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第4部 彼の笑顔を取り戻すため
121.この花は誰のもの?
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クロウディア様が目の前に来ると、グレイリーさんは跪いて彼女の手を取り、その甲に口づけをした。
そんなグレイリーさんがスクッと立ち上がると、クロウディア様は国の中の様子や戦況の状態などなど、色々なことをお聞きになっていた。
「ああ、クロウディア。国王様は指揮を執られて戦っていらっしゃるよ。君のことは命に代えてもお護りするよう申し付けられているから、外の事は案ずる事はないんだ」
とても凛とした雰囲気で佇んでいるクロウディア様のことを、なんとも物静かに見つめながら、グレイリーさんは諭すみたいに、声を掛けていた。
やっぱりこれはどう見ても、クロウディア様は帝国とリューセリンヌが戦っていると思い込んでいらっしゃるに違いない。
それにグレイリーさんは話を合わせているみたいだし。
……というか、状況的にクロウディア様をそう思い込ませているのは、彼とその息子・ローランディスさん、だよね!?
「……分かりました、お父様がそうおっしゃるのなら仕方ありませんわ」
クロウディア様はグレイリーさんの事をとても信頼しているようで、そうおっしゃるとシュンとした表情で顔を下に向けられた。
意思の強そうな瞳や雰囲気は、いつも帝国民のことを考えられている皇女様にそっくりだけれど、根は従順でおしとやかなお姫様という感じみたいだ。
活発で、好き勝手に動き回っているルランシア様と姉妹だとは到底思えない。
「また少ししたら出なければならないから、散歩に行こう」
グレイリーさんはそう言って腕をさっとクロウディア様の前に差し出した。
クロウディア様はバラの棘を彷彿とさせる綺麗な無表情で、差し出された腕に手を乗せて、朝食を召し上がっていたラウンジから出て行ってしまった。
「エミリアさん。今朝はよく眠れましたか?」
まだナイフとフォークを持ったまま固まっていた私に声を掛けてきたのは、アルフリードによく似た笑みを振りまく謎の人物。ローランディスさんだ。
私の目の前には、まだたくさんのパンやらお野菜のサラダやら朝ごはん達が乗っかっていて、私のお腹もそれを欲していたけど、そんな誘惑も無視して私は勢いよく立ち上がった。
「こ、これは一体どういう事なんですか!? わたし昨日ここから逃げ出したはずですよね? それに、エスニョーラ邸からも……どうやって連れ出したんですか!?」
ここの世界に来てから、私は本気で怒ったことが無かったと思うけど、今回ばかりはそうはいかない……
私は唇を噛み締めて、ローランディスさんの事を睨みつけた。
彼はそんな私を見ると、微笑むのを辞めてここで初めて真顔になったのだった。
「ここにあなたをお連れした理由、それはアルフリードに会わせるためでない事は、もう隠す必要もないでしょう」
そう言いながら、背の高いローランディスさんは私の方にかがみ込んだ。
やっぱり……! 別の目的があるんだ……
彼は私の顔の目の前に、クロウディア様にも似ている綺麗な顔を持ってくると、私の頬に手を添えてきた。
「あなたを初めて見た時からずっと、忘れられませんでした。アルフリードのもので無くなった今、僕と父上とそして……クロウディア様と共にここで暮らしましょう」
ジッと見つめてくる焦茶色の瞳。
その視線は、私が婚約破棄をする前にいつも私に向けられていたアルフリードの熱い視線。
私の中のその記憶が完全に一致すると共に、心臓の鼓動がドクン! と大きく鳴り響いた。
う……うそでしょ……
もっと色々問いたださなきゃいけない事があるのに、こんなに動揺してしまうなんて……
それも、これも、この人がアルフリードにそっくりだから……!
私の大好きな……愛してるアルフリードにそっくりだから……
ずっと見つめてくる目の前の瞳から逃れるように、顔を背けて頬に添えられた手から離れた。
「こ、これまで一度しかお会いしていない方にそんな事を言われても……それに、どんなトリックがあるのか分からないけれど、私の意志を無視したこんなやり方で一緒に暮らそうとするなんて……イヤです!」
ハッキリとそう言ってやると、かがみ込んでいた相手が姿勢を元に戻した気配があった。
「正式に挨拶をさせて頂いたのは確かに、アルフリードとの婚約会の席だけでしたね。でも、あなたの事はこれまで他に2度、お見かけした事があるのですよ」
その言葉に私は目を見開いて、思わずローランディスさんの方を見やってしまった。
私の記憶にはその婚約会と、リリーナ姫のパートナー選考会で見た記憶しかない。
しかもパートナー選考会の時は、私はXSサイズの兜を頭に装着していて、彼は私があの場にいた事は知らないはず。
じゃあ、他の2度っていつだろう……?
「まず、あなたが間違ってナディクスの王子に騎士の宣誓をしたパーティー。あそこには全貴族家の当主と跡取りがいましたから。それからもう一つは、狩猟祭の慰労会です。思い起こしてみれば、両方とも迎賓館で行われた宴でしたね」
あ……そうだったんだ。狩猟祭は当時18歳~20歳の貴族家の男子がいたはずだ。どちらの会も彼がいてもおかしい事なんかないけど、全然気づかなかった……。
「どのパーティーでもあなたはアルフリードに抱きかかえられていましたね。父上の花と同じように、彼の花はとても美しかった」
懐かしそうな表情を浮かべてローランディスさんはそう言ったかと思うと、とても切なそうに私に笑いかけた。
“父上の花” ”アルフリードの花”……?
一瞬、何のことか分からなかったけど、前者は彼のお父様のおそらく許嫁であったクロウディア様のこと?
じゃあ、後者は私……?
「あ、あなた方は……私をエスニョーラ邸から連れ出しただけでなく、ヘイゼル邸から本物のお花と、クロウディア様まで連れ出してきたんですよね!? 彼女は亡くなっていたはずなのに、どうやって……」
そうして私が詰め寄ると、ローランディスさんは口元にフッと微かな笑みを浮かべた。
「もし……人を1度死んだように見せかけて、また生き返らせる秘薬があったとしたら、どうでしょう?」
なっ……
微笑みながらそう言う彼に、私は後ずさってしまっていた。
人を生き返らせる秘薬……?
さっきから”?”マークばっかり出てきちゃってるんだけど、そんなものがこの世界にはあるっていうの?
しかし、昨日からクロウディア様が私の目の前にいる現象を説明するには、そんな事でも起こらない限り説明がつかないのは確かだ……
と、ちょっと待ったーーーー!!
そういえば、これと同じ信じられない話があったのを思い出してきた。
それは、半年前。
エルラルゴ王子様が帝国に戻ってきたのかと思ったら、血だらけの彼の弟ユラリスさんだった時の話だ。
彼は黒い鎧の騎士に襲われた後、4年前に亡くなったはずの彼のお祖父様に助けられて、帝国に送ってもらったと言っていたのだ。
そのナディクス国の前国王であるお祖父様の話では、亡くなった時に盛られた毒が仮死状態を引き起こすものだったらしい、ということだった。
ちなみに、その毒は成分解析が難しくって詳しい事がいまだに分かってないって事だったけど……
じゃ、じゃあ、クロウディア様も、ナディクスの前国王様と同じ毒、というか秘薬を使って仮死状態にされてたってこと??
一体、この人たちはそんなものをどうやって手に入れたんだろう。
いや、まずはそれより……
「そ、そんな……あなた達は何をしたか分かっているんですか!? クロウディア様を……クロウディア様を公爵様と、アルフリードの元へ返してあげてください!!」
私は瞳に涙をためながら、余裕たっぷりの態度でいるローランディスさんに向かって必死に訴えた。
すると、彼は初めて少しだけ怪訝そうな表情を浮かべたのだった。
「返す? もともとあの方は父上のものだったのですよ。アナタはご存じないでしょうが、彼女がヘイゼル邸にいた時の様子は幼かった僕から見ても本当に可哀想なものでした。嫁ぎたくもない敵国の家門に奪われ、無理やり子どもまで産ませられて……今さら愛し合っている2人を引き離す必要がどこにあるのですか?」
静かではあったけれど、とても圧を感じさせる口調だった。
うっ……
確かに、ルランシア様や他の人から聞いた話では、クロウディア様はヘイゼル邸では公爵様にもアルフリードにも愛情を見せるような素振りは無かったという。
まだ祖国と帝国が戦争中だと思っているのは、なんでなのかっていうのは分からないけど、クロウディア様はヘイゼル邸に帰るより、ここにいる方が幸せなのかな……
私は返す言葉が見つからなくて、うつむくしかできなかった。
「それに、あなたがアルフリードのためを思う必要はもう無いのではないですか?」
思わぬ言葉に私はローランディスさんの顔を見上げた。
さっきまでの怪訝そうな表情では無くなって、一種の同情を込めたようなものに変わっている。
「彼はもう、あなたの事など忘れて何人もの女性と付き合って歩いているのですよ。こんな田舎にいても耳に入ってくるくらい、帝国中の社交界では誰もが知っている事実です」
そうだ……あれはおととい。
甥っ子のリカルドの仕業により、覗いてしまったアルフリードの貴族家マニュアルの項目にもしっかり書いてあった。
「そしてつい先日、皇女との婚約が正式に決まったと、国中の掲示板に張り出されていました。あなたは……彼にとって一体なんだというのでしょうか?」
きっと……きっと、クロウディア様がヘイゼル邸に戻れば公爵様も喜ぶし、アルフリードも同じように喜んで、私が奪ってしまった笑顔すら戻ってきてくれるかもしれない。
そう考えていたけど……ローランディスさんの言う通りなのかも。
私は彼にとって、どうでもいい存在だし、むしろ何かしたら迷惑がられてもおかしくない。
半年間、一生懸命、書いてた原作小説も渡せなくて正解だったのかも。
私はもう……アルフリードのためで無かったら、何のためにこの世界にいるんだろう?
そんなグレイリーさんがスクッと立ち上がると、クロウディア様は国の中の様子や戦況の状態などなど、色々なことをお聞きになっていた。
「ああ、クロウディア。国王様は指揮を執られて戦っていらっしゃるよ。君のことは命に代えてもお護りするよう申し付けられているから、外の事は案ずる事はないんだ」
とても凛とした雰囲気で佇んでいるクロウディア様のことを、なんとも物静かに見つめながら、グレイリーさんは諭すみたいに、声を掛けていた。
やっぱりこれはどう見ても、クロウディア様は帝国とリューセリンヌが戦っていると思い込んでいらっしゃるに違いない。
それにグレイリーさんは話を合わせているみたいだし。
……というか、状況的にクロウディア様をそう思い込ませているのは、彼とその息子・ローランディスさん、だよね!?
「……分かりました、お父様がそうおっしゃるのなら仕方ありませんわ」
クロウディア様はグレイリーさんの事をとても信頼しているようで、そうおっしゃるとシュンとした表情で顔を下に向けられた。
意思の強そうな瞳や雰囲気は、いつも帝国民のことを考えられている皇女様にそっくりだけれど、根は従順でおしとやかなお姫様という感じみたいだ。
活発で、好き勝手に動き回っているルランシア様と姉妹だとは到底思えない。
「また少ししたら出なければならないから、散歩に行こう」
グレイリーさんはそう言って腕をさっとクロウディア様の前に差し出した。
クロウディア様はバラの棘を彷彿とさせる綺麗な無表情で、差し出された腕に手を乗せて、朝食を召し上がっていたラウンジから出て行ってしまった。
「エミリアさん。今朝はよく眠れましたか?」
まだナイフとフォークを持ったまま固まっていた私に声を掛けてきたのは、アルフリードによく似た笑みを振りまく謎の人物。ローランディスさんだ。
私の目の前には、まだたくさんのパンやらお野菜のサラダやら朝ごはん達が乗っかっていて、私のお腹もそれを欲していたけど、そんな誘惑も無視して私は勢いよく立ち上がった。
「こ、これは一体どういう事なんですか!? わたし昨日ここから逃げ出したはずですよね? それに、エスニョーラ邸からも……どうやって連れ出したんですか!?」
ここの世界に来てから、私は本気で怒ったことが無かったと思うけど、今回ばかりはそうはいかない……
私は唇を噛み締めて、ローランディスさんの事を睨みつけた。
彼はそんな私を見ると、微笑むのを辞めてここで初めて真顔になったのだった。
「ここにあなたをお連れした理由、それはアルフリードに会わせるためでない事は、もう隠す必要もないでしょう」
そう言いながら、背の高いローランディスさんは私の方にかがみ込んだ。
やっぱり……! 別の目的があるんだ……
彼は私の顔の目の前に、クロウディア様にも似ている綺麗な顔を持ってくると、私の頬に手を添えてきた。
「あなたを初めて見た時からずっと、忘れられませんでした。アルフリードのもので無くなった今、僕と父上とそして……クロウディア様と共にここで暮らしましょう」
ジッと見つめてくる焦茶色の瞳。
その視線は、私が婚約破棄をする前にいつも私に向けられていたアルフリードの熱い視線。
私の中のその記憶が完全に一致すると共に、心臓の鼓動がドクン! と大きく鳴り響いた。
う……うそでしょ……
もっと色々問いたださなきゃいけない事があるのに、こんなに動揺してしまうなんて……
それも、これも、この人がアルフリードにそっくりだから……!
私の大好きな……愛してるアルフリードにそっくりだから……
ずっと見つめてくる目の前の瞳から逃れるように、顔を背けて頬に添えられた手から離れた。
「こ、これまで一度しかお会いしていない方にそんな事を言われても……それに、どんなトリックがあるのか分からないけれど、私の意志を無視したこんなやり方で一緒に暮らそうとするなんて……イヤです!」
ハッキリとそう言ってやると、かがみ込んでいた相手が姿勢を元に戻した気配があった。
「正式に挨拶をさせて頂いたのは確かに、アルフリードとの婚約会の席だけでしたね。でも、あなたの事はこれまで他に2度、お見かけした事があるのですよ」
その言葉に私は目を見開いて、思わずローランディスさんの方を見やってしまった。
私の記憶にはその婚約会と、リリーナ姫のパートナー選考会で見た記憶しかない。
しかもパートナー選考会の時は、私はXSサイズの兜を頭に装着していて、彼は私があの場にいた事は知らないはず。
じゃあ、他の2度っていつだろう……?
「まず、あなたが間違ってナディクスの王子に騎士の宣誓をしたパーティー。あそこには全貴族家の当主と跡取りがいましたから。それからもう一つは、狩猟祭の慰労会です。思い起こしてみれば、両方とも迎賓館で行われた宴でしたね」
あ……そうだったんだ。狩猟祭は当時18歳~20歳の貴族家の男子がいたはずだ。どちらの会も彼がいてもおかしい事なんかないけど、全然気づかなかった……。
「どのパーティーでもあなたはアルフリードに抱きかかえられていましたね。父上の花と同じように、彼の花はとても美しかった」
懐かしそうな表情を浮かべてローランディスさんはそう言ったかと思うと、とても切なそうに私に笑いかけた。
“父上の花” ”アルフリードの花”……?
一瞬、何のことか分からなかったけど、前者は彼のお父様のおそらく許嫁であったクロウディア様のこと?
じゃあ、後者は私……?
「あ、あなた方は……私をエスニョーラ邸から連れ出しただけでなく、ヘイゼル邸から本物のお花と、クロウディア様まで連れ出してきたんですよね!? 彼女は亡くなっていたはずなのに、どうやって……」
そうして私が詰め寄ると、ローランディスさんは口元にフッと微かな笑みを浮かべた。
「もし……人を1度死んだように見せかけて、また生き返らせる秘薬があったとしたら、どうでしょう?」
なっ……
微笑みながらそう言う彼に、私は後ずさってしまっていた。
人を生き返らせる秘薬……?
さっきから”?”マークばっかり出てきちゃってるんだけど、そんなものがこの世界にはあるっていうの?
しかし、昨日からクロウディア様が私の目の前にいる現象を説明するには、そんな事でも起こらない限り説明がつかないのは確かだ……
と、ちょっと待ったーーーー!!
そういえば、これと同じ信じられない話があったのを思い出してきた。
それは、半年前。
エルラルゴ王子様が帝国に戻ってきたのかと思ったら、血だらけの彼の弟ユラリスさんだった時の話だ。
彼は黒い鎧の騎士に襲われた後、4年前に亡くなったはずの彼のお祖父様に助けられて、帝国に送ってもらったと言っていたのだ。
そのナディクス国の前国王であるお祖父様の話では、亡くなった時に盛られた毒が仮死状態を引き起こすものだったらしい、ということだった。
ちなみに、その毒は成分解析が難しくって詳しい事がいまだに分かってないって事だったけど……
じゃ、じゃあ、クロウディア様も、ナディクスの前国王様と同じ毒、というか秘薬を使って仮死状態にされてたってこと??
一体、この人たちはそんなものをどうやって手に入れたんだろう。
いや、まずはそれより……
「そ、そんな……あなた達は何をしたか分かっているんですか!? クロウディア様を……クロウディア様を公爵様と、アルフリードの元へ返してあげてください!!」
私は瞳に涙をためながら、余裕たっぷりの態度でいるローランディスさんに向かって必死に訴えた。
すると、彼は初めて少しだけ怪訝そうな表情を浮かべたのだった。
「返す? もともとあの方は父上のものだったのですよ。アナタはご存じないでしょうが、彼女がヘイゼル邸にいた時の様子は幼かった僕から見ても本当に可哀想なものでした。嫁ぎたくもない敵国の家門に奪われ、無理やり子どもまで産ませられて……今さら愛し合っている2人を引き離す必要がどこにあるのですか?」
静かではあったけれど、とても圧を感じさせる口調だった。
うっ……
確かに、ルランシア様や他の人から聞いた話では、クロウディア様はヘイゼル邸では公爵様にもアルフリードにも愛情を見せるような素振りは無かったという。
まだ祖国と帝国が戦争中だと思っているのは、なんでなのかっていうのは分からないけど、クロウディア様はヘイゼル邸に帰るより、ここにいる方が幸せなのかな……
私は返す言葉が見つからなくて、うつむくしかできなかった。
「それに、あなたがアルフリードのためを思う必要はもう無いのではないですか?」
思わぬ言葉に私はローランディスさんの顔を見上げた。
さっきまでの怪訝そうな表情では無くなって、一種の同情を込めたようなものに変わっている。
「彼はもう、あなたの事など忘れて何人もの女性と付き合って歩いているのですよ。こんな田舎にいても耳に入ってくるくらい、帝国中の社交界では誰もが知っている事実です」
そうだ……あれはおととい。
甥っ子のリカルドの仕業により、覗いてしまったアルフリードの貴族家マニュアルの項目にもしっかり書いてあった。
「そしてつい先日、皇女との婚約が正式に決まったと、国中の掲示板に張り出されていました。あなたは……彼にとって一体なんだというのでしょうか?」
きっと……きっと、クロウディア様がヘイゼル邸に戻れば公爵様も喜ぶし、アルフリードも同じように喜んで、私が奪ってしまった笑顔すら戻ってきてくれるかもしれない。
そう考えていたけど……ローランディスさんの言う通りなのかも。
私は彼にとって、どうでもいい存在だし、むしろ何かしたら迷惑がられてもおかしくない。
半年間、一生懸命、書いてた原作小説も渡せなくて正解だったのかも。
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