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№225 パントマイム
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この話、当時一緒にいた人ですら信じてない人もいるんですけどね・・・・・・。
小学1年生の時、その日は雨が降っていたので教室で遊んでいたんです。2学期始まったくらいだったんで、学校にももう慣れていた頃ですね。休み時間ギリギリまで遊んで、予鈴が鳴ってもまだ座らないで、先生が本鈴と同時に入ってきて、
「ほら、授業始まるよ」
って言ってようやく着席する感じ。黒板の横あたりで友達とおしゃべりしていたんですが、先生が来るのと同時に席に戻ろうとしました。
でも顔面に何かぶつかってそれ以上行けなかったんです。何にぶつかったのか分からず、呆然としていたら友達が最初に私の異変に気付きました。
「どうしたの? 座らないの?」
皆、先生の号令とともに席に戻ったので、黒板の横にいる私は全員から注目されました。先生も
「座りなさい」
とちょっときつめに言ってきたので、前に出ようとすると何かにぶつかるんです。目の前に透明な仕切りがあるみたい。それを見ていた友達曰く、確かにその瞬間私の鼻が潰れて、何かにぶつかったように見えたそうです。
手を前に出しても、何もぶつからない。しゃがんだり横から迂回しようとしても、私が移動しようとすると何かにぶつかるんです。それがパントマイムみたいだったのか、クラスメイトが笑い始めました。先生もちょっと笑って
「ふざけてないで戻りなさい」
なんて言っていましたね。別におどけているわけでも皆を笑わせたいわけでもないんです。だから思わず泣いちゃって。
友達が私の手を引っ張ってくれたんですけど、やっぱり動けない。さすがにおかしいと思った先生が私を抱っこしようとしても、足が張り付いたみたいに動かなかったそうです。
先生が動揺すると、私も不安になってもっと泣いて、それが伝染してクラスメイトにも涙ぐむ子が出てきました。
そのとき、何を思ったのか友達が教室を飛び出し、当時3年生の姉を連れてきました。姉は(私が動けなくなった)という事だけ聞いて友達と教室に来てくれました。そして泣いている私を見て、険しい表情になりました。
姉はつかつかと私に近づくと手を振り上げ、力一杯下ろしました。
バンッ!
私の目の前で手が止まり、音がしました。アクリル板のような物を叩く音でした。姉は続けて
バンッ! バンッ! バンッ!
と、私と姉の間の何かを叩き、最後に
パァン!、と私の顔面を平手打ちしました。
ぽかんとしている私の手を姉が引っ張ると、私はあっさりとその場を離れることができました。
「もう大丈夫ね」
姉は笑って颯爽と去って行きました。教室には何が起こったのかわからず硬直するクラスメイト。先生がまっさきに
「保健室、行こうか」
と私に声をかけてくれました。最後の平手で私は鼻血を出していました。
――――奥野さんは大人になった今でもたまにその頃の話をお姉さんにするそうだが、いつも「忘れた~」とはぐらかされるそうだ。
小学1年生の時、その日は雨が降っていたので教室で遊んでいたんです。2学期始まったくらいだったんで、学校にももう慣れていた頃ですね。休み時間ギリギリまで遊んで、予鈴が鳴ってもまだ座らないで、先生が本鈴と同時に入ってきて、
「ほら、授業始まるよ」
って言ってようやく着席する感じ。黒板の横あたりで友達とおしゃべりしていたんですが、先生が来るのと同時に席に戻ろうとしました。
でも顔面に何かぶつかってそれ以上行けなかったんです。何にぶつかったのか分からず、呆然としていたら友達が最初に私の異変に気付きました。
「どうしたの? 座らないの?」
皆、先生の号令とともに席に戻ったので、黒板の横にいる私は全員から注目されました。先生も
「座りなさい」
とちょっときつめに言ってきたので、前に出ようとすると何かにぶつかるんです。目の前に透明な仕切りがあるみたい。それを見ていた友達曰く、確かにその瞬間私の鼻が潰れて、何かにぶつかったように見えたそうです。
手を前に出しても、何もぶつからない。しゃがんだり横から迂回しようとしても、私が移動しようとすると何かにぶつかるんです。それがパントマイムみたいだったのか、クラスメイトが笑い始めました。先生もちょっと笑って
「ふざけてないで戻りなさい」
なんて言っていましたね。別におどけているわけでも皆を笑わせたいわけでもないんです。だから思わず泣いちゃって。
友達が私の手を引っ張ってくれたんですけど、やっぱり動けない。さすがにおかしいと思った先生が私を抱っこしようとしても、足が張り付いたみたいに動かなかったそうです。
先生が動揺すると、私も不安になってもっと泣いて、それが伝染してクラスメイトにも涙ぐむ子が出てきました。
そのとき、何を思ったのか友達が教室を飛び出し、当時3年生の姉を連れてきました。姉は(私が動けなくなった)という事だけ聞いて友達と教室に来てくれました。そして泣いている私を見て、険しい表情になりました。
姉はつかつかと私に近づくと手を振り上げ、力一杯下ろしました。
バンッ!
私の目の前で手が止まり、音がしました。アクリル板のような物を叩く音でした。姉は続けて
バンッ! バンッ! バンッ!
と、私と姉の間の何かを叩き、最後に
パァン!、と私の顔面を平手打ちしました。
ぽかんとしている私の手を姉が引っ張ると、私はあっさりとその場を離れることができました。
「もう大丈夫ね」
姉は笑って颯爽と去って行きました。教室には何が起こったのかわからず硬直するクラスメイト。先生がまっさきに
「保健室、行こうか」
と私に声をかけてくれました。最後の平手で私は鼻血を出していました。
――――奥野さんは大人になった今でもたまにその頃の話をお姉さんにするそうだが、いつも「忘れた~」とはぐらかされるそうだ。
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