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◈◈忌み子の少年◈◈
騎士団
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翌日の朝、シャルル達は村の中央の広場にいた。シャルル達の他にも、森に来た男達も集まっていた。
「よし、おめーら、準備は出来たか?」
ヴァンフリートはグルリと見回す。
「これから、王都に向かう。行きと同じく、だいたい二週間かけて帰る予定だったが、馬を預けてあるテリーヘの街までは歩きだから、王都到着は少し予定より遅くなる。早く着きたかったら急いで歩かないと行けないぞー。
質問のある奴はいるか?
……いないようだな。それじゃあ、王都に向かうぞ」
「ちょっと待ってください!!団長、この子の事を忘れてます!!」
「お?おお、そうだった。なーんか、忘れてる気がしたんだよなぁ」
「しっかりしてください、もう。」
「わりぃわりぃ。おい、お前らちょっと待て。ルディウスから言いたいことがある」
ザワザワと準備をしていた騎士達は、話をやめてルディウスを見た。
「えー、昨日保護したこの子のことなんですが、私が引き取って親になることになりました。この子は虐待を受けていたようで、感情がありません。色々と合わないこともあると思いますが、困っているようでしたら助けてあげて下さい。
あ、あとこの子の名前ですが、シャルルです。養子に入るので、正式にはシャルル・レイクルートですね」
「ほんじゃま、王都に帰るぞ!!」
∵∴✿∴∵❀∵∴✿∴∵
森の中、ガチャガチャワチャワチャと鎧と武器の擦れる音が響く。
ルディウスに抱かれて移動していたシャルルは、ふとルディウスを見た。
「どうしたんですか?」
「後ろにいる人たち……だれ?」
「私と同じ王国騎士団の騎士達です」
「王国騎士団?」
「はい。王国騎士団っていうのは、このフォーサイト王国を守る騎士団です。王国騎士団は10に分かれていて、第一騎士団は王族の警備、つまり近衛騎士団です。第二騎士団は王都の警備、第三騎士団は魔物が出たときに倒す魔物専門の騎士団、第四騎士団は魔法使いの集まった魔法師団、第五騎士団は旧王都などの古都を守る騎士団です」
ルディウスは一旦話をやめて、シャルルの入った毛布を抱え直した。
「第六騎士団は南のネルセンティア獣帝国との国境に位置する砦の警備、第七騎士団はトレーシンセ公国との国境に位置する砦の警備、第八騎士団は商業都市レオパミーネの警備、第九騎士団は海港都市アリアッミオの警備をしています。そして最後に第十騎士団は、空の警備をしています。龍部隊や空馬部隊、グリフォン部隊などがこれにあたりますね」
それを聞いたシャルルは、ふと首を傾げた。
「父さんたちはどれ?」
「私と団長以外は第三騎士団ですね」
「父さんたちは、その第三騎士団?じゃないの?」
「団長は、第一騎士団から第十騎士団までを統べる立場ですので、どれにも入りません。私は騎士団で次に偉く、団長がいない時に団長の代わりに騎士団をまとめる副団長なので、同じくどの団にも属しません」
ルディウスはシャルルから反応がないため、毛布を覗き込んだ。毛布の中では、シャルルがウトウトと船をこいでいた。ルディウスはフッと微笑み、毛布を直してもう一度抱え直した。
「ん?どうしたんだ、ルディウス?」
「いえ、何でもありません。ただ、シャルルは寝てしまったようです」
「あー、今日は朝早かったからな」
「それもあると思いますが、ずっと塔の中で過ごしていたようですから、いきなり外に出て体が緊張してたのではないでしょうか?それで疲れが出たのかと」
「まあ、日が暮れるまでにはなんとか着きそうだし、つくまで起こさないでおくか」
「はい」
「よし、おめーら、準備は出来たか?」
ヴァンフリートはグルリと見回す。
「これから、王都に向かう。行きと同じく、だいたい二週間かけて帰る予定だったが、馬を預けてあるテリーヘの街までは歩きだから、王都到着は少し予定より遅くなる。早く着きたかったら急いで歩かないと行けないぞー。
質問のある奴はいるか?
……いないようだな。それじゃあ、王都に向かうぞ」
「ちょっと待ってください!!団長、この子の事を忘れてます!!」
「お?おお、そうだった。なーんか、忘れてる気がしたんだよなぁ」
「しっかりしてください、もう。」
「わりぃわりぃ。おい、お前らちょっと待て。ルディウスから言いたいことがある」
ザワザワと準備をしていた騎士達は、話をやめてルディウスを見た。
「えー、昨日保護したこの子のことなんですが、私が引き取って親になることになりました。この子は虐待を受けていたようで、感情がありません。色々と合わないこともあると思いますが、困っているようでしたら助けてあげて下さい。
あ、あとこの子の名前ですが、シャルルです。養子に入るので、正式にはシャルル・レイクルートですね」
「ほんじゃま、王都に帰るぞ!!」
∵∴✿∴∵❀∵∴✿∴∵
森の中、ガチャガチャワチャワチャと鎧と武器の擦れる音が響く。
ルディウスに抱かれて移動していたシャルルは、ふとルディウスを見た。
「どうしたんですか?」
「後ろにいる人たち……だれ?」
「私と同じ王国騎士団の騎士達です」
「王国騎士団?」
「はい。王国騎士団っていうのは、このフォーサイト王国を守る騎士団です。王国騎士団は10に分かれていて、第一騎士団は王族の警備、つまり近衛騎士団です。第二騎士団は王都の警備、第三騎士団は魔物が出たときに倒す魔物専門の騎士団、第四騎士団は魔法使いの集まった魔法師団、第五騎士団は旧王都などの古都を守る騎士団です」
ルディウスは一旦話をやめて、シャルルの入った毛布を抱え直した。
「第六騎士団は南のネルセンティア獣帝国との国境に位置する砦の警備、第七騎士団はトレーシンセ公国との国境に位置する砦の警備、第八騎士団は商業都市レオパミーネの警備、第九騎士団は海港都市アリアッミオの警備をしています。そして最後に第十騎士団は、空の警備をしています。龍部隊や空馬部隊、グリフォン部隊などがこれにあたりますね」
それを聞いたシャルルは、ふと首を傾げた。
「父さんたちはどれ?」
「私と団長以外は第三騎士団ですね」
「父さんたちは、その第三騎士団?じゃないの?」
「団長は、第一騎士団から第十騎士団までを統べる立場ですので、どれにも入りません。私は騎士団で次に偉く、団長がいない時に団長の代わりに騎士団をまとめる副団長なので、同じくどの団にも属しません」
ルディウスはシャルルから反応がないため、毛布を覗き込んだ。毛布の中では、シャルルがウトウトと船をこいでいた。ルディウスはフッと微笑み、毛布を直してもう一度抱え直した。
「ん?どうしたんだ、ルディウス?」
「いえ、何でもありません。ただ、シャルルは寝てしまったようです」
「あー、今日は朝早かったからな」
「それもあると思いますが、ずっと塔の中で過ごしていたようですから、いきなり外に出て体が緊張してたのではないでしょうか?それで疲れが出たのかと」
「まあ、日が暮れるまでにはなんとか着きそうだし、つくまで起こさないでおくか」
「はい」
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