21 / 25
Ⅱ.心変わり
21.ラドルフvs公爵子息
しおりを挟む
ラドルフ
ーーーーー
『大衆の面前で雇われ主の妾だと事実無根の罵声を浴びさせられ、トラウマになるほどの精神的苦痛を強いられる事例があった。そのような場合、適切な処罰を執り行う必要があると考えられる』
皇女は読み上げた。
「男を護る女騎士=男の妾。この古くから伝わるイメージを改めて指摘され、私自身もハッとさせられたよ」
皇女は忌々しそうに、用紙に目をやりながら物申した。
これは言うまでもなく、俺のフィアンセに向かって屈辱的なデタラメを吐いて捨てた、あの婆さんの事に決まっている。
女騎士のインタビュー内に紛れ込んでいたのを見つけ、これを無かった事にしてしまうのは無性に腹立たしくなってきて、訴状の中に突っ込んでおいた。
だが、帝国内でも有力な大貴族に関わるのは本来避けたい所ではあるから、テドロ家の名は出さないでおいたが。
「エミリア嬢が王子に騎士の宣誓をした際、真っ先にこれが頭に浮かんで頭に血が昇った。しかし、女の騎士がなぜ男を護衛してはならないのか、騎士は騎士なのだから冷静に考えれば全くもっておかしな話だ」
「僕もあの時、エミリアは周りからそのように見られてしまうと、何の疑いもなく思っていたよ。無意識に染み付いていた感覚、というのが実に恐ろしい」
ヘイゼルの公爵子息だ。
はぁ……なんだって、この男もこの場にいるんだよ。
俺はコイツの誰彼構わず、愛想を振るっていい人ぶるのがどうにも腑に落ちなかった。
ただ単に、無条件で性に合わないだけかもしれないがな。
「この大衆の面前で罵声を浴びせた、というのはどこのどいつなんだ?」
皇女が声を荒らげ出した。
まずいな、小うるさいヤツのことだ。
犯人がテドロ家の婆さんだと耳に入ればすぐさま”直接言ってやる”、などと行動に移されて厄介なことになるに違いない。
「それは……」
隣りのアイツが何か言い始めた。
どうにか黙らせないと……
「殿下。大事なのはこれから同様の事があった場合に何の法整備も整えられていないことです。この事例1つを掘り下げて時間をかけるより、今はこうした報告があったと把握するに留めるべきではないでしょうか」
「兄上、それは少し違うのではないですか」
なんだ……? ヘイゼルの子息が、突っかかってきた。
「もしエミリアがこんな事をされたら、僕だったら相手にどんな事をしてしまうか分からない。この事例を報告した者が、誰からも何もしてもらえなかったら、その傷はずっと浮かばれないのではないですか?」
コイツは変に鋭いというか、痛い所を突いてきやがる。
横目でイリスを見ると、俺には絶対に見せない輝く表情を浮かべてあの男を見ている。
この女たらしめ、まさかエミリアにも母上にもしたようにコイツにも言い寄ろうとしてるんじゃないだろうな……?
「そう考える君の意見も分からなくはないが、感情で衝動的に動いても、それは罵声を浴びせた相手と同じではないか。まずは、この事例のような言動が単なる理不尽な言い伝えによるものだと知らしめるために何をすべきか、そこに焦点を置くべきでは?」
即席で言ってはみたが、どうだ?
あの男は反論しようと次の手を考えているようだった。
「おお、その意見には私も賛同するよ」
うまいタイミングで声を上げたのは皇族騎士団の団長だ。
この独身男も実は女キラーではあるんだよな……
騎士の間では憧れの存在と言われているらしいし、この部屋に入った時の反応を見るとアイツも例外じゃなさそうだ。
自分でこいつらに引き合わせた事は分かってるが、若干の後悔は否めなかった。
「私にも昔、女騎士の古い考えで苦い思いをした事があってね……ぜひ人々の意識を変えるため、世の中への発信が必要だと考えている」
団長は少し遠い目をしながら言った。
「そうだった、そのためにエスニョーラの子息も呼んだのだった。イリス殿、そなたには、もっとこの件を高い視点からまとめ上げて、公の場で発表を行なってもらいたいのだ」
皇女が件の話にシフトしたことで、エミリアの婚約者とのぶつかり合いは自然と流された。
ともかくテドロ家の名は出さずに済んだ訳だから結果オーライだ。
イリス
ーーーー
あの妾騒動の件、ラドルフ様はどうでもいいような素振りを以前はしてたけど、ちゃんとこの提出書類にも盛り込めてくれてたんだ……
感動して、さっきはつい目から涙が出そうだったけど。
それは、こういう正式な書面を出すからには公平な内容にしておいたっていう彼の律儀な性格が滲み出てしまっただけで、根本的には深入りしたくない問題には変わりないのかも。
そりゃあ、24時間ほぼ自由を奪われてる皆に比べたら、私が恥をかかされた一瞬の出来事なんて大したことじゃないのかもしれないけど。
それでも自分の妻になる人がそんな侮辱をされたら、立ち向かって守ってくれるくらい、してもいいと思うんだよね……
だから、超ハイスペックな公爵子息様はさすがだなって思った。
私が1番して欲しい事をズバッと捉えてしまってたもんね。
それを話をはぐらかすなんて、ラドルフ様の言っていることはもっともだと思うけど、怖いものなんて何も無さそうなこの人でも、テドロっていう公爵家の名はその内に入らないみたいだ。
つまり、私はテドロ家と天秤に掛けられたら瞬時に敗れてしまう、その程度の存在だってこと……
ところで。
いま皇女様がおっしゃったことは一体……
「つまり、女騎士の発祥から現在に至るまでの歴史と、それらがそなたの訴求にどう影響を及ぼしているのか。また解決策は何であるのか。もっと掘り下げてもらいたいのだ」
なんか、すごい難しそうなこと言ってる……
女騎士のことについて、もっと調べて皇女様が今持ってる提出した書類より説得力を持たせる必要があるってこと?
私、普通の本を読むのだって苦手なのに、そんな学術書チックなものに取り組んだら、頭爆発してもおかしくないんですけど。
でも、ここまで来て出来ないなんて、絶対言えないし……
「ですので、まとめるのに必要な資料が保管されている帝国図書館にお勤めの兄上に、手助けをお願いしたのですよ」
にこやかに天使みたいな笑顔でサラッと付け加えた公爵子息様の言葉に、思わず目を見開いて、少し開いて座った両足の上に拳を置いて微動だにせず座ってる隣の人をみやってしまった。
だから、ラドルフ様もこの場に同席してたのか……!
「それで、そのまとまった内容をどこかの場で発信してもらいたいのだが、どこが良いだろう……貴族当主が集まる大会とか、広く世間に周知できるような場がふさわしいのだが」
皇女様は私が返事をする間もなく、話をどんどんと進められている。
調べて落とし込むだけじゃなくって、人前で発表だなんて……話のスケールがすごいところまで来てる。
だけど、着々とこの計画を始めた時の目標に近づいているようだった。
これは本当にすごいこと。
女騎士友達もこれまでの酷い扱いから救われる日も、もしかしたら近いかもしれない。
それに、舞踏会ではもろ嫌そうな顔をするわ、私よりもテドロ家を取るような扱いをされてるけど、図書館で彼と過ごす時間が増えるのは密かに嬉しくもあった。
「発表の場はおいおい見つけることに致しましょう。それとこの件とはあまり関係ないのですが、いま皇族騎士団は人手が足りなくて。イリス君にぜひ手伝って頂きたい事があるのです」
そういって突然、団長から手渡されたのは憧れの皇族騎士団員の白い制服だった。
ーーーーー
『大衆の面前で雇われ主の妾だと事実無根の罵声を浴びさせられ、トラウマになるほどの精神的苦痛を強いられる事例があった。そのような場合、適切な処罰を執り行う必要があると考えられる』
皇女は読み上げた。
「男を護る女騎士=男の妾。この古くから伝わるイメージを改めて指摘され、私自身もハッとさせられたよ」
皇女は忌々しそうに、用紙に目をやりながら物申した。
これは言うまでもなく、俺のフィアンセに向かって屈辱的なデタラメを吐いて捨てた、あの婆さんの事に決まっている。
女騎士のインタビュー内に紛れ込んでいたのを見つけ、これを無かった事にしてしまうのは無性に腹立たしくなってきて、訴状の中に突っ込んでおいた。
だが、帝国内でも有力な大貴族に関わるのは本来避けたい所ではあるから、テドロ家の名は出さないでおいたが。
「エミリア嬢が王子に騎士の宣誓をした際、真っ先にこれが頭に浮かんで頭に血が昇った。しかし、女の騎士がなぜ男を護衛してはならないのか、騎士は騎士なのだから冷静に考えれば全くもっておかしな話だ」
「僕もあの時、エミリアは周りからそのように見られてしまうと、何の疑いもなく思っていたよ。無意識に染み付いていた感覚、というのが実に恐ろしい」
ヘイゼルの公爵子息だ。
はぁ……なんだって、この男もこの場にいるんだよ。
俺はコイツの誰彼構わず、愛想を振るっていい人ぶるのがどうにも腑に落ちなかった。
ただ単に、無条件で性に合わないだけかもしれないがな。
「この大衆の面前で罵声を浴びせた、というのはどこのどいつなんだ?」
皇女が声を荒らげ出した。
まずいな、小うるさいヤツのことだ。
犯人がテドロ家の婆さんだと耳に入ればすぐさま”直接言ってやる”、などと行動に移されて厄介なことになるに違いない。
「それは……」
隣りのアイツが何か言い始めた。
どうにか黙らせないと……
「殿下。大事なのはこれから同様の事があった場合に何の法整備も整えられていないことです。この事例1つを掘り下げて時間をかけるより、今はこうした報告があったと把握するに留めるべきではないでしょうか」
「兄上、それは少し違うのではないですか」
なんだ……? ヘイゼルの子息が、突っかかってきた。
「もしエミリアがこんな事をされたら、僕だったら相手にどんな事をしてしまうか分からない。この事例を報告した者が、誰からも何もしてもらえなかったら、その傷はずっと浮かばれないのではないですか?」
コイツは変に鋭いというか、痛い所を突いてきやがる。
横目でイリスを見ると、俺には絶対に見せない輝く表情を浮かべてあの男を見ている。
この女たらしめ、まさかエミリアにも母上にもしたようにコイツにも言い寄ろうとしてるんじゃないだろうな……?
「そう考える君の意見も分からなくはないが、感情で衝動的に動いても、それは罵声を浴びせた相手と同じではないか。まずは、この事例のような言動が単なる理不尽な言い伝えによるものだと知らしめるために何をすべきか、そこに焦点を置くべきでは?」
即席で言ってはみたが、どうだ?
あの男は反論しようと次の手を考えているようだった。
「おお、その意見には私も賛同するよ」
うまいタイミングで声を上げたのは皇族騎士団の団長だ。
この独身男も実は女キラーではあるんだよな……
騎士の間では憧れの存在と言われているらしいし、この部屋に入った時の反応を見るとアイツも例外じゃなさそうだ。
自分でこいつらに引き合わせた事は分かってるが、若干の後悔は否めなかった。
「私にも昔、女騎士の古い考えで苦い思いをした事があってね……ぜひ人々の意識を変えるため、世の中への発信が必要だと考えている」
団長は少し遠い目をしながら言った。
「そうだった、そのためにエスニョーラの子息も呼んだのだった。イリス殿、そなたには、もっとこの件を高い視点からまとめ上げて、公の場で発表を行なってもらいたいのだ」
皇女が件の話にシフトしたことで、エミリアの婚約者とのぶつかり合いは自然と流された。
ともかくテドロ家の名は出さずに済んだ訳だから結果オーライだ。
イリス
ーーーー
あの妾騒動の件、ラドルフ様はどうでもいいような素振りを以前はしてたけど、ちゃんとこの提出書類にも盛り込めてくれてたんだ……
感動して、さっきはつい目から涙が出そうだったけど。
それは、こういう正式な書面を出すからには公平な内容にしておいたっていう彼の律儀な性格が滲み出てしまっただけで、根本的には深入りしたくない問題には変わりないのかも。
そりゃあ、24時間ほぼ自由を奪われてる皆に比べたら、私が恥をかかされた一瞬の出来事なんて大したことじゃないのかもしれないけど。
それでも自分の妻になる人がそんな侮辱をされたら、立ち向かって守ってくれるくらい、してもいいと思うんだよね……
だから、超ハイスペックな公爵子息様はさすがだなって思った。
私が1番して欲しい事をズバッと捉えてしまってたもんね。
それを話をはぐらかすなんて、ラドルフ様の言っていることはもっともだと思うけど、怖いものなんて何も無さそうなこの人でも、テドロっていう公爵家の名はその内に入らないみたいだ。
つまり、私はテドロ家と天秤に掛けられたら瞬時に敗れてしまう、その程度の存在だってこと……
ところで。
いま皇女様がおっしゃったことは一体……
「つまり、女騎士の発祥から現在に至るまでの歴史と、それらがそなたの訴求にどう影響を及ぼしているのか。また解決策は何であるのか。もっと掘り下げてもらいたいのだ」
なんか、すごい難しそうなこと言ってる……
女騎士のことについて、もっと調べて皇女様が今持ってる提出した書類より説得力を持たせる必要があるってこと?
私、普通の本を読むのだって苦手なのに、そんな学術書チックなものに取り組んだら、頭爆発してもおかしくないんですけど。
でも、ここまで来て出来ないなんて、絶対言えないし……
「ですので、まとめるのに必要な資料が保管されている帝国図書館にお勤めの兄上に、手助けをお願いしたのですよ」
にこやかに天使みたいな笑顔でサラッと付け加えた公爵子息様の言葉に、思わず目を見開いて、少し開いて座った両足の上に拳を置いて微動だにせず座ってる隣の人をみやってしまった。
だから、ラドルフ様もこの場に同席してたのか……!
「それで、そのまとまった内容をどこかの場で発信してもらいたいのだが、どこが良いだろう……貴族当主が集まる大会とか、広く世間に周知できるような場がふさわしいのだが」
皇女様は私が返事をする間もなく、話をどんどんと進められている。
調べて落とし込むだけじゃなくって、人前で発表だなんて……話のスケールがすごいところまで来てる。
だけど、着々とこの計画を始めた時の目標に近づいているようだった。
これは本当にすごいこと。
女騎士友達もこれまでの酷い扱いから救われる日も、もしかしたら近いかもしれない。
それに、舞踏会ではもろ嫌そうな顔をするわ、私よりもテドロ家を取るような扱いをされてるけど、図書館で彼と過ごす時間が増えるのは密かに嬉しくもあった。
「発表の場はおいおい見つけることに致しましょう。それとこの件とはあまり関係ないのですが、いま皇族騎士団は人手が足りなくて。イリス君にぜひ手伝って頂きたい事があるのです」
そういって突然、団長から手渡されたのは憧れの皇族騎士団員の白い制服だった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

行き遅れの女騎士、便所の神様になるっ!!
黒神譚
恋愛
28歳を迎えた男爵家の娘パトリシア・ベン・クルスは焦っていた。
何故なら彼女の妹ソフィアが姉を差し置いて先に結婚が決まってしまったからだ。
ソフィアは15歳。この世界では結婚適齢期だった。
対して姉のパトリシアは女だてらに冒険者として活躍し、結婚するそぶりを見せない。
それに業を沸かせたパトリシアの両親はソフィアに家督を譲りパトリシアを勘当することに決めたのだ。
一人実家から放り出されたパトリシアは女騎士として名を馳せていたものの経済力はなかった。
そこでパトリシアは自活していくための策として、とある事業を起こすことを思いつき、幼いころから密かに恋心を抱いていた友人ドミニク・ベン・サルヴァドール筆頭伯爵の家を訪ねるのだった・・・・・・。
果たしてパトリシアの新事業は上手くいくのか?
また幼いころから密かに抱いていた彼女の恋は実るのか?
ぬるい感じの異世界の恋物語。どうぞ、一読下さい。
Untangl~秘密の場所で逢いましょう~
猫田けだま
恋愛
17歳の夏の終わり。
家庭に居場所がなく、クラスでも浮いていた美緒と透吾は、偶然に使われていない弓道場を〝避難場所〟として共有することになる。
かたくなだった互いの心は、肩を寄せ合うことで少しずつやわらかに形を変えていくが……。
高校生編と社会人編の2部作です。
画像は、にじジャーニーさんで作成しています。

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
【完結】きみの騎士
*
恋愛
村で出逢った貴族の男の子ルフィスを守るために男装して騎士になった平民の女の子が、おひめさまにきゃあきゃあ言われたり、男装がばれて王太子に抱きしめられたり、当て馬で舞踏会に出たりしながら、ずっとすきだったルフィスとしあわせになるお話です。

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる