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✽第一幕 妖狐転生✽
6話 喧嘩するほど仲がいいと言うものじゃ
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父上様達に喋れることを披露した妾だったが、それから毎日呼ばせようとやってくるのが面倒じゃ。姉上様が来てやっと帰ったと思ったら、兄上様が来て帰って、一息つけると思ったら父上様が来て、帰ったと思ったら、また兄上様が来て……の繰り返しじゃ。まぁ、4回目くらいで毎回母上様が来て止めて下さるのじゃがな。
妾が喋れるようになったことで、より溺愛し、過保護になってしまった父上様たちは、なんと、妾に護衛と侍女をつけると言い出した。で、今日はその顔合わせらしい。
護衛と侍女は、普通3歳になったらつける風習なのだがのぅ……。
顔合わせまでの時間は暇じゃから、お布団の上でゴロゴロとする。もちろん、あの可愛らしい狐姿じゃ。
「水葱、入るぞ」
む、どうやら来たようじゃの。ぴょこっと起き上がり、廊下側の障子を見る。
「あ?寝てたのか?まぁ、お前の護衛と侍女になる奴を連れてきたぞ。」
父上様はそう言って、後ろの男子2人と女子1人を見た。
「紹介する。お前の侍女になる朝顔と、護衛の曙升麻、山査子だ。」
「はじめまして。本日から水葱様付きの侍女となりました結璃朝顔と申します。これから精一杯頑張らせて頂きますので、よろしくお願いします。」
ふわふわの赤い髪の女性が、スッと頭を下げる。目はきれいな赤紫じゃ。キリッとしてて美人じゃのぅ。
「栖楽曙升麻です!!“曙升麻”だと長いし、ショウマって呼んで~。あ、しょーちゃんでもオッケー!!」
か、軽いのぅ……。見た目も茶髪の長髪を後ろで適当に括ってて、チャラいしな。まぁ、親バカの父上様が選んだからには、相当な力を持っとるはずじゃが……本当か?
「おいしょう、失礼だぞ!!申し訳ありません、後できっちりと言っておきますので……。私は憧瑪山査子言います。しょう――曙升麻とは幼馴染なんです。こいつが何かしたら遠慮なく私に申し付けてくれれば、しっかりと叱っておきますので。」
こいつはまともそうじゃな。髪は新緑色のストレートで、目は深緑だ。ショウマのお守りがいてくれるのは正直ありがたい。妾では上手く扱うまで時間がかかりそうじゃからな。
「それじゃあ、俺は仕事に戻るぞ。まだ山のように残ってるからな。」
そう言って、父上様が去っていった。すると、ショウマが山査子に突っかかっていった。
「ちょっと、サンちゃん。それじゃあまるで俺のお守りみたいじゃん!!」
「俺はもとからそのつもりだが。あと、サンちゃん言うな。」
「ヒドイ!!俺、子供じゃないんだけど!?」
「むしろ、子供の方が聞き分けが良くて助かる。お前の場合、色々な抜け道をキッチリと作ってからやるからな。余計質が悪い。」
「うわーん、サンちゃんがいじめる~!!」
「誰もいじめとらんわ!!嘘泣きしても無駄だからな。それと、サンちゃん言うな。」
「む~……サンちゃんサンちゃんサンちゃんサンちゃん!!」
「だからサンちゃん言うなと言ってるだろうが!!」
「え~、なんでぇ~?サンちゃんカワイイじゃん!!」
「可愛くなんかないわ!!それに、サンちゃんってどう考えても女だろうが!!」
「あ、バレた?」
「バレるに決まってるだろう!!」
ショウマと山査子が喧嘩を始める。
これから騒がしくなりそうじゃのぅ。
妾が喋れるようになったことで、より溺愛し、過保護になってしまった父上様たちは、なんと、妾に護衛と侍女をつけると言い出した。で、今日はその顔合わせらしい。
護衛と侍女は、普通3歳になったらつける風習なのだがのぅ……。
顔合わせまでの時間は暇じゃから、お布団の上でゴロゴロとする。もちろん、あの可愛らしい狐姿じゃ。
「水葱、入るぞ」
む、どうやら来たようじゃの。ぴょこっと起き上がり、廊下側の障子を見る。
「あ?寝てたのか?まぁ、お前の護衛と侍女になる奴を連れてきたぞ。」
父上様はそう言って、後ろの男子2人と女子1人を見た。
「紹介する。お前の侍女になる朝顔と、護衛の曙升麻、山査子だ。」
「はじめまして。本日から水葱様付きの侍女となりました結璃朝顔と申します。これから精一杯頑張らせて頂きますので、よろしくお願いします。」
ふわふわの赤い髪の女性が、スッと頭を下げる。目はきれいな赤紫じゃ。キリッとしてて美人じゃのぅ。
「栖楽曙升麻です!!“曙升麻”だと長いし、ショウマって呼んで~。あ、しょーちゃんでもオッケー!!」
か、軽いのぅ……。見た目も茶髪の長髪を後ろで適当に括ってて、チャラいしな。まぁ、親バカの父上様が選んだからには、相当な力を持っとるはずじゃが……本当か?
「おいしょう、失礼だぞ!!申し訳ありません、後できっちりと言っておきますので……。私は憧瑪山査子言います。しょう――曙升麻とは幼馴染なんです。こいつが何かしたら遠慮なく私に申し付けてくれれば、しっかりと叱っておきますので。」
こいつはまともそうじゃな。髪は新緑色のストレートで、目は深緑だ。ショウマのお守りがいてくれるのは正直ありがたい。妾では上手く扱うまで時間がかかりそうじゃからな。
「それじゃあ、俺は仕事に戻るぞ。まだ山のように残ってるからな。」
そう言って、父上様が去っていった。すると、ショウマが山査子に突っかかっていった。
「ちょっと、サンちゃん。それじゃあまるで俺のお守りみたいじゃん!!」
「俺はもとからそのつもりだが。あと、サンちゃん言うな。」
「ヒドイ!!俺、子供じゃないんだけど!?」
「むしろ、子供の方が聞き分けが良くて助かる。お前の場合、色々な抜け道をキッチリと作ってからやるからな。余計質が悪い。」
「うわーん、サンちゃんがいじめる~!!」
「誰もいじめとらんわ!!嘘泣きしても無駄だからな。それと、サンちゃん言うな。」
「む~……サンちゃんサンちゃんサンちゃんサンちゃん!!」
「だからサンちゃん言うなと言ってるだろうが!!」
「え~、なんでぇ~?サンちゃんカワイイじゃん!!」
「可愛くなんかないわ!!それに、サンちゃんってどう考えても女だろうが!!」
「あ、バレた?」
「バレるに決まってるだろう!!」
ショウマと山査子が喧嘩を始める。
これから騒がしくなりそうじゃのぅ。
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