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第2部 彼を救うための仕込み
52.伝統的サバイバルのその間に
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パカラッ パカラッ パカラッ
私と皇女様は、皇族専用の馬場にてお馬さんにまたがり、槍を持って走らせる練習をしていた。
乗馬を始めてから半年以上が経過して、私のスキルはアルフリードやルランシア様と遠乗りした時に彼らが走らせていたのと同じくらいのハイスピードで走れるくらいまで来ていた。
ちなみに皇女様の白い愛馬はグランディナといい、皇族が代々乗る由緒正しい血統の女の子だ。
私は皇族騎士団に沢山いるお馬さんの一頭を貸してもらって乗っている。
「はい、そこで槍を振り払ってください」
槍を使っての騎馬訓練は、皇族騎士の団長様が直々に見てくださっている。
約束通り、乗馬が上達して来たのと、団長様も忙しいお仕事が片付いたとのことで、週に1度くらいのペースでお稽古をつけて下さっている。
槍は長いので、片手で持ちながら走ったり、戦うのを想定して、振り回したりするのにバランスをうまく取れないと落馬して危ないので、プライベートで色々あったようで最近ますます爽やかさに磨きが掛かっている団長様でも、とても真剣に指導してくださっている。
「ふむ、お二方とも飲み込みがお早いですね」
訓練がひと段落した私と皇女様に団長様がお褒めの言葉を掛けてくださった時、
パカラッ パカラッ
シュバッ! カツン!
お馬さんの駆ける音と、矢を射る音が響いた。
そこにはガンブレッドに跨って、両手を手綱から離して走りながら、的に向かって矢を放つアルフリードの姿があった。
「アルフリード君、勘は戻ってきたかな」
立ち止まって弓を肩に掛け、手袋を手首側から引っ張っている彼に団長様が声を掛けると、アルフリードは口端を上げて、一度、顔を頷かせた。
もうすぐで、3年に一度開かれる18~20歳の貴族の子息が強制参加の狩猟祭がやってくる。といってもその実態は木の実や果物を弓矢で狩る“収穫祭”。
それは3日3晩行われる別称“サバイバルゲーム”でもあり、馬に乗って狩りをする事も想定される。
そのため、アルフリードはその準備のための練習を私と皇女様に紛れて行なっていた。
この日はリフォーム計画のためにヘイゼル邸へ訪れる日だったので、ティータイムの時間になると私とアルフリードはガンブレッドに乗って、皇城を後にした。
「リフォーム計画の続きの前に、着いたばかりだから少しお茶にしよう」
邸宅と呼んでも過言でない立派な廐にガンブレッドを入れてあげながら、彼はそう言って本館に行くと近くにいた執事のゴリックさんに話しをしていた。
無事に生まれ変わった応接室に向かうと、彼は狩猟祭で使う予定の弓の手入れを始めた。
私は手持ちぶたさにテーブルの方へ向かったんだけど、そうしたらその上に1枚の絵ハガキが置いてあるのに気づいた。
そこには、ジャガイモみたいな質感だけど長芋みたいな形したものを両手に持って、畑の前に佇んでいる笑顔でいるアルフリードの叔母様、ルランシア様の姿が描かれていた!
そういえば、初めて遠乗りをした日、途中まで一緒だったルランシア様はフローリアのいる馬牧場へ行く前に、キャルン国の方へと旅立っていった。
その時に絵ハガキを送ると言っていたのを思い出した。
「叔母上なら、そこに描いてあるキャルン国のイモを使った焼酎造りにハマっちゃって、商品の開発に乗り出すことにしたんだって」
私が裏面に書いてある内容を読んでいると、それに気づいたアルフリードが教えてくれた。
「だから当面の間、キャルン国にとどまるんだってさ」
ルランシア様、すごいなぁ 外国で事業始めちゃったんだ。
そう思って絵ハガキを眺めていると、
「失礼いたします」
応接室の入り口からティーセットをカートに乗せたメイドが入ってきた。
あの子は……
「ああ、ロージー、いつもすまないね。エミリアと僕の分とよろしく」
弓の弦を張り替えながらアルフリードはチラッとXSの騎士服の行方を知ってるっぽいメイドちゃんこと、ロージーを見やって、お茶の手配をお願いした。
「かしこまりました」
歳はアルフリードや皇女様と同じくらいに見えるんだけど、無表情で必要最低限のことしか言わない彼女とは、もう何回も顔を合わせているのに未だに打ち解けることは皆無だった。
その日も彼女から騎士服の話を聞き出せずに時が流れ、1週間ほどして……
「じゃあ、皆さん。明日から狩猟祭へ行って参りますんで、留守の間、頼みます」
皇城にて、そう告げたアルフリードは翌日、狩猟祭へと1人向かって行った。
「当事者以外は待つしかすることがないけど、頑張ってねー」
そんな帝国の伝統的な通過儀礼に参加しない皇女様、王子様と私はそんな感じで彼を見送った。
という訳で、この3日間はアルフリードは朝のお迎えには来ない。
1人でエスニョーラ家の馬車に乗って皇城に行けばいっか、と思いながら毎朝のルーティンの弓矢の自主練をしていたところ。
「ラドルフ……じゃなかった、若旦那様……でもなくて、エミリアお嬢様ーー!」
あ……あやつは、盗んだ罪をチャラにする代わりに、行方不明のXSの騎士服をヘイゼル邸から探し出すように取引してきた騎士の人だ。
私も色々聞きたい事があったのに、あのガーデンパーティーの時は名乗りもしないで行っちゃったから、ちょうど良かった。
「ふふっ、狩猟祭で若旦那様が不在のタイミングを狙ってお嬢様にお渡ししようと思っていたんですよ。これ」
使用人の人達は、お兄様のことを結婚式を挙げ終わった途端、“若旦那様”と呼ぶようになっていた。いつもだったら私の横で自主練してたもんね。
それより、騎士の人が差し出してきた大きな丸まった紙を開くと……
「ええ! これって……」
そこにあったのは、前の世界でも引っ越しする時にお部屋探しで絶対チェックする間取り図……の超豪邸版が細かく描かれていた。
そして右下の方には……
“ヘイゼル公爵邸” って書かれてる……
「怪しいのは使用人エリアのここのスペースなんですよね。あ! 僕、もう行かなくちゃ。じゃあ、お嬢様、若旦那様が戻られる前に解決しちゃいましょう! 明日、また来ますんで。ではでは~」
ああ! 色々聞きたかったのに、本当にあっという間にどっか行っちゃった……
これ本物の間取り図? でも見たところ、私の知っている場所の位置は合っているようだ。
だけど、これまで“使用人エリア”については足を踏み入れた事がなかった。
ヘイゼル家は使用人が食事したり、寝泊まりしたり、洗濯や備品とかを保管しておくような使用人しか出入りしない所については、決まった分の予算を与えて使用人さんに管理を一任していた。
ちなみに、騎士団の施設についても同様に騎士団長さんに管理が一任されていた。
もしメイドのロージーちゃんが、XSの騎士服をどこかにやっちゃったというなら、使用人エリアを探すのが妥当ではある。
それに、原作のような闇落ちからアルフリードを救うために、やらなきゃいけない事の一つであり、今まで放置プレイ状態でいた、
・ヘイゼル邸の人形みたいな感情のない使用人たちを人間らしくすること。
を解決する糸口が何かあるかもしれない!
幸い、アルフリードが3日3晩のサバイバルに行ってる間も、リフォーム計画のためにへイゼル家に出入りする許可はもらっていた。
私は皇城に行くのをやめて、今日は午前からヘイゼル邸に行くことに決めたのだった。
私と皇女様は、皇族専用の馬場にてお馬さんにまたがり、槍を持って走らせる練習をしていた。
乗馬を始めてから半年以上が経過して、私のスキルはアルフリードやルランシア様と遠乗りした時に彼らが走らせていたのと同じくらいのハイスピードで走れるくらいまで来ていた。
ちなみに皇女様の白い愛馬はグランディナといい、皇族が代々乗る由緒正しい血統の女の子だ。
私は皇族騎士団に沢山いるお馬さんの一頭を貸してもらって乗っている。
「はい、そこで槍を振り払ってください」
槍を使っての騎馬訓練は、皇族騎士の団長様が直々に見てくださっている。
約束通り、乗馬が上達して来たのと、団長様も忙しいお仕事が片付いたとのことで、週に1度くらいのペースでお稽古をつけて下さっている。
槍は長いので、片手で持ちながら走ったり、戦うのを想定して、振り回したりするのにバランスをうまく取れないと落馬して危ないので、プライベートで色々あったようで最近ますます爽やかさに磨きが掛かっている団長様でも、とても真剣に指導してくださっている。
「ふむ、お二方とも飲み込みがお早いですね」
訓練がひと段落した私と皇女様に団長様がお褒めの言葉を掛けてくださった時、
パカラッ パカラッ
シュバッ! カツン!
お馬さんの駆ける音と、矢を射る音が響いた。
そこにはガンブレッドに跨って、両手を手綱から離して走りながら、的に向かって矢を放つアルフリードの姿があった。
「アルフリード君、勘は戻ってきたかな」
立ち止まって弓を肩に掛け、手袋を手首側から引っ張っている彼に団長様が声を掛けると、アルフリードは口端を上げて、一度、顔を頷かせた。
もうすぐで、3年に一度開かれる18~20歳の貴族の子息が強制参加の狩猟祭がやってくる。といってもその実態は木の実や果物を弓矢で狩る“収穫祭”。
それは3日3晩行われる別称“サバイバルゲーム”でもあり、馬に乗って狩りをする事も想定される。
そのため、アルフリードはその準備のための練習を私と皇女様に紛れて行なっていた。
この日はリフォーム計画のためにヘイゼル邸へ訪れる日だったので、ティータイムの時間になると私とアルフリードはガンブレッドに乗って、皇城を後にした。
「リフォーム計画の続きの前に、着いたばかりだから少しお茶にしよう」
邸宅と呼んでも過言でない立派な廐にガンブレッドを入れてあげながら、彼はそう言って本館に行くと近くにいた執事のゴリックさんに話しをしていた。
無事に生まれ変わった応接室に向かうと、彼は狩猟祭で使う予定の弓の手入れを始めた。
私は手持ちぶたさにテーブルの方へ向かったんだけど、そうしたらその上に1枚の絵ハガキが置いてあるのに気づいた。
そこには、ジャガイモみたいな質感だけど長芋みたいな形したものを両手に持って、畑の前に佇んでいる笑顔でいるアルフリードの叔母様、ルランシア様の姿が描かれていた!
そういえば、初めて遠乗りをした日、途中まで一緒だったルランシア様はフローリアのいる馬牧場へ行く前に、キャルン国の方へと旅立っていった。
その時に絵ハガキを送ると言っていたのを思い出した。
「叔母上なら、そこに描いてあるキャルン国のイモを使った焼酎造りにハマっちゃって、商品の開発に乗り出すことにしたんだって」
私が裏面に書いてある内容を読んでいると、それに気づいたアルフリードが教えてくれた。
「だから当面の間、キャルン国にとどまるんだってさ」
ルランシア様、すごいなぁ 外国で事業始めちゃったんだ。
そう思って絵ハガキを眺めていると、
「失礼いたします」
応接室の入り口からティーセットをカートに乗せたメイドが入ってきた。
あの子は……
「ああ、ロージー、いつもすまないね。エミリアと僕の分とよろしく」
弓の弦を張り替えながらアルフリードはチラッとXSの騎士服の行方を知ってるっぽいメイドちゃんこと、ロージーを見やって、お茶の手配をお願いした。
「かしこまりました」
歳はアルフリードや皇女様と同じくらいに見えるんだけど、無表情で必要最低限のことしか言わない彼女とは、もう何回も顔を合わせているのに未だに打ち解けることは皆無だった。
その日も彼女から騎士服の話を聞き出せずに時が流れ、1週間ほどして……
「じゃあ、皆さん。明日から狩猟祭へ行って参りますんで、留守の間、頼みます」
皇城にて、そう告げたアルフリードは翌日、狩猟祭へと1人向かって行った。
「当事者以外は待つしかすることがないけど、頑張ってねー」
そんな帝国の伝統的な通過儀礼に参加しない皇女様、王子様と私はそんな感じで彼を見送った。
という訳で、この3日間はアルフリードは朝のお迎えには来ない。
1人でエスニョーラ家の馬車に乗って皇城に行けばいっか、と思いながら毎朝のルーティンの弓矢の自主練をしていたところ。
「ラドルフ……じゃなかった、若旦那様……でもなくて、エミリアお嬢様ーー!」
あ……あやつは、盗んだ罪をチャラにする代わりに、行方不明のXSの騎士服をヘイゼル邸から探し出すように取引してきた騎士の人だ。
私も色々聞きたい事があったのに、あのガーデンパーティーの時は名乗りもしないで行っちゃったから、ちょうど良かった。
「ふふっ、狩猟祭で若旦那様が不在のタイミングを狙ってお嬢様にお渡ししようと思っていたんですよ。これ」
使用人の人達は、お兄様のことを結婚式を挙げ終わった途端、“若旦那様”と呼ぶようになっていた。いつもだったら私の横で自主練してたもんね。
それより、騎士の人が差し出してきた大きな丸まった紙を開くと……
「ええ! これって……」
そこにあったのは、前の世界でも引っ越しする時にお部屋探しで絶対チェックする間取り図……の超豪邸版が細かく描かれていた。
そして右下の方には……
“ヘイゼル公爵邸” って書かれてる……
「怪しいのは使用人エリアのここのスペースなんですよね。あ! 僕、もう行かなくちゃ。じゃあ、お嬢様、若旦那様が戻られる前に解決しちゃいましょう! 明日、また来ますんで。ではでは~」
ああ! 色々聞きたかったのに、本当にあっという間にどっか行っちゃった……
これ本物の間取り図? でも見たところ、私の知っている場所の位置は合っているようだ。
だけど、これまで“使用人エリア”については足を踏み入れた事がなかった。
ヘイゼル家は使用人が食事したり、寝泊まりしたり、洗濯や備品とかを保管しておくような使用人しか出入りしない所については、決まった分の予算を与えて使用人さんに管理を一任していた。
ちなみに、騎士団の施設についても同様に騎士団長さんに管理が一任されていた。
もしメイドのロージーちゃんが、XSの騎士服をどこかにやっちゃったというなら、使用人エリアを探すのが妥当ではある。
それに、原作のような闇落ちからアルフリードを救うために、やらなきゃいけない事の一つであり、今まで放置プレイ状態でいた、
・ヘイゼル邸の人形みたいな感情のない使用人たちを人間らしくすること。
を解決する糸口が何かあるかもしれない!
幸い、アルフリードが3日3晩のサバイバルに行ってる間も、リフォーム計画のためにへイゼル家に出入りする許可はもらっていた。
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