

処理中です...