最速の英雄ANY%~RTA走者がゲーム世界に異世界転移。攻略知識を生かして知識チート攻略していきます。~

貝竜

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第18話 VSサイバークロプス

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――タラサのイベントをこなすとすぐにこの壺の上位互換が手に入るけど、これはそれまでのつなぎ。
 Jは背中に背負っていたウィレナの装備を壺の中に入れた。
 Jは次々と落果遺物を回収していく。輪郭が光っている落果遺物がなくなるまで時間はかからなかった。Jは輪郭が光っている落果遺物以外にも複数の落下遺物を拾い、付近の落下遺物を回収するとJは村まで走っていく。
――遅い。
――バグ移動に慣れちゃうとな。普通の移動が遅く感じるんだ。
 村に入ると中央のクレーターのロケットによじ登り、ハッチをあけて中に入る。中はすでに誰かがパーツを外したような跡がある。Jが中に入ると底の2本ある操縦管の下部がウィイインと開き、中からキューブ状の落果遺物が出てきた。Jは落果遺物を壺に押し込み、ハッチを閉じ後にする。
他に、ロケットの燃焼部分のパーツを巨人の小鎚で殴って取り外し、壺にいれて、鍛冶屋に向かう。
「ようこそ。フタロイ村の鍛冶屋へ。何をご所望かな?」
『落果遺物の買取を頼みたい』
Jは目の前に表示された画面を操作し拾った落果遺物を売却していく。
――タラサの分の落下遺物と武器用の素材を売らないように注意して落果遺物を売っていく。手に入れた金はすぐに使う。
「毎度ありがとよ?ほかに何か用はあるか?」
『これで武器を作ってほしい。』
Jは残りの落下遺物を机の上に置いた。
「これだと出来るのは御覧の武器になるぜ。」
複数の武器が表示される。
その中からJは迷いなく一つのサブウェポンを選択した。
――パイルバンカー?
目の前が暗転し、暗闇が明けるとJの右手首の甲側に直方体で中身がむき出しの発射武器が装着されていた。それは鉄杭を中心にまわりに機構添えられており、その後ろに落果遺物のゴム状のものが仕込まれ掌にベルトのレバーが握られている。レバーを掌方向に引くとゴムの力を利用して勢いよく発射され、手首を戻すとしまわれるようだ。
――これと『巨人の小鎚』が俺のメインウェポンだ。
――でもこれ人に打ったら死んじゃわない?
――ああ、これは人には使わない。モンスター限定だ。
 半裸パンイチにスキンヘッド、右手にはパイルバンカー背中には大槌の不審者がそこにいた。
――なんだこのシルエット
 Jは店を後にすると宿屋に入り机を移動して壁との空間に入り込む。ウォールトワイスランニングを繰り出し壁をすり抜け村の外に向かって高速移動し始めた。
村とは山から見て90度の位置にある山の斜面まで来るとそのまま登り始めた。少し斜面を登ると、縦にヒビの入った大岩が存在感を放って鎮座している。
Jはヒビの端の少し下部分に右手拳をあてがい、手首を手のひら側に捻りレバーを引いた。ドゴォッ!と金属音が山岳地帯に響き渡り、ヒビが大岩を両断した。
次にJはその岩の前でハンマーを構え、遠心力を利用してハンマーを振り回す。そして回転速度が頂点になったところでヒビの入った大岩にハンマーを叩きつける。
 ゴォンッ!と岩が左右に分断され、奥に洞窟が現れた。
――本来ならタラサのお使いイベントで爆薬を貰って爆破するんだけど、こうやって力づくでも出来る。
 Jが洞窟内に入っていくと、中から一つ目のサイバークロプスが仁王立ちでJを見ている。
――サイクロプス……とはちょっと違うわね……
――ああサイクロプスじゃない、俺のRTAチャートの最初のボス戦だ。
一つ目のサイバークロプスは体が落下遺物そのもので出来ていて、全身に青い光を纏っていてそれが洞窟内を明るく照らしている。そのサイバークロプスを見てカルトゥムが驚く。
「研究所の下にこんなのがあったなんて知らなかったメェ!これは貴重な遺物だメェ!」
カルトゥムはカタカタ言い出しその両目から空中にモニターを映し出し説明し始めた。
「インプットされた文献によればこいつの名前は『サイバークロプス』だマ!500年くらい前に天井から落ちてきたのを発見した記録があるメェ!自分に危害を加えるものに自動撃劇を行う兵器タイプの落果遺物だメェ!こいつからは貴重なコアや歯車が採取できるメェ!」
――この人形便利ね。
Jがサイバークロプスに近寄り、大岩を両断した時と同じようにハンマーを構え、全身を回転させ思い切りサイバークロプスに叩きつけた。サイバークロプスは後ろにのけぞり
青い光をJに向かって放射した。そしてその右腕を振り上げJに向かって叩きつける!
Jはそれを前転ローリングでジャスト回避を行い、サイバークロプスの左膝に回り込み膝裏に向かってパイルバンカーを打ち込んだ。サイバークロプスはバランスを崩し左手で体を支えようとする。
――いいぞ。その位置だ
Jは体を横にし、ハンマーを縦に一回転させながらサイバークロプスの頭部に向かって叩き下ろした。サイバークロプスの頭部は地面にめり込むようにハンマーを打ち込まれ、ギビギビと機械音をあげる。
Jが攻撃するたびに空中にダメージを表す数値が表示され、サイバークロプスの頭部上部にはサイバークロプスの残りライフポイントを表すゲージが表示されている。
初撃からの合計3連撃で削れたサイバークロプスのライフポイントは10分の1ほどだ。
――ほとんど効いてないじゃない。
――序盤の敵じゃないからな。巨人の小鎚の性能もレベルが足りなくて発揮しきれてない……それでも……!
Jはサイバークロプスの頭部、発光している目と思わしき部分にパイルをあてがい、鉄杭を射出した。
サイバークロプスのライフポイントがさらに10分の2ほど削れる。サイバークロプスはJを振り払おうと暴れるが、Jはバックステップで難なく躱す。サイバークロプスが起き上がるモーションに合わせてJは背中をハンマーでたたきあげる。
――起きるの手伝ってやるよ
サイバークロプスは後頭部を叩きあげられその勢いのまま壁に激突する。Jに向かって完全に隙だらけな背中を見せるサイバークロプスだが、Jは追撃をしなかった。
――なぜ攻撃をやめたの?
ヌルが疑問を口にする。するとサイバークロプスは右手を大きく横に振り3回転程回してJの方へ振り向いた。
――あれに当たらないようにするためさ。躱してもあの攻撃モーションが終わるまではこっちから攻撃しても逆にやられる。でも次は俺の番だ。
 Jはサイバークロプスの方へ走っていき、右手の振り下ろしに合わせて懐に入りこむように左わき腹に密着する。そこでわき腹に向かってパイルバンカーを打ち込む。サイバークロプスは振り下ろした右手をそのまま勢いよくJの後頭部めがけて肘鉄を振り下ろした。
――あぶない。
ヌルはとっさに声をかける。Jの視点からは振り下ろされる巨人の肘鉄を視認することは出来ない。このままでは大ダメージを負ってしまう。しかし、Jはこれをすんでのところでしゃがんで回避。そのまま左の膝裏へハンマーを地面と水平にスイングした。
――すごい。どうして回避できたの。
戦闘中とはお構いなしにヌルは思考会話をJに投げかける。
――RTAの基本は繰り返すことだ。俺は何度もこいつと戦ってる。攻撃パターンなら全部頭に入って体も覚えてるさ。
ハンマーが膝に命中した巨人は再び崩れ落ちる。崩れ落ちた巨人の弱点である頭部の目玉と思われるところに今度は思い切りハンマーを叩きつける。巨人の残りライフポイントが半分を切った。
 すると巨人は中腰になり空気椅子の体勢になった。巨人の膝がパカッと開き、中から棒状のものが両ひざから1本ずつ飛び出した。それを逆手で持ち棒の端同士をくっつけ長くなった棒の端を握る。するとヴォンという音とともにその棒が赤く発行しだし、巨人はそれを突き出た岩に向かって振り下ろした。するとその岩が包丁で豆腐を着るようにスパッと切れ、切断面は赤く溶けだしている。
――第2形態だ。巨人の熱剣モード。
巨人は熱剣を上段に構え奉公する。Jの体がビリビリと震え構えた上段の熱剣により天井が溶け出した。
――口ないけどどこから声出してたの?
――俺にも分からん。
巨人は熱剣をJに向かって振り下ろした。Jは左手側にローリングをして熱剣を躱す。熱剣が地面にたたきつけられその部分が一瞬で溶け出し赤い溶岩となってあたりに飛び散る。
――あの溶岩に当たると死ぬ。
――範囲攻撃はやっかいね。
巨人は熱剣を振り下ろした状態から、左手に躱したJに向かって横薙ぎ一閃を繰り出す。Jは再度ローリングの無敵時間を利用して払ってきた剣に向かって突撃する。Jの体を熱剣がすり抜けるがダメージはない。溶けた足場に着地しないよう気を付けながらJはハンマーを構え、がら空きになった巨人の左側面に向かって叩きつける。
――あと3発……!
巨人はノックバックを受け熱剣を闇雲に振り回す。Jは2回バックステップを行い熱剣の射程範囲から逃れた。振り回しを終えた巨人は一時停止し体勢を整えるが、Jはその隙を見逃さない。ハンマーを背に収め、巨人の前方のあちこちに溶けた溶岩だまりが出来ていて、そこを回避、ジャンプしながら避け、巨人の懐に潜り込む。右手拳を巨人の腹部に密着させ手首をひねり、3発目のパイルバンカーをお見舞いした。Jの右手はパイルの反動で後方へ弾き飛ばされ、その勢いに乗ってJは後方数メートルバックステップを行う。
 巨人は『グウォウ……!』とうずくまり膝をつき頭部をJの方へ向ける。巨人のライフポイントは既に25%を切っていた。
 と、次の瞬間、巨人の目が光り、その眼孔部から光線が射出される。Jは光線に向かって前方ステップを行い、光線をすり抜ける。Jの体を光線が貫通するが、無敵時間なためダメージはない。光線がJの後方の岩壁に命中すると、光線が当たる周囲数センチ、数メートルの奥行きの穴が開き、赤黄色く溶け出している。
――あと2発!
懐に潜り込んだJに巨人は右膝をかちあげ接近を拒否する。Jはその膝を左手で払い背中に回り込む。『パリングスルー』だ。そして巨人の後頭部めがけてハンマーを背中から抜刀し叩き込む。巨人は前のめりになりライフポイントがあと残りわずかに表示される。
――あと1発。
巨人は前のめりの状態から後方にいるJに向かって熱剣を薙ぎ払う。上半身が回転し下半身は前方に、上半身は反対側に回転をかけ上下が反転した状態で攻撃を行うが、これはJ、後方にバックステップで難なくかわす。巨人はそのまま下半身を振り向かせ、上半身を高速で回転させ、まるで横向きにした扇風機のように熱剣を地面と水平に回転させる。しかし頭部はしっかりとJを見据えている。
巨人は上半身を高速で回転させ、ゆっくりとJに近づいてくる。
――どうするの?また前方に回避?でもあの速度だと躱した先を斬られて終わってしまうわ。
ヌルはやや心配そうな雰囲気を醸しだしつつJに問いかける。
――問題ない。あの剣は躱さない。
Jはゆっくりと近づいてくる巨人に対し同じ速度で歩み寄り、パイルバンカーを構える。
Jと巨人の回転があと数センチで重なるといったタイミングでJはパイルバンカーを回転とは垂直になるように回転に向かって射出した。
熱剣は天井に向かってはじき出され巨人の手から熱剣が離れるその瞬間、Jは一気に巨人へ近づきパイルバンカーの鉄杭を再装填する。
――ちょっと熱くなってるな。
 パイルバンカーが装着された右腕を大きく振りかぶり、回転する巨人の上半身に向かって思い切り殴りつけ、回転に接地した瞬間、パイルバンカーを射出した。
巨人は大きく後方に吹き飛び、動かなくなる。
巨人のライフポイントのゲージが表示されなくなり、巨人の体が青く発光し、その光が粒子となってJに向かってくる。Jはその光を全身に浴び、視野内に「レベルが上がった」と表示される。その文字の下に「1→14」と表示されレベルが14上がったことが分かる。
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