243 / 254
№243 吊す
しおりを挟む
――いわゆる自殺の名所と言われる場所で比嘉さんが体験した話だ。
何しに行ったて、当然「自殺」ですよ。勝手ですが人に死んでいるところを見られたくなかったので、人があまり立ち入らない森林だとそのまま自然に返るんじゃないかなって。まあ、いろいろとおかしくなっていましたね。
森林をなんとなく歩いていたら、躓いて動けなくなりました。首を吊る予定でロープも持ってきていたんですが、このまま餓死かなと考えて地面の苔を眺めていました。
そのまま寝たような気がします。気絶だったかもしれないけど。目を開いたら人がいました。普通の人じゃないです。大男でした。裸で毛深くて、僕の頭なんか一口で食べれそうなくらいの大きさの。なんかじーっと僕を見ていて、僕と目が合うとなんか納得したようにウンウン頷いて僕を担いで歩き出しました。僕はされるがままです。
怖かったんですけどね、死に際の幻覚かもとかちょっと考えてました。その間になんか巣のようなところにつきました。折れた木とか、岩とか、草とか、そういうのが良い感じに配置してあって、ここでこの男は生活してるんだなぁと。
僕はその枯れ草が積んである場所に下ろされ、しばらく男と暮らしました。水や、木の実や肉を持ってきてくれるんです。肉は焼いてあることもあったから、火が使えたんですよね。ウサギとか鹿とかを捕まえて、吊して、血を抜いて食べていました。男は何もしゃべらないし、最後まで感情とか分かりませんでした。でも悪い人ではないんだろうなと思っていました。
1週間くらいして大男が担いできた物を見てぎょっとしました。人間でした。死体です。見ていると男は他の動物の横にそれを吊しました。元々首に縄が付いていたようです。大男は吊したままその人の服を剥ぎ、靴を脱がし、他の動物と同じように「処理」しはじめました。その間に僕は逃げ出しました。追ってきてたかは分かりませんが、意外と近くに舗装された道があって、ツアーの集団と合流、保護してもらいました。
たぶん大男は僕を食べようとして育ててたんだと思うんですよ。男は吊っている肉は食べる。だからあそこで首を吊ってたら食べ物に見える。人も食う。僕はガリガリで食べるところがなかったから、ちょっと太らせてから吊そうと考えてたんじゃないですかね。
そう考えると、あの場所で死んだ人が全員自殺じゃなくて、一部は大男の保存食じゃないかなって。考えすぎですかね?
何しに行ったて、当然「自殺」ですよ。勝手ですが人に死んでいるところを見られたくなかったので、人があまり立ち入らない森林だとそのまま自然に返るんじゃないかなって。まあ、いろいろとおかしくなっていましたね。
森林をなんとなく歩いていたら、躓いて動けなくなりました。首を吊る予定でロープも持ってきていたんですが、このまま餓死かなと考えて地面の苔を眺めていました。
そのまま寝たような気がします。気絶だったかもしれないけど。目を開いたら人がいました。普通の人じゃないです。大男でした。裸で毛深くて、僕の頭なんか一口で食べれそうなくらいの大きさの。なんかじーっと僕を見ていて、僕と目が合うとなんか納得したようにウンウン頷いて僕を担いで歩き出しました。僕はされるがままです。
怖かったんですけどね、死に際の幻覚かもとかちょっと考えてました。その間になんか巣のようなところにつきました。折れた木とか、岩とか、草とか、そういうのが良い感じに配置してあって、ここでこの男は生活してるんだなぁと。
僕はその枯れ草が積んである場所に下ろされ、しばらく男と暮らしました。水や、木の実や肉を持ってきてくれるんです。肉は焼いてあることもあったから、火が使えたんですよね。ウサギとか鹿とかを捕まえて、吊して、血を抜いて食べていました。男は何もしゃべらないし、最後まで感情とか分かりませんでした。でも悪い人ではないんだろうなと思っていました。
1週間くらいして大男が担いできた物を見てぎょっとしました。人間でした。死体です。見ていると男は他の動物の横にそれを吊しました。元々首に縄が付いていたようです。大男は吊したままその人の服を剥ぎ、靴を脱がし、他の動物と同じように「処理」しはじめました。その間に僕は逃げ出しました。追ってきてたかは分かりませんが、意外と近くに舗装された道があって、ツアーの集団と合流、保護してもらいました。
たぶん大男は僕を食べようとして育ててたんだと思うんですよ。男は吊っている肉は食べる。だからあそこで首を吊ってたら食べ物に見える。人も食う。僕はガリガリで食べるところがなかったから、ちょっと太らせてから吊そうと考えてたんじゃないですかね。
そう考えると、あの場所で死んだ人が全員自殺じゃなくて、一部は大男の保存食じゃないかなって。考えすぎですかね?
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
究極?のデスゲーム
Algo_Lighter
ホラー
気がつくと、見知らぬ島に集められた参加者たち。
黒いフードを被った謎のゲームマスターが告げる—— 「これは究極のデスゲームだ」。
生き残るのはただ一人。他の者に待つのは"ゲームオーバー"のみ。
次々に始まる試練、迫りくる恐怖、そして消えていく敗者たち。
しかし、ゲームが進むにつれて、どこか違和感を覚え始める主人公・ハル。
このデスゲーム、本当に"命がけ"なのか……?
絶望と笑いが交錯する、予測不能のサバイバルゲームが今、幕を開ける!
【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる