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第3部 君は僕を捨てないよね
81.プリンセスのお誕生日
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会場の窓の外もうっすら暗くなってきた頃、やっと姫のパートナー選考会は終わりを迎えた。
姫のどういう基準かよく分からないお眼鏡にかなった数名の独身男性たちは、姫とのデートを重ねることで、最終的な公認パートナーとして認められる流れになった。
皇女様のお誕生日会までの数週間、私はエステタイムと週に1度の休日を使って、主に皇城とエスニョーラ邸と、ヘイゼル邸を行き来する日々を送ることになった。
そんな中、姫の選考会で皇太子様が笑顔を見せていたことについてアルフリードに聞いてみた。
彼は皇太子様の側近という役職がエリーナ姫によって取って代わられた事もあり、暇を持て余して、自分の邸宅にいる事も増えていた。
「ああ、あの日はちょうど、殿下とエリーナ姫の大学時代のご友人が、キャルン国から遊びに来られていてね。スパリゾートに観光に来ていた所に、ちょうど出くわした所だったんだ」
なるほど、あのラフな格好をされていた3名くらいの若者は、皇太子様たちのご友人だったんだ!
「どうやら殿下は、帝国ではエリーナ姫としかお話できないみたいなんだけど、気心の知れたキャルン国の人々となら姫がいなくても会話できるみたいなんだよね」
むむむ……皇太子様は、どこへ行ってもエリーナ姫を介さないと喋れない訳ではなかったんだ。
それで、あんなに楽しそうにしていたんだ。
きっと、キャルン国では毎日、あんな感じで過ごされていたんだろうな……
帝国に帰ってきて、一生懸命、皇太子様としての務めに励まれようとしていらっしゃるのは伝わってくるのだけれど、友人達と一緒にいた姿と比べてしまうと、ここではとても無理をされてるように思えてしまう。
……なんだか、見ているコチラまでツラくなってきそうだよ。
「そうそう、エミリア。前にエルラルゴと僕から贈ったイヤリング、まだ持ってる?」
彼は話題を変えて、そんな事を聞いてきた。
そのイヤリングとは、昨年の私の15歳の誕生日のこと。
アルフリードがイメージを起こして、王子様がデザインの詳細を詰めて、帝都のジュエリーショップで作ってくれたプレゼントの事を言っているみたいだ。
「もちろん! それがどうしたの?」
私が首を傾げると、
「いや、実は気になってた事があって……少しの間、貸してくれないかな?」
気になること……? どこか修正したい所でもあるのかな?
よく分からないけど、後日、私はそれを自分の部屋から取り出して、アルフリードに手渡したのだった。
それから、エルラルゴ王子様とのお手紙も、何回かやり取りを重ねていた。
エスニョーラの諜報部員の情報網を使えば、こちらから送って3日くらいには向こうから返事が届くような早さだった。
『ソフィのパーティーの絵を送ってくれるだって? それは楽しみにしているよ!
リリーナ姫もそっちでパートナーを見つけるなんて、相変わらずのペースで楽しく過ごしてるみたいだね。
お父様は最近は意識もハッキリしてきて、食事もベッドの上でなら食べれるくらいに回復してきたよ。
ただ、盛られた毒については、何かの植物の根っこらしいというのは分かったんだけど、まだ全面的な解明には至ってないんだ。』
ナディクスの国王様の容体はだいぶ良くなったみたいだ。
この調子なら、万一のことがあって王子様が前回みたいに2年間もこちらに戻ってこれない、なんて事は回避できそうかな。
……また、毒が盛られたりしなければの話だけど。
そして、そしてついに……
スパの姫の部屋から帝都の街を見下ろしていると、道の両脇に見た事ないくらいの人混みができていた。
その中を、屋根がついていない馬車がゆっくり目のスピードで走っている。
その中には、赤と白の糸で織り込まれたバランティア帝国の伝統的な模様の生地が使われた、素晴らしいドレスを身にまとった女性が座っていて、沿道の人々に向かって、軽く手を挙げていた。
リリーナ姫と私が立っているスパのテラスはけっこう高い位置にあるのだけど、ここにも下からの歓声が響いてくる。
「皇女様!!」
「20歳のお誕生日、おめでとうございます!」
「なんと美しい!」
帝国の大事な皇女様を国中が祝福していることがダイレクトに伝わってくる大パレードだった。
本当だったら、皇女様の女騎士としてあのパレードの中をフローリアに乗って同行してたのかな……なんて事を思わずにはいられなかった。
昼のパレードが終わって、リリーナ姫は念入りなドレスアップの準備に入った。
それが無事に終了して辺りが暗くなった頃、度重なるデートによってなんとか選出された彼女のパートナーさんが部屋までお迎えにやってきた。
私は皇女様のパレードに出る代わりに、いつものエスニョーラのXSサイズの騎士服を着て、その人が乗ってきた馬車の斜め前にフローリアにまたがって同行した。
会場である皇城の大広間までくると、パートナーの人は一旦、大勢の人が集まっているホールの方へ、そして国賓であるリリーナ姫は用意されていた席に腰掛けた。
私はその椅子の後ろでしばらく待機していた。
すると、少し会場の照明が暗くなって、広い会場に設置してある階段の踊り場だけライトアップされた。
そして、現れたのは……
キラキラと眩いばかりに光り輝く、ダイヤモンドがたくさん散りばめられた白銀の豪華絢爛なドレス。
それを身にまとった、この世の人とは思えないくらい美しい人は、その片方の肩から豊かなウェーブがかった黒髪を垂らしている。
そして、その黒髪で覆われている頭には、この方のためにあつらえたとしか思えない、銀色に煌めくゴージャスなティアラを乗せていた。
20歳になったプリンセスの手を引いてエスコートしているのは、この国の最高権力者に最も近い方だ。
立派な正装姿がよくハマっている、兄妹そろって高貴で綺麗な顔をされた彼女のお兄様だった。
エルラルゴ王子様がその役を務めている所も見てみたかったけど……
こちらはこちらで、本当の絵画みたいで、ここにいる人々皆んなが見惚れてしまっている。
絵画といえば……
少しだけ、会場内を見渡してみると……いたいた!
この大広間の後ろの隅の方で、キャンパス立てを前に座って筆を動かしている画家さんの姿もちゃんとそこにいてくれた。
皇太子様が皇女様のエスコートをしているということで、彼の婚約者であるエリーナ姫は、私の主人であるリリーナ姫の隣りの席に、同じように国賓として着席していた。
淡いピンク色のフリルがたくさん付いている、とっても可愛いドレスを着ている彼女だけれど、なんだか初めてこの国に来た時より、顔色が悪そうに見えるのは気のせいかな……?
照明が落とされて薄暗くなっているこの中でも、顔がすごく白く見えるし、目の下にクマが出来ているように見える。
それに、もともと細くて小柄だったけれど、頬の膨らみが無くなってしまった気もする。
柔らかい物腰ながらも芯の強そうなエリーナ姫は、皇太子様と他の役職の方達の橋渡しを、アルフリードと同じようにソツなくこなしてそうだけど……疲れが溜まっているのかもしれない。
皇女様のご登場タイムが終わると、次は来賓の方々の挨拶タイムが始まった。
国賓であるリリーナ姫は、早々に皇女様への挨拶と、用意していたお誕生日プレゼントをお渡しして、パートナーの所へ行って、歓談したり食事をし始めた。
私も大好きな皇城のパティシエさんが作ったケーキ類を少し頂いたり、この前の皇太子様のご帰還パーティーとは違って、ちゃんと途中で抜け出してご用を足しに行かせてもらったりしていた。
そして、次に始まったのはダンスタイム。なんだけど、今回はいつもとは要領がちょっと違った。
まず最初は、今日の主役である皇女様のダンス姿を皆で見守る所から始まる。
本来だったら婚約者であるエルラルゴ王子様とだけ踊るはずだったんだけど、彼が不在の今は、主役である皇女様のお相手がいない状態にする訳にはいかないので、色んな人が代わる代わるダンスのお相手を務める事になっていた。
最初はエスコートを務められた皇太子様。
次は、お父上である皇帝陛下。
それから……その次に最も身近な存在である人物。
幼馴染みであり彼女の元側近でもあったアルフリードも、そのメンバーの1人に含まれていたのだった。
※イヤリングの登場話
「54.慣れと年に1度のアレと家族のこと」
************
本筋に関係ないので割愛した姫とのエピソードを「皇女様の女騎士 番外編集」の作品集の方に追加しました。
(タイトル:姫の新たな好物)
姫のどういう基準かよく分からないお眼鏡にかなった数名の独身男性たちは、姫とのデートを重ねることで、最終的な公認パートナーとして認められる流れになった。
皇女様のお誕生日会までの数週間、私はエステタイムと週に1度の休日を使って、主に皇城とエスニョーラ邸と、ヘイゼル邸を行き来する日々を送ることになった。
そんな中、姫の選考会で皇太子様が笑顔を見せていたことについてアルフリードに聞いてみた。
彼は皇太子様の側近という役職がエリーナ姫によって取って代わられた事もあり、暇を持て余して、自分の邸宅にいる事も増えていた。
「ああ、あの日はちょうど、殿下とエリーナ姫の大学時代のご友人が、キャルン国から遊びに来られていてね。スパリゾートに観光に来ていた所に、ちょうど出くわした所だったんだ」
なるほど、あのラフな格好をされていた3名くらいの若者は、皇太子様たちのご友人だったんだ!
「どうやら殿下は、帝国ではエリーナ姫としかお話できないみたいなんだけど、気心の知れたキャルン国の人々となら姫がいなくても会話できるみたいなんだよね」
むむむ……皇太子様は、どこへ行ってもエリーナ姫を介さないと喋れない訳ではなかったんだ。
それで、あんなに楽しそうにしていたんだ。
きっと、キャルン国では毎日、あんな感じで過ごされていたんだろうな……
帝国に帰ってきて、一生懸命、皇太子様としての務めに励まれようとしていらっしゃるのは伝わってくるのだけれど、友人達と一緒にいた姿と比べてしまうと、ここではとても無理をされてるように思えてしまう。
……なんだか、見ているコチラまでツラくなってきそうだよ。
「そうそう、エミリア。前にエルラルゴと僕から贈ったイヤリング、まだ持ってる?」
彼は話題を変えて、そんな事を聞いてきた。
そのイヤリングとは、昨年の私の15歳の誕生日のこと。
アルフリードがイメージを起こして、王子様がデザインの詳細を詰めて、帝都のジュエリーショップで作ってくれたプレゼントの事を言っているみたいだ。
「もちろん! それがどうしたの?」
私が首を傾げると、
「いや、実は気になってた事があって……少しの間、貸してくれないかな?」
気になること……? どこか修正したい所でもあるのかな?
よく分からないけど、後日、私はそれを自分の部屋から取り出して、アルフリードに手渡したのだった。
それから、エルラルゴ王子様とのお手紙も、何回かやり取りを重ねていた。
エスニョーラの諜報部員の情報網を使えば、こちらから送って3日くらいには向こうから返事が届くような早さだった。
『ソフィのパーティーの絵を送ってくれるだって? それは楽しみにしているよ!
リリーナ姫もそっちでパートナーを見つけるなんて、相変わらずのペースで楽しく過ごしてるみたいだね。
お父様は最近は意識もハッキリしてきて、食事もベッドの上でなら食べれるくらいに回復してきたよ。
ただ、盛られた毒については、何かの植物の根っこらしいというのは分かったんだけど、まだ全面的な解明には至ってないんだ。』
ナディクスの国王様の容体はだいぶ良くなったみたいだ。
この調子なら、万一のことがあって王子様が前回みたいに2年間もこちらに戻ってこれない、なんて事は回避できそうかな。
……また、毒が盛られたりしなければの話だけど。
そして、そしてついに……
スパの姫の部屋から帝都の街を見下ろしていると、道の両脇に見た事ないくらいの人混みができていた。
その中を、屋根がついていない馬車がゆっくり目のスピードで走っている。
その中には、赤と白の糸で織り込まれたバランティア帝国の伝統的な模様の生地が使われた、素晴らしいドレスを身にまとった女性が座っていて、沿道の人々に向かって、軽く手を挙げていた。
リリーナ姫と私が立っているスパのテラスはけっこう高い位置にあるのだけど、ここにも下からの歓声が響いてくる。
「皇女様!!」
「20歳のお誕生日、おめでとうございます!」
「なんと美しい!」
帝国の大事な皇女様を国中が祝福していることがダイレクトに伝わってくる大パレードだった。
本当だったら、皇女様の女騎士としてあのパレードの中をフローリアに乗って同行してたのかな……なんて事を思わずにはいられなかった。
昼のパレードが終わって、リリーナ姫は念入りなドレスアップの準備に入った。
それが無事に終了して辺りが暗くなった頃、度重なるデートによってなんとか選出された彼女のパートナーさんが部屋までお迎えにやってきた。
私は皇女様のパレードに出る代わりに、いつものエスニョーラのXSサイズの騎士服を着て、その人が乗ってきた馬車の斜め前にフローリアにまたがって同行した。
会場である皇城の大広間までくると、パートナーの人は一旦、大勢の人が集まっているホールの方へ、そして国賓であるリリーナ姫は用意されていた席に腰掛けた。
私はその椅子の後ろでしばらく待機していた。
すると、少し会場の照明が暗くなって、広い会場に設置してある階段の踊り場だけライトアップされた。
そして、現れたのは……
キラキラと眩いばかりに光り輝く、ダイヤモンドがたくさん散りばめられた白銀の豪華絢爛なドレス。
それを身にまとった、この世の人とは思えないくらい美しい人は、その片方の肩から豊かなウェーブがかった黒髪を垂らしている。
そして、その黒髪で覆われている頭には、この方のためにあつらえたとしか思えない、銀色に煌めくゴージャスなティアラを乗せていた。
20歳になったプリンセスの手を引いてエスコートしているのは、この国の最高権力者に最も近い方だ。
立派な正装姿がよくハマっている、兄妹そろって高貴で綺麗な顔をされた彼女のお兄様だった。
エルラルゴ王子様がその役を務めている所も見てみたかったけど……
こちらはこちらで、本当の絵画みたいで、ここにいる人々皆んなが見惚れてしまっている。
絵画といえば……
少しだけ、会場内を見渡してみると……いたいた!
この大広間の後ろの隅の方で、キャンパス立てを前に座って筆を動かしている画家さんの姿もちゃんとそこにいてくれた。
皇太子様が皇女様のエスコートをしているということで、彼の婚約者であるエリーナ姫は、私の主人であるリリーナ姫の隣りの席に、同じように国賓として着席していた。
淡いピンク色のフリルがたくさん付いている、とっても可愛いドレスを着ている彼女だけれど、なんだか初めてこの国に来た時より、顔色が悪そうに見えるのは気のせいかな……?
照明が落とされて薄暗くなっているこの中でも、顔がすごく白く見えるし、目の下にクマが出来ているように見える。
それに、もともと細くて小柄だったけれど、頬の膨らみが無くなってしまった気もする。
柔らかい物腰ながらも芯の強そうなエリーナ姫は、皇太子様と他の役職の方達の橋渡しを、アルフリードと同じようにソツなくこなしてそうだけど……疲れが溜まっているのかもしれない。
皇女様のご登場タイムが終わると、次は来賓の方々の挨拶タイムが始まった。
国賓であるリリーナ姫は、早々に皇女様への挨拶と、用意していたお誕生日プレゼントをお渡しして、パートナーの所へ行って、歓談したり食事をし始めた。
私も大好きな皇城のパティシエさんが作ったケーキ類を少し頂いたり、この前の皇太子様のご帰還パーティーとは違って、ちゃんと途中で抜け出してご用を足しに行かせてもらったりしていた。
そして、次に始まったのはダンスタイム。なんだけど、今回はいつもとは要領がちょっと違った。
まず最初は、今日の主役である皇女様のダンス姿を皆で見守る所から始まる。
本来だったら婚約者であるエルラルゴ王子様とだけ踊るはずだったんだけど、彼が不在の今は、主役である皇女様のお相手がいない状態にする訳にはいかないので、色んな人が代わる代わるダンスのお相手を務める事になっていた。
最初はエスコートを務められた皇太子様。
次は、お父上である皇帝陛下。
それから……その次に最も身近な存在である人物。
幼馴染みであり彼女の元側近でもあったアルフリードも、そのメンバーの1人に含まれていたのだった。
※イヤリングの登場話
「54.慣れと年に1度のアレと家族のこと」
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