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いよいよ冒険者です!!

宿屋の部屋が一泊90ジュジュの部屋じゃありませんでした

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「それでは、お部屋にご案内いたしますね」

 ハオラさんが仕事に戻ると、ロゼットさんはそう言って受付の隣にある階段を指しました。

 階段をのぼり三階まで行き、1番奥の部屋の扉の前に着きます。そしてロゼットさんが扉を開けました。

「ここがセツナちゃんとタマユラくんの部屋になります。部屋に入ると扉が二つあり、右手側にある扉がトイレ、左手側がお風呂と脱衣所となっています。お風呂は半露天風呂となっており、そこからは宿の裏側にある林が見えて今だと桃の花が綺麗ですよ。勿論、外からは見えないようにと結界を貼ってあります」
「タマ兄様、お風呂だって!!」
「久しぶりだね~」
「うん!!」

 お風呂なんて本当に久しぶりです!!日本にいた頃がどれだけ幸せだったか、こちらに来て実感する理由になったほどに久しぶりです!!まあ、野生の魔獣にお風呂は流石にないと分かってはいるのですが……。

「そんなに喜んでもらえるのなら良かったです。朝食は朝5時から8時まで、夕食は夜5時半から8時半までとなります。一応、これよりも早かったり遅かったり食べなかったりすることもできますが、その時はなるべく事前に声をかけてもらえると助かります。お食事の際はメニューをお配りしますので、受付にいる誰かに声をかけてくださいね。お弁当などを作ることも可能ですが、その際は料金がかかりますのでご注意下さい。
 ……事前に言っておくことはこのくらいでしょうか?あ、女子会の件ですが、私は基本的には受付にいますので、お食事が終わったなら声をかけてくださいね」
「わかりました。また食事の時間になったら降りますね」

 タマ兄様がそう言うと、ロゼットさんは礼をして下がっていきました。

「……さて、まずは部屋の確認をしようか」

 部屋の中に入ると、まずベッドが二つ置かれ、その奥に二人がけのソファがローテーブルをはさみ二つ、そして私が両手を広げても足りない大きな窓がありました。…………ベッドがシングルではなくダブルなのですが……ソファって普通宿屋にありましたっけ(少し硬いですが、座り心地がとてもいいです)……え、宿屋の窓ってこんな大きいんですか…?

 そして入り口から入って右側の壁には二つの扉。右の扉はトイレ。シングルベッドがまるっと収まるくらいの広さなんですが……。左の扉は脱衣所、そしてガラスの壁を隔ててお風呂です。お風呂は一面の壁が窓みたいにくり抜かれ、すだれが上に巻かれています。……誰か日本人、すだれを教えた?お風呂はお風呂で、普通この文明でこのレベル行くの?とても綺麗な石風呂なのですが、どうしたのでしょう?脱衣所は車一台余裕で入りますよ?何よりガラス、どうやって手に入れたのですか?高級品じゃありませんでしたっけ?

 疑問が多すぎます。もう涙で視界が滲んているのですが。

「にいさまぁ、ここもう一泊90ジュジュの部屋じゃないよ~。お金持ちの人がとる部屋だ~」
「そうだね……」

 兄様を見上げると、兄様も目に涙を浮かべて何処か遠くを見ていました。あぁ……兄様もそう思うのですね……。

 しばらく放心した後二人で話し合った結果、せっかく貰った厚意なので遠慮なくもらうことにしました。

「まだご飯まで時間あるね」

 時計を見ると、今は午後の三時。ちょうどおやつの時間を少し過ぎたくらいですね。

「それじゃあ、一時間くらい散策して帰ってこようか」
「私、その後に少し早めのお風呂入りたいです」
「そうだね。そうしようか」

 ということで、コロンの散策に行ってきます!!

~:+:✡:+:~~:+:✡:+:~~:+:✡:+:~

「兄様、どこ行く?」

 宿を出て大通りに出た私達は、出店を冷やかしながら散策します。

「そうだなあ……やっぱり、さっきの焼鳥(?)の屋台行きたいね」
「そうだね。それに甘いものもほしいけど……スイーツの屋台ってないなあ」
「じゃあ、鳥を買った後に食べながら何処かいいお店ないか探そっか」
「うん!!」

 甘いもの、食べたいです!!

「兄様は甘いもの好きですか?」
「好きだよ。でも、甘さ控えめのスイーツの方が好きかな。ティラミスとか」
「ティラミス!美味しいよね」

 あのトロ~としてフワッとするクリームとか、コーヒーが染み込んだほろ苦いビスケットとかもうたまりません!!

 そういえば、これってデートに入るのでしょうか?

「兄様、これってデートなのかな?」
「うーん、そうなんじゃないかな?一応二人で出かけているわけですし」
「やっぱり?初デートですねぇ」
「そうだねぇ……あ、セツ、たしかあそこだったよね、鳥」
「うん、そうだよ」

 鳥さんの屋台を見つけたため、その屋台に近づきます。

「おじさん、鳥4本ちょうだい」
「ほい、合計16ジュジュだ。ちょっと待ってな。……二人は猫獣人かい?」
「はい。僕は玉響、こっちは双子の妹の刹那です」
「そうか。俺はナフユってんだ。よろしくな」
「「よろしくお願いします!」」
「っと、ほい出来た」
「16ジュジュです」
「うん、確かに16ジュジュだ。毎度あり」
「また来ます!!」
「あいよ」

 ナフユさんから甘辛いタレを絡めた鳥串をもらい、食べ歩きながら兄様と良いお店を探します。

 ……うん、美味しい。
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