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第13話 ロリ博士登場
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――手前の山の山頂にロリ博士の研究所がある。高速移動は此処までだ。後はクライミングの時間だ。
山のふもとまでたどり着くと崖に体をぶつけ高速移動を解除する。
山を見上げると山頂付近にうっすら建物らしき面影が見える。麓との比高は大体180メートルほどだろうか。
山のふもとに昇降機らしき設備が山頂の研究所まで伸びている。
――あれは動かないの?
――ああ、あれは山頂まで行ってイベントをこなさないと動かない。
山頂にはうっすら雪が積もっている。
――寒そう。
――ヌルは寒いのか?
Jはヌルの方を見る。確かに薄着に見える。
――何?私の体に興味があるの?いい趣味してるわね。変態。
――ちょっと見ただけでその言いぐさ⁉
――私に五体の感覚はないわ。
ヌルは布状の大きな手で自分の頬をつねる。
――あれ?
――どうした?
――肌がピリッとした。これが……痛み……?
――何も感じない、何もないんじゃなかったのか……?
――初めての感覚……でも……なぜ……?
Jはヌルの足首の拘束具が一つ外されているのを見つけた。
――ヌル、それ外れているのが何か関係あるんじゃないか?
――本当、気づかなかった。いつ外れたのかしら。関係があるかは分からないわね。
――謎だらけだな君。
Jにとってヌルはただのバグか、監視プログラムかはまだ判断しかねていた。どちらにせよゲームをクリアしてしまえば解放される。今はクリアに尽力すべきだと考え、山を登り始めた。
登山ルートは崖と山道があるが、山道部分にはモンスターや段差が多く、回り道になるため登るのに時間がかかる。Jはクライミングが最短だとし、崖に手をかけた。
クライミングはサイロに続き2回目だが、距離が全然違う。崖部分にはところどころゲージ回復用の段差があるが、無駄なルートを通ってしまうと体力が尽きて一番下まで真っ逆さまだ。掴む岩や、足を掛けられる岩を選択してルートどりする。出来るだけ早く、出来るだけ楽に、体力ゲージの減りにくい岩を選択して登っていく。
――人間は大変ね。私みたいにふわふわ浮いていれば登るのも楽なのに。
――おぶって連れてってくれない?
――無理よ。私はあなたに触れないもの。
――触れればいいんだ。
――そういうつもりで言ったんじゃない。
最初の休憩ポイントの足場まで到達すると、丸いアケビのような木の実がなる木が生えている。
――コルポの実だ。一時的に体力ゲージの上限をあげてくれる。
コルポの実を食べ、体力を回復したら再び登り始める。すると、上部から落石が降って来た。
――あれに当たると体力を一気に持ってかれる。そろそろこの高さだと落下ダメージでゲームオーバーになりかねない。慎重に行かなきゃな。
落石がある場所、落ちてくる頻度は決まっている。落石の落下を予測して左右に石を回避しながら体力ゲージに気を配って登っていく。実際のクライミングさながら、左右の手で崖をホールドし、残りの手をプラプラさせて体力ゲージの回復を図る。指先に至るまでゲージ管理に関係するくらいこのゲームはリアルに作られていた。
2つ目、3つ目と急速ポイントになりえる足場や、岸壁から生えている木で休息し体力ゲージを回復しながら、登っていき、ものの数分で研究所まで到達した。
研究所の入り口まで来ると、中から叫び声が聞こえてくる。
「あびゃぁあああああああああ!?」
――何!?どうしたの?
突然の叫びにヌルも驚く。
すると中から飛び出してきたのは、白衣をダボつかせ、ゴーグルを煤だらけにし、その身を茶色に焦がしながら飛び出してきた……
――ロリ博士だ。
「けほっ」!ごほげこけぽっ……!ごほっ」
『大丈夫か?』
Jは飛び出してきた小さい女の子に手を差し伸べる。
女の子は焦げ付いたツナギの作業着をポンポンと手で煤を落とし、Jの手を取りゴーグルを外して独り言を言い始めた。
「ああ、ありがとね。でもどうして失敗したんだぜ……?さっきの形状の落果遺物は熱を当てると発光するという性質を持つと文献にあり実際に加熱して見たらご覧のありさまだ。加熱する場所が悪かったのか……?いや、場所は関係ない温度差だ急激な加熱がいけなかったんだ。第一魔法速度への到達を焦ってしまったようだ……発光の順序としてまずオレンジ色から黄色を経由して緑にならねばならなかった。だが今回はいきなり緑色スタートだった。未知の材質かそれとも耐久度の違いなのかなー……?」
『おい……大丈夫か?』
Jは再び少女に呼びかける。
「ああ、大丈夫、今回は失敗だった、また一つ先へ進んだ……ぜ……?」
少女は目を丸くしてJの方を見る。しばしの沈黙が発生したのち、少女は顔を青ざめて手を振り払い全速力で逃げ出した。
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃっ!変態だーッ!」
少女は転がるように慌てふためき研究所へ戻りドアを閉めた!
「出ない!私はこの研究所を出ないぞ!断じて出るものか!べーっだ!」
――今出てたわよね?
――この幼女は人嫌いなんだ、一旦ここでフラグを回収する必要がある。
ロリ博士の研究所のドアに張り紙が張ってある。
『フタロイ村のカバリオ以外お断りだ!』
「なんだ?まだ帰らないのか?お前レアな落果遺物を持ってるのか?」
ロリ博士がドア越しにJに尋ねる。
『俺が落果遺物だ。』
『落果遺物は持っていない』
『カバリオの知り合いだ。』
『君ちょっと匂ってたぞ』
――最後の女の子に言うセリフじゃない
Jは1番目の選択肢を選んだ。
『俺が落果遺物だ』
「はぁ⁉あんた何言ってるのぉ?」
『ジマリ村の森林に落果遺物が落ちてきてそれから人が出てきたっていう話は知ってるか?』
「何それ初耳なんですけど!?落果遺物から人!超見たい!」
『俺がその落果遺物から出てきたっていう人間だ。』
「え!ほんとに……?」
ドアがガチャっと開きロリ博士が見上げるようにJを見つめる。
――ちょろい
ロリ博士はハッとして再びバタンとドアを閉めてしまった。
「あぶなっ!あんたがその落果遺人とは限らないじゃない!怪しい人!危険ね!」
――ちょろくなかった
「第一、落果遺物ならカバリオがいつも持ってきてくれる!あんたが落果遺人っていうならまずわカバリオに認めてもらいなさい!話はそれからよ!」
メインクエスト:フタロイ村のカバリオに会おう。
――このロリ博士……もとい『タラサ・ティール』はそのカバリオっていう学者としかコンタクトを取らない人見知りなんだ。だから仲間にするにはまずカバリオのところに行く必要がある。ちなみに通常プレイだと3番目に仲間にするキャラクターで、王都でのギミッグを攻略するためにロリ博士が必要ってことで町の人からこの場所を教えてもらう流れ になってる。RTAならわざわざ推奨される攻略順にプレイする必要ないから聞かなくてもいい。
――とりあえずそのカバリオって人に会いに行くのね。
――ああ、一旦ここで会話してフラグを立てていることが必要になる。
Jはドアから離れ、登ってきた崖との隣の崖に移動する。そこには地上で使えなかった昇降機があり、レバーを引くとフェンスが開いて昇降機が利用できるようになった。
――これでつぎ来るときに楽になる。
――J、あそこの村がもしかしてフタロイ村?
登ってきた崖の反対側のふもとに村が見える。ヌルはその村を指さしJに質問したのだった。
――ああ、あそこまで行く。と言ってもすぐだけどな。
山のふもとまでたどり着くと崖に体をぶつけ高速移動を解除する。
山を見上げると山頂付近にうっすら建物らしき面影が見える。麓との比高は大体180メートルほどだろうか。
山のふもとに昇降機らしき設備が山頂の研究所まで伸びている。
――あれは動かないの?
――ああ、あれは山頂まで行ってイベントをこなさないと動かない。
山頂にはうっすら雪が積もっている。
――寒そう。
――ヌルは寒いのか?
Jはヌルの方を見る。確かに薄着に見える。
――何?私の体に興味があるの?いい趣味してるわね。変態。
――ちょっと見ただけでその言いぐさ⁉
――私に五体の感覚はないわ。
ヌルは布状の大きな手で自分の頬をつねる。
――あれ?
――どうした?
――肌がピリッとした。これが……痛み……?
――何も感じない、何もないんじゃなかったのか……?
――初めての感覚……でも……なぜ……?
Jはヌルの足首の拘束具が一つ外されているのを見つけた。
――ヌル、それ外れているのが何か関係あるんじゃないか?
――本当、気づかなかった。いつ外れたのかしら。関係があるかは分からないわね。
――謎だらけだな君。
Jにとってヌルはただのバグか、監視プログラムかはまだ判断しかねていた。どちらにせよゲームをクリアしてしまえば解放される。今はクリアに尽力すべきだと考え、山を登り始めた。
登山ルートは崖と山道があるが、山道部分にはモンスターや段差が多く、回り道になるため登るのに時間がかかる。Jはクライミングが最短だとし、崖に手をかけた。
クライミングはサイロに続き2回目だが、距離が全然違う。崖部分にはところどころゲージ回復用の段差があるが、無駄なルートを通ってしまうと体力が尽きて一番下まで真っ逆さまだ。掴む岩や、足を掛けられる岩を選択してルートどりする。出来るだけ早く、出来るだけ楽に、体力ゲージの減りにくい岩を選択して登っていく。
――人間は大変ね。私みたいにふわふわ浮いていれば登るのも楽なのに。
――おぶって連れてってくれない?
――無理よ。私はあなたに触れないもの。
――触れればいいんだ。
――そういうつもりで言ったんじゃない。
最初の休憩ポイントの足場まで到達すると、丸いアケビのような木の実がなる木が生えている。
――コルポの実だ。一時的に体力ゲージの上限をあげてくれる。
コルポの実を食べ、体力を回復したら再び登り始める。すると、上部から落石が降って来た。
――あれに当たると体力を一気に持ってかれる。そろそろこの高さだと落下ダメージでゲームオーバーになりかねない。慎重に行かなきゃな。
落石がある場所、落ちてくる頻度は決まっている。落石の落下を予測して左右に石を回避しながら体力ゲージに気を配って登っていく。実際のクライミングさながら、左右の手で崖をホールドし、残りの手をプラプラさせて体力ゲージの回復を図る。指先に至るまでゲージ管理に関係するくらいこのゲームはリアルに作られていた。
2つ目、3つ目と急速ポイントになりえる足場や、岸壁から生えている木で休息し体力ゲージを回復しながら、登っていき、ものの数分で研究所まで到達した。
研究所の入り口まで来ると、中から叫び声が聞こえてくる。
「あびゃぁあああああああああ!?」
――何!?どうしたの?
突然の叫びにヌルも驚く。
すると中から飛び出してきたのは、白衣をダボつかせ、ゴーグルを煤だらけにし、その身を茶色に焦がしながら飛び出してきた……
――ロリ博士だ。
「けほっ」!ごほげこけぽっ……!ごほっ」
『大丈夫か?』
Jは飛び出してきた小さい女の子に手を差し伸べる。
女の子は焦げ付いたツナギの作業着をポンポンと手で煤を落とし、Jの手を取りゴーグルを外して独り言を言い始めた。
「ああ、ありがとね。でもどうして失敗したんだぜ……?さっきの形状の落果遺物は熱を当てると発光するという性質を持つと文献にあり実際に加熱して見たらご覧のありさまだ。加熱する場所が悪かったのか……?いや、場所は関係ない温度差だ急激な加熱がいけなかったんだ。第一魔法速度への到達を焦ってしまったようだ……発光の順序としてまずオレンジ色から黄色を経由して緑にならねばならなかった。だが今回はいきなり緑色スタートだった。未知の材質かそれとも耐久度の違いなのかなー……?」
『おい……大丈夫か?』
Jは再び少女に呼びかける。
「ああ、大丈夫、今回は失敗だった、また一つ先へ進んだ……ぜ……?」
少女は目を丸くしてJの方を見る。しばしの沈黙が発生したのち、少女は顔を青ざめて手を振り払い全速力で逃げ出した。
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃっ!変態だーッ!」
少女は転がるように慌てふためき研究所へ戻りドアを閉めた!
「出ない!私はこの研究所を出ないぞ!断じて出るものか!べーっだ!」
――今出てたわよね?
――この幼女は人嫌いなんだ、一旦ここでフラグを回収する必要がある。
ロリ博士の研究所のドアに張り紙が張ってある。
『フタロイ村のカバリオ以外お断りだ!』
「なんだ?まだ帰らないのか?お前レアな落果遺物を持ってるのか?」
ロリ博士がドア越しにJに尋ねる。
『俺が落果遺物だ。』
『落果遺物は持っていない』
『カバリオの知り合いだ。』
『君ちょっと匂ってたぞ』
――最後の女の子に言うセリフじゃない
Jは1番目の選択肢を選んだ。
『俺が落果遺物だ』
「はぁ⁉あんた何言ってるのぉ?」
『ジマリ村の森林に落果遺物が落ちてきてそれから人が出てきたっていう話は知ってるか?』
「何それ初耳なんですけど!?落果遺物から人!超見たい!」
『俺がその落果遺物から出てきたっていう人間だ。』
「え!ほんとに……?」
ドアがガチャっと開きロリ博士が見上げるようにJを見つめる。
――ちょろい
ロリ博士はハッとして再びバタンとドアを閉めてしまった。
「あぶなっ!あんたがその落果遺人とは限らないじゃない!怪しい人!危険ね!」
――ちょろくなかった
「第一、落果遺物ならカバリオがいつも持ってきてくれる!あんたが落果遺人っていうならまずわカバリオに認めてもらいなさい!話はそれからよ!」
メインクエスト:フタロイ村のカバリオに会おう。
――このロリ博士……もとい『タラサ・ティール』はそのカバリオっていう学者としかコンタクトを取らない人見知りなんだ。だから仲間にするにはまずカバリオのところに行く必要がある。ちなみに通常プレイだと3番目に仲間にするキャラクターで、王都でのギミッグを攻略するためにロリ博士が必要ってことで町の人からこの場所を教えてもらう流れ になってる。RTAならわざわざ推奨される攻略順にプレイする必要ないから聞かなくてもいい。
――とりあえずそのカバリオって人に会いに行くのね。
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Jはドアから離れ、登ってきた崖との隣の崖に移動する。そこには地上で使えなかった昇降機があり、レバーを引くとフェンスが開いて昇降機が利用できるようになった。
――これでつぎ来るときに楽になる。
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